私は存在が空気 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344771

感想・レビュー・書評

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  • ◆超能力者の日常生活

    漫画だとこの手の能力者は巨大な組織と戦うのがお約束なのだが、この小説は我々の日常の風景の中で戦っている。そこが面白い。数千キロのテレポーテーション能力をこんなことに使うのか…とか、発火能力って確かにこういうことに使えるよな…とか、サイコキネシス能力を持ってても本人が普通に暮らしたい場合はこういうトラブルが起きるよな…とか。
    漠然と憧れていた超能力のデメリットや、現実世界だと意外と使い道がない感じ。いわば「足が速い」くらいの感覚で描いているところが面白なーと。

    そして、その枷を使った物語展開が意外性に富んでいて楽しめた。「百瀬こっちを向いて」もじんわり来る物語だったが、本作も心が温かくなる小説だった。
    映像化できそうな話ばかりだったので、映画にならないかなと。湯川さんとサイキック人生の実写が見たいなー。

    ●少年ジャンパー
    いじめで不登校になった主人公男子。ひょんなことからテレポーテーション能力を手に入れる。ある日、駅で線路に落ちた美人の先輩を能力で助けたことで仲良くなるが…。

    ●私は存在が空気
    他人に存在を気づかれない能力を持つ主人公女子。唯一の友人の頼みでイケメン先輩を尾行することに。その理由は暴行犯を捕まえるためだった…。

    ●恋する交差点
    相手の体をすり抜ける現象に見舞われた女子。愛する人と手をつなぎたいが…。

    ●スモールライト・アドベンチャー
    ある日自宅に届いた小包を開けるとスモールライトが入っていた。体を小さくして意中の女子のスカートを覗こうと企む主人公男子。女子の自宅近くまで行くと、誘拐されるところだった。小さくなった主人公は犯人に気づかれずに尾行するが…。

    ●ファイアスターター湯川さん
    ボロアパートの管理人をしている主人公。ある日、若い女性が引っ越してくる。その女性は湯川さんという名前で、発火能力を持っていた。静かに暮らしていたある日、主人公は湯川さんに恨みを持つ男に話しかけられる…。

    ●サイキック人生
    サイコキネシス能力を持つ一族の女子高生が主人公。一族の掟でその能力を知られてはいけない。同級生にいじられキャラの主人公は、サイコキネシスで心霊現象を起こし同級生を驚かせて楽しむようになる。その噂を聞きつけた男子がいっしょにコックリさんをやってほしいと頼んできた。彼は死んだ妹と話をしたいのだが…。

  •  浅野いにおさんが描きはった表紙に惹かれて買いました。日常の中の超能力という感じで、大きすぎるお話じゃないのが読みやすかったです。

     「少年ジャンパー」が1番好きです。

  • 中田永一が出す本すべてツボで困っちゃう。
    不思議な能力を持つ少年少女が、普通の毎日に起こったちょっとしたイレギュラーなことに頑張る話。

    「少年ジャンパー」
    いい…!
    始まりは結構暗いのに、それを吹き飛ばすさわやかな展開!

    「私は存在が空気」
    めっちゃ好き!!!!
    見事に中田永一の手の上で踊らされた。
    最高でした。忘れられない話になった。

    「恋する交差点」
    大げさな、と思ったけど都会の人込みって怖いよね。
    その手を離さないでいてあげて。

    「スモールライト・アドベンチャー」
    スモールライトでちっちゃくなった主人公の物語。
    突き抜けるさわやかさと、最後の一文が好き。

    「ファイアスターター湯川さん」
    これも好き!
    この短編集の中で唯一バイオレンスな世界。
    なのにほのぼのとした会話や日常との対比が絶妙で、
    だからこそ心に残る。
    いいなあ…。

    「サイキック人生」
    主人公の女があんまり好きじゃないけど、天然キャラの大変さはわかる。

    いやーーー面白かった!

  • 超能力やら特殊な道具(スモールライト)やらが出てくるお話。現実感があまりない話なのに全話映像化しても楽しそうだなあと思うくらい解像度高めの物語でした。
    特にファイアスターター湯川さんが好き。

  • すごく小さいけど巧みなミスリード!
    どこか飄々とした主人公たちが、逆に人間味があって愛しかった。

  • おうち時間で読書量を増やす。
    シリアスすぎずダークすぎずふわっと読めそうな気持ちで選んだけど、なかなかに望んでた感じの本を選べた。

    少年ジャンパーがいちばん好きだな。
    お話としても、能力としても、恋心としても。
    燃やしちゃう湯川さんのとか透明な腕を伸ばす星野さんもいい。

  • ちょっとだけ超能力者たちの日常。表題作が良かった。

  • 少年ジャンパーとサイキック人生が好きだった。どのはなしもおもしろかった。

  • 少年ジャンパー
    私は存在が空気
    恋する交差点
    スモールライト・アドベンチャー
    ファイアスターター湯川さん
    サイキック人生

    どれも読後感のさわやかな短編集。
    こんな能力があったらなぁ…と、誰もが思う超能力をきっかけに、ささやかな恋心が芽生える感じの青春小説だった。
    勧めてくれたKに
    ありがとう

  • 著者名は中田永一名義だが、これは間違いなく
    乙一氏の「ZOO」の延長線上にある作品だ(^ ^
    ZOO文庫版の帯にあった名言「何なんだこれは」が、
    もの凄くしっくりくる(^ ^;

    短編集(一番短い作品は、6ページのみ!!)で、
    テーマも登場人物もバラバラではあるが、
    唯一「不思議な力」が絡むことが共通項。
    なので、基本的に「もの凄くフィクション」(^ ^;

    「不思議な力」のおかげで、助かったり困ったり、
    もの凄い大事件に巻き込まれたりしながら、
    あくまでドライで読みやすい文章が続く。

    時に笑い、ハラハラドキドキし、
    うっかり感動させられそうになったりしながら、
    あっという間に読み終わってしまう感じ(^ ^
    まさに「引き込まれて」いるのでしょう(^ ^

    とにかく、この読後感を文字で伝える能力は、
    私には無い(^ ^;
    「騙されたと思って読め」としか言えない(^ ^;

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ、2008年『百瀬、こっちを向いて。』でデビュー。他の著書に『吉祥寺の朝日奈くん』『くちびるに歌を』『私は存在が空気』。別名義での作品も多数。

「2017年 『僕は小説が書けない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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