ランチ酒 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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  • / ISBN・EAN: 9784396346744

作品紹介・あらすじ

泣きたいときもあるけれど、食べて、飲んで、生きていく!
疲れた心にじ~んと沁みる、珠玉の人間ドラマ × 絶品グルメ小説。

犬森祥子、バツイチ、アラサー、職業は「見守り屋」。営業時間は夜から朝まで。
様々な事情を抱える客からの依頼で人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、夜勤明けの晩酌ならぬ「ランチ酒」。
別れた夫のもとで暮らす愛娘の幸せを願いながら、束の間、最高のランチと酒に癒される。
腹の底から生きる力が湧いてくる、絶品五つ星小説!

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、どのような瞬間に『贅沢』を感じるでしょうか?

    人によって価値観は異なります。他人から見るとそんなこと…と思われることを何よりも大切に感じることもあると思います。それは、人によって千差万別です。このレビューを読んでくださっているあなたなら、読書の時間は何より『贅沢』な時間でしょう。趣味に時間をかけられるということは平和な日々の象徴でもあります。一方で、そのように趣味の時間というわけでなく日常生活の中のある時間に『贅沢』を感じる方もいるかもしれません。休前日に夜更かしをする、そして休日の朝に少し寝坊をする、そんな時間に『贅沢』を感じる方もいるかもしれません。何を『贅沢』と感じるか、それはどこまでいってもその人の価値観であり、他の人にとやかく言われるものでもないと思います。

    では、『ランチ酒が唯一の』『贅沢』という人がいたとしたら、あなたはどう思うでしょうか?『昼から酒を飲む』というような行為をマイナス感情で見る人もいるかもしれません。しかし、そんな『酒』の場がこのような前提の元にあったとしたらどうでしょうか?

    『夜の仕事をしている彼女にとって、ランチは一日の最後の食事となる』。

    この世には必ずしも朝起きて、夜眠るというリズムで生活をしている人ばかりではないという現実がそこにはあります。そんな昼夜逆転した日々を送る人から見ると、『昼から酒を飲む』という行為はごく当たり前の日常であることがわかります。
    
    さて、ここにそんな『夜から朝まで「見守ります」』という『見守り業』を”お仕事”にする女性が主人公となる物語があります。『ランチは私にとっては夕食みたいなもの』と日々の『ランチ』を楽しみに生きるその女性。この作品はそんな女性が『見守り』という”お仕事”を通して世の中のさまざまな人の生き様を見る物語。そんな女性が別居する娘のことを愛おしく思う姿を見る物語。そしてそれは、『おいしい食べ物ってなんて素敵なんだろう。なんて、人の気持ちを和ませるのだろう』と『贅沢』な『ランチ』の時間に生きる糧を見出していく一人の女性の姿を見る物語です。
    
    『昼前の商店街を、ランチの店を探して武蔵小山駅方向に歩いてい』るのは主人公の犬森祥子(いぬもり しょうこ)。そんな祥子には『ランチの店を選ぶ、明確な基準があ』りました。それが『酒に合うか合わぬか』です。『夜の仕事をしている彼女にとって』『一日の最後の食事』がランチです。『朝食はほとんど食べず』、『仕事後にランチをがっつりとる、一日二食が基本』という生活を送る祥子は、『酒を飲んで、リラックスしてから家に帰り、眠りにつきたい』と考えています。そして、『小さな立て看板が置いてある店』を見つけた祥子は店に入り、『看板メニュー』の『肉丼』を注文しました。そんな中、『伊佐美、しきね、黒伊佐錦…芋焼酎の名前』をカウンターに見つけた祥子は『がっつり肉に芋焼酎を合わせたい』と考え、『この蕃薯考(ばんしょこう)というの、ロックでいただけますか』と注文しました。『あら、ちょっと入れすぎちゃった』と『つぶやくママと目が合って、自然、微笑み合う』二人。そんな焼酎を『口に含んで』、『ああ』とため息をつく祥子は、『芋の香りが強い、骨太の焼酎』だと満足します。そして、『薄切りの牛肉が丼の上に隙間なく敷き詰められて、薔薇のように花開い』た肉丼を見て『こんな美しい丼は初めて見た』と驚き、『一切れを口に入れ、芋焼酎を飲』み、再び『ああ』とため息をつきました。『昨夜、急に連絡が来て、新宿の託児所に』三歳の横井華絵を迎えに行った祥子。『近くのキャバクラに勤めている』母親が『他の誰にも頼めない時だけ、祥子に、というか「中野お助け本舗」に連絡が』きて見守り役を務める祥子は、『預かっている鍵を使ってドアを開け』『ベッドに運んで』華絵を寝かせました。『「中野お助け本舗」の社長であり、祥子の同級生の亀山太一から』、『絶対に寝るなよ』と言われていることを守り、華絵が眠る部屋の片隅で彼女を見守る祥子。『本人が「見守り屋」と呼ぶ、深夜の見守り、付き添い業』を生業とする祥子の”お仕事”の日々が、仕事明けの美味しい酒と食事の風景と共に描かれていきます。

