虎の城: 長編歴史小説 (上(乱世(らんせ)疾風編)) (祥伝社文庫 ひ 6-14)
- 祥伝社 (2007年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (699ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396333782
感想・レビュー・書評
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歴史は大嫌いなのだが、実家の父親に貸されてしまったので読んでみた。
何という読み易さ!歴史嫌いの私でもついていくことが出来る。
乱世疾風編との表記があるが、その名の通り疾風のように
物語も進んでいく。
次から次へと手に汗握る展開で、この本の厚みにも関わらず
全く飽きることが無い。
下巻にも期待大!!
本当に面白い!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
藤堂高虎のはなし。
秀吉の弟、秀長の家臣になった高虎だが、秀長が裏方ばかりの働きをすることに不満を感じ、なぜもっと目立とうとしないかきいたとき、秀長が言った。
人には分というものがある。
裏があるから表がある。影があるから光がある。わしが背後におらねば、誰が兄者を支える。人にはそれぞれ、おのれの働き場がある。 -
藤堂高虎は、僕にとってはお気に入りの戦国武将です。徳永真一郎さんのも面白かったですが、火坂雅志さんの藤堂高虎は、展開が良くてテンポが良いです。
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藤堂高虎。主君を7度変えた武将として評価が低かったときもあるらしいが、この見方を180度変える本。
身分の低い地侍の子として生まれた高虎は、主君に恵まれず、転々と戦国の世を渡り歩く。あんな男のために俺は命を張っているのか?
小一郎秀長と出会い、自分を信頼してくれる秀長に対し忠節を尽くし、築城の名手として、秀長を支えていく。
一途で誠実な高虎が、何故、主君を変え、秀長に仕えていったのか、よくわかります。
しかし、秀長が亡くなり、秀頼を自分の後継に押す豊臣秀吉の老害が始まり、石田三成との対立が深まっていく。ついには、跡取りの秀保も亡くなることになる。
石田三成のいやらしさが、すごくわかります。こんな奴、うちの会社にもおるわ。 -
名前と城造りについては知っていた藤堂高虎の経歴はかなり紆余曲折しているな。
元々は特定の主君を持たない地侍だとは思わなかったよ。それが事実だとしたら、前半生で主君を色々と変えている事もあっさりと納得できる。
それに秀長に仕えてからの高虎の成長は読んでいて、ワクワクした。
[more]
一方で宿敵に設定されている三成もいい感じだ。こう怜悧な感じが良くででいる。
自分が信じている事、正しいと思っている事を相手への配慮なしに淡々と話す様子を読んでいると胸がモヤモヤしてくるよ。 -
仕事を辞めて無職になった時に父親に勧められて読みました。
藤堂高虎といえば戦国無双で気になって調べたことがありましたが、主君を転々としていった姿が印象的でした。
何故父がこの本を勧めてくれたのかはこの本を読んでよくわかりました。
戦国時代は江戸時代とは違って封建的ではなく自分の働きに見合った場所を自らが探し求める時代。
不忠者とみられることもある高虎も単により良い報酬を求めて渡り歩いたのではなく、自分の能力を真に認められ信頼に値する主君と出会えば一命を賭して能力を発揮する。
また、現場主義で自らを叩き上げ時代の流れを肌で感じ、必要に応じて柔軟に自らを変革する。
新しい分野でもプライドに拘らずにひたすら自己研鑽に励む姿に、父から「腐らずに自らを磨き続けろ」と改めて言われているような気がしました。
また現場からの叩き上げであるからこそ分かる人心に対しての配慮も見事であると感じました。
自らの仕事にひたむきに打ち込み、時世に合わせて常に自分を磨くこと。
これらを徹底していくことが私にとっても命題だと改めて考えさせてもらいました。 -
藤堂高虎の本を読みたいな、と思って探したら、この本がオススメされていたから読んでみた。
すごくさらさらと読みやすい文章でした。
人間は柔軟に、けれど信念をもって生きることが大切なんだなあ、と思った。
藤堂高虎は、何故あまり人気がないんだろう。かっこいいと思うけどな。 -
藤堂高虎は、結構嫌われ者らしいです。私は知らなかった。
でも、この本を読む限り、奉公先を次々と変える不忠な印象は受けなかった。むしろ不運は、信頼する上司の豊臣秀長(秀吉の弟)の家系を失ってしまったことだと思う。
上巻は、高虎というよりむしろ秀長の人間的器の大きさが光る。妾の様な存在が恐らくフィクションでいるが、高虎は妻を大事にした事で有名なので、そこは不要な設定な気がした。
下巻は、なんだか物悲しい。後半がなかなかいい。長く放浪してやっと出会えた尊敬できる主君、豊臣秀長。その甥を滅ぼすにあたり、約束をたがえることを責める部下との仲たがいなど家の存続と、サムライとしての大切なことを守るのとの葛藤に苦しむ。私は徳川が好きじゃないためか、部下の言う通り、媚びている感じが少しするのは否めない。
上下2巻を通して、どちらかというと、豊臣秀長が光輝いた気がする。
火坂さんの作品は、これで2作品目。
なんでかページに要する時間が司馬遼太郎や池波正太郎と比べると短く、何ページあってもさらっと読み終わり感が強い。
理由は、引用を多数しているが、どれも実はよくある内容な気はしている。そして、もうひとつは主人公がよくしゃべるためではないだろうか。吹き出しが多く、読者に余り主人公が考えていることを推測させる余地が残っていないので、なんとなく軽くなってしまうのではなかろうか。
特に、生涯を賭けて主君秀長が守り抜いてきた豊臣家を滅ぼし、その墓前に参る高虎。秀長が許してくれる。都合がよすぎる。。。
結構、上司の意に染まぬ要求を、上司を守るために我慢したりと、すごく現代でも社会を生き抜くためのヒントが沢山あると思った。生き抜くために、自分だけの売りを作るとか。 -
豊臣家の財務・渉外担当の秀長。その家老だった藤堂高虎が槍働きから、建築や経営学を学んで大きくなっていくところが見ものです。好きな女性を守るためから大名になっていく、というのは漫画のセンゴクに近いかも。