玉麒麟 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396345044

感想・レビュー・書評

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  • はい、もう分かってましたー

    結末はもう思った通りですよ
    まったくもうみえみえですよ
    中尾ミエですよ

    こんなもうなんのひねりもない展開…最高です(最高なのかーい!)

    今回はキャラクター人気投票だったら十三枚目どころか間違いなく三役の新之助がメインを張ります
    自分ももう大好き

    彼が火付け及び豪商一家惨殺の下手人として追われる身に
    もちろんいつもクライマックスにはぼろを着ることになる新庄藩火消しの面々は誰ひとり新之助を疑うことなく助けに向かって泣かせます

    そして多彩な、多彩すぎる脇役たち
    今作は火付盗賊改方島田政弥、町火消しに組の辰一、そして八重洲河岸定火消進藤内記がいつもと違う一面を見せて「くぅー」ってなります
    川平慈英の「くぅー」です

    それにしても今村翔吾さんは読者が読みたいって思うことをほんとよくわかってるなーって思うのです
    もしかするともしかして天才か?

    • ひまわりめろんさん
      了解!
      今『双風神』読んでるから次やな!
      了解!
      今『双風神』読んでるから次やな!
      2022/07/13
    • マリモさん
      ひまわりめろんさん
      こんにちは!最近ひまわりめろんさんのぼろ鳶シリーズのレビューを読ませていただいて、思い出しホロリしています。最新刊は未...
      ひまわりめろんさん
      こんにちは!最近ひまわりめろんさんのぼろ鳶シリーズのレビューを読ませていただいて、思い出しホロリしています。最新刊は未読ですが、私はぼろ鳶シリーズで特にこの巻が一番好きでした…(*゚▽゚*)
      新之助がかっこよすぎるし、今村さんは読者のツボがよくわかってますよね。
      2022/07/13
    • ひまわりめろんさん
      マリモさん
      こんばんは!

      今村翔吾さんほんと凄いですよね

      自分は今村翔吾さんは当代一のエンタメ小説家だと思っています
      「楽しませる」とい...
      マリモさん
      こんばんは!

      今村翔吾さんほんと凄いですよね

      自分は今村翔吾さんは当代一のエンタメ小説家だと思っています
      「楽しませる」というところに非常に重点を置いてる気がするんです
      そしてそれって今村翔吾さんの経歴も無関係じゃないと思うんですよ

      最近はうまくはめられてる気もちょっとしてきてるんですが
      面白いんで許してあげてますw
      2022/07/13
  • 〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第八作。

    今回は新庄藩火消のシリーズ最大のピンチ。
    頭取並の新之助が、火付けと殺人と拐かしの罪で追われ、新庄藩には『家臣、中間に至るまで一歩も屋敷を出ること罷りならん。破れば改易もあると厳命』されてしまう。
    新之助が火付けをした(と疑われている)先は豪商〈橘屋〉、前作で新之助が見合いをした娘の店。そして拐かした(と疑われている)のは当の見合い相手、琴音。
    出来すぎな感じと新庄藩の謹慎命令の素早さに陰謀の匂いがプンプンするのだが、見張りもガッチリ固められていては新庄藩火消を率いる源吾は手も足も出ない。
    こんな絶体絶命な状況でどう事件の真相を突き止め新之助を救うのか。

    冒頭に最大のピンチと書いたが、実は読み進めていくとそうでもない。
    何しろ新之助を知る者なら、まさかあいつがそんなことをする筈がない、何かやむにやまれぬ事情があるのだろうと彼の無実を信じてくれるからだ。
    大半の火消たちはもちろん、これまで何かと角突き合わせてきた火盗改方の島田氏すらこの事件に胡散臭いものを感じ取っているのだ。
    最大規模の加賀藩鳶や町火消たちに加え、今回は田沼に命じられた銕こと長谷川平蔵が動く。これ程心強い味方はない。

    日頃の行いって大事だなとつくづく思う。これが八重洲河岸の進藤内記なら、あー、あいつならなー、で終わっていたかも知れない。
    しかしその進藤が何と! 彼らしいと言えばそう言えるがそれでも嬉しい。
    身動き取れない源吾たちに代わり、窮地に陥った新之助のために動いてくれる仲間たち。そんな彼らの姿を見れば源吾たちも立ち上がらないわけにはいかない。そしてそんな覚悟を待っていたかのような深雪の用意周到振り。火消の妻たる姿を見た気がする。
    終盤には火消たちによる、火消たちならではの発見で突破口を見つけ上手く強力しあい立ち向かう。