    “今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯!心を癒し、胃袋を刺激する絶品小説”と内容紹介にうたわれるこの作品。16もの短編が主人公・犬森祥子の日常を描く連作短編集として構成されています。そんなこの作品は原田ひ香さんが担当編集者に”今回の本はこれまで書いてきた要素を全部盛り込みましたね”と言われたと語る通り、読者が原田ひ香さんという作家さんに期待する要素がてんこ盛りの極めて贅沢な構成になっています。このレビューでは、その中から『食べ物』と、”変わった職業につく女性”という二つを要素を取り上げたいと思います。

    一つずつ見ていきましょう。まずは、『ああ、おいしい食べ物ってなんて素敵なんだろう。なんて、人の気持ちを和ませるのだろう』と祥子が日々幸せな時間を過ごす食の描写です。この作品の主人公・祥子は『深夜の見守り、付き添い』を行う『見守り屋』という仕事をしています。『営業時間夜二十二時から朝五時』というその仕事が終わるのは朝、祥子はその後、『一日の最後の食事』として『酒を飲んで、リラックスし』ながらランチを食べるということを日課にしています。この作品では、そんなランチの様子が各短編にこれでもか!という位にリアルに描写されていきます。それは短編タイトルにもなっており〈第四酒 中野 焼き魚定食〉、〈第六酒 御茶ノ水 牛タン〉、そして〈第十酒 秋葉原 からあげ丼〉というようにランチをする場所と食事の内容がわかるようになっています。そんな場所の大半は都内の地名ですが、地名まで載せる意味がわかりません。その理由が、”作中に店の名前は載せていませんが、ネット検索すれば出てくるような、よく知られたところばかりです”と語る原田さんの言葉に隠されていました。食の風景を描写した小説と言えば、” 「ふぅ、幸せ」という一言が象徴する幸せな食卓を描く小川糸さん「あつあつを召し上がれ」、”オムライス・ファンに贈る素敵オムライス”が味わえる伊吹有喜さん「オムライス日和」、そして” 「名前も知らなかった、外国の」飲み物、食べ物と出会える近藤史恵さん「ときどき旅に出るカフェ」など多数あります。しかし、リアルなお店をそのまま小説の風景として登場させる小説は私にとっては初めてです。それぞれの描写はあまりに絶妙で甲乙つけがたいものがありますが、その中から一つをご紹介しましょう。

    『目の前にあるのは、牛タンだ』と、『こんがり焼かれて、つやつやと光っている』そんな牛タンを『一切れ取り上げる』祥子は、『肉厚で軟らかく、でもこりこりとした歯触り』を楽しみます。そして、『左手に丼を持って、麦飯を口いっぱい頰張』り、『牛タンと麦飯は最高の相性だ』と感じた祥子は『いったい誰が考えたのだろう』と思います。『辛味噌をほんの少し箸でつま』み、『これほど麦飯に合うものはない』とも思う祥子。『ビールのジョッキを取り上げて、ごくごくと飲』み、『はーーーっと大きなため息をつ』きます。『今日のような日は、何も考えずにただただうまいものを身体の中に詰め込みたかった』と考える祥子は、そんな日に『この牛タン屋はぴったり』だとも思います。そんな祥子は『とろろをいつかけるか、というのは長年の懸案だった』と『まずは牛タンと麦飯だけで食べる。そして、とろろを麦飯にかけてその味を楽しむ。最後に牛タンととろろ飯の三種混合に向かう』という手順の中で『とろろの登場が早すぎても遅すぎても、後悔が残』ると考えます。『「牛タン定食」の魅力の半分、いや半分以上は、実はとろろの力ではないだろうか』とも思う祥子。『注意深く、一口分のとろろを麦飯にかけて、それを口に入れ』ます。そして『やっぱりおいしいなあ』と、自然と『顔がにやけてしまう』祥子…と続くこの食のシーン(抜粋)。次から次へと登場するリアルなお店の食の風景を文字の中に見事に落とし込む原田さんの驚くべき描写力にただただ感心する中、もう食欲が抑えられなくなるこの作品。”主人公にしっかり飲ませたかったので、自分もロケハンのランチで二杯飲んだりすると、その日はもう仕事ができない(笑)”と、まさに体当たりで取材されたからこそのリアルな表現の数々に酔えるこの作品。私が今まで読んできた食の風景を描いた数々の小説の中でも最上位に位置する極めて美味しい!絶品だと思いました。

