文身(祥伝社文庫い36-1) (祥伝社文庫 い 36-1)

著者 :
  • 祥伝社
4.14
  • (49)
  • (43)
  • (20)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 941
感想 : 52
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396348731

作品紹介・あらすじ

この小説に書かれたことは必ず実現しなければならない。
たとえ殺人であっても――。
新感覚ミステリーの傑作、ここに誕生!

己の破滅的な生き様を私小説として発表し続けた文壇の重鎮、須賀庸一。彼の死後、絶縁状態にあった娘のもとに、庸一から原稿の入った郵便物が届く。遺稿に書かれていた驚くべき秘密――それは、すべての作品を書いたのは約60年前に自殺したはずの弟だということ。さらには原稿に書かれた内容を庸一が実行に移し、後から私小説に仕立て上げていたという「事実」だった……。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ──とんでもない小説を読んでしまった──


    「兄ちゃんに頼みたいことがあるんや」
    と、弟が兄の目の前に原稿用紙の束を置く
    「これは兄ちゃんの私小説やからな」
    「私小説は、作者が実際に経験したことをそのまま書くんが決まりや」
    「兄ちゃんには虚構を現実にする才能がある」


    弟・堅次が書いた小説の内容を兄・庸一が実行し、現実のものにしていく。
    そして小説は、庸一が書いたものとして発表する。
    登場人物は庸一の分身・菅洋市だ。

    〝書かれる兄と書く弟〟

    本来気の弱かった庸一だが、虚構を現実にする為、酒乱、女好き、乱暴者へと変貌していく。
    そしていつの間にか、それが本来の姿となっていく。

    弟・堅次は部屋に籠もり、兄の〝私小説〟を描く。
    庸一の人生は、堅次によって創られていくのだ。


    この二人の姿は恐ろしく不気味で、嫌悪感を抱かずにはいられない。
    それなのに、読むのを止められない。
    胸の奥がザワザワと気持ち悪く、こんな感覚の小説は初めてだ。

    作家・須賀庸一と登場人物・菅洋市。
    もはやどちらが本当の姿なのか。
    そもそも人間に本当の自分などあるのだろうか。
    そして目の前のこの男は一体誰なのか。

    ──終盤からラストは衝撃的──

    ブク友さんたちの熱いレビューから、ずっと読みたいと思っていた一冊。
    〝現実と虚構〟
    その境界線は、なんとあやふやなんだろう。

    • いるかさん
      お疲れ様です~

      aoi-soraさんのレビューをみて、読みたくなりました。。
      きっといろんな意味で「分身」なのでしょうね。
      英語勉...
      お疲れ様です~

      aoi-soraさんのレビューをみて、読みたくなりました。。
      きっといろんな意味で「分身」なのでしょうね。
      英語勉強中なので、いつになるか分りませんが、読みたい一冊です。
      ありがとうございました。
      2024/07/05
    • aoi-soraさん
      いるかさん、お疲れさま^⁠_⁠^
      この本、めっちゃオススメですよ
      時間ができたら是非読んでみてね
      いるかさん、お疲れさま^⁠_⁠^
      この本、めっちゃオススメですよ
      時間ができたら是非読んでみてね
      2024/07/05
    • どんぐりさん
      始まりからこの本読まなきゃ!!ってなるレビューですね(〃ω〃)

      この本めちゃくちゃ面白かったです!!
      始まりからこの本読まなきゃ!!ってなるレビューですね(〃ω〃)

      この本めちゃくちゃ面白かったです!!
      2024/07/06
  •  「ぶんしん」の漢字は「分身」しか知らぬ私でしたが、「文身」って、えっ、刺青? これは、作中に登場する遺稿私小説の表題であると共に、(当然ながら)本作を象徴する極めて重要な言葉でした。
     いやいや、『永遠についての証明』に続き、また凄い岩井圭也作品に出会いました! 衝撃的です!

     兄弟の物語なのですが、こんな設定は初めてです。兄名義で虚構を生み小説を書く弟と、虚構を現実のものすべく作り物の道を歩む兄。書かれたことを後から実行に移す"私小説"の逆パターンです。まさに二人で一人、お互いが我が身の「分身」です。

     本来小心者の兄が、神話を追求する弟が生み出す虚構に従い、次第に大胆・狡猾で暴力的に変わっていきます。兄の葛藤しながらの行動は、虚構と現実が混沌と化し、特に弟の粘着質の人物描写が纏う空気感は、沼にハマり抜け出せない恐怖を煽ります。

     2人が徐々に乖離し、火花が散るような生の実感や命を燃やす場所が、小説の中にしか存在しないという運命は、変えようがなかったのか?
     己の分身にして、決して消えることのない刺青(文身)に翻弄され、運命に抗えなかった男たちは何者だったのか? 真実は葬られたのか?
     最後の最後に、娘が進もうとしたその先に待ち受けるものは何なのか? 最後の一行の意味は?

