ヒポクラテスの憂鬱 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 143
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396345310

感想・レビュー・書評

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  • 図書館の受け渡し所の今ならすぐ借りれるコーナーに中山七里さんが1冊。皆さんの本棚でも見かける作品なので追加でお借りしました。「ヒポクラテスの誓い」の続編でしたので、再三の失敗ですが。それでも法医学の検死からの真事実の解明を面白く読みました。
    医大法医学教室に持ち込まれるご遺体。教授光崎の元、事故病死と思われた彼らから、真の死因を探り出していきます。
    六人の遺体にまつわる短編に、コレクターと称する不審人物からの県警ホームページへの書き込みが物語を繋ぎます。
    コレクターの解明については、ちょっと無理したかなと思う所ですが、中山七里さんはどの方面から書いても面白く、ご自分の作品の登場人物を各方面で繋げてしまうのだから、お上手だなあと思うのです。

    • おびのりさん
      了解しました!
      了解しました!
      2023/11/27
    • 1Q84O1さん
      続編でしたか…
      おびさん得意の順番は気にしないですねw
      続編でしたか…
      おびさん得意の順番は気にしないですねw
      2023/11/27
    • おびのりさん
      気にしたいところでござる。
      気にしたいところでござる。
      2023/11/28
  • 修正者(コレクター)による埼玉県警ホームページへの書き込みのため、埼玉県警や浦和医大法医学部などは振り回され、解剖の必要がないとされた遺体も解剖することとなり財政難に追い込まれる。
    しかし、それらの遺体は解剖されることで、消え入りかけた声を絞り真実を語りだす。明らかになった真実は切ないものや、嫌悪するものもあるが、埋もれるはずだった真実が明らかになることに安堵感もわく。
    解剖の重要性や平等性とともに、人員不足や財政難についても考えさせられた。
    今回もみんな個性的でそれぞれの信念があって面白かった。真琴先生もたくましくなったなぁ

  • シリーズ2作目。6編なので死体が6体。
    県警のホームページへの書き込みで事件が発覚。事故死や自殺と思われた案件が、解剖により事件へと変わって行くが、作者が医者であるかのような詳細な描写が凄い。想像するだけで気持ちが悪くなったり怖いというイメージが読んでいてあまり起きないのは、死の真相を掴むという解剖者や読み手の意思からなのだろう。
    予算が無くて解剖に回せないようだが、これだけ不審な案件があるならできるだけ解剖すべきだと思う。
    最後のコレクターが誰かは何となく想像できたが、県警の古手川と助教の真琴の今後の行方が気になる。シリーズがまだ続いているので楽しみだ。

  • 連作短編でしたが、場面が変わることによってむしろ良質の長編を読んでいるような印象でした。真実に向き合うことにとことん拘っているポリシーに共感です。

  • 『ヒポクラテスシリーズ』第二弾
    六つの連作短編集、共通はコレクター(修正者)という犯人 
    埼玉県警ホームページへの書き込みがあった
    「全ての死に解剖が行われないのは、わたしにとって好都合である」

    前作品同様、斯界の権威である光崎教授と変わり種のキャシー准教授、新米助教の真琴、そして古手川刑事のテンポあるやりとりが良い感じで、サラサラと読める

    相変わらず予算がなくて司法解剖がなかなか出来ない状況に四苦八苦するが、段々真琴の考え方もやる事も周りに似てきて、話としては面白い方向に展開する
    そして古手川刑事は、やっぱりカエル男事件がトラウマなんだね
    真琴は腕も上がってきて、古手川刑事とのコンビま良い感じに近づいてきた
    今後どうなるか楽しみ

  • シリーズ第2弾。
    6つの検死!(要は短編6つ。検死してない火葬済のも1つあった^^;)
    全てに共通するのは、コレクターなるものからの書き込み。
    お前!何様のつもりやねん!
    司法解剖する予算がないし、解剖する人もおらんから、事件性のなさそうなのは、なおざりにされる…
    でも、その中に殺されてしまった人が…
    コレクターに指摘され、県警は大慌て。
    で、更に予算なくなっていく〜

    ねぇ!政治家さん達、交通費で100万も貰うんやったら、こっちの予算に回して下さいな!未だに解決してないし…

    このシリーズは、スイスイ読めて面白い。今回も一気読み!
    真琴先生と古手川刑事のコンビも板について来た!
    コレクターは、何となく読んでると分かって来る。登場人物から考えるとね。

    続編もまだあるし、また読も!(^_^)v

  • 「ヒポクラテス」シリーズ第二弾
    短編連作の法医学ミステリー
    今回は「コレクター」を名乗る書き込みからの犯人探し。
    県下で起きる自然死・事故死に問題がないかを見極めろという書き込みで、県警・司法解剖は大混乱へ..
    「コレクター」とは何者なのか?

    今回は、それぞれの事件で真琴と小手川刑事が暴走気味に走ります。

    ■堕ちる
    コンサート中のアイドルのステージからの転落死。
    解剖からその死の裏側に迫ります

    ■熱中せる(のぼせる)
    3歳の女児が熱中症で死亡。しかし本当の死因は?

