- 祥伝社 (2016年11月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784396342623
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
人間の心の奥深くに潜む暗い側面や社会の二極化を巧みに描いた作品で、物語は職安で出会った葉子と希美の友情から始まります。第一章では、葉子の過去が徐々に明らかになり、心温まるエピソードが展開されますが、第...
感想・レビュー・書評
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『愚者』『毒』そして表紙のカラス。
薄暗さしか感じない‥‥
しかし、思いがけずなんともほんわかとした第一章。
職安でたまたま出会った二人の女性、葉子と希美。二人はお互いに惹かれ合い親友になっていき、発達障害の疑いのある幼い甥の達也を連れた葉子は住み込みの家政婦の仕事に就く。
この雇い主の理科の教師をしていたという難波先生と達也のやり取りがとても心温まるもので、訳あってここに辿り着いた葉子と達也を取り巻く人たちとのほっこりなお話なのでは?と勘違いしてしまいました。
第二章からのあまりのトーンの違いに、読むスピードがガクンと落ちてしまった私。しかし、ミスリードに気付かされた途端に「は?どういうこと?」と超特急で読み進めました。
賢者と愚者、薬と毒。
どちらに転ぶかはその人次第。
全てが回収されて無駄のない文章。
読み応えたっぷりでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
師匠が先日宇佐美さんを読んでおられ、積んであった中から宇佐美さんを選びました。
職安で葉子と希美が出会うところから物語の幕が開く。
2人とも過去に何があることが匂わされるのだが、真実はジワジワと開示されていく。この辺りを読んでいる時は、遠田潤子先生のような感じの本かな?と感じていた。
第一章は葉子目線で、葉子の過去が明らかに。
第二章から舞台が一気に変わり、希美目線で、壮絶な希美の過去が少しずつ明らかになっていく。
宇佐美さんはこういう古い時代の描写がお得意なのかしら?まだ数冊しか読んでいないのでわかりませんが、昭和の時代の重たい描写が非常に巧みで、巧み過ぎて感情移入型の私は苦しくて苦しくて。゚(゚´ω`゚)゚。
愚者の毒。何故愚者の毒なんだろう?
考えますよね。
おびのりさんのレビューを読み直して、読み方が流石だなぁ、、、
考察が深いなぁと感心しました。
それから師匠のレビューを見たら、素晴らしいことが書かれていて。
たまに良いこと書かれていますが、流石師匠!って思いました。
暗くて辛くて疲れる描写が多いですが、宇佐美さんは注目していきたいなって思いました。
三連休ですね(*´꒳`*)
特に予定はありませんがお休みは嬉しいです♪
先日から何故か鰻が食べたくて仕方ないです。
鰻食べたいなぁ。。。-
かなさん
珍しくずっと本の登録されていませんでしたよね?お元気そうで良かったです♪
一日一件かなさんのレビューかあったのに、ここ数日...かなさん
珍しくずっと本の登録されていませんでしたよね?お元気そうで良かったです♪
一日一件かなさんのレビューかあったのに、ここ数日無かったのでちょっと心配してました。
鰻、昨日鰻の成瀬に行ってきました。
安いのてしょうけど、味はやっぱりそれなりかなぁ???
炭火で焼いた鰻が食べたい(笑)2025/09/16 -
2025/09/17
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アツさん
ぷりっぷりの鰻良いですよね♪
お取り寄せなら、↓ここのが1番美味しいです♪
https://unagi-gotoh.co...アツさん
ぷりっぷりの鰻良いですよね♪
お取り寄せなら、↓ここのが1番美味しいです♪
https://unagi-gotoh.co.jp/2025/09/18
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タイトルの意味、構成内容がとても深く、心をえぐられる日本推理作家協会賞受賞作品でした。
貧困と犯罪、社会の二極化を扱い、現在パートと過去パートを交互に描く作品は他にもあった気がします。けれども本作は、社会時事を取り込みながら、犯罪ミステリー・社会派寄りのヒューマンドラマとして、絶妙のバランス加減だと感じました。
「私」という一人称展開で、「私」が誰なのかミスリードに混乱するなど、多くの伏線の張り巡らせ方と回収法も見事ですし、重いけれども先の見えない展開にも引き込まれました。
3部構成で時代・場所が変遷し、各章題『武蔵野陰影』『筑豊挽歌』『伊豆溟海』も秀逸です。
宇佐美さんは、貧困と飢餓、そしてそれ以上の絶望を読み手に突き付けます。社会への怒りさえ感じます。人の心に潜む暗い情念、負の側面、心の暗部を巧みに浮き彫りにしながら、読み手を激しく動揺させ、物語へ感情移入させてくれました。
タイトルでもあり、終末の「愚者の毒」の解釈は人それぞれでしょうが、著者は哀しく弱い立場の者、他から愚かに見える(そうならざるを得なかった)人たちへ救済の光を当てたのだと思います。「愚者の毒」をもってして、"裁き"ではなく"安寧"を与えたのでしょう。
愚者も毒も二面性があり、賢者と愚者、薬と毒の境界は曖昧です。でも、個人的に愚直な人や行為は好きです。そうなれない自分をさて置き、応援したくなりますもん‥。 -
初読みの作者さん。フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってみた。
1985年、たまたま上野の職安で出会った葉子と希美。希美の紹介で葉子が深大寺の旧家で住み込みの家政婦として働くことになったのをきっかけに二人が関係を深めていく様が描かれる。
閑静な武蔵野での出来事の間に挟まれる、2015年、伊豆の高級老人ホームで暮らす女性の述懐の中でさらりと語られる単語に物語の不穏さが増し、何は起きたのかを知りたくて頁を繰る手が進んでいく。
中盤以降で明かされる真相は、最後の最後まで予断を許さない、小道具の使い方まで含めて手が込んだ作りで、とても良く出来ていると思った。
ただ、第二章で、昭和の高度成長時代と対比して描かれる、1965年~66年にかけての筑豊の悲惨な生活の描写の濃さが強烈で、ミステリーとしての面白さが霞んでしまった印象も受けたのでした。 -
第70回日本推理作家協会賞受賞作。
面白かったです。
表紙の絵の中学生男女二人の絵がアナログなかんじで、暗い色調なので、なかなか手に取る気になれなかったのですが、読み始めたら一気読みでした。
2015年の夏、病気で伊豆半島下田にある超高級老人ホームで暮らす、難波葉子が夫の難波由起夫との間に起きたことを少しずつ語り始めます。
1985年春36歳の香川葉子は職業安定所で生年月日がまったく同じ女性石川希美(きみ)と出会います。
葉子には借金を苦にして心中した妹夫婦の子どもで甥の達也4歳がいます。達也には障害があり喋ることができません。
希美は葉子に家政婦の仕事を紹介してくれます。二人の女性の間には友情が生まれます。
葉子が働き始めた難波家には先生と呼ばれる主人の寛和と妻の佳代子の先夫との間の長男の由起夫がいます。
由起夫は達也を非常に可愛がってくれ、葉子は由起夫に「達也の父親になってくれませんか」と身分不相応なことを口走ってしまいます。
そんなある日寛和が不審死を遂げてしまいます。
そして葉子は難波家の弁護士の加藤に達也は血の繋がりよりも、両親の揃った家庭に養子に出すべきだといわれ悩みだします。
そんな時、加藤と加藤の秘書だった希美の乗った車が車の転落事故を起こし二人は落命します。
そして物語の舞台は1965年の筑豊地方へ。
これ以上先を書くと全部ネタバレになるので書きません。
私は松本清張の『砂の器』のような話なのかと思いましたが、文庫解説の杉江松恋さんは小池真理子さんの『恋』を挙げられています。
以上のレビューではどういう話なのかみえないかもしれませんが、勘の良い方ならわかってしまうかもしれません。
第二章以降は昭和の高度成長期、バブル期などを経て2015年夏まで語られていきますが、全体に伏線が張り巡らされた非常に面白い犯罪小説であることは間違いありません。 -
2015年夏、一人の女性が介護付老人ホームを終の住処と選び、そこで過去と向かい合う。彼女が向かい合う過去と現在を交錯させながら、犯してきた罪が語られていく。
一章では、語り部を前触れなく変えてくるので、女性が誰であるのか、混乱して作者の思惑にはまる。
貧困から逃げる為、罪を犯す。罪を隠すために嘘を重ねる。嘘を貫く為に、再び罪を犯す。彼女はただ一人の友人であるはずの女性さえ、嘘の道具としてしまった。
1960年代の廃坑集落の社会問題を底に扱い社会派小説として、罪を重ねる犯罪小説として、ヒューマンドラマとして楽しめる作品でした。
養子に出した、幼児期精神的ストレスから失語症となっていた少年・達也が、成長して生物研究者となり名前を変えて、女性の前に現れる。彼が、自分の犯した罪を「愚者の毒」と表現する。作者が、タイトルにもしたこの意味合いをかなり考えたのだけど、決定打を思いつかなかった。
「愚者の毒」はヒ素の異名らしい。ヒ素を使うとすぐにバレてしまうから。達也がカラスを可愛がっていた事があるところから、トリックに使って身元をわからせる様にかなあー?単純に、少年期に蓄積された毒の放出の比喩かなー?毒の中でも筑豊の鉱山がらみで、ヒ素の表現と愚者を兼ねて?面白かったからまあいいか。-
途中先生のセリフに賢者が…ってあったよね
ヒ素は昔は賢者の毒って言ってたらしい_φ(・_・
奥が深いですな〜!途中先生のセリフに賢者が…ってあったよね
ヒ素は昔は賢者の毒って言ってたらしい_φ(・_・
奥が深いですな〜!2023/04/18
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2023/07/27
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2023/07/27
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2023/07/27
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面白かったです!
