プラチナタウン (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 804
レビュー : 118
  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396336899

作品紹介・あらすじ

出世街道を外された総合商社部長の山崎鉄郎は、やけ酒を呷り泥酔。気がついた時には厖大な負債を抱えた故郷緑原町の町長を引き受けることに。だが、就任してわかったことは、想像以上にひどい実情だった。私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえの非常識。そんな困難に挫けず鉄郎が採った財政再建の道は、老人向けテーマパークタウンの誘致だったのだが…。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    続編の「和僑」から先に読んだので、まぁまぁネタバレな箇所も多かったが、それを差し引いてもとても面白い1冊だった。
    やはり読んでいて感じるのは商社マンのビジネスセンスと目敏さかな。
    現実的な目線を損なわずに、しっかりとビジネスチャンスを活かすノウハウと嗅覚を持っており、それを実行に移して実現させる能力は読んでいて痛快だった。
    同じビジネスマンとして、やはり商社マンは能力が違うのかも・・・・

    結末が分かっていたから少し興ざめな箇所もあったが、出てくる登場人物のキャラもとても立っていて、台詞ひとつ取っても本当に面白い。
    なんてゆうか、登場人物みんな頭が良すぎる。笑
    月並みな感想だが、自分もこれくらい嗅覚・商才・そしてセンスに溢れた人間になりたいものだ。


    【あらすじ】
    出世街道を外された総合商社部長の山崎鉄郎は、やけ酒を呷り泥酔。
    気がついた時には厖大な負債を抱えた故郷緑原町の町長を引き受けることに。
    だが、就任してわかったことは、想像以上にひどい実情だった。
    私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえの非常識。
    そんな困難に挫けず鉄郎が採った財政再建の道は、老人向けテーマパークタウンの誘致だったのだが…。


    【引用】
    p5
    ・最初の一文
    「ラーメンからミサイルまで」とは総合商社のビジネスを表す時に用いられる表現としては、随分手垢がついたものだが、売れるものなら人体・臓器以外はなんでも売る。
    それが総合商社だ。


    p38
    総合商社が世界中に支社、あるいは駐在員事務所を置いているのは、単に新しい商売を拾うためばかりではない。
    生の情報をいち早く掴む。それが利益を上げることに直結しているからだ。

    そう、情報。
    メーカーが力をつけた今の時代においても、商社があらゆるビジネスに介在していられるのは、世界中に張り巡らせた情報ネットワークがあるからに他ならない。


    p84
    「へえ、そうかな。ゼロからのスタートなんてもんは、企業にだってありゃしねえぜ。」
    「どういう意味だ?」
    私は牛島が何を言わんとしているのか、理由が分からずに問い返した。

    「入社して給料もらい始めた時点から、俺たちゃ皆会社に借金抱えてんだよ。その金利は決して安くはない。その借金と金利を支払って余りある稼ぎを生み出したやつが上への階段を昇れる。それがサラリーマンってもんだろ。」
    牛島は、そこで私をじろりと見ると、
    「山崎、受けろよその話。俺たちゃ世界を相手に切った張ったの商売をしてきたんだ。そこで培ったノウハウを生かせば、赤字に転じた地方の町の財政を建て直すくらいのプランは必ず思いつく。地べたを這いつくばって商売を拾ってくんのが商社マンだろ。儲けを産み出すのが俺たちの仕事だろ。赤字でどうしようもない会社を再生させた例なんて、なんぼでもあるじゃねえか。田舎に籠って小さな町しか見てねえやつには、到底思いつかねえネタがきっとあるはずだ。」

    「これは商売なんだ。借金を返せるだけの商売をお前が生み出しゃいいんだよ」


    p168
    ・オリンピックについて
    国家レベルの事業でも、規模が大きくなればなるほど、そこから生じる利権という甘い汁を吸おうとする人間が出てくるものだ。
    オリンピックなんて、その典型的な例と言えるだろう。

    誘致のために何十億という公金を使い、派手なプレゼンを繰り広げた上に視察に訪れたIOCの理事を接待する。
    確かに開催地になれば経済的波及効果は計り知れないものがある。しかし問題はその後だ。
    分不相応な施設をぶっ建てたら最後、今度はその維持費に莫大な金が食われていく。数週間の開催期間が終われば、街はまた元の静けさを取り戻す。

    結果潤うのは、立派な施設の建設を請け負った建設業者と、その裏で蠢くウジ虫のような政治家とは名ばかりの斡旋屋ばかり。
    地元の経済にしたって一時は潤うだろうが、これまた祭りが終われば元に戻るだけ。
    いや、一旦甘い蜜の味を知った分ら反動は大きいら、

    真の公共事業とは、一時のカンフル剤であってはならない。
    恒久的に利益を生み、雇用を確保するものでなければならない。
    だからこそ、終身型老人ホームの建設は何が何でも成功させなければならない。

    カマタケ、おまえにはびた一文、銭はやらねえ。


    p229
    「リバースモーゲージってのはさ、いま住んでいる住宅を担保にして、毎月一定額の融資を受けるシステムのことを言うんだ。」
    牛島は言った。
    「早い話は、持ち家を借金のカタにするってわけだ。ただし、大抵の場合借りる方は、金を返済する必要は全くねえ。」

    「問題は、このシステムを利用できるのは、大抵の場合ローンが終わった持ち家、れも一戸建に限られる。マンションはまずダメと見ていい。」
    「マンションを買う際、大抵が目一杯の長期ローンを組んでいるもんだ。最長で35年、それだけの時間が経ちゃ建物の価値はゼロだ。その点、戸建は違う。こっちも上物こ価値は15年もすりゃあゼロになっちまうが、土地は別だ。更地にすりゃすぐに買い手は現れる。つまり、リバースモーゲージによって融資される金額は土地代、査定価格のよくて7割ってとこだ。」

