ふたえ (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 104
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344290

感想・レビュー・書評

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  • 僕のひいきの作家です。
    彼の物語からにじみでる切なさや寂しさに、どうしても引かれてしまうのです。「切なさ」に引かれるという意味では、道尾秀介も大好きですが、白河三兎はもっと軽くて、ライトノベルよりだと思っている。
    でも、彼の作品が無性に読みたくなるときもある。

    久しぶりに近所の書店で目にして手に取った一冊だ。
    切なさ、寂しさがちゃんとある作品だった。
    そして、全編が伏線だ、一行たりとも見逃せない、なんてうたい文句に書かれたら、これはもうワクワクが止まらないというものだ。
    だが、しかし、帯の宣伝などを信じて何度も騙されてきた私だったから、今回は鵜呑みにはできなかった。そして、やっぱり鵜呑みにしなくて正解だとも思った。
    出版社はどうして、こうも話を大きくして期待を煽るのだろうか。
    確かにこの作品には大きな仕掛けもあるし、どんでん返しもある。
    しかし、あまりそこに着目してしまうと、この物語の本当のところを見失う危険がある。
    この物語は、友達のいない男女高校生たちが参加する修学旅行を描いた群像劇だ。
    友達のいない彼らに思いを馳せながら、読んでみて欲しい。

    大ヒットした「シックス・センス」ってあったじゃないですか。
    あの映画、最後の大どんでん返しがありますよ!って宣伝してなかったですよね。
    それを知って観るのと、知らないで観るのとは、印象は大きく変わることを思えば。
    この作品もそんな感じです。

    ぜひ、寂しい高校生たちの切ない修学旅行の物語を楽しんでください。
    そうすると、作者からの大きなサービスが最後に待っていますから!

  • 修学旅行を舞台にした「ぼっち」達の群像劇ではクラスの誰にも認識されない孤独な片思いが交錯する。
    青いロマンチズムを含んだ、自分を変える片思いが。
    不干渉な日々の最後に握りしめた他者との繋がり。
    決して綺麗じゃない涙。
    整っていない青春。
    不揃いな場所から始めよう。

  • ラストにとんでもないどんでん返しとあるが
    本書ではそんなこと二の次であろう。
    登場人物達が本名で呼ばれない、2章からもう
    違和感がある。
    何かがあることは必至なのだ。
    大事なのはぼっち達による青春群像劇の方だ。

  • 善意は回るものであり、回すもの。一つ一つのエピソードに心温まる。その上、最後に視点がガラッと切り替わり、ほっこりと衝撃と、二重に楽しめる作品。

  • クラスのカースト最下位に属する「ぼっち」達を描いた連作短編集。
    ミステリとわかって読み始めたのに、途中青春小説として面白くなってきて、忘れた頃にラストで衝撃的を受けた。「そうだった、これミステリだったよ!」という、阿呆ながら純粋な驚き。
    当たり前だけど、カースト最下位のぼっち達にもそれぞれが主人公の物語がある。私は久米先生が実は生徒思いだったことがわかる「重なる生徒」が好きだわー。

  • 「自分の力で運命を切り開くには、先ず一度運命を受け入れなくちゃならねーってことを知らない奴が多すぎるんだ」

    『久米先生が無言でハンカチを渡そうとする。でも私はその手を払った。やめて! そんなことしたら本当に慎次が死んだことになっちゃう。泣いたら泣いた分だけ慎次が死んじゃう。』

    『慎次となら何時間でも一緒にいられた。苦痛を感じずに同じ時を過ごせる唯一の存在だった。慎次は『夏休みに溺れ死ぬ』というベタな死に方をし、私は『失って初めてその大切さに気付く』というベタな認識をした。どっちもどっちの馬鹿な姉弟だ。』

    「自分の気持ちに嘘をつくことが癖付くと、人生で何も手に入れられなくなるぞ。素直になれよ。当たって砕けた方が利口だ。砕けた分だけ強くなる。次に砕けても粉々にならないで済む」

  • ふたえに込められたいくつもの意味。
    気付いたら誰かの優しさに支えられている。
    全てには二重の意味があり重なり合っている。
    人と繋がるのは面倒だけど、
    どこかで人との繋がりを求めている。
    その人との繋がりで性格も変わっていく。

  • 転校生の女子高生。何やら理由ありの模様。
    女子が、俺とか使うとだいたいあの手だとわかってしまうわけで、
    まぁそうだろうなぁという結末になるのだけど、それぞれの視点から
    描かれた修学旅行の話は、いずれも面白かった。

  • 「私を知らないで」を期待しつつ読んたが、時系列と人物描写が混在していて読みにくい。ここまでわかりにくくする必要があるのか…

  • クラスで爪弾き者のお話という点が「私を知らないで」を想起させられ、あれが個人的にはとても良い作品という記憶がある(読んだのは6年も前で、かなりおぼろげですが……)ので、本作にもちょっと期待を抱いて読んでいました。

    「私を〜」と違って本作は群像劇になっており、特に第二章の舞妓の話は主人公の一途さに共感と同情させられ、かなり引き込まれました。ただ第一章の設定と齟齬があり、どうも時系列的にトリッキーな作りになっているのではと感じ始め、以降は登場人物の心情などより、どのような仕掛けがあるのかが気になってしまいました。

    その点に関しては、最終章で納得のできる種明かし(ちょっと強引なところもありますが)があり、なかなかに面白い作りの小説のように感じました。

    ただ、登場人物への共感という点では、二章の舞妓以外では宮下と志村の話くらいで、他は可もなく不可もなく。タロットに至ってはただ腹立たしいキャラでしかなかったため、トータルでプラマイゼロな印象となりました。

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著者プロフィール

2009年『プールの底に眠る』で第42回メフィスト賞を受賞しデビュー。『私を知らないで』が「本の雑誌」増刊『おすすめ文庫王国2013』にてオリジナル文庫大賞BEST1に選ばれ、ベストセラーに。他の著書に『ふたえ』(祥伝社文庫)『ケシゴムは嘘を消せない』『もしもし、還る。』『小人の巣』『田嶋春にはなりたくない』『十五歳の課外授業』『計画結婚』『無事に返してほしければ』などがある。

「2020年 『他に好きな人がいるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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