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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784396347185
作品紹介・あらすじ
人生の理不尽にそっと寄り添い、じんわり心にしみ渡る。
今だからこそ読みたいベストセラー、ついに文庫化!
独りだから、そばにひとがいるありがたさを知る。
―― 女優・作家・歌手 中江有里さん
女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が、急死した。
僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。
そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。
本屋大賞から生まれたベストセラー、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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1.著者;小野寺さんは小説家。幼少の頃から読書好きで、文章を書く事も好きだったそうです。中学はサッカー、高校ではバンドををやり、音楽好きでもありました。大学卒業後就職したが、2年で退職し、アルバイトをしながら小説を書き、投稿を続けたと言います。「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞受賞、「ROCKER」でポプラ社小説大賞優秀賞受賞、その後単行本デビュー。
2.本書;女手一つで柏木聖輔(主人公)を大学進学させた母親が急死。聖輔は大学を中退し、仕事のあてもなく暮らしていたある日、商店街の総菜屋でメンチカツを食べる。それがキッカケで、「おかずの田野倉」で働き始めた。天涯孤独で希望を持てない生活だったが、店主夫妻や先輩達と交流する。「先は大事。でも今も大事。先は見なければいけない。でも今も疎かにしたくない。だって、僕は生きている」と。前に向かって生きる姿が共感を呼ぶ。人間は一人ではないのだ。本屋大賞二位でベストセラー。四章構成。
3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記);
(1)『第一章;一人の秋』から、『「食費は一日五百円、一ヵ月一万五千円、と決めた」「金欠という慢性疾患を抱える僕」「食べるのは弁当におにぎりにカップ麺」「(父母を亡くし、大学中退)心の整理がつかないまま、無為な毎日を過ごしていた」「二十歳にして、全くの独りになった」「高卒。二十歳。資格なし」「働かせてください、と言ってしまった。・・僕はこの時、久しぶりに人としゃべったのだ」』
●感想⇒「(聖輔)親を失い、経済的にも困窮し、大学も辞めてしまった。現実問題、お金のあるなしで人生の選択肢は限られる(解説)」。その通りだと思います。聖輔は総菜屋で店主との出会い、人生の岐路に立ち、曙光が見え始めました。私事です。幼い頃に両親が離婚し、祖父母に育てられ、経済的に裕福とは言えず、高校は定時制進学がやっとでした。昼間は町工場で働き、夜に学ぶという生活。しかし、大学で学びたいという夢がありました。幸いにも、弁護士事務所の仕事に転職でき、勤務中も空き時間で勉強出来るという環境に恵まれ、希望の大学に進めました。しかし、経済的余裕がなかったので、奨学金とアルバイトでやりくり、インスタント麺をすする日もしばしばでした。だから、自分を守ってくれる人がいないと考える聖輔の気持ちがよく理解できます。ただし、人生には必ずや岐路があります。どんな状況下に置かれても、我慢強く生き抜けば、救いの手を差し伸べてくれる女神に出会えると信じます。
(2)『第三章;一人の春』から、『「お前さ、やる気あんかよ」「すいません」・・客前の叱責としては、度を越したような気がする。途端にラーメンの味が落ちる。僕のほうで味を楽しめなくなる。再訪は無いかもな、と思ってしまう。たとえどんなにラーメンがうまくても、この手の店には行かなくなる。・・寛いで食べられる環境と言うのは、案外重要なのだ』
