出世花 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
4.11
  • (121)
  • (151)
  • (76)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 676
レビュー : 141
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396334352

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 6年間の女敵討ちの旅の果て、路傍の毒草に当たった矢萩源九郎は、
    死者を洗い清める青泉寺に運び込まれた。
    亡くなった源九郎を丁寧に弔ってくれたそのお寺で、娘のお艶は名を
    「お縁」と改めて成長する。
    お縁は、やがて自分も湯灌場を手伝うようになり、時に「屍洗い」と
    蔑視されながらも、死者と遺族のために心をこめて弔いをし、
    真っ直ぐ成長していく。

    江戸の「おくりびと」
    浄土への願いは、今の人では計り知れないものがあっただろう当時。
    心をこめて浄土への旅立ちへの手助けをする、尊いお仕事だなぁと思った。
    自分や、自分の大事な人を、こんな風に送りだしてもらえたらいいのにと。
    彼女の一途でまっすぐな気持ちが、優しくて清い。
    文体も透明感があって美しかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どれも苦難の中でまっすぐ純粋に」
      そうなんですね、判る気がします。。。この本も文庫のようなので購入して読もう!
      「どれも苦難の中でまっすぐ純粋に」
      そうなんですね、判る気がします。。。この本も文庫のようなので購入して読もう!
      2012/09/06
    • マリモさん
      出世花は、ハルキ文庫からも出ているみたいですね。高田さんの本は、みをつくし料理帖もそうですが、いきなり文庫で出てるように思います。読者にはあ...
      出世花は、ハルキ文庫からも出ているみたいですね。高田さんの本は、みをつくし料理帖もそうですが、いきなり文庫で出てるように思います。読者にはありがたい話ですが何でなんでしょう(笑)
      2012/09/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ハルキ文庫からも出ているみたい」
      最近の作者さんの同じ本が、複数の出版社から出てるのって珍しいですよね。

      「読者にはありがたい話ですが何...
      「ハルキ文庫からも出ているみたい」
      最近の作者さんの同じ本が、複数の出版社から出てるのって珍しいですよね。

      「読者にはありがたい話ですが何でなんでしょう」
      確かに、どーしてでしょうね?、、、集英社から出ているエッセイ「晴れときどき涙雨」は単行本ですね。
      2012/09/14
  • 「おくりびと」の時代小説版。死を扱うことで生が浮き彫りになる。舞台は江戸時代だけど、当時の風俗をわかりやすく解説もしてくれて、非常に読みやすかった。じんわりと胸にしみる、いい小説。ミステリー要素も効いている。

  • みをつくしからハマりこの作品を読んだ。
    素晴らしいの一言だね!
    題材は違えど、人に尽くす女性の話。
    もう何かあれば潤んでしまう。
    解説に資料に飲まれるなとあるけど、この作品は過不足ないと思う。
    当時の湯灌にまったく知識がない私でも、ありありと情景を思い浮かべられる。
    大好きです。

  • ブッククロッシングを通して出会った本です。
    http://www.bookcrossing.com/journal/11372268

    この作家の本は初めてです。ブッククロッシングで頂いたので、たまたま読む事になりました。普段自分では手に取らないと思いますが、なかなか楽しんで読みました。

    夫と娘を残して、他の男性と駆け落ちして出て行った母。父は妻敵(めがたき)討ちに、娘のお艶(後にお縁と名づけられる)と旅に出るが、江戸近郊で果てる。父が息を引き取る前に、瀕死の父子を見つけて助けてくれたのが青泉寺の住職だった。その青泉寺に身を寄せ、湯灌を手伝いながら育っていくお縁。

    この本には4作の短編が収録されていて、それぞれをとしてお縁が成長していく様子が描かれていく。それと同時に湯灌儀式について丁寧に説明されていて、ある意味勉強になりました。こういう話がすんなり心に染み入ってくるというのは、やはり私は日本人なんだなぁと思わずにはいられなかったです。この本は仏事だけに執着するのでなく、ミステリーのような謎解きの要素も少し入っており、また読み進むうちに幾つかの人間関係の過去が語られていくので、硬すぎず、楽しむ事ができました。正直、最初は湯灌について引きはしたものの、読んでいく内に、仏事として遺族に意義のあるものなんだなぁ、と感心しました。また、湯灌は現在も行われている儀式だと改めて知りました。

    ちなみにこの本には続編があるらしい。今のところは、わざわざ探してまで読もうとは思わないけれど、機会があれば読んでみたいかもしれないです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      今、通勤途上で読んでる本が終わったら、次は此方を読みます。
      今、通勤途上で読んでる本が終わったら、次は此方を読みます。
      2013/07/31
  • 幼い娘を連れ、妻敵討ちの旅に出るも果たせずに力尽きた源九郎。

