パレートの誤算 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
3.55
  • (6)
  • (29)
  • (26)
  • (5)
  • (0)
  • 本棚登録 :181
  • レビュー :30
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343002

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 生活保護費の不正受給及び貧困ビジネスに絡む社会派ミステリー。
    時には新聞などで目にしたことはあるが、あまり触れられないこれらの問題をテーマに、エンタメに仕立て広く世間に告知した著者の意気込みを評価したい。
    社会福祉の現場を活写し、生保受給者にもそれこそいろいろな人がいることを、読者は知ることができる。
    そして、この問題を取り上げながら、けっして社会的弱者を切り捨ててはいけないというメッセージを、著者は題名『パレートの誤算』に込めている。
    終章で綴られる学生の寄稿文を載せたいがため、この小説を書いたのではないかとさえ思える。

    事件を解明すべく活躍する主人公聡美のキャラクター造形とともに、もう一人注目すべきは刑事の若林。それまで如何にも刑事らしい冷静さといやらしさで彼女の反感を買っていた若林が、彼女の危機に際しては態度を一変。
    警察法第一章第二条を唱え、電光石火で彼女の救出に向かう場面で、カタルシスを感じるのは読み手ばかりではないだろう。

  • 柚月裕子『パレートの誤算』祥伝社文庫。

    文庫化されたので再読。

    やはり、柚月裕子は期待を裏切らない。何よりもストーリー展開のテンポが良く、ミスリードの使い方も非常に上手く、全く飽きることなく、一気読みした。

    生活保護受給者のケースワーカーとして市役所で働く牧野聡美は職場の先輩、山川の変死事件をきっかけに社会の闇に絡め捕られていく。生活保護を巡る事件と社会の闇。闇の底に巣くい、生き血を啜る輩の正体は…

    女性作家としては珍しく、本作では暴力団と警察の迫真の描写が描かれている。非常に思い切った挑戦であり、柚月裕子の意欲を感じる。この暴力団と警察の描写が、傑作『孤狼の血』につながったのかも知れない。

    解説は香山二三郎。

    • ホワイトタイガーよーさん
      柚月裕子さんは好きな作家さんですが これは見かけたことがなく まだ読んだことがないです。
      面白そう。見つけたら読んでみます。
      2017/06/11
  • ベテランケースワーカーの山川が殺された。新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見されていた。聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが…。生活保護の闇に迫る、渾身の社会派ミステリー!

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    ベテランケースワーカーの山川が殺された。新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見されていた。聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが…。生活保護の闇に迫る、渾身の社会派ミステリー!

    不正な生活保護受給や知らぬ顔の行政・・・普段でも余り良い気持ちを持っていないのであっという間に入り込めた。生活も出来ないのに子供を連れて離婚とか・・・こういう親って国からただでお金貰えれば良いわ~程度しか考えてないんだろうなぁ~。実生活でも周りに沢山いたわ~皆揃ってブランド尽くめ&内縁の夫有りだった。
    一部は本当に真面目な人もいると思うけど・・・そもそも自立支援なんだからお金を渡す必要は無いと思うけどね。お米券とかにすれば闇ビジネスにもなりにくいのでは?

  • さすが柚月さんだ。こんな、一見地味な題材で、サスペンスを書けるなんて。
    生活保護費の問題について考えさせられた。年々受給者が増えて立ち行かなくなっている現状。不正受給に貧困ビジネス…。
    ヒロインも頑張ったが、個人的に若林の有能ぶりにワクワクした。こんなに自由に動ける刑事は、他の警察小説読んでもいないだろう。

  • 誰からも慕われている、市役所の社会福祉課で働く職員が焼死体で見つかったことから、生活保護制度を悪用した犯罪が明らかになっていく。生活保護制度にスポットをあてた社会派の小説だが、殺人事件の推理小説でもあり、最後まで犯人が分からず面白かった。

  • 生活保護を受ける人々に忍び寄る暴力団の影。ケースワーカーが殺され、同僚の死を独自に調べ始める聡美たちにも危険が迫り…。

    小野寺さんの「自分たちの職分を尽くすことだ」や、若林さんの「俺たちの仕事は自分の首を守ることじゃない。俺は自分に課せられた責務を果たすだけだ」の台詞に痺れた。
    言葉にするのは簡単だけど、実行するのは難しい。小野寺さんにしても、若林さんにしても、そして山川さんや聡美ちゃんも、みな一生懸命己の職分を果たそうとする(しかもそれが当たり前だ、と認識している)姿は、凄惨な事件ではあったけど、一服の清涼剤になった。

  • 福祉事務所の生活保護担当のケースワーカーが殺害された。業務を引き継いだ主人公が事件の真相に迫るミステリー。
    生活保護制度の闇をうまく絡ませて物語を進めている。どのエピソードも本当にありそう。だからすんなり読める。でも、これというインパクトには欠けるかもしれない。
    悪くはない。むしろいい小説だと思うが、柚月さんに期待するものはこの程度ではなくなってしまっている。

  • 貧困ビジネスが余すことなく描かれている。
    確かにビジネスになる面もある。
    オレオレ詐欺にも通じる「詐欺」の世界は深く、闇も濃い。

  • 柚木裕子初読み、ケースワーカーの不祥事を描いた小説といえば、篠田節子著『死神』 (文春文庫)がある。こちらは職員のハードな仕事とその苦労を克明に描写していた。本作は新人女性職員を通して、殺人事件を追うストーリーである。生活保護周辺の状況と、事件解決までに至るサスペンス要素が絶妙である。

全30件中 1 - 10件を表示

パレートの誤算 (祥伝社文庫)のその他の作品

柚月裕子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
柚月 裕子
恩田 陸
ピエール ルメー...
柚月 裕子
横山 秀夫
塩田 武士
柚月裕子
有効な右矢印 無効な右矢印

パレートの誤算 (祥伝社文庫)はこんな本です

パレートの誤算 (祥伝社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする