- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396344238
感想・レビュー・書評
-
今回も面白かった!
このシリーズの大きな魅力のひとつは作中登場する「火消し番付」と通称ですよね「火喰鳥」とかね
なにしろかっこいい!
そして今回は火消し番付がお話の鍵になってたりします
最後は「菩薩」に「火消し菩薩」が勝ちます!
そりゃあそう
偽物が本物に勝つはずがないのだよ!
-
ミステリーを読んでいるようにぐいぐいと読めた。源吾が、京都から江戸に出てきた息子の長谷川平蔵と再びタッグを組む。
今回は、新之助がいつも気にしている火消番付が契機となる。
一巻から出てきた江戸の町民に人気の火消番付。
火事が頻発する江戸で、火消は庶民にとって身近な憧れであり、火消の活躍は藩の命運にも影響していた。
たかが番付、されど番付。
番付は火消の行動も狂わせてしまう。
財政難から火消の削減を迫られ、番付で上にいくために、強引な手口で他の火消から手柄を奪おうとする火消が現れる。
あまりに素早く現場に到着するため、手柄のための放火ではないかとの疑惑が囁かれるようになった折、火消番付の選定にも関わる読売書き文五郎が、疑惑を表沙汰にする前に失踪する。
付け火疑惑と文五郎の行方を追う源吾の先にあらわれたのが、タイトルの菩薩花に通じる、『菩薩』と崇められる常火消の進藤内記。
内記は火事で親を失った子を引き受け、その配下の火消らは父と敬まい、命を惜しまない。
源吾はどこか気持ち悪さを感じている。何やら裏がありそうな『菩薩』だが、果たして…?
火を消すために一丸となるべき場面で、自分が活躍するために他の火消の邪魔をしたり、消口を奪おうとしたり。
江戸の火消制度は、半鐘問題や、とにかく門を守るとか、独自のルールに縛られているところがあるのだが、誰が消口を取るか問題も同じように、そんなことで争ってないで誰でもいいから消してくれよって思うよね。
番付は江戸の庶民のお楽しみだったのだと思うけど、本末転倒な事態になっていることがわかる。本作はちょっとしたアンチテーゼになっていた。
闇の深い事件の真相はわかっても、色々な忖度からすっきり解決しないところもあるのだが、嬉しい出来事もあった。
老中とも懇意にし、もはや新庄藩の裏番長?
いやいや、"火消菩薩"としてより尊い存在とおなりになった深雪さんのご出産!
源吾がついに父になる。
煤けた手で初めて触った小さな手。ぎゅっと握ってきた手の思いがけない力強さに、涙が頬を伝う。
みんなに愛されて大切にされ、これからの成長が楽しみだな。 -
〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第五作。
これまで毎作のように出てきた火消番付。掲載常連組の加賀藩やこのシリーズの主人公・松永源吾でも嬉しいものだが、ぼろ鳶組のメンバーにとっては何よりの励ましになる。
しかし仁正寺藩の火消・柊与市にとっては、番付上位に載ることが火消組の存続に関わる切実な使命となる。
今回も面白かった。
ぼろ鳶組の新庄藩に限らず、どこも懐事情は苦しい。それでも江戸の人々を火事から守るために頑張っている。
だけどその努力をアッサリと予算がないから、で切り捨てられるのは堪らない。かといって無い袖は振れない。さてどうするか。
火消番付を巡って柊が危険な行為に及ぼうとしているのかと思いきや、ああこれ以上はネタバレなので書けない。
タイトルの『菩薩』に相反する二つの意味が込められていて、そこが上手いと感じた。
源吾たちが暴こうとする悪はとてつもなく陰湿で根深く手広く、強大で明らかにするのが難しい。
加賀藩火消たちや鬼平の力を借りるも、なかなか上手く行かない。
しかし最終的に火消には火消なりの解決法があったと分かるところは痛快だ。
『おれは自分の子には火消になって欲しくねえ。どこに火の中に飛び込めって親がいる。(中略)だがよ、それ以上に、どこに人が焼け死ぬのを見捨てろって親がいる!』
今回も格好良いセリフ、頂きました。
だけど結局源吾も親の背中を見て火消になった口だし、今作で生まれた息子も火消になるんだろうなぁ。
そして矜持を持っているのは勿論火消だけではない。
火消番付の選定にも関わっている火事専門の読売書き・文五郎もだ。
危険な目に遭っても命の危機に瀕しても最前線で火事の様子や火消たちがどう消火に当たったかを事実だけを克明に書き記している。
そこには何の感情も贔屓目も入れない、真のプロの姿があった。
彼の姿で火消番付が揺るぎない価値を持つことを教えてくれるところも上手い。