    ■焼ける
    新興宗教の教祖の家が全焼。教祖の焼死体に対して、解剖を拒む信者たち。その死の真相に迫る

    ■停まる
    路上で突然亡くなった老人。その老人には多額の保険金。受け取りは認知症妻。解剖した死体から出てきたもの

    ■吊るす
    横領事件のOLの首つり自殺事件。しかしすでに死体は荼毘に付されています。残された検視報告書から感じた違和感。さらに同様な自殺事件がもう一件。二つの自殺事件の共通点は..そして事件の真相に迫ります

    ■暴く
    小手川刑事の同僚の女性警察官が自殺。コレクターの書き込みによって、解剖予算が枯渇。予算のない中、どうやって解剖するのか。
    果たして解剖した結果、明らかになる真因
    そして、コレクターの正体とその真相が明らかになります。

    司法解剖制度の脆弱性が浮き彫りとなる物語でした。
    死亡原因や真相追及って結局予算次第っていうこと?
    「吊るす」がとても印象的でした。

    コレクタの正体はなんとなくわかってしまいましたがストーリは前作同様楽しめました。

    お勧め

  • 「ヒポクラテスの…」の2冊目。前作「…誓い」はあまり好きでもなかったが、続きが中古本屋の棚にあったのでつい買ってきた。
    研修医だった真琴も晴れて法医学教室の助教になったのね。

    ステージから転落したアイドル、熱中症の3歳児、新興宗教の教祖の焼死体(ちょっとエグかった)、散歩中の老人の心不全(泣かせるね)、自殺したOL…、それぞれ死因が疑いようもないと思われた遺体が、関係者でしか知り得ぬ事実を知っている<コレクター(修正者)>を名乗る県警ホームページへの書き込みによって次々と解剖され、隠れていた事実が明らかになる。
    ただ、真実が明らかにされる事案は少数で、全ての異状死体を解剖させようとしている<コレクター>の狙いが分からず、県警も法医学教室も振り回される…。
    途中までは筋の運び方として前作よりまともになったかと見えていたが、今回は光崎ではなく“光崎の薫陶を受けた”真琴が暴走したり、交渉材料もなく徒手空拳で敵陣に飛び込む古手川のやり方には、やはりイライラ。色恋沙汰も要らないように思う。
    まあ、それでも光崎や渡瀬が尻拭いしながら若い二人を育てていこうとしているところは微笑ましく、警察のデジタルリテラシーの乏しさや“安心できる結論に落ち着けたい”=冤罪を生む体質などをさりげなく指摘しているところも良いと思った。
    “どんでん返し”の作者にしては、今回はあまりサプライズはなかった。

  • ヒポクラテスシリーズ2作目!
    今作も取り扱っているものがものなのに
    スラスラ読める不思議

    特に今作は2作目だから
    背景説明が一切なく
    より内容を楽しめる感じ

    個性爆発なキャラが身近に2人もいたからか
    前作は少し主人公の影が薄かったけれど
    古手川との新しいテイストのおかげで
    今作ではしっかり主人公な感じも◎

    ただ今作では
    所謂、胸糞案件的な事件が出てくるから
    スラスラ読めるけれども
    尾を引くというかモヤモヤするというか…

    また今作はなんだかグサグサくるものが
    私の中では多め
    「才能はマネーのある分野に集まるものですからね」
    とか
    「慎重さを要求される作業以外での再確認は、理解度の低さを疑われるので慎みましょう」
    とか
    「結論ありきでモノを考えるな。都合よさげな話に引き摺られるな。何かに都合のいい話ってのは、別の何かに都合が悪くできている。思惑に惑わされるな。事実と論理だけで考えろ」
    とか
    「ハードルが高ければ高いほど、ジャンプ力は向上するものです」
    とか
    「遅い仕事は亀でもするぞ」
    などなど

  • 「ヒポクラテス」シリーズ第2弾。

    栂野真琴は、浦和医大法医学教室の助教に登録され、見習いから脱却、死体解剖の助手も板についてきた。

    そんな中、県警の掲示板に「全ての死に解剖が行われないのは、わたしにとって好都合である。埼玉県警は今後県下で発生する自然死・事故死において、そこに企みが潜んでいないかどうか見極めるがいい。わたしの名前はコレクター(CORRECTOR)、修正者である」なる書き込みがあった。そして、死人が出る度に、コレクターから事件性を匂わす書き込みがあり、県警を混乱に陥れる。

    県警や医大の予算が限られているため、死人が出る度に死体を解剖することはできず、県警から医大への検案要請は抑制的だ。コレクターは、こうした司法解剖の現状へ不満を抱く者なのか? 自殺や事故死と思われるケースでも、コレクターからの書き込みがあると、司法解剖に回さざるを得なくなる関係者達。

    検視官を屈服させ、遺族を説得し、予算確保に奔走しながら、コンサート中に転落死したアイドル(1章)、熱中症で死亡した三歳児(2章)、焼死した新興宗教教祖(3章)、路上で突然死した老人(4章)、首吊り自殺した銀行OL(5章)、飛び降り自殺した婦人警官(6章)の死因を見事に暴いていく光崎教授チーム。5章、6章では、コレクターの正体も段階的に暴かれていく。本作では、このオチがなかなか秀逸だった。

    本作では、これまで古手川の話に繰り返し登場していた「狂暴な顔つきの」渡瀬班長も登場! ラストで美味しいところを持っていった。

    「まるで熟練の料理人のような手先」を持ち「つい息を止めて注視してしまう」光崎教授の神業は健在。お互いを意識し出した真琴と古手川、二人の今後の展開も気になるところ。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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