  • 出世の望みが絶たれた大手総合商社の部長職にあった主人公は故郷の同級生から頼まれた町長就任をうっかり引き受けることに。しかし故郷の町は巨額の負債を抱え過疎化も進み、さらに立場を利用して私腹を肥やすやっかいな町会議員もおり、一筋縄ではいかない様子。でも町民からは痛みのない改革を求められ、にっちもさっちも行かなくなったところで、今までにない高齢者向けの施設を作りそれを起死回生策として、古巣の商社と作り上げていく奮闘記。
    展開にスピード感があり、話自体にも現実味がある。主人公の右腕となる人物が誰しもが思うネガティヴな疑問を常に投げかけるのも読者視点で良い。奮闘記としてはアイデアを思いつき実際に着工が始まるまでを描いたもので、それ以降の施設のお披露目までは端折られており、またトラブルなども描かれておらず大円団な感じで終わっているのが物足りないが、読後感は良い。

  • ひょんな出来事から、大手総合商社を 辞職して、田舎町の 町長に就任した 主人公。

    地方の 過疎化や、日本の 高齢者問題を 解決するヒントが、この物語には あるように思う。

    個人的には、物語 結末に、辞職の原因となった 上司との、その後の因縁を 期待したが…
    … それについては、「もう、どうでもよい事」としか 書かれてなくて、少々がっかり した。

  • 建築系の学科の友達に勧められて読んだ一冊。
    都市計画を専攻している子だったから、小説としての面白さはそこまで期待していなかっただけに、面白さにびっくり。
    画期的なアイディアのまちづくりに引きこまれる。
    難しい言葉もちょいちょい出てきたけど、その辺は少し読み飛ばしながら楽しんで読めた。
    人にも勧めたい本。

  • お馴染み、大好きな楡さんの小説。
    文庫になるまで待ち切れず、図書館で発見して即読破。

    今回のストーリーは、商社の部長にまでなった主人公が、
    つまらない失敗から子会社に出向になり、
    思い切って会社をやめ地元の錆びれた田舎町を再生する物語。

    年収2500万円の商社マンから、負債150億円の村長へ。
    多大な負債という足枷がある中、主人公は田舎町を
    老人が快適に住める住環境(プラチナタウン)へと変貌させてゆく。

    著者の再生へのアイデアもさることながら、
    個性的な人物設定など読みどころは満載です。

    人は、ついつい自分の周りの環境や制約のせいにして、
    「もうどうしようもない」と思ってしまいがちですが、
    これを読めばブレイクスルーへの足がかりがつかめるかもしれません。

  • とっても面白かった‼︎
    その後どうなったのか続きも見たい!

    • きのPさん
      コメント失礼します。
      既にご存知かもしれませんが、続編で「和僑」という作品がありますよ!
      こちらもとても面白いのでオススメします!
      コメント失礼します。
      既にご存知かもしれませんが、続編で「和僑」という作品がありますよ!
      こちらもとても面白いのでオススメします!
      2019/08/29
  • 主人公は商社で順調にキャリアを積んでいたのだけど、とあるキッカケから退職し、生まれ育った地元の町長となる。
    町長として赴任した街は、とんでもない財政難に陥っており、その建て直しのために超巨大介護施設を作ろうとするのがこの物語の核。

    ただしこの小説には起伏がない。大きな山もなければ谷も無い。
    ただただ順調に物事が進んでいく。

    個人的には、地方の複雑な人間関係とか、事業を邪魔しようと躍起になる勢力が描写されるのかなと思ったけど、そういっためんどくさいことはほとんど起こらない。
    役場には協力的で有能な同僚がいるし、街には眠っている資産が沢山あり、もともと所属していた商社はすんなりと介護事業に協力する。

    500ページもの大作なのに、物語はただただ順調に進んでいく。
    だから、ドロドロとしためんどくさいものを期待したいすると拍子抜けするかも…w

    あくまでこの小説は「仕事小説」に振り切っており、物語の主眼は財政難に陥った地方自治体とか、商社の仕事の進め方とか、そういった現実的なものの描写に終始する。
    読書の醍醐味である、普段知ることのない世界を知ることができたという意味では、十分楽しめたし、財政と福祉の問題について考えさせられた。

  • 絵にかいたような順風満帆のサクセスストーリーで物語としてはちょっと物足りない。
    伏線も回収せずヒールが小物なせいか勧善懲悪もあっけなく、消化不良気味。池井戸潤ならもう少し盛り上げてくれそうな気がするなぁ、なんて。

    とはいえエンターテインメント小説としては良いとは思います!

    つーか現実になんでこんな施設ないんだろ。定年迎えたら入りたいけど。

  • 楡周平のビジネス小説として、実話を元にしていない作品を初めて読んだ。
    この構想はとんでもない。
    まさしく、近い将来に起こり得るであろうビジネスモデルになると感じられた。
    このようなアイデア、というかアイデアを飛び抜けた着想ができる作者の凄さ、小説家の枠を突き抜けた作品である。
    本当に素晴らしい。

  • ゆくゆくは地元に貢献したい。そんな気持ちにさせる。

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著者プロフィール

楡周平
1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。著書に『介護退職』『和僑』『食王』(以上、祥伝社刊)他多数。

「2020年 『国士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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