●感想⇒「客前の叱責(若い店長が若い店員を叱る)」については、私も同様の経験をしました。ラーメン繁盛店での事です。満席に近いお客の前で、「お前はこれで一流になるつもりなんだろ・・」とひどく叱責していました。端から見ていて、嫌な気分になりました。その店には再訪していません。私も若き日の反省があります。気持ちが昂って、メンバーの面前で、部下を叱って小言を言ってしまいました。後日上司に呼ばれ、諭されました。「やる気は認めるが、やり方を間違えてはいけない。周りに人がいる中で、決して目下の者を叱ってはいけない。人間の尊厳を傷つけるからだ。叱るなら別室でやれ。それに、怒らず叱るんだぞ。期待値を込めたフォローも忘れるな」と。以後、叱る時は別室で言い分を聞いて叱るようにしました。叱られた人は叱る人の何倍も傷つくのです。難しいですが、怒らず叱らず諭す、とフォローの心ですね。
(3)『第四;夏』から、『「(高橋涼)おれはたまたまちょっといい大学に行っているけど、そんな事は何でもないと思っているよ。だから青葉(彼女)とも普通に付き合えるし、コロッケなんかも好きだよ」・・・高橋涼は今の発言に引っ掛かりを覚える人がいる事に気付かないのだ。・・生まれつき高い所にいて、そこから下りた事がないから。・・ランク付けがなされた訳だ。否定などしない。青葉はともかく、僕が高橋涼より下なのは事実だから』
●感想⇒「生まれつき高い所にいて、そこから下りた事がないから。・・ランク付けがなされた訳だ」。こういう人っていますよね。生まれた家が裕福で、苦労や挫折を味わったことの無い人に多いようです。自分は努力せず、❛虎の威を借りる狐❜ですね。たとえ心で思っていても口に出して言う人間は、最低です。人は違った人生の中で、それぞれが懸命に生きているのです。人をランク付けする輩は、表に見える部分が他人より上位でも、心の部分が下位だと思います。思いやり、助け合い、弱者への寄添い、・・・そういった点に疑問符が付きます。そんな人ばかりではないと思いますが、❛氏より育ち❜と言います。子育てのポイントですね。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」とは言え、世の中には、賢愚や貧富の差が存在しています。単純に平等というのではなく、努力する事が必要なのでは。
4.まとめ;聖輔(主人公)は、自分を守ってくれる人がいない孤独人間。「孤独は人生において本当に大切なものを浮かび上がらせる。・・一人だから、そばに人がいるありがたさを知る(解説から)」前述したように私も、若い頃孤独を味わってきました(聖輔の孤独とは違うかも)。当時は信じれるのは自分しかいないと考えていたのです。しかし、色々な人と出会い、助けられながら、希望を捨てずに生きてきたつもりです。人は一人で出来る事には限度があります。「捨てる神あれば拾う神あり」と言います。人生には誰しも分岐点があります。そうした時の出会いを見極める事が重要ですね。これまで、有形無形の支援を頂きました。何らかの形で恩返しが出来ればと思うこの頃です。(以上) -
20歳という若さで両親を立て続けに失い、天涯孤独となった青年が、商店街の惣菜店で働き、ひとを通じて、コロッケを通じて、成長していく姿が綴られた物語。
舞台は東京都江東区にある砂町銀座商店街。
懐かしかった。
10年ほど前は月一で彼女(現嫁)とバイクに乗って、商店街近くにあるショッピングセンターSUNAMOに足繁く通ったものだ。
そして帰りに砂町銀座商店街に寄って惣菜を買う。
それがお決まりのコースだった。
本作には大きな盛り上がりはない。
だがしかし、心地良いホッと感がある。
本を読んで 心が温かくなる。
実感と体感するほど感じられたのは、もしかすると本作がはじめてかもしれない。こう、読んでいると体の内側がじわりと温かくなるのが分かるのだ。
初著者だったが、とても気持ちの良い文章を書かれる方で、作品とともに好印象だった。
親から受け継がれた主人公の実直さと優しさ。 それが周りの人に伝播しているのが、また心地が良い。
バイト先の仲間たちとお客さん。学生時代の仲間たち。お金をせびってくる親戚。
優しいひとも、優しくないひとも登場する本作を通じて、ひととの繋がりは生きていく上で 、最も大切なものだと、改めて感じさせてくれる。
強いて言えば、最後の終わり方にはガクッと落胆…
私としては、本作の結末は表題名である『ひと』を総括し締めくくって欲しかった。感じた温かさの余韻に浸りたかったのだ。
最後に、本作に綴られていた言葉が私のハアトにぶら下がって離れないので、ここに記しておく。
「一人で頑張ることも大事。でも、頼っていいと言ってる人に頼るのも大事。」
よし。近々、家族で商店街をブラブラしに行こう。 -
何か、この表紙、あちこちで見たんで読んでみた。
私の本棚には、あってはならんような^^;
…たまには、ええかな?
