蜩ノ記 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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レビュー : 265
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338909

感想・レビュー・書評

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  • R1.7.14 読了。

    『「蜩の記」は、読み始めてしばらくすると分かるように、生命の終わりを告げる物語である。死に近づくにつれて人間は何を思い、どう行動し、どのような姿でこの世を後にするのが人間らしいかを、するどく問いかけることが最大の読みどころといえよう。中略。なので、世を去るべきかどうか、が問題ではない。去ると決まった以上はその日に向けて人としてどう生きるかが肝心で、その1点から真価は定まる。』…解説より。

    同名の映画を先に見た後で、小説を読んだ。映画では分かりにくい登場人物達の想いが、小説で描かれていて、ああ、あれはそういう事だったんだと納得しながら、読み進められた。昔の人達の気概など、受け継がれてほしい大切なものを教えられた気がします。

    ・「ひとは心の目指すところに向かって生きているのだ、と思うようになった。心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはない。」

  • 時代小説は苦手なのですが(藩とか、人の把握ができない)がんばって読みました。映画は以前見ていたので、なんとなく分かるかと思ったけど、誰と何がどう対立してるのか、混乱しまくりました。秋谷の潔い生き方、大局を見ての判断。何もかもが素晴らしい人で、側にいれば庄三郎が傾倒していくのは分かる感じ。その描き方も清々しくて読んでいた気持ちがいい。息子の郁太郎が親友を失い奮起するところも良かった。ラストは涙なくしては読めない。中根平右衛門が策士。良き伴侶、良き友に巡り逢うことのすばらしさも感じる作品かな。

  • 徳のある正々堂々とした生き方が近道。
    時代物としては久し振りに感銘を受けた。
    何より、この文章の美しさにまいった。

  • 時は、江戸時代。
    前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と10年後の切腹を命じられた秋谷が暮らすのは、九州の山間の村でした。

    そこに遣わされた庄三郎の目を通して感じる清逸な世界観と美しい自然描写に心が洗われました。

    10年後の切腹の命、すなわち余命は10年。
    それも、病で命を落とすのではなく、自らの手で愛する家族のいる世界を後にするのは想像を絶する痛みでしょう。

    その葛藤が書かれているのかと思いきや、主人公は清廉な人柄で、心静かに穏やかに、確固たる信念を持って生きていました。

    限られた生をどのように生きていくか、人間らしく、親らしく、夫らしく生きるとはどういうことか、常に心に抱きながら生きているからか、主人公の人との関わりのなんと深くやさしいことか。
    自分の生き方について改めて考えさせられました。

    ひとは心の目指すところに向かって生きている。
    心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはない。
    私もいつか、そんな風に思えるんだろうか。

  • 山本周五郎の「樅の木はのこった」に続いて読んでみたら、同じ匂いの小説だった。しかし個人的に好みなのは「蜩の記」に軍配があがる。
    郡吉の今ある境遇での清々しさに感涙した。
    とても素晴らしい小説でした。

  • 限られた命とどう向き合い、いかに生きるか。
    秋谷氏の生き様は淡々と、しかしその一本気は心に深く染み入る。
    (秋谷氏の安定感に対し、庄三郎は一人前の武士として、少し頼りない印象もあったかな)

    この忙しない、物質的な現代社会を過ごす上で、そのような気概保ち続けることは難しいけれど、心の片隅に置き続けたい清廉さ。

  • 時代小説はほとんど読んだことがなかったけれど、何となく惹かれて手に取る。手に取って正解。文章が美しく、読み応えあり。
    登場人物が魅力的。秋谷の凛とした生き方、庄三郎や郁太郎の成長など…
    裏事情が少しずつ明らかになっていくのは、推理物みたいに楽しめた。

  • 理不尽な状況でも、どう生きるべきか。穏やかでまっすぐ正しい生き方。感服。

  • 初葉室。直木賞受賞作。藤沢周平著『闇の歯車』にて、時代小説の面白さに気付き、本書で二作目。この作品を読み始めたのが私の仕事での失敗により、近いうちにおそらく“解雇”になるであろうタイミングと云うのは、何か運命を感じた。切腹と解雇。秋谷が庄三郎と郁太郎を助けに行くところは思わず涙が流れた——。読む前は逆だと思っていたが、人生とは終わる日がきっちり判っていた方が有意義かも知れない…。秋谷の人間性、凛とした真っ直ぐな生き様。秋谷の家族への想い。その逆もまた然り。庄三郎が秋谷を慕っていく過程。等々…読み処が本当に多い。大変良い作品に出会えた。続編であろう『草笛物語』は是非とも読みたい^^

  • 国語の先生におすすめされて読みました。
    時代小説はあまり読んでいなかったから、途中リタイアになるかなーと思っていたけど面白かった!
    まっすぐに生きる秋谷さんももちろん魅力的だけど、源吉の最期が悲しすぎて……。お春のために笑顔を作った彼にも感服。そして万治、もう少し頑張ってほしかった。
    源吉のことでさらに武士と百姓との溝は深まってしまったのだろうけど、庄三郎と郁太郎が秋谷さんのように向き合ってよい方向へ進むと信じたい。

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著者プロフィール

葉室 麟(はむろ りん)
1951年1月25日 – 2017年12月23日
福岡県北九州市小倉生まれ。西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻卒業。地方紙記者、ラジオニュースデスク等を経て小説家に。2005年に短編「乾山晩愁」で第29回歴史文学賞受賞(のち単行本化)、2007年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞受賞、2012年『蜩ノ記』で第146回直木賞受賞、2016年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞受賞。
上記以外の代表作に、2018年9月に岡田准一主演で映画化される『散り椿』、第22回山本周五郎賞候補及び第141回直木賞候補だった『秋月記』がある。

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