夜哭烏 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343378

感想・レビュー・書評

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  • 今回も面白い!火災が発生したのにあろうことか鐘が鳴らない。火消したちは動くことができない……そこには裏で大きな陰謀が渦を巻いている。
    これから起きることにワクワクせずにはいられません。個性豊かな、キャラのたった、ぼろ鳶の面々がまた躍動するのが楽しみですし、痛快なのです。

    思えば学生時代家に帰るといつも「水戸黄門」が放送されていました。平日は「暴れん坊将軍」。
    なんかいつもやってるな~と見てみるとこれが面白い。悪い奴らは非の打ちどころのない悪さだし、最後には正義が必ず勝つことがわかっている。そしてラストの人情味ある場面にわかっててもじーんとしてしまうのです。「殿っ!」危うくマツケンに忠誠を誓いそうになったのも一度や二度ではありません。これは年末恒例の「忠臣蔵」にも言えます。毎度のように涙なくしては見れません。
    やはり江戸の昔から脈々と続く日本人の心の琴線を鷲掴みにする要素がてんこもりなんだと思います。

    そんな時代小説の主役に「火消し」が登場します。これがなんとも新しい。火消し視点の江戸時代も持ても興味深いものです。

    続編も全て購入してしまいました。
    わかってるんだけどワクワクして、ホロリとするんだろうなぁ。これからも今村さんの作品に期待です(☆∀☆)

  • 面白かった〜
    でも第一巻のインパクトからはやや落ちちゃったかな

    今回は新之助大活躍!&みんな大好き深雪さんの魅力大爆発の回です
    もう老若男女問わずに深雪さんが大好きなのは国民全てが認めるところですが
    男も女もこんな奥さん欲しい〜って思いますよね!ん?

    そしてハチャメチャ設定のこのシリーズ、実は江戸の火消しに関してはしっかりと時代考証ができていて、そこが物語に不思議な説得力を生み出してますよね
    歴史をうまく利用してるっていうのかな?

    歴史遊びの達人今村翔吾さんのぼろ鳶シリーズ
    次も楽しみ!

  • 〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第二作。

    『火喰鳥』こと松永源吾率いる火消集団・羽州ぼろ鳶組が今回戦うのは、火付けをしながら火消たちにある圧力をかけて消火させないという卑怯極まりない悪人。
    目の前で町が燃えているのに手を出せない火消たち。一体そこにどんな真相があるのか。
    そして犯人の手はついに江戸一番と呼ばれる加賀鳶を率いる大音勘九郎、そしてぼろ鳶組にまで伸びて…。

    安定の今村作品。
    第一作から田沼意次やら長谷川平蔵やらが出て来てスケールアップし過ぎて大丈夫か?と心配したが、今回もまた田沼老中活躍。
    しかしここまでする? 場合によっては江戸が燃え尽きてしまう。

    火消のルールもまた一つ知った。
    火元に近い大名家の火消がまず太鼓を打ち、それを聞いて町火消が半鐘を鳴らし、それを聞いて初めて消火活動が出来るという順番だそうだ。
    この時代だから、当然その順番を守らない、つまり太鼓が鳴ってないのに半鐘を鳴らしたり消火活動をするとお咎めがあるらしい。
    消火活動なんて、一刻を争うのだからそんなこと言ってる場合ではないのに。
    だが犯人はそこを突いてこの卑劣な犯行を重ねていく。

    相変わらず火消たちの矜持と勇気が良い。また彼らを支える家族も良い。
    『火喰鳥』源吾と『八哭烏』勘九郎、それぞれの考え方は違えど、町を守りたい気持ちは同じ。
    ぼろ鳶組メンバーでは新之助が活躍。普段は源吾の妻・深雪にやり込められているが、剣を握れば雰囲気が変わる。しかも常々源吾に言い含められている、どんな命も救えという教えを律儀に守るなど、格好良いではないか。

    〈くらまし屋稼業〉シリーズでも時折見せる、何とも大胆でスケールの大きな作成がここでも炸裂。
    ドラマ化しても良さそうだ。
    という訳で、もうしばらくこのシリーズも追ってみることにする。

  • 「誰が腐ろうとも俺は行く。たった一組の火消になろうとも俺は行く!行くぞ!」
    これぞぼろ鳶組。
    江戸一、いや日ノ本一の火消集団だ!
    誰に何と言われようとも、理不尽な邪魔をされようとも、助けを求める人が一人でもいれば、一致団結して皆で炎へ立ち向かう。

    それにしても、江戸の火消の規則には驚いた。
    火元に近い大名家が太鼓を打った後でないと、町火消は半鐘を鳴らせない上に消火活動も出来ないなんて…面倒くさいったらない。

    我らがぼろ鳶組レギュラーメンバーも、クセの強い個性が巧く絡まり、時にぶつかり時に補い合って、団結力も一層強固になってきた。
    そんな中でも一番印象深いのは勘定小町・深雪の活躍。
    一筋縄ではいかないぼろ鳶組の男達をまとめ上げ、叱咤し知恵を授け…と今回も冴え渡り大活躍。

    シリーズ第2弾。
    ますます面白くなってきた。
    新たなメンバーも加わり、新しい命も育まれ、第3弾でのぼろ鳶組の活躍がとても楽しみだ。

  • 羽州ぼろ鳶組シリーズ第二弾。
    ほんとに面白い!
    このシリーズまだ2冊目ですが登場人物が皆々魅力的でグイグイ引き込まれます。
    ライバルや敵対していた人物も主人公の火事から命を守るという熱さに惹かれ最後は一つに纏まっていく。
    田沼意次や長谷川平蔵なんかも登場するがなんと言っても魅力的なのは奥方の深雪さんです!

  • 読者の心をひたすらに忙しなくさせる小説だ。
    考える。笑う。涙する。ハラハラする。そしてまた笑い、熱くなる。

    この感覚が数ページと言わず、数行ごとに押し寄せてくる。

  • 羽州ぼろ鳶組シリーズ、第二巻。

    火事が起こっているのに、目の前の大名火消が何故か合図の太鼓を鳴らさず、そのために町火消しは半鐘を鳴らすことも消火も出来ないという奇妙な事件が頻発する。
    この事件の裏に隠された陰謀に気づいた源吾たちだが、卑怯極まりない敵方に対して、悪事の証拠が見つからないままさらに火付けは続く。
    そしてついに、江戸一番の火消と名高い加賀鳶の頭・大音勘九郎の一人娘が拐かされ…

    処罰を恐れて、火消が目の前の火事を見過ごすことができるのか。
    大切な家族ひとりと、多くの町人たちの命を天秤にかけられるのか。


    源吾と勘九郎という対照的なふたりが、火消の矜持とは何かを鋭く問いかけあい、それぞれのやり方で困難に立ち向かう。
    くぅーっ、泣かせるぜ!熱いぜ!!
    今どきは『男らしさ』などと軽々しく口にするとお叱りを受けるご時世ですが、これを男の中の男のドラマと言わずしてどうする。

    とはいえ、深雪の超有能ぶりと初々しさを失わない女房ぶりにも、これまたぐっとくるのです。
    続巻が楽しみ。

  • NHKに「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組がある。 まさしくこの話は、火消としてのプロ集団の物語である。

    今回、初めて火消には独自の規則があることを知った。まずは、士分の火消が太鼓を打ち、それを聞いた後でないと町火消は、半鐘を鳴らすことはできない。さらに同じ士分でも最も火元に近い大名家が初めに太鼓を打つ決まりとなっているというのだ

    ここでも士分を頂点とする封建的な身分制度が町人を苦しめている

    このきまりを逆手にとり田沼意次の失脚を謀ろうとする陰謀で、江戸の町が次々と灰になっていく
    きまりにより動けずにいる他の火消集団を尻目にぼろ鳶組は、「一人の命も死せるな」を合言葉に獅子奮迅の活躍を見せる

    今回もぼろ鳶組は、熱かった。ぼろ鳶組ばかりではない、加賀藩の大音勘九郎率いる加賀鳶の面々、町人火消し万組の魁武蔵。それぞれが磨き鍛え抜かれた火消しの技を惜しげもなく発揮する

    他の組に負けてはならじ、遅れてはならじとライバル心を剥き出しにしつつも、そこには相手への信頼や尊敬、男の友情が、読者の心まで熱くする

    火消の場面ももちろん興味深いが、私は源吾の家で会食した面々に深雪が、お金を請求する場面が大好きだ
    人によって違う金額の理由が妙に納得し、ニンマリしてしまう
    そこまでしなくてもと、ハラハラ見ている源吾を尻目にしたり顔の深雪の顔が目に浮かぶようだ

  • やっぱり止まらない( ̄▽ ̄)
    当分ぼろ鳶から抜け出せない笑

    麒麟児新之助がバッさバッさと立ち回り!
    般若深雪の頭も口も冴え渡る‼︎
    もう毎日鍋パーティして欲しい笑

    新しい仲間も増えてますます楽しみです\(//∇//)\

  • 「火喰鳥」を読んだら、やっぱり続きが読みたくなっちゃったよ。

    前作の大火から一年、復興が進む江戸の町。そこに、火が出ても定火消が火消しを繰り出す合図となる陣太鼓が打たぬという事態が立て続けに起こる。なぜ定火消は太鼓を打たなかったのかといういささかミステリーじみたところから始まる物語。
    そのからくりが結構あっさりと割れるところはご愛嬌だが、そこからは今回もまた怒涛の展開(いや、その前でも太鼓を叩かぬ屋敷に無理やり押し入って太鼓を叩いてしまうなど最初から派手な立ち回りなのだ)。
    加賀鳶へそしてぼろ鳶へも火の粉は降りかかるが、それを振り払わんと江戸中を疾駆するのはもとより、舟は乗っ取るわ、撒いた追っ手が追い縋るわ、火をつける(!)わ、スピーディーな展開で、その中に勘九郎の火消しとしての矜持や子を思う心、源吾と武蔵の因縁の顛末など人情噺もしっかりと挟み込み、新之助は12名を相手の大立ち回りと思えば舟の上での鬼神の如き真剣勝負と、今回もまた少ないページの中に色んな出来事がてんこ盛り。
    そんな男たちの活躍に加えて、今回もまた、深雪さんが更に女を上げるのもニクイ。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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