火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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  • / ISBN・EAN: 9784396342982

感想・レビュー・書評

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  • これ、面白い!粋で鯔背な江戸火消したちの活躍。
    火消し頭取の源吾のもとに集まってくる多士済々な仲間たち。そして、源吾たちを翻弄し続ける連続放火のミステリー、大火。
    これだけでも十分面白いのですが、私にとって新鮮だったのは、火消しの視点からみる江戸でした。これがなんとも新鮮です。パリやロンドンが50万人くらいの時代に、世界一150万人の人口を誇った江戸。その活況が伝わって来るようでした。芝や御徒町、浅草、千住、馬喰町、日本橋などが往時はこうなのかと目に浮かびます。相撲興行や軽業師、蕎麦屋、長屋など江戸の生活が生き生きとよみがえってきます。これらの描写が優れています。
    実際に幕末の江戸の写真がのこっているし、わずか200年も遡れば江戸の町に繋がっている。
    年を重ね瞬く間に現在の年齢になった今、そう遠くもなく感じるのです。
    だから、火消したちが縦横無尽に飛び回る様をありありと想像することができます。
    源吾たちと江戸の町を堪能し、一気読みしてしまいました。

  • 今村翔吾さんまたもや★5です

    もうあれだ全作直木賞でいいんじゃなかろうか(いいわけない)

    もうめちゃくちゃ面白かった!

    今村翔吾さんの作品はまだ4作目ですが、ほんともう登場人物たちが魅力的に作り込まれているんですよね
    なんというか日本人のDNAに直接攻撃を仕掛けてくるんですよね

    大きなトラウマを抱えつつ強い信念でそれを乗り越えようとし、常に部下を思いやり先頭に立って引っ張る強いリーダー
    女好きのひねくれ者の仮面を被った一途で仲間想いの優男
    気は優しくて力持ち、決してあきらめない不屈の男
    突出した才能と異形により疎まれた鬼才の参謀
    実は誰よりも熱く無限の伸びしろをもつ飄々とした弟分
    普段は鬼嫁、深い愛情と凛とした強さで夫を支える妻
    信と仁で仲間を陰から支える官吏
    厳しく時に障害ともなるがいざというときには命をかけても部下を守る上役
    表面上はいがみ合うが深いところで志しを同じくし信頼しあうライバル
    深い悲しみにより悪にそまる敵役

    みんな日本人が遺伝子レベルで大好きなベタ設定とも言える
    でもちゃんと深みもあるんだよねぇ

    そしてそんな超絶魅力的なキャラクターたちが江戸の町を縦横無尽に走り回る

    こんなんもう反則ですよ
    反則級の面白さ「羽州ぼろ鳶組」!
    シリーズなのがありがたや!
    続けて読んだりましょう!

    • ひまわりさん
      明けましておめでとうございます。直木賞を受賞されテレビ画面越しの今村先生に絶句したのは昨日の事のよう。あやしー!!
      でも、小説はサイコー。
      ...
      明けましておめでとうございます。直木賞を受賞されテレビ画面越しの今村先生に絶句したのは昨日の事のよう。あやしー!!
      でも、小説はサイコー。
      池波正太郎好きなとこもグーッ

      私も今村さん、めっちゃ好きです。全作、直木賞でいいと思います。
      ひまわりめろんさんの本棚を頼りに読み進もうと思います。


      2023/01/01
    • ひまわりめろんさん
      ひまわりさん
      あけおめです

      今村翔吾さんいいっすよね
      ちょっと色々やりすぎ!とも思いますが
      その色々が全作直木賞に通じているのか...
      ひまわりさん
      あけおめです

      今村翔吾さんいいっすよね
      ちょっと色々やりすぎ!とも思いますが
      その色々が全作直木賞に通じているのかとも思うので
      そのままの今村翔吾さんで爆進してほしいですね
      2023/01/10
    • ひまわりさん
      同感です。
      本屋始めたのは、儲からんのに印税でカバーかとか、要らんことを考えました。
      ほんと、このままの今村翔吾さんでいて欲しい。
      あー、幸...
      同感です。
      本屋始めたのは、儲からんのに印税でカバーかとか、要らんことを考えました。
      ほんと、このままの今村翔吾さんでいて欲しい。
      あー、幸村を撃てにも、直木賞あげて欲しい。
      出遅れてますが、やっと図書館の順番がきました。これから塞王の楯を読みます。
      2023/01/10
  • 初の今村翔吾さん。
    時代小説をほとんど読まない私に、ブク友やまさんが勧めてくださった一冊。

