火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

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  • 祥伝社
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レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396342982

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  • 燃え盛る炎を前に身震いする。
    眩暈がするほどの恐怖と、同時にわき上がる高揚感。
    "火消し"でなければ経験することのできない相反する感情に苛まれる"ぼろ鳶組"頭取・源吾。
    彼の人間らしさが実に魅力的。

    資金不足で火事装束も満足に整えられず、町民から"ぼろ鳶"と揶揄されるお江戸の火消集団の物語。
    ぼろは纏っても心は錦。
    心意気なら誰にも負けない。
    元力士に軽業師、引きこもりの学者等々、クセの強さなら他に引けを取らない男達の、炎に立ち向かう男らしさとアツい人情話が面白い。
    そして忘れちゃいけないのが源吾の妻・深雪。
    肝の据わった聡明な算勘名人で、男達に向かって思ったことをバシバシ言ってのける姿が実に魅力的だった。

    主要メンバーの紹介も兼ねた人気シリーズ第1弾。
    今後の彼らの活躍がとても楽しみだ。

  • 評判が良く、ブクログを見ても良さそうだったので本屋にいってみるが
    棚を見て、躊躇してしまった…

    時代モノコーナーの平棚が
    一角丸々このシリーズで埋まっていた…

    シリーズものと知らずノコノコと買いに来たため
    「…面白かったら…また懐が…」と
    レジに持っていく手、やや震え

    主人公は、元はその活躍ぶりから
    「火喰鳥」と言う異名を拝した火消しだったが
    今は火を恐れ、落ちぶれていた男
    以前の活躍を知る役人によって
    貧弱な火消し組の頭を任されることになる…

    この主人公が熱い
    人情にも厚く、火消しの勘は鈍っていない。
    悩みながら走るタイプ。
    完璧ではなく悪戦苦闘する

    これに負けないのが、怪力、軽業師、天読みなどの仲間達
    キャラが立ってる。
    そして金勘定と料理の腕が立つ主人公の妻
    (夫を支えつつ叱咤する恐妻…読んでて何故か私まで冷や汗をかく、でも夫を支える優しさが見える)
    他組のライバル火消しも華がある。

    不注意や自然発生の炎だけが相手ではない。
    火事が起きることで利益が生まれる者たち
    がいる事、が根深い。
    火事場泥棒に、店ならライバル店
    建物を作り直す大工、借金などを消すため証書を狙う、政治的な陰謀までと様々

    火消はそんな奴らを
    逮捕できないのでは?
    と言う疑問も解決、なんと有名な
    「あの人」も登場! 
    (大好きな作品の主人公…火付盗賊改方!
    好きな役者が出てきて、
    「よっ!◯平!」(ほぼバレてる)
    なんて掛け声もかけたくなる
    クロスオーバーとして
    楽しませていただきました!)

    火事を起こらぬようにすることで、
    存在意義を失う。自らの存在を"消す"ため
    に悩みながら奮闘する火消たち

    大きな災害の中で、地位や組織の枠組みを超えて協力する事 火事場で追い込まれて我先にと荒れ狂う人だけではなく、立ち向かうために協力する者達が描かれ、熱くて痺れます。

    「火付け人」の思惑が、街を燃やし
    一度破壊し再興する
    (さらに人々が協力する姿)ことだとしたら…破壊の中で生まれる悲しみを無視しすぎた身勝手さを感じる。
    「危機に瀕して、ようやく協力し合うのでは遅い」とか、読みながらつらつら考えてしまう。

    火消し仲間達もまた、火事が起こったことによって得た「縁」良い面も悪い面もある。

    温める、明かりとして人を助ける「火」
    傷つける「火」
    良い面、悪い面

    「火」と言うモチーフが、もともと言葉遊びのようむ(火遊び、噂の火種、等々)様々な日本語としてあるので、憎いくらい上手く話の中に散りばめられてる。

    面白い。

    「戦国時代」ではないが
    火事場の仕事は、刻一刻と町や人を奪っていく、時間に追われる中で
    風を読み、火を断つため建物を壊す、
    迅速に判断し、指揮をとる。
    火との「戦」の場面も緊張感があって
    読ませます…

    と、書きたいことが多すぎる、
    一作目から詰め込みすぎだろ…

    いや、凄かった!
    こりゃぁ諦めて
    続編を読むしかなさそう。

  • 〈くらまし屋〉シリーズの今村翔吾氏のデビュー作。
    ようやく読むことが出来た。

    かつて江戸随一と呼ばれた武家火消、『火喰鳥』こと松永源吾。訳あって五年前に火消の世界から遠ざかっていたが、出羽新庄藩から壊滅状態の火消組織の再建をたくされる。少ない予算でどう百人からの火消組織を作り上げるのか。さらにそんな中、江戸では『狐火』と呼ばれる謎の放火犯による火事が頻発していて…。

