死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)

  • 祥伝社
3.30
  • (4)
  • (14)
  • (26)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 163
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343583

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この作品は四章から成り、章ごとに有名なピアノ曲にちなんだタイトルがつけられています。
    第一章「沈める寺」ドビッシー、第二章「水の戯れ」ラヴェル、第三章「雨だれ」ショパン第四章「オンディーヌ」ラヴェル。
    そしてこの本のタイトルである『死はすぐそこの影の中』はフランスのピアニスト、アルフレッド・コルトーに命名された「雨だれ」のもうひとつのタイトルです。


    そして主人公である一藤麻衣子はピアノの調律師です。
    麻衣子は東京の生まれですが5歳で父を亡くし愛媛県の七富利村の村長だった父の兄である伯父の家に母と身を寄せます。
    麻衣子は転校生ですが困った時に麻衣子を助けてくれるミツルや司という友だちができます。
    一方、麻衣子は5歳まで習っていたピアノに想いを募らせます。
    麻衣子が中学生の時に子どものできない伯母のかわりに母と関係を持つようになっていた伯父は家の風呂に溺れるという不審死を遂げ、隠れキリシタンの呪いという噂がたちます。
    そして、村にいられなくなり麻衣子と母、伯母の幸枝は東京へと移り住みます。
    麻衣子は病院の精神科で治療を受けのちに調律師になります。
    人気ピアニストの兄で実業家の橘陽一郎との噂がきっかけで、麻衣子の過去を知る人物に出会い、伯父の怪死事件の謎と麻衣子の過去が明らかになっていきます。
    しかし、麻衣子の過去を知る人物は大怪我をします。


    最後まで一番怖い人物は誰なのかわかりませんでした。
    村の旧家で起こった数々の事件。
    罪を犯した人物には一体、どういう制裁が下るのか。
    かなり怖い終わり方です。ホラーだと思いました。

  • 購入済み
    2022.01.05.読了
    なんだ、予想通りの結末か。。。
    と少しガッカリしたところ。。。

    さすが宇佐美まことと言わざるを得ない!

    途中、なんかつまらない終わり方かも。。。と思っていた。それでもやっぱり読みたいし、ガッカリしてもいい!と思わせてくれる作家。
    この人の作品はガッカリがない!

  • こうなるやろ→やっぱりなぁ→そう来たか!!→嘘でしょ……

    っていう本でした。
    自分が見ている・信じている世界が実は虚像だったら…友達や自分自身を信じられなくなりそうです。

  • 初読みの作家さん♪
    ホラーっぽくて、怖いのは嫌だなぁと思いつつ、読み進めてみると、しっかりとしたミステリーで、よかった!
    2度読みすると、なるほどなぁと腑に落ちた。
    他も読んでみたい。

  • 主人公は調律師の女性。
    彼女は愛媛の片田舎の出身で、そこでの暗い過去をもつ。
    幼い頃、父親をなくした彼女は依存症の母親と共に父親の弟ー叔父の世話になる事になるが、叔父は横暴な人間で容貌も奇怪な男だった。
    その叔父に幼い頃、真っ暗な部屋に閉じ込められた記憶のある彼女。
    叔父の妻ー叔母は美しく親切な女性だったが、叔父に逆らう事ができず、母親も同じで彼女をかばってはくれなかった。
    そして、依存症の母親はやがて叔父と関係をもつようになる。
    そんなある日、叔父が風呂場の事故で亡くなり、やがて彼女は母親、叔母と離れ上京し調律師になった。
    現在の主人公は天才的なピアニストの女性、彩夏に気に入られ、彼女について出席したパーティーで彩夏の義兄の男性と出会い気に入られる。
    彼からの交際を断り続ける主人公に彩夏の風当たりは強くなり、そんな中、彼女は同郷である記者と出会い、自分の昔が掘り返される事を恐れる。
    そして、その後、愛媛にいた頃仲良くしていた同級生の女性と出会い、それを機に昔の記憶が呼び覚まされ、ことの真相を知る事となる。

    ざっくり書くとこんな感じの内容。
    最初から面白く、あっという間に中ほどまで読めた。
    それが中盤から急に話がもたついて感じられ、面白味もなくなった。
    それは大体こういう事だろう・・・と、事の真相が私なりに読めてしまったからかもしれない。
    多分、こういう類の話をよく読んでいるので、読めてしまったというのもあると思う。
    それがなければ最初と同じ熱をもって読み進められたのかもな・・・と思う。

    今まで読んだこの人の本と同じ、愛媛県を舞台にしていて、小説の舞台となったのは多分架空の場所だと思うけど、実際にあった事もふまえているので全くの架空の話という感じではなかった。
    音楽や調教師の仕事について書かれている部分もちゃんと書かれているんだろうな・・・と感じられた。
    それがただの田舎を舞台にした陰鬱なミステリーというだけでなくリアルさ、説得力を感じさせてくれた。

  • ピアノ調律師の麻衣子は、山奥の村で少女時代を過ごした。ダムに沈んだその村での忌まわしい出来事は、いつまでも麻衣子を苦しめる。一人の御曹司と出会ったことで麻衣子の過去が少しづつ明らかになり真実が浮かび上がっていく。なるほど、と納得するとまたひっくり返る。二転三転する展開に引き込まれ一気読み。面白かったです。

  • 「愚者の毒」で知った宇佐美さん。
    読むのはこれが3作目ですが、これはイマイチでした。

    この方の作品では共通して母子関係に起因する事件や犯罪が描かれており、本作もその点については興味深かったのですが、事件の真相がミステリーとしては微妙でしたし、
    結末に至ってはありえないでしょ、と本を投げてしまいたくなるようなものでした。

    ただ一点、評価したいのは私がこれまで読んだ3作全て、同じ人が書いたとは思えないくらい文体が異なること。
    その点を考慮すると、あと1~2作読んでみる価値はあるかも。

    2021年32冊目。

  • 2022.08.27

    「愚者の毒」に続き、一気読みしてしまった。愚者の毒も本当に暗い話だったけど、こちらも暗い…とにかく水の底のように登場人物の誰も彼もが境遇が暗くて重い。もうやめて!と叫びたくなるくらい暗い。イケメン御曹司である陽一郎でさえも…。陽一郎って、ガラスの仮面の速水真澄みたいで、唯一の救済者と思ったけど、恋人の殺人を知ってそれでも結婚する陽一郎も相当ヤバイ。
    結婚後、母か彩香を殺してほしいと思ってるのかもしれないなと勘繰ってしまうイヤーな終わり方。
    こういうのもイヤミスっていうのかしら?

    この小説の中に一貫して流れているものは「狂気」だと思う。登場人物全員が心の中に暗くて醜い狂気を持っていて、それがまた面白くもありページをめくる手が止まらないんだけど、読み進めるごとにこちらの気分も沈んでくる。
    もう誰も信用できなくなってきて、春日コーポーレーションの恩人ユリさんでさえ何か腹黒いものがあるんじゃないかと信用できなくなる始末(結果そこまで酷い展開じゃなくてホッとした)。

    この作者さんの作品はどれもこんな感じで暗いのかな。好きだけど、覚悟して読まないと落ち込むなと思った。

  • 伏線回収は見事なものですが、伏線が伏線とわかりやすすぎて、張った時点で結末まで読めてしまうのが残念。
    トリック?は、綾辻行人的な感じとだけ記しましょう。最後の急展開にもついていけず…
    この作者は最後はいつも急展開なの?

  • 水と音が様々な通奏低音として聴こえてくる。
    半村良か横溝正史かと思いきやダニエルキイス、更にはこれでもかの力技。
    何が本当か分からなくなり、自分ですらも、何人もの人格がいそう。
    貫井さんや乃南さんのような人の心の闇に入り込んでくるが、読後感にはある種の爽やかを感じた。
    読み通しのには、重たかった。女としての心理描写にも好感が持てました。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宇佐美まことの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
ピエール ルメー...
辻村 深月
宇佐美 まこと
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×