相変わらずの深雪夫人のやり手っぷりと人付き合いの広さにニンマリしつつ、田沼意次シーンでは危険な雰囲気も感じる。脇役で頑張ったのは加賀藩火消の娘を始めとする子供たち。これからも時に可愛らしく、時に小憎らしく、時に頼もしい成長を見せてくれそうだ。
『菩薩花』とはハイビスカスのこと。冬を越せない南国の花を譲られた深雪が、何とか冬を越させようと頑張っている姿に諦めない力を源吾は感じる。
越せるか越せないかは分からない。だがやってみなければ何も起きない。 -
黄金雛を先に読んでいたので、進藤内記に何があったのか、何故こうなったのかが、分からない。そこの物語も描いて欲しい。
このシリーズは、読みやすく、ミステリーの要素もあり、火消の心意気や友情・連帯、剣戟、挫折と負けん気、家族愛など、好きな要素が盛り沢山にたらふく味わえる。とても安心して物語世界にたゆたい元気をチャージできるエンターテインメント。こうした物語を提供してくれる作家、ストーリーに出会えた僥倖に感謝したい。 -
「羽州ぼろ鳶組」の5冊目。
今回は、仁正寺藩一万八千石の大名火消を率いる柊与一が家老から鳶の大幅削減を迫られ、火消番付で三役を獲るために「大物喰い」を決意するところから始まる。
そこから、不審な付け火、それに気づいた火事読売書きの文五郎の姿が消え、その子・福助も付け回される一方、他の火消から手柄を奪おうと闘っていた与市も行方知らずとなるなど謎解き調のお話となる。
その中で、新たに登場する、巷では「菩薩」と崇められる八重洲河岸定火消・進藤内記がどう絡んでいくのかと思っていたが、こいつが火消の風上にも置けない不逞やつ。
さしもの源吾もその奸計に右往左往で、お琳お七&福助の逃走劇やぼろ鳶の知恵を絞った八重洲河岸への押し入りなど見せ場とは言え押される場面が多く、ややフラストレーションが溜まる展開。
深雪さんが無事に平志郎を産むことが出来たのは良かったが、親の顔して実は鬼だった内記を反面にして、今回の物語を貫くのは親や先達から子や後進に受け継がれる思いや教えの大切さ。
源吾が新之助に指揮を執る者の心構えを説く場面、源吾が触れると生まれたばかりの赤子の小さな手が触れた指をぎゅっと握ってくれる場面、鳶になりたい子どもたちが与市と語らう場面、福助が文五郎に弟子入りを懇願したという場面、それぞれに印象的。
己を助けた新之助を同じ位に留めた文五郎の差配にも親心を感じて、じんわりと温かい。 -
このシリーズも第5話となった
今回の表題は「菩薩花」琉球のハイビスカスのことを指すらしい
今回の主題の「菩薩」は、明暗二人
火消番付で三役に上がらなければ、鳶の数を四分の一に減らすという無理難題を突きつけられ、配下の鳶達の暮らしを守るため大物喰いに打って出る仁正寺藩火消頭取の柊与一
大物喰いとは、自分よりも上の番付のモノの消口を奪って、一気に番付を上げること
読者は次々と起こる火事に対する不審な出火と火消の初動の速さから、これは怪しい!
柊与一の仕業かと、うっかり騙されそうになる
そこには大きな力を後ろ盾にした疑いたくなる陰謀が!
相変わらず、火消の場面の描写は、緊張のあまり息を飲むが、ただ一つの目的に向かって、男たちがひたすら火に立ち向かっていく姿は美しい
そして、そのあとの弛緩の場面がまたいい
ついに、みんなが待ち望んだ源吾の第一子が誕生する
名前がいい!
そして、たくさんのかっこいい兄貴達にあふれんばかりの愛情をそそがれ、これから育っていくであろうこの子は、何と幸せな子だろう
きっとこの子の成長もこれから語られるんだろうなと思うと楽しみになる
こちらまでほっこり幸せな気持ちで読み終えることができた
-
京都から戻った源吾たち。
江戸でぼろ鳶組全員の活躍が見れるのはやっぱり嬉しい!
ただし、やっぱり事件は起きる。
財政難から火消し削減を迫られている与一や源吾が毛嫌いしている菩薩の進藤内記。
それぞれの思惑が重なりあい、混乱しながら解決へ突き進む源吾たちが格好良い!
それぞれが自分の限界を超えて頑張る姿を見ていると胸が熱くなる。
権力に負けず、人命第一に全力を尽くす火消たちを応援せずにはいられない。
著者プロフィール
今村翔吾の作品






湯呑みいいね〜
ほんとに祥伝社でグッズ化してくれないかな
あと暖簾とか団扇とか半纏とか
てか主要キャラの半纏を模した甚平...
湯呑みいいね〜
ほんとに祥伝社でグッズ化してくれないかな
あと暖簾とか団扇とか半纏とか
てか主要キャラの半纏を模した甚平とか売れそうやなw
Tシャツとタオル…和が足りてない( ̄▽ ̄)プッ
Tシャツとタオル…和が足りてない( ̄▽ ̄)プッ
スタッフ、センスないね
湯呑みは必須だわ
せめて手ぬぐいだわ〜
スタッフ、センスないね
湯呑みは必須だわ
せめて手ぬぐいだわ〜