    デビュー作ながら読みやすくキャラクターも立っていて面白かった。
    五年前のある事件で思うように走ることが出来なくなった上、火が怖くなってしまった源吾が昔のような火消としての誇りと輝きを取り戻せるのか、というテーマが軸だが、頭取並の新之助、元力士の寅次郎、元軽業師の彦弥、物知り博士の星十郎ら主要メンバーもそれぞれ抱えるものがあって魅力的。

    『ぼろ鳶』とは、予算の少なさから揃いの衣装も誂えることが出来ず、町人たちからからかわれた呼び名から。だがそんな『ぼろ鳶』たちは次第に結束し力を発揮し、『ぼろ鳶』という名は町人たちからも親しみを以て呼ばれるようになる。

    デビュー作ならではの並々ならぬ気合いの入れようなのか、かなりの盛り込みようで、もう少し要素を減らしても良いのでは?と思うくらい。
    源吾の過去の事件から、その時の因縁の相手から、源吾の妻の献身やら、次第に規模が大きく酷くなっていく『狐火』による火事との闘いやら、その火付けの真相に絡むドラマやら、鬼の平蔵や田沼意次の登場やら。もうお腹いっぱいだ。
    もしかしたらこの作品を書き上げた時点では続編があるかどうかは分からなかったのかも知れない。

    また火消といえば町火消くらいしか思い浮かばなかったが、このシリーズでは武士のための『大名火消』にスポットを当てているのも興味深かった。武士のためとは言え、大名屋敷や城だけでなく、町を守っている。また町火消同士で手柄争いがあるように、藩同士でも手柄争いはあるのだが、いざとなれば町人も武士も関係なく協力し合って町を守る姿は良かった。

    ようやく組織としてのまとまってきた『ぼろ鳶組』。そしてやっと揃いの衣装も拵えて貰えて良かった。これからさらにどんな活躍を見せてくれるのか。

  • 時代小説というものは初めてでした。でも江戸の火消しと言えば、それだけでもうワクワクしてしまいます。作者はいいところに目を付けましたよね!(笑)そういえば映画「バックドラフト」もすごくよかったなぁと思いだしました。自らの命を懸けて人々を救う、自分たちの街を守る、そこに現実味のある様々なドラマが生まれてきます。

    この話は、当然今のような最新機器のない江戸時代における火消し。日本は木造住宅ばかりでしたから、江戸のように超密集した地帯で一旦火事が発生すると、延焼を食い止めるのは並大抵のことではなかったはず。一層の過酷さの中、そこに生まれる人間ドラマ、そして江戸っ子ならではの粋な心意気、面白くないわけがない!

    このシリーズの第1巻ということで、「羽州ぼろ鳶組」の主要メンバー一人ひとりの背景が丁寧に描かれ、主人公の頭、源吾にほだされていく様子が描かれています。源吾自身、かつては旗本に仕えていて「火喰鳥」と異名をとるほど人気で持てはやされたヒーローでしたが、あるトラウマを抱えて浪人となっています。そして彼自身の苦悩、一人の人間としての「炎」への恐怖・トラウマを抱えてしまった自分をどうにか克服しようとする心の中の葛藤を繊細に描いています。絶対的に強いリーダーではなく、悩み・苦しむリーダーというのはひとつのポイントかもしれません。それに加えて、剣の達人(新之助)、超人的な軽業師(彦弥)怪力の元相撲取り(寅次郎)、博識で風を読む天才(星十郎)、これらの超魅力的なキャラクターが源吾のもとの集結していく様子が描かれていますが、これがまたたまらない。男が男に惚れていく、この感覚、しびれるんですよねぇ。おそらくこのシリーズの人気は、これらの愛すべきメンバー達が、強敵と奮闘していくから非常に面白いんだと思うのですが、もうひとつ、この、男が同じ男を認めて惚れてついていく、というこの感覚、これが私をキュンとさせてしまうのです。

    個人的な話ですが、私も長い社会人生活の中で、殺伐としたサラリーマン社会でもこういった粋で心意気のある先輩が何人かおられ(いまだに交流させていただいていますが)、一緒に無茶苦茶困難のプロジェクトをやっていく中で、あぁ、この人についていきたい!と思って、「自分をなんでも使ってください!」と言ったことが数回あります。人によってはそれが部活かもしれないし、何かの趣味の集団かもしれない。でも男は「あぁこの人なら自分はついていくぞ」と思わせてくれるような人に出会うと、自分を差し出してでもついていこうとするから、そのチームには強い団結心が生まれ、自分が持っている以上の力を発揮するんですよね。そういう感覚をこの小説の中に感じて、源吾に惹かれていくメンバー達に強い共感を覚えました。