    冒頭からかっこいい男の登場!炎の中の男が映像で浮かんできた。
    物語は現代風っぽくて読みやすかった。ミステリー要素もある。
    藩の火消組織を再建するために頭として召された松永源吾が仲間を集めるところが好き。中でも私のお気に入りは、元力士の寅次郎。気が優しくて力持ちで頼りになる。

    杉浦日向子著「一日江戸人」によると、江戸人の選んだ男の中の男"江戸の三男"とは、『火消しの頭、力士、与力』だとか。やっぱり!♡

    この時代の消火方法は破壊消火というのも初めて知った。江戸の大火の様子を知りたくて、動画配信で確認してしまった。消防博物館にもこの時代の資料があるらしい。行って源吾たち火消に思いを巡らすのもいいかもしれない。歴史を知ることにも繋がりそうだ。
    (※江戸東京博物館は現在休館中(T_T))


    7/8追記
    消防博物館に行ってきた。
    江戸時代の火消に思いを巡らすことができた。

  • かつて、江戸随一と呼ばれた武家火消。「火喰鳥」の二つ名を持つ源吾、今は貧乏浪人暮らし。そこへ、出羽新庄藩から火消組織再建の依頼がくる。
    再建の為の有望人材スカウトから始まり、魅力的な登場人物が、源吾の元に集まってくる。資金少なの彼等は、「ぼろ鳶」と揶揄されるが、ボロは着てても心はなんとかっていう、使命感溢れる火消組織となっていく。
    江戸の消火組織システムについても、ストーリーの中に織り込まれていて、知識少なめでも読んでいると理解してくる。
    大火事で東京の地名が出てくると、走って間に合うの?と、ハラドキ。
    火事の炎も熱いけど、火消達の心も熱い。ちょっと冷静な、源吾の奥方深雪さんが魅力的。
    時代物がこんなに読み易くなってるとは。

    • おびのりさん
      おはようございます☀
      見てきました。予約本いっぱいになってしまいますね。
      風の谷のナウシカは映画しか観てないです。
      深そうですよね。
      そのう...
      おはようございます☀
      見てきました。予約本いっぱいになってしまいますね。
      風の谷のナウシカは映画しか観てないです。
      深そうですよね。
      そのうち全借しようかな。
      砂の器映画で見るなら、加藤剛と丹波哲郎のヤツにして下さいね。
      2022/06/13
    • 松子さん
      砂の器、加藤剛と丹波哲郎(←なつかしっ!)
      ですね!了解くん( ̄^ ̄)ゞ
      わぁ、初めて見る作品☆
      なんだか楽しみっ!

      来月の有料アマプラの...
      砂の器、加藤剛と丹波哲郎(←なつかしっ!)
      ですね!了解くん( ̄^ ̄)ゞ
      わぁ、初めて見る作品☆
      なんだか楽しみっ!

      来月の有料アマプラの一本にするね
      旦那さんがアマプラ、有料レンタルは1人毎月
      1本までって言うのぉぉぉー!_:(´ཀ`」 ∠):

      お仕事行ってきまっす♪
      2022/06/13
    • おびのりさん
      有料まで観るとは!
      有料まで観るとは!
      2022/06/13
  • 燃え盛る炎を前に身震いする。
    眩暈がするほどの恐怖と、同時にわき上がる高揚感。
    "火消し"でなければ経験することのできない相反する感情に苛まれる"ぼろ鳶組"頭取・源吾。
    彼の人間らしさが実に魅力的。

    資金不足で火事装束も満足に整えられず、町民から"ぼろ鳶"と揶揄されるお江戸の火消集団の物語。
    ぼろは纏っても心は錦。
    心意気なら誰にも負けない。
    元力士に軽業師、引きこもりの学者等々、クセの強さなら他に引けを取らない男達の、炎に立ち向かう男らしさとアツい人情話が面白い。
    そして忘れちゃいけないのが源吾の妻・深雪。
    肝の据わった聡明な算勘名人で、男達に向かって思ったことをバシバシ言ってのける姿が実に魅力的だった。

