死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)

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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343583

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は調律師の女性。
    彼女は愛媛の片田舎の出身で、そこでの暗い過去をもつ。
    幼い頃、父親をなくした彼女は依存症の母親と共に父親の弟ー叔父の世話になる事になるが、叔父は横暴な人間で容貌も奇怪な男だった。
    その叔父に幼い頃、真っ暗な部屋に閉じ込められた記憶のある彼女。
    叔父の妻ー叔母は美しく親切な女性だったが、叔父に逆らう事ができず、母親も同じで彼女をかばってはくれなかった。
    そして、依存症の母親はやがて叔父と関係をもつようになる。
    そんなある日、叔父が風呂場の事故で亡くなり、やがて彼女は母親、叔母と離れ上京し調律師になった。
    現在の主人公は天才的なピアニストの女性、彩夏に気に入られ、彼女について出席したパーティーで彩夏の義兄の男性と出会い気に入られる。
    彼からの交際を断り続ける主人公に彩夏の風当たりは強くなり、そんな中、彼女は同郷である記者と出会い、自分の昔が掘り返される事を恐れる。
    そして、その後、愛媛にいた頃仲良くしていた同級生の女性と出会い、それを機に昔の記憶が呼び覚まされ、ことの真相を知る事となる。

    ざっくり書くとこんな感じの内容。
    最初から面白く、あっという間に中ほどまで読めた。
    それが中盤から急に話がもたついて感じられ、面白味もなくなった。
    それは大体こういう事だろう・・・と、事の真相が私なりに読めてしまったからかもしれない。
    多分、こういう類の話をよく読んでいるので、読めてしまったというのもあると思う。
    それがなければ最初と同じ熱をもって読み進められたのかもな・・・と思う。

    今まで読んだこの人の本と同じ、愛媛県を舞台にしていて、小説の舞台となったのは多分架空の場所だと思うけど、実際にあった事もふまえているので全くの架空の話という感じではなかった。
    音楽や調教師の仕事について書かれている部分もちゃんと書かれているんだろうな・・・と感じられた。
    それがただの田舎を舞台にした陰鬱なミステリーというだけでなくリアルさ、説得力を感じさせてくれた。

  • これはやられた! って感じでした(^ ^;

    物語の序盤は、伝奇ホラー風。
    ダムに沈んだ村、キリシタンの呪い、
    謎の「事故死」を遂げた伯父...などなど、
    おどろおどろしいモチーフが続けて出てくる。

    それが、とあるきっかけで「謎解き成分」が増える。
    主人公の過去を探ろうとする同郷の三流ライター。
    この辺からさらに「バイオレンス成分」まで出てくる(^ ^;

    さらに終盤には「え、そういうことだったの!?」
    という驚きの展開になり、その後まだ二転三転(^ ^;
    も、何を信じたら良いのやら状態(^ ^;

    読み進めつつ「え、ちょっと待って」となって、
    ページを遡って読み返すこと数回(^ ^;
    一冊で5度も6度も楽しめる(^ ^

    エンディングも、一応はハッピーエンドながら、
    この先まだ波乱を予見させるモヤモヤは残り(^ ^;
    巻末の解説を読むと、気づいてなかった
    「さらなる仕掛け」が隠されていたりして...
    本当にどこまで掘り下げて構成してるんだ作者は(^ ^;

    いや〜、いろんな意味でやられましたわぁ...(^ ^;

  • 呪われた一族、隠れキリシタンの祟り?ダムに沈んだ村から浮かび上がる真実とは…
    戦慄の長編ミステリー作品。「人間の暗部に切り込んでいきたい」インタビューでご本人がそうおっしゃっていたそうです。
    いいですね~、そういうダークな雰囲気の作品、すごく好みです!
    本作も今まで読んだ作品と同様、暗くて不穏な空気が漂う内容となっています。
    設定が面白そうなので少し期待し過ぎたかな?満足度はそこそこ、でした。
    期待している作家の一人です。これからもたくさん書いて欲しい!

  • 「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    だいぶ、作者のやり口に慣れてきたので、
    今度こそだまされないぞ、と読み進めた。

    幻のように消えた子供がいても、それは幽霊ではない。
    呪いと言われても、信じてはいけない。
    あっさり書かれている出来事には裏がある。

    かなり真実に近づけたが、やっぱりだまされた。
    ラスボスには気が付いたけど。

  • このタイトルはちょっと吸引力が弱いなぁと思ったのですが、読了後はなるほどと思いました。おなかいっぱいの盛りだくさんです。宇佐美作品は作者の言のとおり人間の暗部に切り込む小説です。主人公のことに関しては誰でも予想のつく展開なのですが、さらに思いがけなかったそして最も怖かったのはラストのおばさまの暴露でした。だれもが心に暗い影を持っている。そしてそれを引き受けつきあいつつ生きていく。死ぬまで明かさない秘密、影、毒。それを含めて私なんだと思わされました。主人公はきっと幸せになる。そう願いながら本を閉じました。

  • 『入らずの森』を読んで、追いかけようと決めた作家さん。
    不遇な子供時代を過ごしたピアノ調律師をしている主人公の麻衣子。
    過去に住んでいた村での記憶と現在とが並行して話が進む。
    正直オチは予想がついたのですが、それでもやはり面白かった。
    隠れキリシタンが話のポイントとなってくると思っていたのだけれど余り深くは関わっていなく、そこが少し残念。
    やはり祟りや呪いよりも生きている人間が一番怖いですね。

  • 殺害方法の思いつきや途中まで親友を全く思い出さないとか不自然な部分を感じつつ、麻衣子自身の秘密が明らかになって「おぉ~」と期待していた著者の力量に触れる。
    どんどん不気味に変化していく司の存在感にゾクゾク。最後はそれを上回る黒い影の存在が作品の背景を流れる暗い水のモヤモヤから姿を現し、妙な満足感と前途多難な不安を両方抱えたまま読了。でも、麻衣子と陽一郎との間に新しく築かれた何より強固な絆がきっとこれからの救いとなるのだろう。
    今後もまた人間の暗部に切り込んだこの人の作品が読みたいと思わせてくれる良作だった。

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。2006年『るんびにの子供』で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年、ミステリー小説『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞する。日常に潜む怪異を描き、恨みや妬み、欲や貧困など、人の心の闇や怖さを浮き彫りにしたミステリーが高く評価されている。

「2017年 『角の生えた帽子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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