こんな年齢で、周りがいなくなって、孤独は辛いな!しかも急に…
何か、自身を前面に出さず、でも、芯は強いというか…
その仁徳というか、そういうのが、やはり、ええ人らを惹きつけるのかな?
多分、自分には出来んのだけは分かる(^◇^;)
別に、ひっそりとでもええから、自分の納得できる生き方を続けて欲しいな。
ちょっとしたキッカケで、出会う…
縁というのは大事だと思う。
袖振り合うも他生の縁って言葉もあるけど、運命なんて、ホントにそんな感じで生まれるもんかもしれんから…
これからも大事にしてね!
多分、自分には出来んのだけは分かる(^◇^;)(二度目… ^^;)
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ブクログのみなさんの評価が高かったので購入。
父親を事故で亡くし、母は聖輔が大学生の時に突然死した。
家族を亡くし、一人きりになった聖輔は大学をやめ、働くことを決意する。
ギリギリのところまで倹約していたところ、お惣菜やさんのコロッケが目に留まる。
コロッケが御縁で聖輔はそのお惣菜やさんで働くことに。
これは日常に近い、現実味溢れた作品ではないかと思った。
兎に角、聖輔の考え方、生き方は私には大変小気味いい。
爽やかで真面目で優しく、それでいてどこか強い。
彼の前向きな生き方が、読んでいてとても心地よかった。
ほのかに心が温かくなるような素敵な小説だった。
この頃滅茶苦茶寒いが、心がほかほかしてきた(*^^*)-
2023/03/14
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虎徹さん
コメントありがとうございます(^^)
物語が身近な感じなんですよね。
自分の身に起こってもおかしくないような、ありふれた...虎徹さん
コメントありがとうございます(^^)
物語が身近な感じなんですよね。
自分の身に起こってもおかしくないような、ありふれたお話なのかもしれません。
でも何だろう?この主人公の人柄なのかな?
凄く温かい気持ちにさせられますよね(*^_^*)
心がほかほかしてきます(*^^*)2023/03/14
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この作品がキッカケで小野寺さんの大ファンになり、そこから著書を10冊以上読むことになりました(^^)
好きすぎてYouTubeで「小説おすすめチャンネル」というチャンネルを立ち上げ、第1弾のオススメにしちゃいました。
https://youtu.be/TkgBn2mZNyo
小野寺さん作品が好きな方とサークルでも作り、感想を語り合ったり人物相関図を作りたいほどです(^^)
コロッケ食べたくなります(笑)
この作品が好きな方が、僕は好きです♫-
とりおさん、わざわざコメントありがとうございます(^^)
個人的にオススメしたいのは、「ひと」のシリーズで「まち」と「いえ」、舞台が同じ江戸...とりおさん、わざわざコメントありがとうございます(^^)
個人的にオススメしたいのは、「ひと」のシリーズで「まち」と「いえ」、舞台が同じ江戸川区平井の「ライフ」、後は「食っちゃ寝て書いて」と「本日も教官なり」あたりです(^-^)2023/03/17 -
2023/03/17
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小野寺さん、興味はずっと持ってるですが恥ずかしながらまだ読んだことがありませんでした…m(_ _)m
まずは本作から読んでみたいと思います...小野寺さん、興味はずっと持ってるですが恥ずかしながらまだ読んだことがありませんでした…m(_ _)m
まずは本作から読んでみたいと思います(^^)2023/09/20
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先日に続き小野寺さんは2冊目。
本屋さん行くたびに必ず目に入ってたが、購入して正解!!めちゃくちゃ面白かったし、泣けた。。
主人公の周りにいる人の暖かさ、この主人公がまずめちゃくちゃ実直!だから周りから好かれるし信頼されるんだろうなあー。
今与えれてる環境の中で生きる。
他と比べずに自分と向き合って生きていく。