    主要メンバーの紹介も兼ねた人気シリーズ第1弾。
    今後の彼らの活躍がとても楽しみだ。

  • 〈くらまし屋〉シリーズの今村翔吾氏のデビュー作。
    ようやく読むことが出来た。

    かつて江戸随一と呼ばれた武家火消、『火喰鳥』こと松永源吾。訳あって五年前に火消の世界から遠ざかっていたが、出羽新庄藩から壊滅状態の火消組織の再建をたくされる。少ない予算でどう百人からの火消組織を作り上げるのか。さらにそんな中、江戸では『狐火』と呼ばれる謎の放火犯による火事が頻発していて…。

    デビュー作ながら読みやすくキャラクターも立っていて面白かった。
    五年前のある事件で思うように走ることが出来なくなった上、火が怖くなってしまった源吾が昔のような火消としての誇りと輝きを取り戻せるのか、というテーマが軸だが、頭取並の新之助、元力士の寅次郎、元軽業師の彦弥、物知り博士の星十郎ら主要メンバーもそれぞれ抱えるものがあって魅力的。

    『ぼろ鳶』とは、予算の少なさから揃いの衣装も誂えることが出来ず、町人たちからからかわれた呼び名から。だがそんな『ぼろ鳶』たちは次第に結束し力を発揮し、『ぼろ鳶』という名は町人たちからも親しみを以て呼ばれるようになる。

    デビュー作ならではの並々ならぬ気合いの入れようなのか、かなりの盛り込みようで、もう少し要素を減らしても良いのでは?と思うくらい。
    源吾の過去の事件から、その時の因縁の相手から、源吾の妻の献身やら、次第に規模が大きく酷くなっていく『狐火』による火事との闘いやら、その火付けの真相に絡むドラマやら、鬼の平蔵や田沼意次の登場やら。もうお腹いっぱいだ。
    もしかしたらこの作品を書き上げた時点では続編があるかどうかは分からなかったのかも知れない。

    また火消といえば町火消くらいしか思い浮かばなかったが、このシリーズでは武士のための『大名火消』にスポットを当てているのも興味深かった。武士のためとは言え、大名屋敷や城だけでなく、町を守っている。また町火消同士で手柄争いがあるように、藩同士でも手柄争いはあるのだが、いざとなれば町人も武士も関係なく協力し合って町を守る姿は良かった。

    ようやく組織としてのまとまってきた『ぼろ鳶組』。そしてやっと揃いの衣装も拵えて貰えて良かった。これからさらにどんな活躍を見せてくれるのか。

  • 評判が良く、ブクログを見ても良さそうだったので本屋にいってみるが
    棚を見て、躊躇してしまった…

    時代モノコーナーの平棚が
    一角丸々このシリーズで埋まっていた…

    シリーズものと知らずノコノコと買いに来たため
    「…面白かったら…また懐が…」と
    レジに持っていく手、やや震え

    主人公は、元はその活躍ぶりから
    「火喰鳥」と言う異名を拝した火消しだったが
    今は火を恐れ、落ちぶれていた男
    以前の活躍を知る役人によって
    貧弱な火消し組の頭を任されることになる…

    この主人公が熱い
    人情にも厚く、火消しの勘は鈍っていない。
    悩みながら走るタイプ。
    完璧ではなく悪戦苦闘する

    これに負けないのが、怪力、軽業師、天読みなどの仲間達
    キャラが立ってる。
    そして金勘定と料理の腕が立つ主人公の妻
    (夫を支えつつ叱咤する恐妻…読んでて何故か私まで冷や汗をかく、でも夫を支える優しさが見える)
    他組のライバル火消しも華がある。

    不注意や自然発生の炎だけが相手ではない。
    火事が起きることで利益が生まれる者たち
    がいる事、が根深い。
    火事場泥棒に、店ならライバル店
    建物を作り直す大工、借金などを消すため証書を狙う、政治的な陰謀までと様々

    火消はそんな奴らを
    逮捕できないのでは?
    と言う疑問も解決、なんと有名な
    「あの人」も登場! 
    (大好きな作品の主人公…火付盗賊改方!
    好きな役者が出てきて、
    「よっ!◯平!」(ほぼバレてる)
    なんて掛け声もかけたくなる
    クロスオーバーとして
    楽しませていただきました!)