    とは言え今回は火消の話であることを一瞬忘れるほど立ち回りが多く、新之助の剣豪としての腕を改めて知った。普段の弄られキャラとのギャップで、これじゃ琴音もキュンとなるだろうなーと思ってしまう。

    事件の裏にいたのは例によって例の…だが『真相は闇の中』の部分もあり、すっきり爽快とはいかない。田沼との暗闘はまだまだ続くということだろう。
    それでも平蔵との絡みも続きそうだし、火消たちの度量の深さと大きさと気持ちよさを改めて感じて心地よかった。
    命を掛ける現場で共に闘う者同士だからこその信頼感、連帯感がたまらない。

    新之助と琴音との今後にも注目しつつ、これからもシリーズを追いかけたい。

  • シリーズ第8弾。
    今ままで読んだ中で一番わくわくした。

    ぼろ鳶組頭取並・鳥越新之助。
    ぼろ鳶組のムードメーカーで人懐っこく、いつも明るい好青年。
    あの新之助が豪商一家惨殺及び火付けの下手人?
    しかも豪商の娘を人質に逃走中?
    まさか嘘でしょう?
    もう新之助のことが心配で心配で、仕事中も落ち着かなかった。

    改めて感心したのは、新之助が老若男女問わずいかに周囲の人達に愛されているか、ということ。
    新之助の無実を信じるだけでなく救おうと躍起になる仲間達。
    ぼろ鳶組だけでなく他の火消集団からも信頼されていることに、読んでいて胸がアツくなる。
    それにしても新之助の、剣豪としても腕前は圧巻で惚れ惚れした。
    そして、今までの回で登場した、ちょっびり曰く付きの火消達が、案外いい奴だったことが分かって見直した。
    新之助のお陰で、江戸中の火消達の結束も強くなったのではないか。
    子供の頃から「新庄の麒麟児」と呼ばれる新之助も、今回の事件をステップに、源吾を支える真の「玉麒麟」となる道も遠くないはず。

    深雪に似たところもある琴音とは、いつか結ばれてほしい。
    新庄藩や家族の安泰か新之助の命か、板挟みになり悩む源吾に対し、「出奔致しましょう」「離縁します」とキッパリ言い切る深雪には今回も惚れ惚れした。
    辰一の「あいつもきっとお前を待っているはずだ。信じて頼れ」にも痺れた。
    登場人物達の関係性も深まり、シリーズもますます面白くなってきた。

  • 「羽州ぼろ鳶組」の8冊目。
    遂に新之助が主役の巻だと思っていたら、裏表紙を見てビックリ!『豪商一家惨殺及び火付けの下手人として手配され、一家の娘を人質に逃走を続け…』って、どういうこと!?

    というわけで慌てて本編に入ったけど、早い段階で、新之助に限ってそんなことはないわなぁ、何か訳ありだよねという流れになって、同じく裏表紙で『闇に堕ちたか?』と煽った割にはどうよと思うけど、まあ、そうなるわな。
    それでも、新之助の失踪に、その見合い相手の家が火付けで炎上、そして新庄藩には出入り禁止が下されるといった謎は残り、源吾らが身動きが取れない中、田沼が乗り出すは、その使いの島田が心配してくれる(最後にはいいとこ見せる)は、平蔵が動き回るは、勘九郎以下の加賀鳶にい組(漣次)に万組、よ組(秋仁)にめ組(銀治)、火消しになったばかりの慎太郎や藍助、加えて内記(金で釣られたとはいえ)に辰一(なに考えてんだ)まで、それぞれが奔走する。そして大丸(彦右衛門)、今回も金の遣い方が男前、最後まで男前。
    奸計の糸を引く一橋は火消したちの腹の中を試す思惑だが、そんなの関係ねぇという男たちの心意気に途中からはもう涙なしでは読めん。
    いやいや女たちも、深雪さん秋代さんの、その夫を仲間を子を思う心根にも目頭が熱くなる。
    そして、出入り禁止の中で“千人も一人もどちらも救う”ために覚悟を決める源吾と、それに続くぼろ鳶の面々。いやぁ、通勤電車の中でウルウルきて困ったぜ。

    それにしても、ここまで皆から信じてもらえる新之助は果報者、そして何より、強ぇ!
    真の下手人と相対し、新陰流の奥義・転(まほろば)で雑魚を屠り、捕らわれた琴音を奪い返しては首領の左手、肘から先を斬り落とす。
    今回は火消ではなく、全編通じて見事な剣捌きを十分堪能した。

  • 安定の面白さ。今回の設定はちと無理があるのではないかと思いながらも、追われる側と追う側と交互に入れ替わるストーリーで、徐々に真相に迫って行きクライマックスへ雪崩れ込む展開に、グイグイ読まされる。今村翔吾は、ミステリー作家としても一流なのではないかと想う。
    新之助の火消しとしての成長も感じられる圧巻のエンターテイメント。

  • 今回のメインは新之助!
    あの剣の腕からして期待どおりのアクションシーンだった。
    迫力もあって殺陣は格好良い。

    追われる新之助と身動きが取れない源吾たち。
    追い詰められていくような展開にハラハラしたけど、同時に引き込まれるような緊迫感とスピード感。
    新之助と源吾の絆がとっても素敵だった。

  • 本を開くなり、新之助が若い娘を後ろに匿い、町火消・定火消に追い詰められ、府下10傑の一人である加賀鳶の一花甚右衛門と刀を交えている!

    どうした? 何があった?新之助

    防火活動に行ったはずの新之助は、付け火とかどわかしの下手人として指名手配されることに。その上、新庄藩は出入り禁止となる

    新之助の無実を信じ、その真相を探ろうにも動くに動けないぼろ鳶組。しかし、代わりにあちこちの火消組が新之助を信じ、尽力することになる

    琴音を連れながら、逃げる新之助とそれを追う火盗改方

    老中田沼の直々の命により、新之助の足取りを追い、火盗改よりも早く新之助を確保し救おうと動く長谷川平蔵

    話は、その二つが並行するスピード感溢れる展開となる

    いつもの火事場の壮絶な描写はないけれど、府下10傑に名を連ねる剣客としての新之助の立ち回りの描写はいつもに増して迫力がある
    敵から何としてでも琴音と囚われの身の玉枝を救おうとする新之助の行動は、『どんな命も守る』という火消としての信条そのものであった

    千人と一人の命、どちらを救うのか?
    どちらかを選ぶのではない、どちらもを救うことを火消の矜持としてきた源吾の葛藤
    自分が新之助を救おうと動くことによって、新庄藩藩士や家族全体が路頭に迷うことになる
    どう動くべきか、悶々と悩む源吾

    そんな源吾の悩みを吹き飛ばすかのように深雪は「致仕願と「離縁状」を差し出す

    何と肝の座った女なのだろう。「男の中の男」という言葉があるが、これこそまさに「女の中の女」、女が惚れる女

    「間違いねえ。あいつに教えたのは俺だ」
    新之助の動きを確実に読み取る源吾。そして、源吾の予想通り、遠く離れた新之助が打つ半鐘
    それに迎え撃つ『自家炎上、至急応援を求むー』の「十九番」の半鐘
    それを聞いて集まるあちこちの火消集団

    読んでいて鳥肌が立ち鼻の奥がツーンとなるぐらい感動した
    私の中では、このシリーズ1、2を争うおもしろさであった




  • ぎゃー!!何だこの巻、新之助が格好良すぎる。
    こんなの好きならずにいられない!
    源吾も深雪も本当にしびれるほど素敵で最高でしたーー。

    とんでもない展開に、前巻にも増してページをめくる手が止まりませんでした。夢中で読み耽り、気づいたら深夜1:00。
    怒濤の展開に、火消したちの活躍と無茶振り、恋の予感と見どころたっぷり!
    胸熱シリーズ第8弾、大満足です。

    『人は生きていれば哀しいことも、苦しいこともある。だがそんなときは長くは続かない。
    その分、きっといいこともある。』

  • 今回は新之助編!
    アクション満載!面白い〜\(//∇//)\
     
    誰も頼れない、誰が敵かわからない
    とにかく逃げて逃げて闘う!

    新之助の無実を信じる鳶達がいい味出してます。

    大丸と内記もまさかの援護!
    この二人…なんか好き( ̄+ー ̄)

    いざ9巻にε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

  • ぼろ鳶のムードメーカーにして、江戸十傑に数えられる剣の達人・新之助が大活躍!!!

    商家に火付けをした上、娘二人を拐かして逃げた下手人とされ、懸賞金目当てに江戸中から行方を追われることになった新之助。
    新之助の為人を知る火消仲間の面々が協力しあい、幕府の命に従うフリをしながら好き勝手にやっているのがまた痛快。

    まーとにかく新之助の剣技の冴え、いつでも誰にでも明るく優しいお人柄、もしかして恋?の予感と、新之助ファンにはたまりませーん!の特盛大サービスでした。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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