千の倉より 〔取次屋栄三〕 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
3.79
  • (5)
  • (9)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 64
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396336974

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 千の倉より ー 取次屋栄三シリーズの4作目
    2011.07発行。字の大きさは…小。
    浮世絵の女、宝のありか、千の倉より、お咲と三人の盗賊の4話。

    手習いの師匠と剣術道場の師範を兼ねる、気楽流の印可を受けた剣客・秋月栄三郎は、内弟子・雨森又平、剣友・松田新兵衛、田辺屋宗右衛門とで取次屋に来る依頼を人情味たっぷりに…。

    此度は、「千の倉より」の千吉の生い立ちを読んでいて涙が出て来た。千吉は、8才で父を亡くし、世話をしてくれる丹波屋茂左衛門に商売を仕込まれたが、2年後に茂左衛門が亡くなると息子・茂太郎に追い出される。それから丹波屋で知り合った人達の助けを借りて6才の妹・おはるを面倒見ながら…。

    【浮世絵の女】
    秋月栄三郎の剣の師匠・岸裏伝兵衛は、昵懇の剣術家・竹山国蔵の若き弟子・笠間忠也が気にかかる。国蔵から頼まれて、栄三郎に忠也の事を調べるように…。忠也は、竹山道場の帰りに寄った絵師・鈴川清信の描いた浮世絵に魅せられて、毎日通いだすが…。

    【宝のありか】
    盗賊・弦巻一味が隠した金が入っている地下室の錠を開けるために、新兵衛が間借りしているお種の娘・おみねと錠前師の庄吉夫婦がかどわかされた。庄吉がかたくなに錠を開けないので、娘の母親・お種を攫ってきて…、そこに旅から帰って来た新兵衛が…。

    【千の倉より】
    南町奉行所非常掛方与力・鮫島文蔵には、子がなく養子を迎えるにあたり。養子は、町場に通じた者が良いと考え。南町奉行・根岸肥前守の紹介で栄三郎に取次を頼む。栄三郎は、手習いの講義を覗き見に来る千吉に目を付けると…、

    【お咲と三人の盗賊】
    根岸肥前守は、江戸へ出て来た盗賊うず潮の桂次を捕まえるため、田辺屋宗右衛門の娘・お咲を盗賊の孫娘として大番屋に捕まっている九尾(きゅぅび)のお紺に近づける。お咲は、栄三郎らに助けられお紺と共に大番屋を脱出する。そして、桂次の隠れ家へ…。

  • 岸裏先生にも甘い話が?

  • 令和の世になり、史上最高に読後感が良い時代小説がこの取次屋シリーズです
    短編にキレのある『小説』の視点からも逸品ですね

  • 第四弾
    四話構成に変化なし、
    市井に係わる問題だが、武家も絡む分内容が変化に富む

  • [千の倉より]取次屋栄三の第4巻、ますます栄三とその回りの人々の魅力に参ってます。
    お咲の新兵衛への想いは実りそうですが、まだまだ先が長いような・・
    師匠の岸裏伝兵衛も又しかり。

  • L 取次屋栄三4

    浮世絵の女…ありがちな武家の嫡子の絵好き。
    宝のありか…新兵衛が主役
    千の倉より…千吉が猛烈にいい子ども 晴れやか
    お咲と三人の盗賊…いつもの面々のお芝居。テレビドラマの痛快時代劇だぁ!

  • 取次屋栄三の4作目。このシリーズは登場人物の目線が人情味にあふれ暖かい。読んでいて気持ちがよくなる話が多い。本作もこの特徴は踏襲されている。中でもタイトルになっている第3話の「千の倉より」は秀逸。こんな話をこれからも読みたいものである。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡本さとるの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×