    次に”変わった職業につく女性”についてです。原田さんの作品では、”事故物件”に住むことを”お仕事”にする女性が描かれる「東京ロンダリング」や、”お仕事”ではないとはいえ、”刑務所に入る”ことを目指して具体的な行動を起こしていく女性が描かれる「一橋桐子の(76)の犯罪日記」など読者が思わず”おいおい!”とツッコミを入れたくなるような生き方に突き進む女性がさも当たり前のように描かれるところに一つの面白さがあります。この作品では、『深夜の見守り、付き添い』を行う『見守り屋』という仕事に就く主人公・祥子の日常が16の短編に渡って描かれていきます。『見守り』と聞くとこの作品をお読みになられていない方には『介護』のことなのか?と思われるかもしれません。しかし、社長の亀山は『介護はやってない』と明確に否定し、祥子もそういった場面で『介護』はできない旨を明確に否定しています。祥子が携わる『見守り』とは『一晩中起きて』、依頼対象を『ただ見守』るという”お仕事”なのです。幾つかご紹介しましょう。

    ・〈第二酒 中目黒 ラムチーズバーガー〉: 『地方で講演やイベントの仕事があって、家を空ける』『専業の株式トレーダー』に代わって、『認知症の症状』がある『十五歳の老犬』を『見守り』ます。

    ・〈第七酒 新宿 ソーセージ&クラウト〉: 『出版社主催のパーティ』を終えて帰宅した三十代の女性『人気漫画家』が眠りにつくまでを『見守り』ます。『先生が話したことは絶対に他にはもらさない』という『守秘義務』を負います。

    ・〈第八酒 十条 肉骨茶(バクテー)〉: 『半年前に妻の冴子を亡くし』、『死にたいと何度も漏らし、実際、二度、自殺をはかった』という六十五歳で『昼と夜が逆転し』た生活を送る画家が『死なないよう』『見守り』ます。

    どうでしょうか?思った以上に『見守り』の対象、『見守り』の内容が幅広いものであることがお分かりいただけたかと思います。また、内容的に突飛と思わせるようなものは少なく、現実社会の中に実際にそういった状況に困っている人がいるのではないか?『見守り』という役割が必要なシチュエーションが実際にあるのではないだろうか?と思われるものばかりであることにも驚きます。それぞれに『見守り』を必要とする側の状況はある意味とても深刻です。しかし、この作品の視点はあくまで『見守り』という”お仕事”をする側の祥子にあり、読者はその視点から冷静にそんな状況を見る側に回るため深刻さを共有することはないと思います。社会の中にはさまざまな『見守り』を必要とする人がいる現実をまるでニュースを見るかのように第三者的に触れていくこの作品のスタンス、非常に興味深いものを感じました。

