介護退職 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 112
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396340582

作品紹介・あらすじ

三國電産北米事業部長の唐木栄太郎は取締役の椅子も目前。妻と名門私立中を目指す息子と家族三人で、都内の自宅で絶好調の年末を迎えていた。そんなある日、秋田で独居する老母が雪かき中に骨折したと電話が入る。その時は、まさかそれが、奈落への号砲とは知る由もなかった……。平穏な日々を崩壊させる〝今そこにある危機〟を、真正面から突きつける問題作、遂に文庫化!

すぐそこにある危機! 少子晩産社会の脆さを衝く予測小説
堺屋太一さん、推薦!
「楡周平著『介護退職』は、多くのサラリーマンが抱える危険を、実現的な予測手法で坦々と描いている。だから怖い!
この物語は、現実の日本が拠って立つ三つの「美徳」--東京一極集中の栄華、年功型終身雇用による安定、受験重視の子女愛育--が抱える危うさを程よく表現している。
この危機から脱するには、現行政策の拡充では追い付かない。倫理と体制の抜本的改革を提起する一作だ。サラリーマンにも、ジャーナリストにも、政治家にも一読を薦めたい」

感想・レビュー・書評

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  • 最近、この手の本を見ると手を出してしまう。身につまされる話だった。
    小説としてはやや盛り上がりに欠け、展開も予想できる内容なので想定内。むしろ、体験談を読んでいるようでかなり身近なお話といった感じ。
    解決の仕方は家庭により様々。このケースはウルトラCというか…我が家には当てはまらないが、何とか上手くいきそうでホッとした。
    介護ってお金かかるよね…。

  • 三國電産北米事業部長の唐木栄太郎は取締役の椅子も目前。妻と名門私立中を目指す息子と家族三人で、都内の自宅で絶好調の年末を迎えていた。そんなある日、秋田で独居する老母が雪かき中に骨折したと電話が入る。その時は、まさかそれが、奈落への号砲とは知る由もなかった…。

  • 高齢社会が進む中、介護問題は他人事ではなくなっている。主人公・唐木は大手電機メーカーの国際事業部長。彼の母は秋田で一人暮らし。それが母の骨折から要介護状態となったことで、一気に唐木家を追い詰める筆致が読書速度を上げる。閑職に追われた唐木の退職決断は身につまされた。母の介護は続くが、唐木の再就職という結末はハッピーエンドだと言えるだろう。

  • 他の方と同じように、考えさせられる小説だった。出来すぎの展開だと思うが、あんなハッピーに転職活動が終わるのも、まぁいいかと思ってしまうくらい、主人公の男性には次々と、苦難が降りかかる…この人のように上手くいかない人がほとんどだと思う。そういうとき、どうすればいいのか?私にも降りかかる可能性はある。
    でも仕事は絶対に辞めてはいけない、それは強く感じた。

  • 20170322


    社会派小説が好きで、楡さんの作品は何冊も読んできたが、本作は最高傑作だった。

    世界を股にかけての日々の激務に加え、母親の介護、さらには妻の病気と難題づくめの状況からの退職。

    胸に積まされる出来事の連続だが、まさにいつ自分の身に起きてもおかしくない事ばかりだ。

    しかし、希望があり、家族の絆、起きた事の意味を前向きに考えられるエンディングは秀逸。

    なんとも言えない気持ちの良い読後感である。

    早速、楡さんの他の作品を探してみよう。

  • 辛く重い内容だけど最後はハッピーエンド。
    主人公もだけど主に奥さんがつらそう。
    逃げ場もない、ゴール地点も見えない、報われない介護、つらすぎる。

  • 介護退職ってこれからは十分にあり得るネタだけど、何があっても仕事は辞めちゃいけないな。

  • 日本の家電メーカーで海外マーケット部門の部長を勤め、順当にキャリアアップを果たす主人公に降りかかった母親の介護という負担。そこから、彼の人生の転落がはじまる。進行する母親の症状、介護負担で倒れてしまう妻、没頭できない仕事、社内での信頼悪化。そして、閑職へ異動させられ、プライドを失った彼が選んだのは、退職だった。

    同じサラリーマンとしては、なんとも衝撃的。これはホラー小説に分類されるべき作品だ。介護のために、将来を諦めてしまった人がニュースなどで報道されるが、ストーリーとして目の前につきつけられると、他人事ではない恐怖しか感じない。高齢化する社会では、主人公のような立場に誰もがなりうるのだ。

    本小説は意外な助け舟によってめでたしめでたしで完結するが、実際、そんな都合よく行かないはず。不本意な「介護退職」を選んだことを死ぬまで後悔しながら、ローンの払えなくなったマンションを売り払い、息子に進学を諦めさせ、妻と母の介護に余生を費やす。それが現実だろう。そうはなりたくないと誰もが考えるが、本人の努力ではどうしようもないことがなんとも恐ろしい。

  • 考えさせられると共に身につまされるような作品だった。

    主人公の唐木栄太郎は妻と息子の三人で順風満帆の生活を送っていたのだが、秋田に独居する老母が大怪我をし、さらには…唐木は止むに止まれず、介護退職を決意するのだが…

    これからの日本は、この作品に描かれているような問題が増えていくに違いない。地方には仕事も無く、少子化が進む中、仕事を求めて人々は都会へ。地方に残された年老いた親の面倒をどうするのか。老人介護施設も老齢化の波を受け、なかなか受け入れてはくれないだろう。もちろん、国も当てにすることは出来ない。

    この作品の主人公の決断は最終的には良い方向に向かうのだが、こういう例は極一部だろう。国も信用出来ない中、もう一度、自分たちの親を含めての人生設計を考える必要がありそうだ。

  • 最後の主人公の転職シーンはちょっと興醒めにの感は否めないが、それまでの物語の流れは考えさせられました。

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プロフィール

1957年生まれ。慶應義塾大学大学院修了。米国企業在職中の1996年に発表した初の国際謀略小説『Cの福音』がベストセラーに。翌年から作家業に専念、綿密な取材と圧倒的なスケールの作品で読者を魅了し続けている。主な著書に『象の墓場』『プラチナタウン』『ドッグファイト』『和僑』『レイク・クローバー』などがある。

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