出世花 (祥伝社文庫) (祥伝社文庫 た 28-1)

著者 :
  • 祥伝社
4.10
  • (124)
  • (163)
  • (80)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 772
感想 : 144
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396334352

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 出世花シリーズ ①
    出世花
    艶(えん)から縁(えん)へ。死人を洗う湯灌(ゆかん)。
    落合螢
     棺職人の岩吉。風貌の悪い彼が想い人のために守る。
    偽り時雨
    女郎の「おみの」が示す手がかりが、縁を真実に導く。
    見送り坂暮色
    兄のような存在の正念の気持ち。大事にしたものとは。

    髙田郁さんのデビュー作とのこと!!
    いや、これはすごい!!
    読みごたえもあり、お縁の真摯な気持ちで湯灌してるのが
    とても心に響く。
    個人的には、落合螢の話が好きだったなぁー。
    岩吉さんのお紋に対する気持ちも切ないし、
    お紋もこの時代的にしょうがない背景を抱えたりしてたり…
    本当に髙田郁さんって、スゴいね!!
    これ、もっとシリーズ化して欲しいー(*´艸`*)

  • 死人を湯灌する寺にある事情から預けられた少女が成長していき、自らの道を選んでいく姿が描かれています。湯灌とは、死んだ人の死後硬直を解き、綺麗な姿として棺桶にいれる作業のこと。
    これは江戸時代の「おくりびと」ですね。死んだ人のそれぞれの残した思いを感じ取る感受性を持った女性があますところなく描かれています。シリーズ短編集となっているので、ミステリっぽい作品もありますが、どちらかというと、女性だけではなく、ひとが生きていくという話。よかったです。おすすめ。

  • 「おくりびと」の時代小説版。死を扱うことで生が浮き彫りになる。舞台は江戸時代だけど、当時の風俗をわかりやすく解説もしてくれて、非常に読みやすかった。じんわりと胸にしみる、いい小説。ミステリー要素も効いている。

  • みをつくしからハマりこの作品を読んだ。
    素晴らしいの一言だね!
    題材は違えど、人に尽くす女性の話。
    もう何かあれば潤んでしまう。
    解説に資料に飲まれるなとあるけど、この作品は過不足ないと思う。
    当時の湯灌にまったく知識がない私でも、ありありと情景を思い浮かべられる。
    大好きです。

  • ブッククロッシングを通して出会った本です。
    http://www.bookcrossing.com/journal/11372268

    この作家の本は初めてです。ブッククロッシングで頂いたので、たまたま読む事になりました。普段自分では手に取らないと思いますが、なかなか楽しんで読みました。

    夫と娘を残して、他の男性と駆け落ちして出て行った母。父は妻敵(めがたき)討ちに、娘のお艶(後にお縁と名づけられる)と旅に出るが、江戸近郊で果てる。父が息を引き取る前に、瀕死の父子を見つけて助けてくれたのが青泉寺の住職だった。その青泉寺に身を寄せ、湯灌を手伝いながら育っていくお縁。

    この本には4作の短編が収録されていて、それぞれをとしてお縁が成長していく様子が描かれていく。それと同時に湯灌儀式について丁寧に説明されていて、ある意味勉強になりました。こういう話がすんなり心に染み入ってくるというのは、やはり私は日本人なんだなぁと思わずにはいられなかったです。この本は仏事だけに執着するのでなく、ミステリーのような謎解きの要素も少し入っており、また読み進むうちに幾つかの人間関係の過去が語られていくので、硬すぎず、楽しむ事ができました。正直、最初は湯灌について引きはしたものの、読んでいく内に、仏事として遺族に意義のあるものなんだなぁ、と感心しました。また、湯灌は現在も行われている儀式だと改めて知りました。

    ちなみにこの本には続編があるらしい。今のところは、わざわざ探してまで読もうとは思わないけれど、機会があれば読んでみたいかもしれないです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      今、通勤途上で読んでる本が終わったら、次は此方を読みます。
      今、通勤途上で読んでる本が終わったら、次は此方を読みます。
      2013/07/31
  • 幼い娘を連れ、妻敵討ちの旅に出るも果たせずに力尽きた源九郎。

    父を亡くしたお艶は正真住職にお縁という新しい名をいただき、墓寺として遺体の湯灌や火葬を行う青泉寺にその身を寄せることとなった・・・。

    正真・正念と、三太・仁平・市次ら毛坊主とともに過ごすうち、最期を安らかに送り出す青泉寺の仕事に光を見出すお縁。

    時に「屍洗い」と蔑まれながらも、そのまなざしは真っ直ぐでゆるがない。
    娘盛りなのに「おくりびと」として生きていく彼女の強さに胸打たれる。

    出世花、落合蛍、偽り時雨、見送り坂暮色・・・どれもせつない。
    自分以外の誰かのために必死になれる強く優しい人が、その優しさゆえに黙って重荷を背負い込んでしまうのがやるせないなぁ。

    職業の貴賎よりも人間中身だよ、ほんと。

  • 高田郁さんデビュー作品読んだ。さすがに上手いしその後の開花が十分納得できる短編集ですね。表題作の意味合いもよく判ります、艶から縁から正縁に名前が変わっていく意味合いが。湯灌に道を極めていくストーリーは斬新でした!今の活躍が当然のように予想できる秀作だと感じました。

  • 読んで良かったと思えた作品。
    湯灌を扱った話だったので、おくりびとを
    思いださせるが、それよりも古い江戸時代の
    話なので、逆にこんな昔から湯灌があったのだと
    思った。

    作品の中では「落合蛍」が良かった。
    話的にはとても悲しい結末でしたが
    他の3作よりも印象に残りました。

  • デビュー作なのですね。この頃から作者は涙のツボを心得ていたようです。武家の出自でありながら、葬儀に際し死者の体を洗う湯灌に携わる生き方をする「お縁」と人々の交流と別れは、本作品も期待を裏切らず心に染みるものでした。『出世花』『落合蛍』『偽り時雨』『見返り坂暮色』の4短編で読みやすいです。【湯灌(ゆかん)】というものに立ち会った経験がある方は尚更、そうでない方も心揺さぶられる事でしょう。ありがたいお仕事だと思います。

  • 江戸時代の葬儀事情が小説を通して知ることができる。

    各話の登場人物は秘密を抱えて生きていて、お縁だけがそれを知っている。
    「落合蛍」は岩吉さんが報われなくって、そんな愛の形もあるのかと、人のために自分を犠牲にできるのかと、やりきれない思い。

    お縁はこれからどう生きていくのでしょうね。

全144件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高田郁の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×