姿がかっこよすぎて惚れてしまいます。。
いやあ、、コロッケ食べたくなります!笑
焼き鳥も!笑
久しぶりに、めちゃくちゃ素敵な気持ちの読後感、いつも本読みながら、違う事頭で考えたりしちゃうけど、この本は集中100って感じで、もう自分も本の中にいましたー!素敵な一冊♡ -
ライトノベルのような文体でとても読みやすかった。
タイトルのとおり、"ひと"との出会いと別れを通して主人公が成長していくストーリー。
商店街の"コロッケ"から始まるストーリーは魅力的で、読後は久々にコロッケを食べました。
おいしかった!-
コロッケ買っちゃいますよね(笑)
最初にお惣菜屋さんで買ったコロッケがちょっとべちょっとしてて、コンビニで買い直しました!笑コロッケ買っちゃいますよね(笑)
最初にお惣菜屋さんで買ったコロッケがちょっとべちょっとしてて、コンビニで買い直しました!笑2023/03/14
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「ひと」との出会い、「縁」をテーマにした物語。
良い人だけでなく悪人も出てきて、日常の世界を切り取った主人公の成長の物語。
女手ひとつで育てられた聖輔は、二十歳の秋、母親が急死してしまい、大学を中退。
コロッケの縁で近所の総菜屋で働くことに。
この総菜屋で働く人たちが温かい。
悪人は、母親の葬式を仕切った親戚。聖輔に金を無心にくるくずっぷり。
しかし、そんな人たちの中で、聖輔は総菜屋の人たちにも支えられていきます。
そして、高校時代の友人の青葉との関係。いいねぇ。
青春って感じ(笑)
総じて心温まります。
ひとは決して一人ではないと思わせる物語でした。
揚げたてのコロッケ食べたくなった(笑) -
悲しみにくれるだけではなく、今を必死に生きて、人生を切り開いていっている様子がひしひしと伝わってきてました。読み終わった後私も明日から頑張ろうと勇気をもらえました。
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素晴らしい作品です。内容としては、早くに両親を亡くし単身孤独と向き合う20歳の学生が主人公、場所は東京南砂町、実家は鳥取、人との出会いを通じてどういった考えを持ち、どう人と向き合い、行動し、前向きに成長をしていくか、といった過程が非常に端的に描かれている作品です。まず思うのは主人公聖輔は地頭が良いなと、それ故に悩みながらも正解を導き出し正しい方向へと一歩一歩進んでいきます。自分が20歳の頃を思い返すとその環境こそ違えど(両親が不在というのは大きいかもしれませんが)ここまで今現在の自分と向き合いながら将来を見据えた生き方が出来ていたとは到底思えません。人との関わり方の大切さや考え方、自分との向き合い方、何かそんなものを客観的に考えさせてくれる作品で素晴らしいと思います。あと文体が独特で非常に読みやすかったです。言い切りというんでしょうか、一文一文の区切りが個人的には心地良かったです。例えば『飲む。緑茶ではない。ほうじ茶だ。熱い。おいしい。』とか。
因みに、本作もお馴染み知人よりご紹介いただき拝読しましたが、自らはなかなか手にすることは無かっただろう作品でしたので紹介してもらえて本当に良かったです。毎回感謝します。続編や他の作品も読んでみたいと思います。
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なんだろう。
正に「ひと」という物語だったなと
読み終えて思いました。
すごく良かったです。
ひとがひととして生きることの
大切な物を見た気がします。 -
まっすぐに生きる聖輔とそのまわりの人々との温かな関わりがほっとする作品でした。おかずの田野倉のコロッケ、いつか食べてみたいです。
オーディオブックで聴いたのですが、とても聴き心地が良く、安心して聴けました。『まち』も読んでみたいです。 -
二十歳で天涯孤独の身となってしまった聖輔の物語。
とてもとても良かったです。
突然の不幸から新たな生活が始まり、淡々と描かれる一年間。
働き始めた惣菜店の人たち、大学のバンド仲間や同郷の友人、父親を知る人たちなど、様々な人たちと関わることによって、聖輔は成長していきます。
たった二十歳で頼れる親類が一人もいなくなってしまうとは!
