夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344481

感想・レビュー・書評

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  • みんみんさんに追いついてやる!との思いで2冊連続ぼろ鳶シリーズですがもう無理っぽいw

    今回は吉原炎上!
    いやぁ外さない!外さないよ今村翔吾さん!
    そして吉原花魁だもの彦弥がメインですよ

    下の世代も育ってくるし、影で蠢く敵役も多彩で、隠密も登場、平志郎もかわいい
    こんなんますます面白くなってくの確定やん!
    やったぜ!

  • 〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第六作。
    今回は彦弥クローズアップの回。

    吉原で起こる連続放火事件。吉原火消から協力を頼まれた松永源吾らは早速聞き込みを開始。しかし吉原という特殊な街、特殊な商売、特殊な人間関係から捜査は進まない。
    そんな中で今度は殺人が起こる。
    火付盗賊改方も別行動で捜査をしているが、平蔵はまだ頭どころか中にもいない。若いから仕方ないが、早く源吾とのタッグを見たい。

    女が途切れないものの誰かに深入りすることのない彦弥が、火事で助けた花魁・花菊の願いを叶えるために愚直に奔走する。
    彦弥の出生が明らかになる中、序章で匂わされる事件関係者らしき人物との共通点も出てくる。だが二人の行く道は違う。もって生まれた気性と出会った人や環境がその人の生き方を決めるのだろうか。だがどこで引き返しても正しても良いはず。

    今回の事件は様々な妓楼に入れる人間が限られているという複雑な商いのシステムに加え、本来なら最も避けなければならない火事が吉原ではそうではないという当時の法律を逆手にとった状況、それが故に火消が火消の役割を果たしたくても果たせないというジレンマなど、吉原ならではの特殊な環境を狡猾に利用した犯罪。
    しかもその犯行はなかなかの複雑さでミステリーとしても面白い。
    勿論毎度お馴染み火消しのシーンは迫力満点だし、そんな最中に事件の核心が明らかになるというサスペンスとしても楽しめる。

    何といっても籠の鳥の遊女たちの気持ちと真剣に向き合い何とかしたいと頑張る彦弥が良い。遊女の真などない吉原だが、彦弥が真剣だから彼女たちも彦弥に賭けたいと願い彦弥もそれに応えようとする。
    また一人、彦弥に想いを寄せる女性が増えてしまった。

    次は新之助をクローズアップして欲しいなぁ。

  • シリーズ第6弾。
    今回の舞台は吉原。
    吉原で頻発する火付けに、彦弥を中心としたぼろ鳶組が挑む物語。

    燃え盛る炎の中から花魁・花菊を助け出す彦弥。
    業火の中、救い出してくれただけでも嬉しいのに(しかもカッコいい若者が)、「あんたの願いを全て叶えてやる」とか「生きろ。生きていたらきっといいこともある」なんて爽やかな笑顔で言われたら、いくら吉原一人気の花魁でも惚れるに決まってる。
    個人的にぼろ鳶組メンバーの中でちょっと苦手に思っていた彦弥だったけれど見直した。
    花菊と交わした約束を律儀に叶えようとするなんて。
    花菊を源氏名でなく本名で呼ぶなんて。
    読んでいてこちらが照れてしまう。
    そして今回も深雪の女の勘には恐れ入った。
    「綺麗ごとを諦めぬのが火消です。千と一人を救うため、自らの命を懸けます」
    今回の源吾の決めゼリフにも惚れ惚れした。

    それにしても最後まで謎だった郭言葉の「ぞっとする」。
    タイプのお客を見つけた時に遣う言葉だったんだね。
    彦弥と花菊が共に真っ赤になるシーンがとても微笑ましかった。
    花菊にはまた登場してほしい。

  • 【羽州ぼろ鳶組6】
    安定の面白さ!主役は火消しの纏番の彦弥。
    そして舞台は吉原。吉原は大火から場所を移転し、江戸の中でも異色で独自の掟の世界。

    吉原の花魁:花菊はその苦界から逃れるために、死ぬ機会を待ち望んでいた…なんて哀しい。そこへ現れたのが彦弥、という場面から物語は始まる。

    美男で軽業師、もちろんモテ男の女好きの彦弥のルーツも絡む。

    遊女と呼ばれた人たちの哀しい運命と、男気あふれる火消したち。

    毎回ミステリー仕立てになっているのもこのシリーズの魅力の一つ♡

  • 今回は吉原火消の話 
    花街吉原で起きた火事は、いわば治外法権、通常の火消には手が出せない

    しかし、ぼろ鳶組そんなことお構いなしに、連続火付事件の真相を突き止めるため吉原に乗り込む

    母の面影を求めて吉原に出入りする本庄藩火消頭取の鮎川転と新庄藩火消の彦弥の対決

    そして二人の男に恋をし、自分の身を捧げようとする遊女時里と当代きっての人気花魁花菊

    双方の対比が興味深く、切なく、美しかった

    幼い時に花街に売られ、人気花魁になったとはいえ、自由のない籠の鳥の花菊の五つの願い
    何と切ない願いであろうか

    1 故郷越後にいる父母にもう一度会いたい
    2 町娘が熱を上げる鳶の活躍が見たい
    3 評判の小諸屋の蕎麦が食べたい
    4 上野の桜が見たい
    5 皆と同じように恋がしたい

