合縁奇縁 取次屋栄三 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396340834

感想・レビュー・書評

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  • 合縁奇縁 ― 取次屋栄三シリーズの14作目
    2014.12発行。字の大きさは…小。
    女の意地、月下老人、合縁奇縁の3話。

    気楽流の印可を受けた剣客・秋月栄三郎は、自身の手習い道場から岸裏道場へ出した愛弟子のお咲が、師範代の松田新兵衛への一途な想いが朴念仁に通じるか心配です。
    そんな折にお咲は、別式女の黒木綿江と岸裏道場で仕合する事となり、その結果は真に呆気ない完勝であった。その遺恨によってお咲が誘拐され、新兵衛が救い出すが、このあと新兵衛は、大きな決断を……。

    此度は、1冊すべてお咲の笑顔と驚きの物語です、すごく読みやすかったです。

    【女の意地】
    大店・田辺屋宗右衛門の娘で岸裏道場の門弟・お咲は、友人の並木道場の並木留以が渡り別式女・黒木綿江と仕合中に怪我を負わされたのを見て、激怒して綿江を挑発する。お咲は、綿江と岸裏道場で仕合する事となり、その結果は真に呆気ない完勝であった。その遺恨によって外出の折を狙われ木太刀での立会を無理強いされた。
    他所ながら見ていた松田新兵衛は、「お咲、剣の道を突き進むとこんな闘いが日々の事となる。勝ち続けることは難しい。負けた者は負けたままでおられぬものだ」これでも剣の道を進むかと……。
    私は、いままでと違ってお咲が、厳しい剣の道に踏み出していくのを見ると、これで良かったのかと……。

    【月下老人】
    大店・田辺屋宗右衛門の娘・お咲に縁談が持ち上がった、これを仕掛けたのが兄の松太郎で、そのお先棒を担いでいるのが医師で月下老人として数々の縁組をまとめて来た平川森右衛門です。お咲の相手は、宗右衛門とも仲がいい廣野屋万右衛門の息子・仲太郎である。仲太郎は、小さいときにお咲と遊んだとき、お咲が「お嫁さんになる」と言ったのを今も憶えていて……。お咲は、松田新兵衛を一途に恋しており、この縁談を何とか壊せないか栄三郎と知恵を出し合い……。
    仲太郎は、いい人だ、でもお咲には新兵衛と一緒になってほしいし、微妙だな。

    【合縁奇縁(あいえんきえん)】
    黒木綿江の兄・及川門十郎は、お咲に復讐するため岸裏道場の門弟に大怪我を負わせ、松田新兵衛と果し合いに持ち込もうとする。そのためにお咲を誘拐し、新兵衛を誘い出し兄弟で斬ろうとしたが逆に返り討ちにあう。
    新兵衛は、宗右衛門、松太郎、お咲の前で「こ度のようなことが起きた。この先も起きるかもしれぬ。ならば、むしろもっと傍にいた方が守り易い。宗右衛門殿、松太郎殿、お咲を我が妻としてもらい受けとうござるが、いかがでござろう」と、一気に言い放った。
    私としては、やっと新兵衛がお咲と一緒になる決心をしたことは喜ばしいが。物語として妻になったお咲の登場が少なくなるのは困ります。

    【豆知識】
    「別式女(べつしきめ)」は、江戸時代に諸藩の奥向き(幕府の大奥にあたる)で活動した女性の武芸指南役。男が入れぬ奥向きで女として、奥向きの警護などをする。
    その風貌は、寛政年間の出羽国の随筆『黒甜瑣語』によれば、大小(二刀)まで差し、眉を剃り、眉墨もせず、青く眉の跡が残っており、着物も対ツ丈に着て、引き摺っていない勇ましい格好をしていたと記述されています。
    『婦女勇義伝』という書物には、別式女のいる大名は17、8家あったと。その記述によれば、仙台藩に10人、尾張藩に6人、水戸や長州が3人、姫路、肥後、薩摩、加賀が4人。紀州にもみられたとあります。

  • お咲さん、やりましたね。良かったわ〜。

  • ついに・・・その日が来ました
    良かった・・・ほんま良かったあ

  • L 取次屋栄三14

    シリーズ14冊目ですか。
    どうにも胸焼けで14でリタイア。
    同一作家さんのは他のシリーズでもそうだけれど、主役が一番で周りも追随。作家本人が惚れ込んじゃってます!的な、なんというか一昔前のカリスマ性ビシバシの王道時代劇的な。
    主人公と周りの面子が一番!負けないし、負けるわけがないし、いい奴なんだからなんとかしてやる!ってもうどうぞ内輪だけで盛り上がっていてくださいよ。と、どんどん冷めていくイチ読者(笑)深い哀愁とか憂いとか情緒とか、私の求めているものはここにはないと判断。
    でもスカッと爽快時代劇昔風!を読みたい時は一番おすすめ。

  • 中盤あたりまでお咲は受難な感じでしたが、最後はようやく新兵衛が“決断”し、良かった良かった。お幸せに・・。

  • 201412/あの朴念人が…!!シリーズ通して登場人物達に愛着あるので、今回は栄三の世界に一層入り込んでしまった。ただ、悪人とはいえ、生い立ちや容貌を思うと(勿論そんなの悪に堕ちる理由にはならないけど)、そう生きてくるしかなかった棉江の闇を払うような救いのある結末を望んでしまった。そこはやっぱり男性作家だからなのか、そしてそのほうが物語としてわかりやすいってのもあるだろうけど。

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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