刻まれない明日 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
3.67
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本棚登録 : 247
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338213

作品紹介・あらすじ

十年前、三千九十五人が一瞬にして消え去った故郷に、沙弓は戻ってきた。その街では既にない図書館から本が借りられたり、廃線の路線バスの光が見えたりと、消えた彼らの存在が強く感じられるのだ。だが、その気配が徐々に薄れ始めて…。沙弓は事件の「傷」と闘いながら、残された人々もまた葛藤している姿を目にする。人々の営みが胸を打つ感動長編、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • この作家さんは本当に、「目に見えないもの」を書くのが好きなんだなぁ。
    自分でも三崎亜記という作家が好きなのか分からないんだけど、作品は全て読破していたり。
    何だか気になる存在というか。
    そしていつも目に見えない何かに怯えたり切なくなったりしている。
    いっつも読み終わったあとにモヤモヤすると分かってて読んでしまう。
    でもこの本を読んで少しだけすっきりした気分になれた。
    これまでの作品の中でこの本が一番好きかもしれない。
    そして自分が三崎亜記という作家にハマっていたということも。

  • 再読。仮想世界の側から現実をシニカルに突き刺しながら、それに翻弄されながらも、しなやかに立ち向かっていく人々が爽やかな希望をもたらす。登場人物がみな愛おしく感じられた。

  • ある日3095人が一瞬で消え去った町。しかし10年たった今も、図書館の貸し出し簿やラジオのリクエストには、消え去った人々の活動の痕跡が続いている。<br />
    『失われた町』『廃墟建築士』に繋がる物語。<br />
    <br />
    三崎さんの中には、架空に存在する街があって、そこには中華街の様な一画があり、大陸(西域)との交易や文化(音楽や楽器)が根付いている様子が多くの作品の舞台になっています。首都よりも大陸が近いというような事が書かれているので、出身の福岡か長崎あたりが下敷きになっているのでしょう。(架空の街と言うとエド・マクベインのアイソラや藤沢周平の海坂藩のようですが、実在からほど遠く、街と言うより「世界」と言った方が良いのですが)。<br />
    <br />
    5章で構成されている作品です。<br />
    三崎作品の醍醐味は"不条理な世界の面白さ"ですが、それに加えこの作品では、それぞれの章で生まれる一組のカップル(死語?)がとても魅力的でした。再生の物語として、心地よく。。。。

  • 多数の人間が消失するという事件が起こった都市を舞台に、失ったものへそれぞれに向き合って生きる人々を描く物語です。

    特異な設定と登場人物のベタな関係性は、漫画のように楽しめてしまいますが、現実的に見ればとても深刻で繊細な話ばかりです。

    話の構成は似てるようで微妙な変奏や集約がされており、連作短編としてうまくまとまっていました。

    物語は失くした人の「想いをつなぐ」ことが中心に描かれますが、むしろ生きている個人の在り方が主題だったように思います。

    弱さを認めたうえで、共に歩む人がいることがどうしてこうまで人を勇気づけるのか。純粋に人とつながることの大切さを思い出させられた作品でした。

  • 「失われた町」の12年後を描くこの物語。
    残された人たちの日常と、この町だからこそ起きる不思議な出来事。
    そこに込められた人々の願いと祈り。
    「失われた町」が喪失と希望を描いた物語なら、「刻まれない明日」は喪失と再生の物語である。
    大切な人たち、大切な記憶・・・失ったことを悲しむことは出来ない。
    何故なら、それは「消失」を拡大させることになってしまうから。
    すべてのものに意思はある。
    道にも、音にも、そして人々の感情にも。
    眠りについた道を思い、新たな道の意思を確認する。
    何気なく目にしているものにも、それぞれの役割があり意思がある。
    そんなことを物語を読みながら考えた。
    道、本、音、時間、そして光。
    身近にいつでもあるものばかりだ。
    そこに意味を見出そうとすれば、また違った世界が見えるのだろうか。
    三崎さんの世界観を受け入れられる人にとっては珠玉の物語になる気がする。
    大きな流れの中に巻き込まれ、ときに浮かび、ときに沈む。
    それでも誰かを愛する気持ちや、二度と会えない人たちへの思いは消えることがない。
    人としての弱さも哀しさも詰まっている。
    けれど、それでも前向きに生きていこうとする強さもまた描かれている。
    そんな物語だった。

  • 他のいろいろな作品と緩やかに世界が繋がっている本書は、三崎作品の中核ともスピンオフとも言える気がする。
    穏やかで落ち着いた雰囲気でありながら、強さと優しさに満ちた内容は、その肩書を背負うに相応しい充実振りだと思います。
    無理矢理カテゴリー分類するとSFになるのでしょうが、先入観なしで読んで欲しい作品です。

  • ファンタジーのような、啓示のような、不思議な手触りの物語。
    アンリアルな設定で描かれる、普遍のリアル?

  • 三崎 亜記さんの描く世界観は
    喪失感、なんだろうな、と思った。
    繰り返し、繰り返し似たような設定で
    世界が失われる。

  • 単独でも読めるが、『失われた町』と同じ世界観。
    読後に残る重たさは少し軽め。
    恋愛エピソードが多いためか。

    一番ベタ?なバスのエピソードが好み。
    紙飛行機を飛ばしてみたくなる。

  • 三崎亜記のこのシリーズを読むといつも、自分が叶えられなかった生活や今は別の道を歩んでいることへの回顧をしてしまって苦しい。

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