    そして、そんな作品は連作となる短編を一本に貫く芯となる物語があるのが大きな特徴です。それが、『「来月は明里の保護者参観が入ったから会えないよ」元夫からのメールだった』というように意味ありげに匂わされながら展開していく祥子に隠された物語でした。『元夫、杉本義徳と出会ったのは、祥子が短大卒業後上京し、就職して二年目の二十二歳の時だった』、『祥子は妊娠した』、そして『結婚前に妊娠したと言って訪れた婚約者を、相手の母親、元の義母はどうしても受け入れられなかった』と16の短編全てにわたって少しずつ語られ、また状況が変化していく物語、そこには娘の明里の母親でもある祥子の別の顔が描かれていきます。『見守り』という不思議な”お仕事”に携わる祥子、その物語だけを見ているとどこか不思議な女性を感じさせる物語が、別居生活を送る娘のことを思う一人の母親の姿が描かれることで物語に一気に深みが生まれていきます。『食べ物』と『見守り』だけに終わらないもう一つの軸が物語の読み味を格段に深めていく物語、原田さんの魅力”全部盛り”の何とも贅沢なこの作品、本当によく出来た、よく練られた物語だと思いました。

    『夜の仕事をしている彼女にとって、ランチは一日の最後の食事となる』という”お仕事”の後の食事を『酒に合うか合わぬかだ』という基準で選び、そのひとときを『ランチ酒が唯一の祥子の贅沢だ』と大切に思う主人公の祥子。そんな祥子は不安定なその仕事のことを、そして別居を続ける娘の明里のことを思いながらも日々の生活をひたむきに生きていました。

    『私は生きているし、健康だ。元気出そう。へこたれてなんかいられない。さあ、今日も生き抜かないと』。

    そんな思いを「ランチ酒」の瞬間に感じながら日々懸命に生きていく祥子の生き様を感じさせるこの作品。次から次へとテンポよく『見守り』対象が、赴く街並みが、そして食の風景が展開する物語の中に、人々の心の機微が伝わってくる丁寧な描写が強く印象に残るこの作品。

    原田さんの魅力”全部盛り”の極めて贅沢な読書が楽しめる絶品!だと思いました。

    • みたらし娘さん
      さてさてさん☆
      ご返信ありがとうございます(*´ω`*)

      リアリティのある美味しい料理…(´﹃`)
      空腹時は避けようと思います!笑
      私の場...
      さてさてさん☆
      ご返信ありがとうございます(*´ω`*)

      リアリティのある美味しい料理…(´﹃`)
      空腹時は避けようと思います!笑
      私の場合は…「丑三つ時酒」でしょうか…そんなのあるのかないのか…笑

      仕事に支障が出ない程度にお酒に本に楽しもうと思います!

      ありがとうございました\( ´ω` )/
      2022/09/19
    • さてさてさん
      みたらし娘さん、”仕事に支障が出ない程度”、大切ですね(笑)
      私も自戒いたします!

      みたらし娘さんの本棚見せていただいて興味深い一冊...
      みたらし娘さん、”仕事に支障が出ない程度”、大切ですね(笑)
      私も自戒いたします!

      みたらし娘さんの本棚見せていただいて興味深い一冊を見つけました。

      標野凪さん「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」

      私の知らないお名前、そして本日話題の美味しいお話!
      メモメモさせていただきます。ありがとうございます!

      今週もよろしくお願いいたします。(ってお仕事ご一緒みたいな挨拶ですが(笑))
      2022/09/19
    • みたらし娘さん
      「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」私まだ読んでないんですよ(´;ω;`)

      でもこちらもきっと素敵な1冊のはずです☆
      さてさてさんのレビュ...
      「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」私まだ読んでないんですよ(´;ω;`)

      でもこちらもきっと素敵な1冊のはずです☆
      さてさてさんのレビューまた楽しみにしています♪

      こちらこそ今週もよろしくお願い致します!笑
      2022/09/19
  • やっと最近あたたかく なってきましたね
    少し前までは、管(点滴)でトンコツスープを摂取したくなるくらい寒かったなぁ…

    話はもどり…このお話
    結構面白かったですね
    人間ドラマとグルメを見事に融合してて…

    皆頑張って生きる→辛い事とも向き合いながら生きる→疲れる→生きる為に食べる→頑張って生きる
    この
    当たり前と言ったら当たり前なんだけど
    この循環を目まぐるしく繰り返し、話を小分けにしてるが全て時系列で進んでる…

    なんなら少しお酒呑みながら読むと心地よさそうな本でした

    ※だから話が変わるけど 俺が何が言いたいかって言うと…
    【40過ぎたあたりから、お酒呑むと蕁麻疹出るようになってきたんだけど…これって何?】って事!!