貧しく地獄のような場所から逃げる為に父親を殺した少年と少女が過去を捨て、ひっそりと都会に紛れ
何も望まず人生の共犯者となる。
そんな二人がまるで過去からの亡霊が近づくかのように、じわじわと追い詰められていく。
え?白夜行みたい?
似てますね…途中で気づきましたd( ̄  ̄)
白夜行はとても面白く読みましたが主人公に共感は
できなかった。
こちら共感しまくりで逃げのびろ!と息がキレそうでした。
この作品は暗いし辛いしで読むのに二日かかってしまったんですが素晴らしい!
ストーリー、構成、主人公達、関わる人々、ラストまでの展開、結末。
全てがわたし好みの作品でした♪
宇佐美まことさん要チェック中です\(//∇//)
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宇佐美まことさんの作品
いつか読んでみたいと思ってます*ˊᵕˋ*
「白夜行」好きです
三浦しをんさんの「光」を読んだときも
「白夜行」に似て...宇佐美まことさんの作品
いつか読んでみたいと思ってます*ˊᵕˋ*
「白夜行」好きです
三浦しをんさんの「光」を読んだときも
「白夜行」に似てるーーーってなりました2023/04/07 -
宇佐美さん二作目だけどいいよ!
骨を弔うも良かった〜
泥臭い感じ?昭和っぽくて好き(^-^)宇佐美さん二作目だけどいいよ!
骨を弔うも良かった〜
泥臭い感じ?昭和っぽくて好き(^-^)2023/04/07 -
2023/04/07
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身勝手な妹夫婦の負債を背負わされ、孤児となった口のきけない甥の達也と二人途方に暮れていた1985年、上野の職安で出会った希美と葉子。同じ生年月日だった事が縁で友情を深めていく。
希美の紹介で家政婦として住み込み働く葉子。
元教師の難波先生と、息子の由起夫との穏やかな生活の中で、いつしか由起夫にひかれて行く葉子。
美人で頭が良く都会的な希美だが、人には言えない壮絶な過去があった。
全ての始まりは1965年筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった。
余生を老人ホームで過ごす葉子。その傍らには夫の由紀夫がいた。
難波先生の不審死をきっかけに過去の因縁が襲いかかる。
現在と、それぞれの過去が交互に書かれており、希美の過去では苦しくて読む手を止め、でも続きが気になり読み進め、ラストに近づくにつれて伏線回収が凄すぎて、このまま読み終えるのが勿体なくなり数日空けてはチビチヒ読み進め、読み終えて一週間引きずりようやくレビューにたどり着いた。
早く読みたいのに、読み終えなくない!!そんな一冊にまた出会ってしまった。
途中、「百夜行」や、「Nのために」がよぎった。
共通しているのは、逃げ場のない悪環境の中で生まれた罪。そして罪の共有。
読み終えてから表紙のイラストを改めて見ると二人の表情や輪郭がよりはっきり見え驚いた。
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他の方のレビューから興味を持った作品。
カバーイラストの不穏さがすごい!