せっかく入った法政大学を中退するなんて…と思ったり、あぁでもやっぱり奨学金で通うのも大変なことだ…と思ったり。
境遇だけ見ると悲惨だし、嫌な人も出てくるし。
心配でなんかちょっと母親のような目線で読んでいました。
何より、心優しく誠実で謙虚な人柄がいいです。そういう彼だからこそ、周囲の人たちは自然と手を差し伸べてくれる。
ラストも良かった。聖輔の幸せを願わずにいられません。
人の温かさ、人と繋がることの大切さが感じられる素敵な作品でした。
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viviさん、こんばんは
いいですよね。
私もこの作品好きです。
人のつながり、あたたかさ、、、感じますよね。
viviさんの感想から、あ...viviさん、こんばんは
いいですよね。
私もこの作品好きです。
人のつながり、あたたかさ、、、感じますよね。
viviさんの感想から、あたたかさを、思い出しました(^^)
2024/04/15 -
Manideさん、こんばんは♪
コメントありがとうございます!
こういう作品、いいですよね〜
小野寺史宜さんの本も色々読みたいのですが、ブ...Manideさん、こんばんは♪
コメントありがとうございます!
こういう作品、いいですよね〜
小野寺史宜さんの本も色々読みたいのですが、ブクログのお陰で読みたい本が増える一方で、困ってます(^_^;)2024/04/15
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小野寺史宣 著
本書の主人公の柏木聖輔の人物像が実直で
謙虚な好青年であるが故に、
派手さはないものの、嫌な気分になることもなく、スラスラ読み進めることが出来た。
若くして自分を育ててくれた両親を亡くして、天涯孤独の身になった?居たのは、全く知らない遠い嫌な親戚だけだった、、正直言って人が困窮している時にお金を無心するような親戚などいない方がいいのだと思う。
自分の経験からも、大人になって全く会わない、自分の都合だけで、近づいてくるような親戚など、
かかわりも持ちたくない。
近くの他人の方が余程、親切であたたかい。
本書の聖輔も、他人のあたたかさに触れて泣いた、悲しくなくても、涙は出る。
聖輔の人間性がいいから、いい人たちが気にかけてくれる感じがホッコリ沁みる。
人の境遇は様々で短絡的に親も親戚もいないから
不幸な青年ということには当てはまらないない気もする。
だが、自分を育ててくれた親が亡くなることは、若さと関係なく悲しい。 しかしやはり、若い時に親を亡くす方が堪えるだろうなぁ。
若い時は自分の親が亡くなるなんて想像出来ず、考えられもしないことだと思うから…。
生まれた時から親に会えない人もあるなら、
大切に育ててくれた親が居ただけで感謝しなければいけない。 本作を読んでて、改めて思った。
小さな子どもの頃はあんなに親を頼って生きていたのに、大人になって、すっかり会う機会すら減って、自分一人で生きてきた顔して、親のことなど深く考えないで過ごしてきたのに、これまでの人生の中で一番悲しかったのは、やはり母親が亡くなった時だなぁと思う。
父親に関してもそうだが、亡くなってはじめて、自分が親についてあまりよく知らなかったなぁって思うことが沢山あった。
自分のことばかり考え、自分の生活に精一杯で関心もなかったように思う。
聖輔が巡礼みたいに、父親の軌跡を辿るところは感慨深い思いで読んだ。
聖輔の心情を思うと、
高校時代から仲良しの友達が、19歳になる前に、母を突然亡くした時のことを思い出す。若くして、元気そのものだった母を亡くした彼女の気持ちを考えたら、そのショックの方が大きくて、何とか彼女を慰めて、少しでも力になれたらと意を決して電話したのだが…電話口の彼女の”モシ、モシ…”という声を聴いただけで涙が止まらなくなって、嗚咽を漏らすだけしか出来なかった「あ、あの…タイヘンだった、ね、ガ、ガンバッ…、、」
