映画じゃない日々 (祥伝社文庫)

著者 : 加藤千恵
  • 祥伝社 (2012年10月12日発売)
3.15
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  • 27レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396337940

作品紹介

「あんな男といたら不幸になるよ」この台詞があたしに突き刺さったのは、基樹と離れられない自分と重なったから。彼は浮気をしている。別れなきゃと言い聞かせても、今はやっぱり一緒にいたい…(『彼女じゃないあたし』)。映画を通して、戸惑い、嫉妬、希望-不器用に揺れ動く感情を綴った8つの物語。それぞれに短歌を添えて贈る切ない小説集。

映画じゃない日々 (祥伝社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 映画はいいなぁ。
    満ち足りない日常も、閉塞感も、悲しみですら綺麗な画になる。そして1番幸せなところで「めでたし、めでたし」となる。
    ところが、現実はもちろんそうはいかない。満ち足りなさも閉塞感も悲しみも、乗り越えて、もしくは抱えて一緒に生きなければならない。もちろん「めでたし、めでたし」の向こう側にある日々も。

    そんな「映画じゃない日々」を生きる8人の女性たちの短編集です。
    加藤千恵作品は読むと苦しくなることを知りながら、いつも読んでしまいます。淡々と過ぎる日常に潜む、むなしさとか閉塞感を描くのが本当に上手くて辛いです。

    加藤千恵の別の作品に、「悩んでいるなら言えばいいんだ。弱っているなら癒せばいい。傷があるなら治せばいい。けれど。けれど、悩んでも弱っても傷ついてもいないなら、どうすればいいのだろう。 」っていう言葉があって、この本に描かれている閉塞感とか、なにか足りない感じって、まさにこの手のものだと思います。
    明確な解決策も逃げ道もない、でもそれは確かに存在していて、だからこそもがくという種類のもの。
    痛いから、絶対に棘が刺さってることは間違いないんだけど、どうにも目に見えないから取れないみたいな?笑

    だから、主人公達もみんな霧が晴れてスッキリ!なんて結末にはならないのだけど、少し心が軽くなるとか、小さな光が見つかったりします。

    そんな小さな光でも、そちらに目を向けることで、棘の痛みを少し忘れることができて、そのうちに、棘のことすら気にならなくなっていくのかな。でもたまに思い出したように痛んだりして。それって「映画じゃない」からこそ味わえる機微なのかもしれません。

  • 連作短編というのはよくあるけれど、これは「同じ日の同じ映画館の同じ回を観ていた」7人と、スペシャルゲストとでもいうべき8人目、という形が面白い。

    同じ映画を観ても、つまらん人もいれば良かった人も。しかも良かったと思っているくせにそう言えない人も。女子高生にOL、主婦、フリーター、女子大生と、どの女性も大なり小なり鬱屈した思いを抱えていて、心に残る言葉や琴線に触れるシーンもそれぞれちがう。読んでいて時折イライラさせられるのは、きっとそんな部分が自分にもあると気づくから。

    あ、私は映画はひとりで観たいです。劇場で年間250本、99%ひとりです(笑)。

  • 購入当時、映画館で映画をみる事が増えそれが楽しかったので、映画をテーマにした加藤千恵のこの小説が読みたいと思った。
    前からすこし気になっていたし。

    共感したりなるほどと思ったり、登場人物の暮らしぶりにへぇと思ったけれど、そこまで響かなかったな。
    なんか、文が固いというか何というか…そんな印象をどの話にも感じて。
    最後が映画主演の女優というのが面白かった。
    映画館受付の女性も出るかなーと思ったけど、出なかったね。

  • とある映画館である1本の映画を同じ日の同じ時間に見た10~20代の女の子たちの物語。加藤千恵さんは若い女性の心理描写が本当に上手。そして登場する男の子は大概ダメ男。同じ映画を見ていてもそれぞれ違う思いで映画館に足を運び、それぞれに物語がある。加藤さんの日常の切り取り方が好き。最後に添えられる短歌も絶妙なスパイスになっている。2012/645

  • 2015/1/18読了

  • 同じ映画館で同じ映画を見た女性たちそれぞれの話。目立つこともない普通の人たちにもそれぞれ悩みやストーリーがある。
    加藤さんの言葉は綺麗だな、と思う。
    この言葉書き写したい!と思う箇所がいくつもある。
    ただ私的にはハニービターハニーとかの方が良かったかな。友達に読ませたいと思う話はあったけど、あたし自身が共感できる部分は少なかったかも…。
    ただみんな必死に悩んで生きているのだなとは思った。

  • 加藤千恵さんらしい作品に加藤千恵さんらしい短歌が添えられた、良い作品でした。
    佐藤真由美さんの解説も良かった。

  • 【借り本】
    全部負の感情を抱えながらも前向きにいこうとしてるストーリーだから、もやっとした感情のまま読み終えた。
    リアルな日常の中にいるようで、暗くはならないけどスーッともしないから微妙な感じ。

  • ある小さな映画館の同じ上映時間に居合わせた女性たちの連作短編。

    高校生、大学生、OL、主婦、フリーター、転職活動中、そして主演女優。


    年齢も置かれている状況も違うけれど、
    それぞれのストーリーに共感できる言葉や思いが
    ちりばめられている。

    登場人物たちは、人から見たら些細なことかもしれないようなことで悩んでいるんだけど、
    それがすごくリアリティがあって、共感できる。

    加藤さんは
    日常の中にある誰もが抱えたことのあるような
    思いをくみ取るのが、本当にうまいです。


    あたしの日々だって、
    映画じゃない。

    劇的なことがおきなくても、大切に生きたいって
    思えるような作品。

  • けっこう好きな作品です。
    この人の文章はあんまりクセがなくて、読みやすいと思います。

    ひとつの映画に対して、登場人物がそれぞれの立ち位置から見る角度がちょっとずつ変わってて、著者の感性に惹かれるきっかけになった一冊。

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