介護退職 (祥伝社文庫)

著者 : 楡周平
  • 祥伝社 (2014年9月1日発売)
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  • レビュー :20
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396340582

作品紹介・あらすじ

三國電産北米事業部長の唐木栄太郎は取締役の椅子も目前。妻と名門私立中を目指す息子と家族三人で、都内の自宅で絶好調の年末を迎えていた。そんなある日、秋田で独居する老母が雪かき中に骨折したと電話が入る。その時は、まさかそれが、奈落への号砲とは知る由もなかった……。平穏な日々を崩壊させる〝今そこにある危機〟を、真正面から突きつける問題作、遂に文庫化!

すぐそこにある危機! 少子晩産社会の脆さを衝く予測小説
堺屋太一さん、推薦!
「楡周平著『介護退職』は、多くのサラリーマンが抱える危険を、実現的な予測手法で坦々と描いている。だから怖い!
この物語は、現実の日本が拠って立つ三つの「美徳」--東京一極集中の栄華、年功型終身雇用による安定、受験重視の子女愛育--が抱える危うさを程よく表現している。
この危機から脱するには、現行政策の拡充では追い付かない。倫理と体制の抜本的改革を提起する一作だ。サラリーマンにも、ジャーナリストにも、政治家にも一読を薦めたい」

介護退職 (祥伝社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 高齢社会が進む中、介護問題は他人事ではなくなっている。主人公・唐木は大手電機メーカーの国際事業部長。彼の母は秋田で一人暮らし。それが母の骨折から要介護状態となったことで、一気に唐木家を追い詰める筆致が読書速度を上げる。閑職に追われた唐木の退職決断は身につまされた。母の介護は続くが、唐木の再就職という結末はハッピーエンドだと言えるだろう。

  • 他の方と同じように、考えさせられる小説だった。出来すぎの展開だと思うが、あんなハッピーに転職活動が終わるのも、まぁいいかと思ってしまうくらい、主人公の男性には次々と、苦難が降りかかる…この人のように上手くいかない人がほとんどだと思う。そういうとき、どうすればいいのか?私にも降りかかる可能性はある。
    でも仕事は絶対に辞めてはいけない、それは強く感じた。

  • 20170322


    社会派小説が好きで、楡さんの作品は何冊も読んできたが、本作は最高傑作だった。

    世界を股にかけての日々の激務に加え、母親の介護、さらには妻の病気と難題づくめの状況からの退職。

    胸に積まされる出来事の連続だが、まさにいつ自分の身に起きてもおかしくない事ばかりだ。

    しかし、希望があり、家族の絆、起きた事の意味を前向きに考えられるエンディングは秀逸。

    なんとも言えない気持ちの良い読後感である。

    早速、楡さんの他の作品を探してみよう。

  • 辛く重い内容だけど最後はハッピーエンド。
    主人公もだけど主に奥さんがつらそう。
    逃げ場もない、ゴール地点も見えない、報われない介護、つらすぎる。

  • 介護退職ってこれからは十分にあり得るネタだけど、何があっても仕事は辞めちゃいけないな。

  • 日本の家電メーカーで海外マーケット部門の部長を勤め、順当にキャリアアップを果たす主人公に降りかかった母親の介護という負担。そこから、彼の人生の転落がはじまる。進行する母親の症状、介護負担で倒れてしまう妻、没頭できない仕事、社内での信頼悪化。そして、閑職へ異動させられ、プライドを失った彼が選んだのは、退職だった。

    同じサラリーマンとしては、なんとも衝撃的。これはホラー小説に分類されるべき作品だ。介護のために、将来を諦めてしまった人がニュースなどで報道されるが、ストーリーとして目の前につきつけられると、他人事ではない恐怖しか感じない。高齢化する社会では、主人公のような立場に誰もがなりうるのだ。

    本小説は意外な助け舟によってめでたしめでたしで完結するが、実際、そんな都合よく行かないはず。不本意な「介護退職」を選んだことを死ぬまで後悔しながら、ローンの払えなくなったマンションを売り払い、息子に進学を諦めさせ、妻と母の介護に余生を費やす。それが現実だろう。そうはなりたくないと誰もが考えるが、本人の努力ではどうしようもないことがなんとも恐ろしい。

