- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396337285
感想・レビュー・書評
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茶漬け一膳 ー 取次屋栄三シリーズの5作目
2011.12発行。字の大きさは…小。
茶漬け一膳、敵役、面影の路、帰って来た男の4話。
手習いの師匠と剣術道場の師範を兼ねる、気楽流の印可を受けた剣客・秋月栄三郎は、内弟子・雨森又平、剣友・松田新兵衛、田辺屋宗右衛門、お咲とで取次の依頼を人情味たっぷりに…。
夫婦の間でも、親子の間でも、少しでも話し合う時間を作る努力が肝心である。物語は、安吉が、安五郎の元から帰ったらすぐ寝ると言うのに、安五郎は、おっかさんに茶漬けを一膳作ってもらって、あれこれ話をすることが大切だと説く、いつか女房を貰った時も、茶漬け一膳を忘れるなと…。
「面影の路」を読んで、ある人の顔がハッキリ思い出される。物語は、初恋は、いつになっても胸の奥に残るものだ。その初恋の想いを辿って行くと、そこにはあの時なぜ会えなかったか…、そして初恋の人の人生が分かって行くと…喜びが…。
【茶漬け一膳】
第2巻(こうくり)で取次を頼まれた安五郎が、元妻・おちかに息子・安吉と会っているのを知られ、おちかは、安五郎に安吉を取られると思い、安吉が知らない所に出て行くように迫る。秋月栄三郎と松田新兵衛は、白般若と赤般若の能面を被り…。
【敵役】
又平の行き付けの居酒屋ひょうたんの吾平から、栄三郎に姪が騙されて大川へ身投げした仇を取ってくれと…取次の依頼がある。栄三郎は、岸裏道場の弟弟子で、役者になった岩石大二郎こと三代目・河村文弥が、此度の取次に係わって…。
【面影の路】
栄三郎の手習い所の前のお師匠様・宮川九郎兵衛が3年ぶりに江戸へ出て来た。池之端での40年前の初恋の思い出を…、その初恋の草餅売りのおきよとの繋がりを探していくと、その時に草餅を食べた切り株の近くの絵草子屋に、初恋の人の娘が…。
【帰って来た男】
旗本三千石永井勘解由の用人・深尾又五郎は、知行地の代官・夏木源之丞が裏年貢を取って知行地を私物化しているのを、又平、栄三郎に助けられて知行地から知らせに来た おかるによって知る。勘解由の慰労の席で、栄三郎は永井家の奥向きで暮らす萩江と会い胸を熱く…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここで、おかるが登場ですね。
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取次屋シリーズ
令和になって読んでいて気持ち良い時代小説に出会いました
作家さんはどうやってこんなに良い話を紡ぎだすのかな? -
第五弾
四話構成
一時間物の時代劇感覚 -
L 取次屋栄三5
茶漬け一膳…大工の安五郎と息子安吉の続き。
敵役…うーん。いつも思うんだけど、依頼料高くないか?すぐ5両とか出せる身の上がおかしい気がするか。ひょうたんの小女およしの従姉妹にあたるおしんが橋の上から身を投げて死んだ。原因は役者河村文弥に弄ばれたからだという。河村文弥は栄三郎の同門弟弟子だ。それにしてもテレビドラマ仕立て。さすが。
面影の路…手習所の先代師匠、宮川九郎兵衛が江戸に一時出府した。九郎兵衛には池之端に若し頃の思い出があった。おくらはこれからも出番ありそう!
帰って来た男…又平の幼馴染が江戸に戻ってきた。駒吉との深い話はシリーズを最初から読んでいなければわからないけれど、見知った登場人物にテンションあがる。おもしろい。
どうやら栄三郎に縁のある萩江が栄三郎から武芸を習うことになったみたいだし、お染なこともあるから栄三郎から目が離せないドラマ感。やられた。 -
このシリーズは読んでいて本当に気持ちがいい。懸命に生きる市井の人々に対する作者の目がとても温かで、やさしさにあふれている。タイトルになっている第1話「茶漬け一膳」は、誰一人悪人は出てこない。それでも、人生うまくいかないことが多々あるが、懸命に生きていくことで、運命はめぐってくる。誰かが助けてくれる。早く次回作を読みたいものである。