     皆さん! この壮絶な虚構と現実の世界を是非体験し、振り回され驚愕し、呆然としてください!

    • aoi-soraさん
      こんにちは^⁠_⁠^
      この作品、皆さん絶賛してますよね〜
      ぜったいに読もうと思ってます!
      今、岩井圭也さんの本のレビューを書いている最中なん...
      こんにちは^⁠_⁠^
      この作品、皆さん絶賛してますよね〜
      ぜったいに読もうと思ってます!
      今、岩井圭也さんの本のレビューを書いている最中なんですよ。
      も少ししたら、上げます^⁠_⁠^
      2024/02/06
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      aoi-soraさん、こんちは〜
      岩井圭也さんのレビューって、なに?なに?
      とっても関心あるんですけど〜
      aoi-soraさん、こんちは〜
      岩井圭也さんのレビューって、なに?なに?
      とっても関心あるんですけど〜
      2024/02/06
    • どんぐりさん
      ちょうど衝撃を受けたところです!!

      すごい作品でした…
      ちょうど衝撃を受けたところです!!

      すごい作品でした…
      2024/05/03
  • みんみんお勧め、岩井圭也さん。読ませていただきました。カリスマメロン様、文庫本で登録させていただきます。

    失踪者として、身を隠した弟。兄の私小説を創作し続ける。小説の中の男は、好色で乱暴な酒好き。

    タイトルを知った時、文士と分身からの造語かと思ってました。なるほど、刺青、入墨。
    兄は、自分の心身を傷つけながら、彼の私小説を人生に描いていったんですね。

    ラストで最後の文士と言われた男の病死さえも、作品として、生きることができなかった人生までも描いて、二転三転させてくるとは。

    詳しくは、カリスマレビュアーひまわりにお任せします。

    追記:日本百名山の深田久弥さんの、内縁の妻の代作した作品があったことは、全く知らなくて。多少ショックでした。

    • おびのりさん
      _(┐「ε:)_
      _(┐「ε:)_
      2023/07/20
    • ゆーき本さん
      ( *¯ノ³¯*)ヒューヒューだよ♡
      ( *¯ノ³¯*)ヒューヒューだよ♡
      2023/07/20
    • 1Q84O1さん
      ふたりはやっぱり…♡(*ノェノ)キャー
      ふたりはやっぱり…♡(*ノェノ)キャー
      2023/07/20
  • 岩井圭也さんの作品は『永遠についての証明』に続き2作目

    今回は読後レビューが直ぐに書けなかった。
    虚構と現実がどんどん曖昧になり、読み終えた今でも、整理が追いつかない。その反面、整理しないで余韻を味わっていたいという不思議な心境になった。

    終盤に来る事実に驚かされ、
    ということはあの場面は?
    あぁ、確かに言われてみればそうか・・・
    と過去の場面を回想しながら、頭の中で組換え作業をしている最中のラスト1行で驚愕の事実が!
    一体、何が現実で何が虚構なのか。読者自身も次第に区別がつかなくなる。

    逆を言えば、読者の心境をここまで誘うことが作者の意図する所なのだろう。読後に放心状態の中で、翻弄され魅力されていたことに酔いしれる心地良さこそが、この小説の醍醐味なのだと思う。

    ネタバレは避けたいので詳細は控えるとして、
    読後必ずもう一度読み返したくなり、誰かと感想を共有したくなる作品だった。
    この独特な没入感の高い世界観、岩井圭也さんワールドは何だか癖になりそうだ。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      はなちゃんさん、こんばんは♪ 本とコです。
      岩井圭也さん癖になりそうって、わかります〜(^^)
      偶然にも、私と読んでる順番同じですぅ(*...
      はなちゃんさん、こんばんは♪ 本とコです。
      岩井圭也さん癖になりそうって、わかります〜(^^)
      偶然にも、私と読んでる順番同じですぅ(*´꒳`*)
      私もまだまだで、他作品に惹かれてます。
      岩井圭也さん作品のよさが共有できてうれしいです!
      2024/06/09
    • はなちゃんさん
      本とコさん、おはようございます!

      コメントありがとうございます。
      オススメのとおり『文身』良かったです。
      しっかり堪能しましたよ〜♪
      『永...
      本とコさん、おはようございます!