  • 最後の主人公の転職シーンはちょっと興醒めにの感は否めないが、それまでの物語の流れは考えさせられました。

  • 介護で退職したエリートのある意味サクセスストーリ!
    こんなにうまくいくはずがない。

    介護の実態についてはかなり不十分な記述内容と思われます。しかし、ここで書かれていることは、まさにいつ自分自身におきてもおかしくないことです。
    そんなとき、この本の主人公のようにサクセスストーリのような展開ができるのか...

    ストーリとしては、年収一千万以上のエリートビジネスマンの主人公の母親が田舎で骨折。一人暮らしのため、自分のマンションに呼び寄せるも痴呆が始まる。献身的に奥さんが介護するも、奥さんもくも膜下出血で入院。結局、会社を辞めて母親の介護を行うことに。この状態を抜け出す起死回生の策を思いつき、さらには再就職先は前の会社の数倍のサラリー!結局はハッピーエンド。
    みたいなご都合主義的なストーリ展開です。

    そんなうまくいくわけないし、そんなにお金もあるわけないし。ということで、ちょっといまいち。
    そして何よりいまいちなのが、楡さんのこの手の小説で出てくる奥さんがなによりもすごい人。そんな奥さんいないよって思います(笑)

    ということで、それなりにハッピーエンドで終わるのですが、自分自身に同じことが起こったら、間違いなく大変な状態が永遠に続くことになるだろうと思います。そして、自分が老いたときに、自分の子供が自分を介護するときになったらどうなるんだろうと頭を悩まします。
    ストーリ展開がどうこうといちゃもんもつけられますが、問題提起には確実になっている物語です。
    でも、今からなにか手を打てるのか?と思うと気持ちが落ち込みます。結局そのときが来るまでなにもできないのでは?
    すごく考えさせられる物語でした。

  • 2016・1・7~1・10
    介護の問題、切実だな。総務部文書管理室長の言葉、「…老人介護が社会問題として論じられるようになって久しいってのに、今に至ってもこれかね。…根本的な対策は、いつになっても実行されない。…」に同感。安心して、年寄りになれない。
    でも、この人の作品、最後は希望を持たせてくれるから、好き。

  • 作者の名前は、良く拝聴させてもらっている。
    社会派エンターテイメントと、書かれており、重たい本かも、、、と、思いつつ読んでみた。

    あらすじは、取締役のポストを目前にしており、海外での活躍も期待されているサラリーマンの唐木英太郎と、妻と、名門私立中学校を受験しようとしている家庭に、介護と言う重荷がかかる事になることから、始まる。
    東京から、離れた秋田に住む一人暮らしの母親が、雪かきで骨折してしまうのである。
    誰が、面倒を見るのか?
    弟夫婦にも、日々の生活にも大変な中、その子供は、優秀な成績なので、大学受験をさせるのに、手が離せない。
    やはり、英太郎が、母親を東京に連れて帰り、妻と、面倒を見るのだが、痴ほう症が、出てきてしまい、妻も、ストレスで、クモ膜下出血で、入院してしまう。
    仕事を取るか?、家庭を取るか?
    結局、会社のプロジェクトから外され、閑職状態で英太郎は、辞表を出すことに、、、

    ここまで、、読んで来たら、もう、最悪の事態迄、発展と、思いきや、ホッとさせる展開が待っていた。
    最後まで、どうなる事やら、、、、と、暗い気持ちになりながら、読み進んだが、『良かった』と、言う気になった。

    今は、女性も定職で、男性以上に仕事をこなすようになって、重要ポストについている場合も多くなってきている。

    介護するのに、身内が出来ればいいが、養護施設に入れて、余計に、認知症の病気が進む場合もあり、昨今のニュースで、ベランダからの転落死や、虐待問題等を、考えると、人間、長生きも出来ない世の中になってきているのかもしれない。

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