海より深し 〔取次屋栄三〕 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338077

作品紹介・あらすじ

ご禁制品の噂が町を騒がす夏。秋月栄三郎の心配の種は手習い子の一人、和泉屋の倅・公太郎。意気地なしで友達もいない。今日も優しかった亡母との思い出の海辺で独り遊ぶうち、美しい細工物を拾った。そんな中、和泉屋が大山詣りに行くことになるが、体力に自信がない公太郎は行かないとごね始める。行く末を案じた栄三郎は一計を巡らすが、そこに思わぬ邪魔が…。

感想・レビュー・書評

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  • 海より深し ― 取次屋栄三シリーズの8作目。
    2012.12発行。字の大きさは…小。
    妻をめとらば、王手、男と女、海より深しの4話。
    手習いの師匠と剣術道場の師範を兼ねる、秋月栄三郎の笑顔に接すると…。
    人と人を繋ぐ取次の依頼を人情味たっぷりに…。

    近頃の岸裏伝兵衛は、愛弟子の家業である取次屋を手伝って人へお節介をやくことに、えも言われぬ楽しみを見出しているのだ。

    大川(隅田川)には、水の上で遊ぶ者、働く者が、それぞれ生きている者が放つ一瞬の輝きを残しつつ行き交う。そのうちに、生きていることはそもそも滑稽で、人の命の味わいは長い時をかけねば賞味できぬものなのだと思えてくる。
    「つべこべ言わずに生きよ、彦三郎……」
    そしてそんな声がどこからかともなく聞こえてくるのだ。

    ひとというものは、なぜあの時あんなことをしてしまったのか、あんなことを口走ってしまったのか…。そういうことの繰り返しではありませんかねえ。そんなことで失う縁があったとしたら、それは新しくできる縁のために、やむ得ないことなのではないでしょうか。
    そして、新しくできる縁は良縁でござる…。

    【妻をめとらば】
    間の悪い薀蓄野郎の定廻り同心・前原弥十郎が従妹の梢と祝言を挙げる事となる。栄三郎は、永井家の奥向きを預かる萩江に梢の真意を尋ねてもらった、その時の萩江の華やいだ少女のような立居振る舞い、誇らし気に報告する時の目の輝き…。

    【王手】
    仏具屋・法念堂の主・和助は、金貸し黒子屋源蔵と家宝の千鳥型の香炉を賭けた将棋で負け、首を吊って自殺する。残された妻・お里は、将棋指し桂次郎からその勝負が如何様であった事を聞き…栄三郎の助けを借り、黒子屋源蔵と如何様将棋で仕返しを…。

    【男と女】
    5年前に旗本八千石片貝外記の用人・大倉彦三郎は、妻・芳乃と家人・留七が寄り添っていたところを目撃する。二人に、生きろ…二度と江戸へは戻って来るなと言って逃がした二人が、渡世の義理で江戸へ戻って来ていた。栄三郎たちの心配りで…。

    【海より深し】
    栄三郎は、手習い子である油屋・和泉屋繁治郎の息子・公太郎が、我儘で臆病者で、気に入らぬことがあればすぐ投げ出してしまう性格を直すために、和泉屋が大山詣でに行っている留守に、亡母・おりくの幽霊を使って公太郎に勇気を付けさせることを…。

  • 間の話を飛ばして読みましたが、登場人物が増えていても違和感なく楽しめました。

  • 最高の時代劇です
    最近は余命が少なくなってきたから
    (1年前より1年も短くなった)
    気持ちの良い小説を読みたい
    ハートフル時代小説(笑)

  • 第八弾
    短編四話構成に変化なし
    蘊蓄同心前原弥十郎と従兄の妹分梢との恋、姦通の妻と元部下を思う用人とよく話が出てくる。
    最後は大山参り

  • 取次屋栄三シリーズ第8弾。今巻も手を変え品を変え面倒事を解決していく栄三一党。気持の良い人たちが一丸になって事に当たるので読み味は良い。巻数を重ねてきたのでパターン化とマンネリ感が漂ってきた感じも出てきた。説明的なものや過剰とも感じる人物描写に興をそがれる所もある。この巻の話はあまり捻った所も無く良くある話を無難にまとめた感じ。もう少し奥行きが欲しいところ。キャラ的にも良い人だらけで気持ち良く読める反面、スパイスが足りないかな。前原の旦那みたいに身辺に変化が出てくればメリハリがついてくるような。

  • 取次屋栄三の8冊目。いつも楽しみなシリーズであるが、今回は「並」。4話入っているのだが、どれも飛びぬけて「グッと」くる話は無い。シリーズとしてみると前原弥十郎をフィーチャーした第一話が面白いが、それはキャラクターによっているので、横に置くとして、全体として少し薄っぺらな感じがしてしまう。勿論つまらないわけではなく、普通に面白いのだが、「普通」なのだ。『千の倉より』のときのような思いをもう一度味わいたいなぁ。

  • L 取次屋栄三8

    栄三と前原のべらんめえ口調、なんか汚い。粋とは程遠い。なんかベチャベチャしてるんだよなぁ…。
    ついでに全体で昔の時代劇でお年寄りが喜びそうな構成。今時こんな構成で売れるのか??と思うくらい古臭い。個人的に好きな時代小説の主役はやたら悩んで悶々としてたりするんだけど、ここに出てくる主役はやたら爽快で周りのウケが良く、もてる。で事件も解決でメデタシメデタシ的な。
    展開が定番過ぎて途中ゲンナリ。
    胸焼けするわ。

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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