タイトルの「愚者の毒」は作品の中でひとりの登場人物によって語られるもので、理解するのがちょっと難しい内容だった。
弱い立場にいるもの(愚者)であっても
己の中に何か武器となるもの(毒)を持て、的な感じかなと理解していた。
この人物は作中では善人として描かれていて、
暗く悲惨な宿命をかかえる者たちの中において
唯一の癒しとなる存在。
にもかかわらず、
このことがのちのち与える影響を思うと、
励ましのつもりで言ったことも
受け取る側の捉え方によって変わるものであり、
なんだか皮肉だ。
最後の伏線回収の章は
あらかたそうだろうな、と
わかっていたことの重複となっていて
ドキドキ感はあまりなく、残念。
あれこれ起こった現在の事件よりも
過去の炭鉱爆発や、そこに関わり悲惨な日々を送った人々の描写の方により心をえぐられた。
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職安で案内を取り違えられた、葉子と希美。
生年月日が同じふたりは、次第に心を通わせていく。
第70回日本推理作家協会賞受賞作。
おだやかな雇い主と紡がれる、日常。
少しずつ歩み寄る、障害のある甥と、葉子。
第一章には、困難を乗り越えてつかみ取った新たな生活に、安らぎと、救いと、明るさがある。
特に、難波先生と達也の、言葉に限らない心の交流が、すがすがしい。
第二章では一転、ずーんと重たい展開に。
そして第三章で、すべてがつながっていく。
ミステリ的には、早い段階で気づくものが。
それでも、それぞれのかかえてきたものと、その人生の物語としての力がある。
やるせない、切ないところもあるけれど、それを含めて読み応えのある作品。 -
この世は良い行いが報われる因果応報であると信じたいです。
「無償の愛とか、母性とか、曖昧でとらえどころのないものは恐怖でしかない」
「他人の見解に便乗して賢者になるくらいなら、むしろ自力だけに頼る愚者であるほうがましだ」 -
貧困と犯罪、過去と現在
重いテーマであるため、終始暗澹とした気持ちになりました。
物語の大筋は序盤から何となく察することはできるのですが、ラストは衝撃でした。そしてタイトルの意味の回収。
圧倒的な闇の中にも僅かな明かりが灯る
この明かりが、誰かの救いになっていればという希望が僅かながらに残る読後が、不快さだけの読後感にならずに済んでいる所以なんだろう -
古い時代設定と地方の方言など、読みにくさは否めない。1章から3章まで時代や場面が切り替わり、少しずつ繋がっていく感じが読み取れる。暗いテーマであり酷なシーンも多い。丁寧な描写で意外な展開もあるが、少々長いなと思った。
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こちらでの評価が高いのも納得の作品。現代と過去の苦しい貧しい時代が交互に出ており、過去の壮絶で凄惨な時代を生き抜く2人の若者に苦しくなる。最後まで読めば2人は幸せになれるのかと読み続けるが、最後は人生の帳尻合わせが待っている。
伏線回収もされ、読み応えある作品だった。 -
松本清張や東野圭吾作品を思い出すようなテーマだった。宇佐美まこと作品は、単にミステリーではなく、歴史に埋もれた哀しい事実を知るきっかけともなる。
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終盤からはページを捲る手が止まらなかった。
物語が終わってしまう事が残念だった。
香り立つような美しい情景、色を感じない過酷な時代背景、抉るような心理描写、どれもこれも光と闇に満ち溢れていた。
正しい事を言えるのは、望まれている身においているからだと思う。
未来には絶望しかない状況で、その日生きる事で精一杯の者を誰が責められるだろう。
傍から、そんな事はいけないと言うのは簡単。
もっとつらい人がいると言うのは簡単。
言うだけなら簡単。
実際に手を差し伸べ、援助し、生きる道をお膳立てしてあげられなければ、全ては偽善に満ちた正論に過ぎないのだと思う。
正論など、時にはなんの足しにもならない。
大好きな一冊にまた出会えて嬉しく思う。 -
宇佐美さんの本はとっても読みやすくてわかりやすく面白い。
主人公だと思ってた人が実は違ったという面白い展開と炭鉱の町の暗く重苦しい雰囲気にグイグイ引き込まれる。
でも、地元の私でも同じ県内だけど方言がきつすぎて意味が分からない所があり、これ他県の人が呼んだらちんぷんかんぷんじゃないのか?
色々な作家の方が、福岡の炭鉱の街を舞台とした本を描いていて、どの作品もとても興味深く面白かった。
炭鉱の町の栄枯盛衰 日本の戦後復興と高度成長をを支えた貴重な歴史として伝え残して行くべき歴史だと思います。l -
圧倒されました。すごい小説です。九州の炭鉱。あんな壮絶な世界があるのでしょうか。のほほんと生きてきた身には想像もできない日常です。しかも子供たちが生活する場なのに。平等な世界、公平な社会などこの世にはなく、夢のまた夢なのですね。幼い達也くんと先生や由紀夫さんがふれあう武蔵野の場面だけは天国のようでした。最近暗い本しか読んでいないので気分転換したい感じです。
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これは傑作だ。20年区切りの時間軸と、筑豊・東京・伊豆という場所軸を、行きつ戻りつしながらミステリー部分と人物描写部分、更に時代背景も浮き彫りにし、時には細やかな時には大胆な筆致で、全体通して非常に丁寧な人間ドラマを構築している。こういう本があるから読書はやめられないとつくづく実感できる。
著者プロフィール
宇佐美まことの作品