「ダイジョウ…ブ、」泣き声で彼女の声も震えていた…あの頃、若さゆえにあまりに悲しく、若さあって、乗り越えて今は逞しく図太く(笑)生きている、彼女も私も…そして、
主人公の彼が成人してて良かったと思った。
妙な言い方に聞こえるかもしれないが、如何にせん、健康で働ける、小さな子どもではないので、ある程度の生活能力はあるのだから、勿論、生活環境は両親を亡くしたことでガラリと変わるだろうが、慎ましい生活をすることが、苦あれど不幸にはならないと感じた。しかもまだ二十一歳という若さ、若さの特権だ! 聖輔は思う
“僕はまだ二十一歳。急がなくていい。一つ一つだ。急がないが、とどまらない。そんなふうにやっていけたらいい。先は大事。でも今も大事。先は見なければいけない。でも今も疎かにしたくない。だって僕は生きている。”
若いっていいなぁ(^^)心からそう思う。
私も若い頃、貧乏アパートで一人暮らししてたことがあったが、聖輔のように…こんな殊勝な心構えではなかった気がする、毎月の家賃がキツイので、友達と遊ぶお金を残したくて、お昼を抜いたり、珈琲を飲むだけで済ましていた頃もあった、、お昼休みお腹も空くので事務机に突っ伏して寝ていたら同期の男子から「昼食も食べずに寝るか〜?」
「だって、お金持ってきてないもん」
「いつもみたいに珈琲くらいは飲めるだろ」
(クッ、見られてたか…(-。-;)
「まさか珈琲代もないってことはないよな」
一応、財布を覗いてみる
「まさかの5円しか入ってなかったわ」笑
「って言うか、よく5円だけ持って会社来るよな…」と呆れられたʅ(◞‿◟)ʃ
そうなのだ!若さってそういう事なのよ!
“そういうことではないのか…⁉︎”
要は今になって思えば、一人貧乏して…あくせくしても、それは懐かしく、まさに、若さが自分を補って、貧乏生活も楽しめた貴重な時間だったと思う。
聖輔が電車賃を節約して歩く、若いんだし、そして健康で歩ける時は歩けばいいのだ、妙にそこだけは共感した。
しかし、本書のラストの聖輔の言葉には、かなり、こちらの方がテレて恥ずかしくなった(≧∀≦)
若いから言えることだよね〜
それに意外と…?男の子の方が純心なのかも…、
それでも、自分なら二十一歳の頃でも、まず絶対言えない言葉ではあったなぁとは思うけれど…。
「ひと」というタイトル
聖輔の成長物語から、優しく心地よく感じられた。
そして、本書を読んだ後に、中江友理さんの解説の言葉が、私の心を大きく揺さぶった。
(長くなったけど、是非記しておきたい)
“持っているだけが幸せでないとわかってい
ても、欲しいものは手に入れたくなるし、
所有した瞬間の満足度はたまらなく魅力的
だ。いずれ飽きることはわかっているのに。
でもできるなら、孤独でありたい。
それは自ら選んだ孤独でありたい。
孤独は人生において本当に大切なものを浮かび上がらせる。 孤独は自分との対話を促し、孤独は自分に問いかける。
その時間が孤独を深め、さらに孤独な時間を研ぎ澄ましていく。
独りだから、
そばにひとがいるありがたさを知る-
shukawabestです。
この小説、僕も図書館で予約していて数ヶ月先に読めると思います。そのときに改めてhiromida2さんにコメント...shukawabestです。
この小説、僕も図書館で予約していて数ヶ月先に読めると思います。そのときに改めてhiromida2さんにコメントしたいなと思い、感想読んでました。また、お付き合いください。2022/02/20 -
shukawabestさん、こんにちは!