  • 初めましての作家さんです
    「ランチ酒」。。。コスパの良い美味しいランチで、昼間からお酒が飲めるなんて、最高の贅沢ッ♪♪♪

    主人公祥子の場合は、「見守り屋」という夜中の特殊な仕事の帰りにランチ酒をします
    お酒を頂きながら美味しいランチを食べて、お家に帰って寝るという生活パターンです
    今日も一日頑張った自分へのご褒美ですね
    単に夜と昼の違いなのですが、ランチと言うとお得感満載ですよね

    作品の内容は、色々な店で「ランチ酒」を楽しむものだと思っていたのですが、どちらかと言うと「見守り屋」のお客様の事情や自分自身の悩みに触れる事の方がメインになっています

    作中に出て来る房総半島の店に行った事があるので、出てくる店が全部実在する店だとわかりました 

    これから、祥子と明星と元夫との関係がどの様に変わって行くのか、気になる所です

  • 主人公・祥子の職業は「見守り屋」
    様々な事情により、夜から朝にかけて、見守られたい人の為に働く。
    そんな祥子の楽しみは、仕事の後に飲む「ランチ酒」
    美味しい料理とお酒の描写は、他の作品と同じようなところがチラつくが、この作品ならではなのが、人間模様も描かれていること。
    読む前は単純なお留守番的な仕事に食事の描写が付け加えられてるだけなのかと思い込んでいたが、1作1作に短いエピソードで様々な人間模様が描かれている。
    そして、それを受け止める祥子もどちらかと言うと、本来ならば「見守られる」側の人間であること。
    バツイチで、娘とも離れて暮らし、元旦那の再婚話に動揺しまくる。
    そんな人間臭い祥子だからこそ、この作品は面白いし、祥子が選ぶランチが美味しく感じる。
    変に形式に捕らわれず、きちんとコストパフォーマンスも考えて祥子が選ぶ店に行ってみたくなる。
    この作品も続編が出ているようなので、読んでみたいと思う。

  • 「ランチ酒」このグルメ本のようなタイトルが絶妙です。

    主に子どもや老人や動物など、真夜中に見守る仕事をしている主人公犬森祥子にとって、ランチは一日の最後の食事となる。
    酒を飲んで、リラックスして眠りに就きたい。

    ここに出てくるメニューは、どれも半端なく美味しそう。
    祥子の飲みっぷり、食べっぷりが実によく、ふだんお酒を飲まない私も、すっかり飲んだ気分になって気持ちよくなってしまいます。

    けれど、アラサー、バツイチで元夫と娘とは離れて暮らしている祥子にとって、一人っきりで飲むランチ酒は、何だかしみじみとしてくる。
    深夜に自分を呼んでくれた、孤独な人たちの幸福を心から願い、愛娘の幸せを願いながら、仕事を続けている祥子を、同じ女性として応援したくなります。

    ここに出てくるお店は、実在するところばかりだそうです。
    食べ物のお話はいいですね。
    読むと、思わず元気が湧いてきます!

  • バツイチ、アラサーの祥子は"見守り屋"として、依頼人の求めに応じて、子どもや老人、ペットなどを夕方から朝まで見守るのが仕事。そして、仕事のあと、ランチを食べつつお酒を堪能する。

    見守りを通じ、よくも悪くも色々な人の暮らしや生き方を垣間見て感じることもあり、また、祥子自身も元夫のことや離れて暮らす子どものことなど思い悩むこともある中で、美味しいお酒と食事に癒される。

    美味しいものは人を元気にしてくれるということを思い出させる本。
    自分も、知らない街でも1人で入ったお店で食事とお酒を楽しめるようになりたい!

