「悪漢刑事」シリーズ第7弾。
いつものように佐脇は、恐喝の容疑で逮捕された女を、証拠不十分で釈放し、その見返りとして彼女にセックスを要求します。女は野口夏恵という30代半ばの美女で、地元の「南西ケミカル」という会社に勤めていました。
釈放された夏恵は、南西ケミカルに復職し、常務の阪巻祐一郎を手玉に取ることに成功します。ところが、やがて祐一郎は、清楚な女社員の井上香苗に執心し、常務という地位を利用してオフィスで彼女を暴力的に犯すようになります。夏恵も、自分から祐一郎を奪った香苗に対して陰湿なイジメをおこないます。窮した香苗は、佐脇の弟子を自称する横山美知佳に相談を持ちかけます。
ところで、香苗の父・井上誠は、かつて南西ケミカルに務めていました。当時、南西ケミカルは産廃場の汚染問題で市民運動家・魚津正義らの追及を受けていました。社長の阪巻徹とその腹心の河原恭一は、ヤクザの手を借りて魚津を殺害します。さらに彼らは、警察・検察にも手を回し、魚津の遺体を井上誠の遺体と偽って、市民運動の鎮静化を図ったのでした。井上は当時、仕事で失敗をしたためリストラの対象になっており、そんな彼に河原は因果を含めて、彼の家族の生活を保障する代わりに、この世から消えたことに同意させたのです。
ところが、何も知らない常務の祐一郎が、井上の娘の香苗に手を出したため、怒った井上は河原を殺害し、事件が明るみに出ることを期待します。それでも、警察・検察までもが南西ケミカルと癒着していたため、事件の捜査はいっこうに進みません。そんな中佐脇は、南西ケミカルの産廃場から有毒の六価クロムが流出しているという市民運動家たちや、スキャンダル新聞の記者・黄川田哲郎と渡り合いながら、事件の真相に迫っていきます。しかし、彼が事件の真相にたどり着くよりも一歩早く、井上誠はすべてを明るみに出すことを決意します。彼は、祐一郎を誘拐した上で、佐脇と懇意のヤクザである鳴龍会からダイナマイトを盗み出し、産廃場を爆破しようとします。
井上が実力行使に出たところが、ストーリー上で一番の盛り上がりになるのですが、そこからの展開がやや間延びしているような気がします。