    この作者、まだ若い!しかも私と同じ、京都出身だし、現在滋賀県在住だとか。私も京都出身で、滋賀県に何年か住んでから、関東へ転勤になったため、この作者を応援したくなりました。同郷の若き才能、是非とも応援してあげたい、そんな気持ちです。

  • 読みやすくて面白かった。
    火消という男たちの熱い世界に魅了された。
    過去に傷を持つ 「火喰鳥」こと松永源吾。彼はもちろんのこと、一人一人丁寧に描かれた人物描写、感情と言葉ひとつひとつが心に沁み入る感覚がたまらなかった。
    火消とは…己に自問する源吾の姿、熱い火消魂、一丸となって立ち向かう熱い姿は読み応え抜群。
    ミステリ要素も絡めてあるのも良かった。
    シリーズ追いかけたい。

  •  江戸を舞台に壊滅した藩の火消し組織を再建するため、「火喰鳥」こと松永源吾を中心に個性派揃いの鳶たちが活躍する迫力の時代小説。

     時代小説でここまで読ませる作品に出会えて本当に幸せだと感じました。

     章ごとに有能な火消しの鳶たちを集める話になっていて、定番の展開ですが、それぞれの鳶たちが個性的で話一つ一つも目が離せませんでした。

     火付けの犯人との攻防もクライマックスに向かっていやがうえにも盛り上がり、最後まで手に汗握る展開で、夢中になって読んでしまいました。

     防火についての知識も身に付き、欲張りな作品でした。

     次巻も楽しみます。

  • 元は火消番付の大関に名を馳せた「火喰鳥」こと松永源吾。訳あって浪人風情になっていた彼の元に、出羽新庄藩から火消頭としての仕官の誘いが舞い込んでくる。果たして、源吾はもう一度火消として江戸の町を守れるのか…。

    「コレ絶対面白いから読んだ方がいいよ、って言うか読んで!」と人から強固に勧められた一冊。ハイ、今回もドツボにむちゃくちゃハマりました。
    実は時代小説はこれが初めてだったので、あまり気乗りしなかったものの、読み始めるとページをめくる手が止まらない!なんですか、このどストライクストーリー。
    主人公の松永源吾はもちろんのこと、登場人物一人一人のキャラクターがまた良いのなんのって、もう最高です。特に源吾の奥方、深雪はその中でも群を抜いていて、登場シーンには自然と笑いと涙が出てきます。
    物語の後半は、狐火こと火付け犯を追うミステリーの要素も相まって、クライマックスは感涙必至、ハンカチ必須です。江戸っ子の気質と言うか、火消の魂と言うか、人情や熱いものがたくさん詰まった一冊、これはイイ本を教えてもらいました。というわけで第2作目、買いに行って来ます。

  • 読み友さんのレビューを読んで興味を持った本。ブックオフで見つけて一気読み。歴史小説+お仕事小説。江戸の火消しをテーマにしていて、この第1巻では、壊滅的だった羽州の火消し団を立て直す。主要メンバーを一人一人揃えていく話がそれぞれ面白かったし、暗躍する放火魔「狐火」の謎に迫る様子も良かった。

  • ぼろ鳶シリーズ第一弾。

    どうにもならないやるせなさ、どうにもならない中でも何とかしようとする意志の強さがよかった。

  • 「火事と喧嘩は江戸の華」と言われた時代。
    煌びやかに着飾った火消し達が注目される中、手柄をたてることではなく、人を助けることに命を懸ける!熱い男達の物語でした。

    読んでいて、胸が熱くなるし目頭も熱くなります。
    「ぼろは着てても心は錦」ぼろ鳶はカッコイイ!

    2作目も読みたいと思います!!

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著者プロフィール

今村 翔吾(いまむら しょうご)
1984年、京都府生まれの時代小説作家。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て専業作家となる。
2016年、『蹴れ、彦五郎』で第十九回伊豆文学賞の小説・随筆・紀行文部門最優秀賞、2016年『狐の城』で第二十三回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞をそれぞれ受賞。2017年『火喰鳥』が単行本デビュー作となり、啓文堂書店時代小説文庫大賞を受賞、「羽州ぼろ鳶組」シリーズとして代表作となる。2018年「童神」で第十回角川春樹小説賞を受賞し、『童の神』と改題されて単行本発刊。同作が第8回本屋が選ぶ時代小説大賞候補となると同時に、第160回直木賞の候補に。

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