ありがとうございます♪
shukawabest さんが読まれてからのレビュー
とても、楽しみに...shukawabestさん、こんにちは!
ありがとうございます♪
shukawabest さんが読まれてからのレビュー
とても、楽しみにしています。
コメントも楽しみです!(。•̀◡-).2022/02/20 -
shukawabestです。
今読み終えました。聖輔、純粋な人柄で、自分の若い頃や今と比べてみると、恥ずかしいなという気持ちでした。
若いと...shukawabestです。
今読み終えました。聖輔、純粋な人柄で、自分の若い頃や今と比べてみると、恥ずかしいなという気持ちでした。
若いというのはほんとにいいなと思いました。同感です。2022/04/02
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著者、小野寺史宜さんの作品、ブクログ登録は2冊目になります。
小野寺史宜さん、どのような方かというと、ウィキペディアに次のように書かれています。
---引用開始
小野寺 史宜(おのでら ふみのり、1968年 - )は、日本の小説家。千葉県生まれ。千葉市立真砂第三小学校卒業。千葉市立真砂第一中学校卒業。千葉市立稲毛高等学校卒業。法政大学文学部英文学科卒業。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が、急死した。
僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。
そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。
本屋大賞から生まれたベストセラー、待望の文庫化。
---引用終了
そして、本作の書き出しは、次のとおり。
---引用開始
砂町銀座。
アーチに大きくそう書かれている。文字の上部にはめ込まれた時計の針は二時を指す。
二本の柱のわきには車両進入禁止の交通標識。赤丸に白い横棒のあれだ。その下には黒文字で、自転車を除く、とある。
十月。見上げる空は青い。アーチをくぐり、商店街に入る。歩行者と自転車をよけながら、狭い道をトボトボ歩く。東京に来てまだ一年半なのに、いつの間にかそんな芸当ができるようになっている。
---引用終了 -
初めての小野寺史宜さん作品。
手に取ったのは偶然だけれど、個人的に縁を感じる作品で手元に残したい1冊。
タイトルの通り「ひと」に焦点があてられ、主人公:聖輔の成長を見守りながら読み進めた。最後は「いいぞ!聖輔!」と思わず高揚してしまった。
まだまだ未経験の事も多く選択に迷う20歳という若さで家族を亡くした聖輔。
悔しい経験もしながら目の前の人や物事ひとつひとつに誠実に向き合って前進していく姿には聖輔の人の良さが出ていて、出会う人・繋がっている人に良い人が多いのは聖輔の人柄もあると感じた。
もう直接話すことができない父母を想い、父の姿を追いながら「父が僕の父でよかった」と思う、遺伝なのか不思議と大切に思うことは父子で同じ。温かい。
同郷で高校時代の同級生:青葉と聖輔が青葉の元カレに感じる違和感も言葉にするとわかりずらいけどわかる。共感できる。
悲しいことではなく嬉しいことで涙か出るって素敵なことで、誰か頼れる人がいるって思えるだけでも心強いし、それは家族以外にもいることを気づかせてくれた温かい作品だった。
いざという時に守ったり助け舟を出せる大人を自分も目指したい。
小野寺さんの文章は柔らかくて好き。
他の作品も読みたいな。-
僕もこの作品で小野寺さん初読みで、どハマりしました(笑) 本当に出てくる人も文章の流れも素敵で、止まらなくなりますよね(^^)僕もこの作品で小野寺さん初読みで、どハマりしました(笑) 本当に出てくる人も文章の流れも素敵で、止まらなくなりますよね(^^)2023/03/15 -