    そして彦弥は言う
    「その願い、全て俺が叶える。だから生きろ。生きてたら、きっといいこともある」

    彦弥の容姿は、花菊の言葉として
    多くの男を見てきたが、これほど眉目秀麗な者は滅多にいない。その整った顔の割にどこか粗野な雰囲気が香り立っている
    と表現されている。キャスティングするとしたら、どんな俳優がいいだろうと想像力が膨らむ

    そんな彦弥に腕を掴まれ、そんなことを言われたら、どうしよう
    自分が言われたわけでもないのに・・・
    きゃーカッコいい! 痺れるう
    年甲斐もなくおばちゃんは、彦弥の言葉に胸がキュンキュンし、赤面してしまった




  • 「羽州ぼろ鳶組」の6冊目。

    今回は、彦弥が吉原での火事に行き会い燃え盛る妓楼から売れっ子花魁・花菊を救い出したところから始まる物語。
    吉原で頻発する火付けを抑えに田沼の命を受けて源吾、彦弥、虎次郎が吉原に乗り込むが、共通点のない6つの火事に下手人と思しき者の殺害、奉行所につながる定火消や火盗改も乗り出す三つ巴のきな臭さの中で話は進む。
    中盤までは吉原のしきたりや仕組みの説明も多く話の運びとしてはややまったりだが、お膳立てが整ってからはいつも通りの一気呵成。
    満月の夜、雪が降り注ぐ花街で、大音声の火消の唄の中、炎が茫と夜空を染める。そんな幻想的な舞台を縦横無尽に駆け抜ける“天蜂”鮎川転と“谺”彦弥の追走劇が圧巻。
    彦弥がどうして鮎川に目をつけたかが分かり難いが、託された花魁の願いのために動く男前さに目を瞑る。
    人を救うためには金に糸目をつけない彦右衛門の気風の良さや、源吾がいない間ぼろ鳶を率いる新之助の成長にはにんまり。

    本当にこのシリーズには「ぞっとする」ねぇ。

  • 1巻火喰鳥で彦弥が火消しになった経緯では明かされていなかった生い立ち。
    女の頼みは断らない、と言うセリフの重みが描かれている。
    派手な大立ち回りで町民たちをわかせ、どんな危険にも飛び込む彦弥は見てるだけでも格好良い。
    でもそれ以上に、吉原の妓女への優しさにやられる!
    助けた花魁の夢はどう結末をつけるかと思っていたけど、納得の終わりだった。

    ミステリとしても面白い。
    様々な思惑が入り乱れ、何が誰の思惑なのか…
    政治の闇は深い。

  • シリーズ6作目、舞台は遊郭吉原。
    ミステリ要素をふんだんに含んだ今作はぼろ鳶組の谺彦弥が大活躍する。
    花菊との出会いのシーンから物語ラストまでどれだけカッコ良いんだよってくらい彦弥の魅力が満載に描かれています。
    自分の中では1作目に匹敵するくらいの面白さでした。

  • 今回は吉原の火付けの犯人探しに
    彦弥と花魁の爽やかラブストーリーまで、
    先の展開が気になり一気読み。

    ぼろ鳶組のメンバーはもちろんのこと、
    大文字屋の彦右衛門もすでに仲間の一員として
    それぞれが適材適所の働きをする。
    チームのひとりひとりが得意な分野で活躍し、
    足りない部分を補い合う姿にわくわくした。

  • 『羽州ぼろ鳶組』シリーズその六。

    苦界に生きる辛さから、このまま焼け死ぬ覚悟で火事を出した妓楼の部屋に隠れていた花魁・花菊。
    吉原の外に出られなければ叶うことのない夢を口にした花菊に、救いの手を差し出した彦弥は「その願い、全て俺が叶える」と約束し、炎の中から間一髪で脱出する。
    その後、吉原で頻発しているという不可解な付け火の謎を解くために、源吾・彦弥・寅次郎の三人は吉原に乗り込むが…


    ぼろ鳶一番の色男・彦弥が大!大!大活躍。
    かぁーっ、シビれるねぇ!男も女も惚れるぜ!!!

    吉原特有の建物の構造や火消事情と、色男で纏師、花街にこだわる理由を持つ彦弥をぴたりと主役に据える構成の、見事に隙のないこと。
    彦弥だからこそ成り立つ屋根の上の追跡劇も、迫力満点。
    『ぼろ鳶組』シリーズ、どれもハズレはないが、これ一冊だけでも一本の映画になりそうな完成度。
    いや〜、面白かった!

    彦弥は、いつか必ず花菊との約束を全て叶えるはず。そこんとこも、続巻で読めるといいなぁ。

    そして、この表紙の背中が彦弥なのね…
    なんつうか、きっとキュッと細マッチョで格別粋な丁髷に結っていたりするはずだけど、火消半纏をなびかせているから、よくわからないのが残念〜。
    ははは。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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