  • こんなにお腹の空く本があるのか!
    ってくらい料理の描写が素晴らしい。
    そして美味しそうな酒…
    昼から飲むお酒って美味しいんだよね〜

    料理の魅力だけでなく、主人公が"見守り"の仕事をしながら自分の人生を考えてく様もすごく良かった。

    お酒好き、美味しい本が読みたい方にはとってもオススメ☆
    こちらの本と出会わせてくださったブクトモ様に感謝\( ´ω` )/

    • さてさてさん
      みたらし娘さん、お腹すきますよね。この本。
      私も食が登場する作品ってとても好きで小川糸さん、伊吹有喜さん、近藤史恵さん等々読んできましたが、...
      みたらし娘さん、お腹すきますよね。この本。
      私も食が登場する作品ってとても好きで小川糸さん、伊吹有喜さん、近藤史恵さん等々読んできましたが、美味しいそうという点ではこの作品がベストじゃないかなあと。原田さんの描写力というのももちろん大きいとは思うんですが、実在のお店、実在の料理というのが大きいのかなあと。
      ホンモノ=やたらリアルな描写=味覚を刺激される=嗚呼、食べたい
      見守りという仕事もとっても興味深かったですし、とっても良い読書の時間が持てました!
      みたらし娘さん、食欲の秋に読んだのも正解かもしれませんね。私も季節を選べば良かったかも…。まあ、十分食をそそられたので良いですが。
      う〜ん、なんだか、無性に何か食べたくなってきました!
      2022/10/17
    • みたらし娘さん
      さてさてさん、こんにちは☆
      コメントありがとうございます(*´ω`*)

      もう…読後の今でも牛タンが食べたすぎて…笑
      お刺身とかももちろん美...
      さてさてさん、こんにちは☆
      コメントありがとうございます(*´ω`*)

      もう…読後の今でも牛タンが食べたすぎて…笑
      お刺身とかももちろん美味しそうなんですが、肉とか肉とか肉とかの描写が素晴らしすぎて…!!笑
      食に関する作品って意外と多いんですね。
      前回さてさてさんにオススメしてもらった"東京ロンダリング"の定食屋さんの豚のしょうが焼きも(結局肉…)食欲そそりましたし(´﹃`)

      なにせ私は自分で選ぶのはミステリーばかりで、さてさてさんが紹介してくださるような素敵な本を自分で見つけられないのです(´;ω;`)
      なのでいつもレビューとても楽しみにしています!
      こちらの作品も「美味しい」だけじゃなくて、見守りの仕事とか、主人公祥子と別れた家族の行く末とかもとても良かったです。

      食欲の秋!読書の秋!ですね\( ´ω` )/
      ランチ酒の祥子に憧れすぎて、私も時間できた時にランチ酒チャレンジしてみようと思ってます☆
      お腹空いてきました??
      肉食べましょう\( ´ω` )/肉肉\(^o^)/笑

      ありがとうございました(*´ω`*)
      2022/10/18
  • ただただ美味しいランチとお酒の本かと思っていましたが、一章一章に主人公の仕事やプライベート、その周りの物語が入っていて、すごく心がギュッとなる、素敵な小説でした。
    わたしも独身時代、1人ランチ酒をしていたので、あー羨ましい!って思ったり、また卒乳後にお酒片手に読み直したいと思いました。
    とても読みやすく、お酒が好きな人も、そうでない人も、ぜひ読んでいただきたいオススメの一冊です!

  • 離婚して娘と離れて暮らす30代の女性、祥子。
    見守り屋という、夜間に依頼人を見守るという少し変わった職につく事となり、色々な悩みを抱える依頼人達をそっと見守りつつ少しずつ関わり、その後美味しい朝ごはんやランチを食べ自分を元気にする。

    見守ってもらいたい人たちは千差万別。
    早朝に行かねばならない病院のため夜から一緒にいてほしいという人、自分へのネットの誹謗中傷の消し込みのためスマホから片時も離れられない人、病床で自分が食べられないため祥子が食べた美味しいものの話を聞きたいという人。
    何故か祥子がそれらの人に気を許してもらえるのは、祥子が淡々とあまり深入りせず、でもやさしい気持ちで見守っているからなのだろうな。

    仕事の後のビールが美味しい!それは、夜も朝も関係ないのかも。笑
    とにかく祥子は、よく食べてよく飲む!
    気持ちが良い!
    美味しそうな食事の描写で、読んでいるとお腹が空いてくる。

    美味しいものを食べた時にこの上ない幸せを感じる私としては、かなりワクワクする話だった。
    2作目があるようなので、ぜひ読みたい。

  • ランチにビール、この設定にまず惹かれました。
    登場人物には色々な事情があって、悩みもありますが、展開が日常的なもので、心理描写も全体的に重くないので、とても読みやすいですね。
    続編もあるようですので、続きが気になります。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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