虎徹さん
コメントありがとうございます。
同じ小野寺さんファンの方と作品の良さを共有できることが嬉しいです。
私は未だ他の作品を読めて...虎徹さん
コメントありがとうございます。
同じ小野寺さんファンの方と作品の良さを共有できることが嬉しいです。
私は未だ他の作品を読めていないのですが、次どれを読むか選ぶのも楽しみつつ手元に増やしていきたいです。
今後も虎徹さんの様々な作品の感想を楽しみに、参考にさせていただきます(^^♪
2023/03/15
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不思議な縁で、聖輔がアルバイトをする事になった砂町銀座商店街の惣菜屋、おかずの田野倉の人たちが温かい。
店主の督次さんと、妻の詩子さん。シングルマザーの一美さんと、要領のいい映樹さん。こんなお店が本当にありそうです。
美味しそうなコロッケや、ポテトサラダを食べてみたくなります。
三年前に父を交通事故で亡くし、立て続けに母も急死して、二十歳の秋に独りぼっちになってしまった柏木聖輔。
初めから終わりまで、しんみりと落ち着いた空気が漂うのは、聖輔の実直な人柄のせいもあるのでしょうか。
これから物理的なことも、心の問題も、全部一人で解決していかなくてはいけない。
だけど、聖輔が孤独を抱えている分、周りの人たちの温かさが心に沁みてきます。
特に鳥取の高校時代の友人、青葉の存在には、読んでいる方も救われます。
そう、彼女のおかげで何もかもが救われた気持ちになれました。
ひとりだけど、ひとりじゃない。
最後の一言で泣けました。
東京の町を舞台に、人の温かさをひしひしと感じる良い物語でした。 -
2021年本屋大賞2位の作品
両親を亡くし大学を辞めて下町の商店街の総菜屋でアルバイト。
特に大きな事件はなく、平坦な日常の中の出来事に心境の移り変わる様が描かれている。それが面白かった。
考えさせられた所は総菜屋の跡取り問題。
督治は聖輔に店を継がしたかった。それは聖輔の人柄と仕事に対しての真面目さがそう思わせたのだ。
自分も飲食店のオーナーをやっていて、いつの日かその日はくるだろう。その時に督治と同じ事を思うと思う。
「店を残したい、誰か知ってる人に譲りたい、名前もやり方も変わっても何もかも無くなるよりはそうしたい」
それはきっと飲食店だけでなく創始者たる人の願望なんだろうと改めて感じた。
今後どういう道を聖輔が歩いていくがわからないが、きっと「おかずの田野倉」で働いた事は彼の人生の財産になるだろう。
自分もそんな風に自分の従業員達が思い考え行動し、いつの日かそれが財産になれるよう、今一度改めて思わされた。
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十七歳で父親を、二十歳で母親を亡くし天涯孤独の身となった主人公「柏木聖輔」。
すれ違いざまに道を譲る、心優しい聖輔。
その聖輔に関わる作中の登場人物の人情も厚く、読んでいてほっこりしました。
著者プロフィール
小野寺史宜の作品
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感想 :

わたしは主人公のような経験はありませんが、主人公に好感を持ち、応援する気持ちで読みました。
前を向いて自分の足で歩き出せば、希...
わたしは主人公のような経験はありませんが、主人公に好感を持ち、応援する気持ちで読みました。
前を向いて自分の足で歩き出せば、希望につながる道は開けるのだと、主人公を通して改めて思わされました。
主人公への作者の眼差しが温かく、ラストも好きです。
わたしはずいぶん前に読んだのですが、ダイちゃんさんの感想が的確で、忘れかけていた細部を思い出し、温かい気持ち(と、関連して思い出したダイちゃんさんが触れていないところでちょっと辛い気持ち)になりました。