    父を亡くしたお艶は正真住職にお縁という新しい名をいただき、墓寺として遺体の湯灌や火葬を行う青泉寺にその身を寄せることとなった・・・。

    正真・正念と、三太・仁平・市次ら毛坊主とともに過ごすうち、最期を安らかに送り出す青泉寺の仕事に光を見出すお縁。

    時に「屍洗い」と蔑まれながらも、そのまなざしは真っ直ぐでゆるがない。
    娘盛りなのに「おくりびと」として生きていく彼女の強さに胸打たれる。

    出世花、落合蛍、偽り時雨、見送り坂暮色・・・どれもせつない。
    自分以外の誰かのために必死になれる強く優しい人が、その優しさゆえに黙って重荷を背負い込んでしまうのがやるせないなぁ。

    職業の貴賎よりも人間中身だよ、ほんと。

  • 読んで良かったと思えた作品。
    湯灌を扱った話だったので、おくりびとを
    思いださせるが、それよりも古い江戸時代の
    話なので、逆にこんな昔から湯灌があったのだと
    思った。

    作品の中では「落合蛍」が良かった。
    話的にはとても悲しい結末でしたが
    他の3作よりも印象に残りました。

  • デビュー作なのですね。この頃から作者は涙のツボを心得ていたようです。武家の出自でありながら、葬儀に際し死者の体を洗う湯灌に携わる生き方をする「お縁」と人々の交流と別れは、本作品も期待を裏切らず心に染みるものでした。『出世花』『落合蛍』『偽り時雨』『見返り坂暮色』の4短編で読みやすいです。【湯灌(ゆかん)】というものに立ち会った経験がある方は尚更、そうでない方も心揺さぶられる事でしょう。ありがたいお仕事だと思います。

  • 江戸時代の葬儀事情が小説を通して知ることができる。

    各話の登場人物は秘密を抱えて生きていて、お縁だけがそれを知っている。
    「落合蛍」は岩吉さんが報われなくって、そんな愛の形もあるのかと、人のために自分を犠牲にできるのかと、やりきれない思い。

    お縁はこれからどう生きていくのでしょうね。

  • 出奔した妻の妻敵討ちの旅に出た父に連れられて六年。
    お艶は無念の死を遂げた父を弔ってくれた
    青泉寺の住職に引き取られ
    父の遺言に則り名を「お縁」と改める。
    死者を焼く前に濯ぐ「湯灌」で
    安らかに浄土へ旅立った父を目の前にお縁は
    自身も「三昧聖」をして生きる事を決めるが…

    みおつくしも銀二貫もそうだけど
    高田先生の描く女性は美人ではなくても
    一生懸命で強く、芯があり情に篤く読んでいて
    本当に素敵だと思う。
    そして涙なしには読めない…

    時に「屍洗い」と蔑まれる一方
    その仕事に対する誠意、想いをきちんと酌んで
    認めてくれる人もいる。
    温かく見守ってくれる正真、正念や毛坊主たちも
    お縁にとってなくてはならない家族。
    次第に「出世魚」ならぬ「出世花」として
    お縁に湯灌してもらった亡骸は心安らかに
    旅立てると噂の三昧聖へと成長していく。

    青泉寺で暮らすお縁を和菓子屋桜花堂は養子に
    引き取りたいと申し出るが…「出世花」

    醜男として蔑まれている棺職人、岩吉。
    ぶっきらぼうで朴訥でそれでも優しいその人柄に
    お縁は親しみを感じていた。そんな岩吉には
    高嶺の花の想い人がいて…「落合蛍」

    青泉寺にどうしても「三昧聖」に
    湯灌してもらいたいと女郎が駆け込んで来て…「偽り時雨」

    兄のような父のような存在、正念の身内が突然訪れ
    実母が危篤なのでどうしても会ってほしいと言う。
    しかし普段陽だまりの様な正念が冷ややかな程に
    それを固辞する…「見送り坂暮坂」

  • 武士の娘だった艶が、父を失い弔ってくれた寺に引き取られ、縁と名を改め暮らすことになる。屍洗いの仕事を遣り甲斐に思い努めるが、蔑まれ傷つくことも。しかし、得難い手とその小さき手を握りしめてくれた人もいることを支えに、縁は精進する。読み進めると、一つ一つの情景が浮かび、根底に流れる作者の暖かな視線を嬉しく思う。みをつくしに出てくる小野寺のようなキャラが後半出てきて期待したのだが、最後のからみがなかったのが残念で、次巻を熱望している。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「次巻を熱望している。」
      この夏、「みをつくし」が終われば、次は「出世花」再開!楽しみですね。。。
      「次巻を熱望している。」
      この夏、「みをつくし」が終われば、次は「出世花」再開!楽しみですね。。。
      2014/04/28
全141件中 1 - 10件を表示

出世花 (祥伝社文庫)のその他の作品

高田郁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
村上 春樹
三浦 しをん
湊 かなえ
冲方 丁
高田 郁
和田 竜
有効な右矢印 無効な右矢印

出世花 (祥伝社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする