鬼煙管 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343972

感想・レビュー・書評

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  • 〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第四作。
    今回は京都出張編。

    京の街で突然遺体や建物が火を吹いて燃える事件が連続して起こる。
    …と聞くと、個人的には乃南アサさんの『凍える牙』を思い起こしてしまう訳だが、当然こちらは展開が違う。
    京都西町奉行の長谷川平蔵に請われて〈羽州ぼろ鳶組〉頭の松永源吾は、星十郎と武蔵を連れて京へやって来た。
    江戸とは勝手の違う中、源吾は少しずつ事件の真相に迫るのだが、予想をはるかに超えて奥深く大規模なものだった。

    ぼろ鳶組メンバーが総出演ではないので寂しいかと思いきや、京にも愉快な火消しがいた。
    野条弾馬というその男は酒飲みだし言動もとても都人とは言えない荒っぽさだが、火消しに掛けては頼れるし、何となく源吾に似ている。つまり粋なのだ。
    また平蔵の息子・銕三郎(後の鬼平)が登場。何故か源吾とは反りが合わずほぼ別行動ではあるものの、銕三郎は銕三郎なりの正義で走り出す。そこがまだ青くハラハラする。
    そしてもう一人、火消し道具作りの達人・平井利兵衛。六代目利兵衛を継いだのは何とまだ若い娘・水穂。武蔵は竜吐水(今で言えば放水機?)を始めとする様々な道具に魅せられると同時に水穂にも魅せられたようだ。

    突然人や建物が火を吹く原理については成る程と思った。少し前に見たテレビ番組で、かのツタンカーメンのミイラに焼け跡があるのもこれが原因と聞いた。
    しかしこれだけ意図も簡単に火を点けられるということはもっと危険なことも出来る訳で、源吾や平蔵らの緊張は高まるばかり。
    それにしても黒幕の思惑には驚かされる。価値観が違うと言われればそれまでだが、そのためにここまでするのか。

    今回は非常に物語が練られていて、親子、夫婦、家族の良くも悪くも強い絆を感じたし、それがゆえに人は前を向いて歩ける一方で悪い方へ突き進んでしまうこともあると改めて知らされた。

    長谷川平蔵が京都西町奉行時代に突然亡くなることは歴史上分かっていたことではあるものの、まさかこのような形でとは思わなかった。
    別れがある一方で新たな出会いもある。銕三郎が今後江戸で源吾とタッグを組むのか、それも楽しみだ。
    そして辛いシーンが続いた武蔵だが、最後にはかわいらしい一面も見せる。今後が気になる。
    源吾の妻・深雪は今回は出番が少なかったものの、良いタイミングで届く手紙は源吾の心を癒し励ましてくれた。

    読後調べたら、黒幕は後々の時代に断絶するらしい。ちょっと溜飲が下がる。

  • シリーズ第4弾。
    泣けた。ぼろ泣きだ。
    終章、長谷川平蔵親子の肩車のエピソードには特に大泣きだった。
    「一度過ちを犯しても、人は優しさに触れてまた立ち直れるはず」
    男達の過ちを許す優しさ、強さに痺れた。

    いつもの江戸を離れ、今回の舞台は京都。
    平蔵に頼まれ、源吾・星十郎・武蔵の3人が、人が突然燃えるという面妖な事件を追いかける物語。
    今回も沢山の出逢いがあった。
    深雪が源吾宛ての手紙にしたためた通り、嬉しい出逢い苦しい出逢いがあり、そして哀しい別れもあった。
    人はそうやって出逢いと別れを何度も繰り返して生きて行くのだ。
    ほんと深雪の言葉は心に染みた。
    いつの日にか再び、成長した二代目平蔵と再会し今回の忌々しい事件を解決してほしい。
    そして源吾と深雪の子供の名前は平蔵の願い通り、平蔵の名に因んだ名前にしてほしい。

  • 舞台は長谷川様が西町奉行を務める京へ。源吾と星十郎、武蔵が駆けつける。次々に起こる奇怪な事件。今度の黒幕は一体誰なのか。敵の狙いは京都人が魂を込めて守ってきた祇園祭の宵山か?!いつものぼろ鳶メンバーが勢揃いしない中、果たして源吾達は京の街を救えるのか!!...... はぁ(*´Д`) もうロス激しいっス。まさかまさかのエンディングじゃないですか... いやいやいやいやいや..... これマジですか!!??茫然自失になってしまいました。市井の人々を守る、その熱い思いで繋がった者同士、常に危険とは隣り合わせ。だからこそ強い絆に結ばれていたとも言える。しかし、今回のエンディングは激しく胸を鷲掴みされてしまった。嗚呼、ぼろ鳶よ、、わしも同じく苦しいぞ.....でも市井の人々は君たちを待っているのだ!!

    • やまさん
      新年明けまして、おめでとうございます。
      今年も宜しくお願い致します。
      いつもいいね!有難う御座います。
      やま
      新年明けまして、おめでとうございます。
      今年も宜しくお願い致します。
      いつもいいね!有難う御座います。
      やま
      2020/01/01
    • kanegon69 さん
      やまさん、新年明けましておめでとうございます㊗️ 今年もどうぞよろしくお願いします。こちらこそ、いつもありがとうございます!
      やまさん、新年明けましておめでとうございます㊗️ 今年もどうぞよろしくお願いします。こちらこそ、いつもありがとうございます!
      2020/01/01
  • 今回の舞台は京都。
    江戸からやって来た源吾、星十郎、武蔵がを待っていたものは・・

    長谷川平蔵の生き様にしびれる。
    序章と終章の平蔵親子の話が泣けた。
    深雪がこの報告を聞いたらどんなに悲しむか・・

    そして武蔵のこれからがいろいろ気になるなぁ。
    魁の武蔵が赤くなっちゃう話が読みたいぞ!

    京の弾馬もまた登場してほしい。
    登場人物の全てが魅力的で目が離せない。
    それは悪役でさえも。

    深雪の文での登場もよかった。

  •  京都奉行長谷川平蔵は、火を用いた奇怪な連続殺人を止めるため、最も頼りにする江戸の火消し、松永健吾を京に呼び、真相に迫るが…。

     待望の第4巻が出たので、早速本作を手に取りました。

     今回は、京都が舞台、ストーリーは、謎を解いていくミステリー仕立てと、今までとはちょっと違ったぼろ鳶組の活躍を見ることができました。

     いつものメンバーが今回は、出番がないので少し残念ですが、その分、後の鬼平である鉄三郎が健吾とコンビを組んで活躍し、見逃せない展開でした。

     クライマックスでは、題名の意味が伝わってきて、胸が熱くなりました。

     プロローグとエピローグの父子のエピソードもこの物語に深みを与え、読後感も爽快でした。

  • 京都西町奉行の長谷川平蔵は、妖の仕業と演出された摩訶不思議無事件に追われていた。江戸から松永源吾、博識の加持星十郎とピンポイントに水をかける技を持つ魁武蔵を連れて向かう。
    そこには、大きな影響力と財を持つ黒幕の仕業とみられる犯罪が。
    謎を解きながら進む消防の仕組みを作ろうと奔走。

    謎解きと、サスペンスの推理も多く含み、悪者の手先となった直接の犯人の持つ事情を哀しく、愛を持って語る物語が見事。

    とても新人として4冊目の仕事とは思えない迫力ある文章。
    堪能させてもらったシリーズ4巻。

  • 羽州ぼろ鳶組シリーズ第4弾。
    千羽一家の事件をに組の頭・辰一と一旦落ち着かせたのも僅か、京で西町奉行となった長谷川平蔵から源吾へ急ぎの文が届く。それによると、火を用いた奇怪な事件が連続しているとのこと。他でもない、長谷川平蔵の頼みゆえ、源吾は星十郎と武蔵を連れ立って京都へ向かうが…。

    これはヤバイ!面白いのは毎度のことながら、今作はシリーズ1番と言っても過言じゃない面白さ!個人的には1番好きかも。
    人の情や、気風の良さ、温かさがいつも満載のぼろ鳶組シリーズですが、今回は号泣というか感涙の嵐というか…、後ろの100頁は読みながらずっと泣きっぱなしだったような…w
    いや、これ、本当に読んだ方が良いです。超絶オススメ本になりました、ぼろ鳶組シリーズ。

  • 舞台は江戸から京都へ。
    火を用いた連続殺人を止めるため、源吾と星十郎と武蔵の三人は、京都西町奉行・長谷川平蔵の元へと向かう。
    平蔵の息子・銕三郎、淀藩火消頭・蟒蛇こと野条弾馬、と新しい出会いがあれば別れもある。
    私がもっとも好きな登場人物が物語から姿を消した。
    別れのシーンが記憶に残る。
    最後までカッコイイ人だった!!!

  • このシリーズ、主だった人は死なないと思ってました。なのにまさかのまさかで…。思わず泣いてしまいました。好きな人物だったので。死に様もカッコいいというか、たまらないです。今回の京都の大火、なんかこうたちが悪いというか(付け火にたちがいいも悪いもありませんが)、火消した ちのかっこよさより、気分悪いシーンばかりが目立つ感じでした。武蔵の船酔い、とても気持ちがわかります。かわいそうだったな。「正義とは不自由だな」本当にそのおりだなと思いました。

  • まさか・・・という思いで終盤は半ば呆然としながらの読書。武蔵はなぜ会ったばかりの女性にそこまで入れ込んだんだろう。想いとは今も昔も男女問わず怖い。そして悪い奴は今も昔も悪い。どんなけの無関係の人を巻き込むんだろう。その犠牲が余りにも大きくて、止められない源吾達の苛立ちがこちらにも伝わってきました。その人が居なくなったからこその、銕三郎の覚悟と悲しみ。仏にも鬼にもなれるのだらか今も人気があるはずです。深雪の出番は少なめ。でも新之助とのコンビは健在と知れニヤニヤと。それにしても源吾、なかなか父にならないなぁ。

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著者プロフィール

今村 翔吾(いまむら しょうご)
1984年、京都府生まれの時代小説作家。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て専業作家となる。
2016年、『蹴れ、彦五郎』で第十九回伊豆文学賞の小説・随筆・紀行文部門最優秀賞、2016年『狐の城』で第二十三回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞をそれぞれ受賞。2017年『火喰鳥』が単行本デビュー作となり、啓文堂書店時代小説文庫大賞を受賞、「羽州ぼろ鳶組」シリーズとして代表作となる。2018年「童神」で第十回角川春樹小説賞を受賞し、『童の神』と改題されて単行本発刊。同作が第8回本屋が選ぶ時代小説大賞候補となると同時に、第160回直木賞の候補に。

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