- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396337704
感想・レビュー・書評
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妻恋日記 ― 取次屋栄三シリーズの6作目
2012.06発行。字の大きさは…小。
奴凧、妻恋日記、父帰る、年の瀬の4話。
手習いの師匠と剣術道場の師範を兼ねる、気楽流の印可を受けた剣客・秋月栄三郎は、内弟子・雨森又平、剣友・松田新兵衛、田辺屋宗右衛門、お咲とで取次の依頼を人情味たっぷりに…。
旗本三千石永井勘解由の婿養子・房之助の姉・萩江と栄三郎は、萩江が おはつという名の遊女の頃、偶然にも登楼した栄三郎と一夜を馴染み、激しく惹かれあいながらも、お互いに想いを胸に秘めたまま別れていたことは、栄三郎と萩江だけが共有する秘事である。
【奴凧】
これは面白い(笑)。永井勘解由の妻の甥・椎名貴三郎は、妾腹の子であり正妻に嫌われ町に出ては、その反発から…暴れていたが、御救普請の不正を暴き人の情けを知り立ち直る。栄三郎は、月2回永井家奥向きの剣術指南を引き受けたが、勝手が違って…
【妻恋日記】
隠居した同心・都筑助左衛門は、亡妻・鈴の遺品の中から祝言前の日記を見つける。そこには、娘の頃の鈴の快活な様子が偲ばれる。栄三郎は、日記に有った直太郎の調べを依頼される。直太郎は、野沢屋の跡取りであったが鈴と一緒になるために剣術道場へ通い武士となって…。
【父帰る】
栄三郎の剣の師匠・岸裏伝兵衛は、15年のあいだ家をかえりみず鋳物師としての腕を磨いてきた伊兵衛と息子・仙蔵の仲を取り持つように栄三郎に依頼する。仙蔵は、15年の間に母が亡くなり大変な思いをし…父を許そうとしない。栄三郎は一計を…
【年の瀬】
手代・清吉が百両を落として若旦那が庇って帳簿を操作し…それを知った大番頭の次兵衛が再度帳簿を操作して…。謹厳実直の次兵衛が毎日遊里で散財を…。それを不審に思った栄三郎が、田辺屋の内情を調べると次兵衛が…。百両の大金を拾ったこんにゃく三兄弟が遊びだし…(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全部良い話だなぁ。
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最近のお気に入り時代小説
気持よく主人公と周囲が作り出す
居心地の良さが「なまら良い」
現実にいたら最高の隣人だな -
第六弾
同様四話構成
江戸の町の色々がしみじみと感じられる構成
気楽に読める -
人情話のお手本のような本シリーズ。いつ読んでも、どこ読んでも気持ちがいい。ただ、続けて読みすぎると予定調和の世界が読めてしまうので、純粋に話が楽しめなくなってしまうかも。ほんとうに栄三のような取次ぎやワールドを持つ人が身近にいたら楽しいだろうなぁ。どれだけ予定調和でも、こういう話は好きだな。
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L 取次屋栄三6
久々の取次屋。途中剣客太平記と設定を混同して焦る。道場は道場でもこちらは寺子屋メインだった…。どうやら萩江との仲が本命なご様子。居酒屋のお染は切り捨てられたか〜。
奴凧…糸がきれた奴凧には「にんそくごやのみなをおたすけください」との文字が。旗本永井勘解由妻女の弟、貴三郎を助け人足小屋での悪行をたたく。
妻恋日記…元廻り方同心で隠居の都築助左衛門が亡くした妻は嫁にくる前のことを日記にしたため残していた。その日記には想い人のことが。助左衛門も依頼で想い人を探す栄三。
父帰る…鋳物師仙蔵の父伊兵衛が15年ぶりに現れた。父子の仲をとりもとうとする栄三。最後粋な計らい。
年の瀬…栄三の寺子屋大家呉服屋田辺屋での小騒動。思いつめた様子の手代の清吉。突然遊び惚ける堅物の大番頭次兵衛。帳簿に合わない百両。百両を拾い浮かれる田辺屋奉公人の三兄弟。…小さなワクでまとめた話。いってみりゃ、みんなイイひとでよかったね、的な。