    火事を起こらぬようにすることで、
    存在意義を失う。自らの存在を"消す"ため
    に悩みながら奮闘する火消たち

    大きな災害の中で、地位や組織の枠組みを超えて協力する事 火事場で追い込まれて我先にと荒れ狂う人だけではなく、立ち向かうために協力する者達が描かれ、熱くて痺れます。

    「火付け人」の思惑が、街を燃やし
    一度破壊し再興する
    (さらに人々が協力する姿)ことだとしたら…破壊の中で生まれる悲しみを無視しすぎた身勝手さを感じる。
    「危機に瀕して、ようやく協力し合うのでは遅い」とか、読みながらつらつら考えてしまう。

    火消し仲間達もまた、火事が起こったことによって得た「縁」良い面も悪い面もある。

    温める、明かりとして人を助ける「火」
    傷つける「火」
    良い面、悪い面

    「火」と言うモチーフが、もともと言葉遊びのようむ(火遊び、噂の火種、等々)様々な日本語としてあるので、憎いくらい上手く話の中に散りばめられてる。

    面白い。

    「戦国時代」ではないが
    火事場の仕事は、刻一刻と町や人を奪っていく、時間に追われる中で
    風を読み、火を断つため建物を壊す、
    迅速に判断し、指揮をとる。
    火との「戦」の場面も緊張感があって
    読ませます…

    と、書きたいことが多すぎる、
    一作目から詰め込みすぎだろ…

    いや、凄かった!
    こりゃぁ諦めて
    続編を読むしかなさそう。

  • SNSでも紹介文を見ない日の無い羽州ぼろ鳶組シリーズ。近所の書店でも全巻平積みされてて、いつか読みたい作家さんだなとは思いつつ、正直そんなに?と斜に構えて手に取ったけど、もう涙涙、感動感動。爽やかな読了感…

  • 読みやすくて面白かった。
    火消という男たちの熱い世界に魅了された。
    過去に傷を持つ 「火喰鳥」こと松永源吾。彼はもちろんのこと、一人一人丁寧に描かれた人物描写、感情と言葉ひとつひとつが心に沁み入る感覚がたまらなかった。
    火消とは…己に自問する源吾の姿、熱い火消魂、一丸となって立ち向かう熱い姿は読み応え抜群。
    ミステリ要素も絡めてあるのも良かった。
    シリーズ追いかけたい。

  • ぼろ鳶組は何年か前に1巻を読んで、その時も面白い〜!と思った記憶があるんですが、当時なかなか時間がとれなくて2巻以降を読めておらずでした。

    このたび2巻以降も読みたくなって、とりあえず1巻を再読。

    うーんやっぱ面白い!登場人物みんな熱い!!

    主要登場人物は全員好きだけど、とくに深雪のキャラがすごく好き。
    源吾との関係がすごく良いんですよね〜!実はあのとき助けた…っていうのも、少女漫画好きにはキュンポイント。うんうん、そんなの惚れちゃうよね!

    時代小説を読むといつも思うんですが、昔は日本人も今より感情表現が豊かだったんですよね。
    怒ったり悲しんだり喜んだり、喜怒哀楽をしっかり表すイメージ。

    現代日本では腹が立つことがあっても顔には出さないのが立派な大人みたいな風潮がありますが、
    この本に出てくる登場人物たちのような腹を割って言いたいことをバシッと言い合って、でもその後は一切引きずらない!みたいな関係って良いな〜と思います。

    そしたら現代人が抱えているストレスも少しは減るんじゃないのかな〜、なんて。思ってること顔に出さないなんてしんどいもん。

    とは言っても、小心者のザ・現代の日本人気質の私にはハードル高い話なんですけども。

    なんのこっちゃな話になりましたが、この巻でひととおり役者は出揃ったのかな?
    まだまだ掘り下げる余地アリアリの魅力的なキャラばっかりなので、2巻以降が楽しみです♪

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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