      コメントありがとうございます。
      オススメのとおり『文身』良かったです。
      しっかり堪能しましたよ〜♪
      『永遠についての…』と同じく、岩井圭也さん作品は閉塞的な世界にどっぷり飲み込まれますね。
      そして飲み込まれているのがまた心地良い笑
      2024/06/10
  • 実体験をそのまま書くのが私小説。「文身」は真逆,弟が書いた虚構を兄が演じ現実化して破滅へと向かう狂った世界。気力十分な時に読まないと,作者の罠で頭が混乱する。

  • 現実×虚構×虚構×現実。
    答えは不明瞭。どうやら私は文に囚われた物語に迷い込んでしまったようだ。

  • 岩井さん二冊目です。
    Amazonで購入しましたが、
    帯もなく表紙も折れ曲がってて、
    返品商品の再販でしょうか。
    新品購入しているのに。泣

    どなたか良いネット通販先を知っていたら教えてください。

    書店ではなかなか買えない本を購入してるので、
    結構ショックが大きいです。泣

    本書はどうしてもきれいなのが欲しくて、結局二冊購入しました。
    それぐらい衝撃的で忘れられない一冊になりました。
    -------------------------
    この小説に
    書かれたことは必ず
    実行しなければならない。
    たとえ
    殺人で会っても――。

    書かれる兄と書く弟。
    私もまた小説に
    浸食されてる。
    新感覚ミステリーの傑作、誕生!
    -------------------------
    ぜひ書籍裏面のあらすじを読んでいただきたいのですが、
    破天荒、破滅的、
    暴力、酒、ギャンブルと
    とにかく話題に事欠かず、
    さらにそれを私小説として発表し続け、
    文士と呼ばれた須賀庸一。

    庸一の死後、
    絶縁状態だった娘のもとに、
    原稿が届く。
    そこに描かれていた驚くべき秘密…

    過激な描写が苦手な私でも読み切れたのは、
    岩井さんの文章の加減が絶妙で、
    これが暴力の力なのか…と思わされる部分も。

    それが、
    ただの暴力や破壊だけではなく、
    そこに秘密が隠され、
    さらにそれが恐怖なのか好奇心なのか、
    いろんな感情が混ざって、
    読み進める手が止まらず。

    ありえないとわかっていても、
    どこか不気味で本当にありそうで。

    文身というのは刺青のこと。
    このタイトルが回収された瞬間。

    途中までは主人公の庸一に気持ちを重ねて、
    どんどん追い詰められた感情になったり、
    虚無感にさいなまれ、
    ギリギリの状況と、
    足場が定まらず不安定な感じが続き、
    ジェットコースターのようでしたが、
    終盤はそこからトランポリンで跳ね返されるような衝撃が一度のみならず。

    読後は、「方舟」を読んだ時のような放心状態間と、
    「十戒」を読んだときの薄気味悪さというかぞわっとする感じでした。

    小説に浸食される感覚を味わいたい方にお勧めです。

  • 頭の良いサイコパスは怖い。
    そんな思いで読み進めていったが、終盤、二転三転と翻弄された。
    見事までに翻弄された。
    面白かった。

  • 帯に「新感覚ミステリー」とありましたが、
    ミステリー???

    まあ、謎があるからミステリーかも。

    序幕、終幕以外は、
    小説の中での小説の話で、
    そこも現実と虚構が入り乱れ、
    何を読んでいるんだろうと
    不思議な感覚。

    それでも引き込まれました。

    久しぶりにラストの一文が
    効いた小説を読みました。

  • 岩井作品三冊目だけど、一番おもしろく、衝撃的だったかも。序章から目が離せない展開が続いた後の、衝撃のラストを読み終えてしばし呆然。

    日本海に面した田舎町で人生に絶望していた庸一、堅次の兄弟。後に兄の須賀庸一は破滅的な生き様を私小説として発表し続けた「最後の文士」として名を馳せる。しかし庸一の死後、娘のもとに届いた原稿にはすべての作品は自殺したはずの弟が書いたものであり、自分は原稿に書かれた通りのことを実行して私小説に仕立てたとの内容が記されていた。

    小説上の「菅洋市」を演じる須賀庸一は、次第に「菅洋市」に侵食されていく。酒乱で女好き、喧嘩っ早い庸一(洋市)はやがて自分の妻を自殺に見せかけて殺害。その犯罪の告白をも小説として世に出し、世間の批判の的になりながらも一層話題の文士として認知されるようになる。

    「文身」という入れ墨は一度掘られたら二度と消せない文様。その言葉の通り、庸一は弟堅次の決めた通りに生きるしか道はなく、文字上の洋一と肉体をもつ庸一は同一の存在となる。
    己の意思とは関係なく虚構が現実を侵食する不気味さ。そもそも虚構と現実の境界なんてあるのか。自分の人生とは本当に己の意思で決めているものなのか。
    庸一だけではなく、読者も虚構と現実の曖昧な小説の魅力というか魔力に引き込まれていく。
    ラストまで読んだ後に最初からまた読み返したくなる。

全52件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

いわい・けいや 小説家。1987年生まれ。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞(KADOKAWAより刊行)。著書に『文身』(祥伝社)、『水よ踊れ』(新潮社)、『この夜が明ければ』(双葉社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩井圭也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×