いえ (祥伝社文庫)

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  • 祥伝社 (2025年2月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784396351021

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計60万部突破!
妹が、怪我を負った。負わせたのは、おれの友だち。
家族と、友と、やりきれない想いの行き先を探す物語。
2019年本屋大賞第2位『ひと』に始まる荒川青春物語。

おれ、三上傑には、大学生の妹若緒がいる。兄妹仲は普通、のはずだった。おれの友だちであり若緒の恋人大河がデート中に交通事故を起こすまでは。後遺症で若緒は足を引きずるようになった。以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡り、我が家はぎくしゃくしている。両親の喧嘩は絶えず、若緒は就活に苦戦中。家族に友に、おれはどう接すればいいのか。『ひと』『まち』に続く感動作!

みんなの感想まとめ

家族や友人との関係における葛藤や成長を描いた物語で、主人公の傑は、妹の若緒が事故で負った怪我をきっかけに、家族のぎくしゃくした関係に直面します。傑は妹を思い、友人への複雑な感情を抱えながら、日常の中で...

感想・レビュー・書評

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  • 大学三年生の妹若緒(わかお)は就活が始まったばかり。
    三上傑(すぐる)は三つ上の兄。
    若緒は、傑の友人であり恋人であった大河の運転する車で事故に遭い、左足をひきずるようになってしまった。
    事故から約一年が経つ…。
    今まであたりまえすぎて気づかなかった妹への思いと、いたたまれないような悔しさをどこへぶつければよいのか。
    傑の父は都立高の教頭で、母は専業主婦、傑はスーパーで働く社員といういわゆるどこにでもあるふつうの家族が、この頃妙にぎくしゃくしている。

    傑の家族を中心に何となくな日々が描かれていて、傑が友人や職場の人たちと関わるうちにしだいに心のもやもやが晴れていくというストーリーなのだけれど、この兄妹の距離感が素敵すぎて、淡々と進んでいく物語になぜか涙が出そうになります。

    今までの小野寺作品に登場した人たちがポツリポツリと出てくる、そのひとつひとつを発見するのがとても楽しかったです。
    河川敷を走る江藤俊一くんや、喫茶「羽鳥」の菊子さんや、三上家の隣に住む高校生の郡くんなど、この町にはほんとうにたくさんの物語が詰まっていて、読むごとにどんどん味わい深くなっていきます。

  • 事件物でない小説を読みたいと思い、確か「ひと」という作品がとてもよかったなという記憶のある作家さんの、評価の高い本を読みました。
    そしたら、「ひと」「まち」「いえ」で三部作だったのですね。しまった‥(笑)
    でも、主人公は違う話だということなので~

    三上傑はスーパーの正社員。
    妹の若緒は大学生。
    穏やかに暮らしていた一家だったが、若緒がデート中に交通事故で怪我を負った。
    運転していたのは、恋人の大河。これが傑の友人でもある。
    足を引きずるようになってしまった妹。
    大河を責めはしなかったのだが、次第に仲はぎくしゃくしてくる様子が感じられる。
    父母も険悪になり、傑は妹を気遣いつつ、内心のもやもやを持て余す。

    どこにでもありそうな町の、どこにでもいそうな家族。
    主人公は事故の当事者ではないけれど、とうてい無関係とはいえない。これは苦しいですよね。
    妹を心配し、友人には複雑な心境を抱き、余計なことまで考えてしまう。
    妹とは仲が悪くはないが、大きくなって、そんなにベッタリという関係でもなかったのだが。
    妹の就活が上手くいかないのも、気になって仕方ない傑。

    仕事は嫌いではないが、まだまだ学ぶことは多く、不満もある。小さな問題は次々に起こります。
    イライラを抱えて、煮詰まりそうになったが‥
    葛藤を経て、気づくこともあり、問題を乗り越えて、少しずつ先へ進む。
    進むタイミングというのは、あるものなのだ。
    穏やかでまっとうな、あたたかさのある世界。
    心地よい読後感でした。

    「ひと」は、2019年本屋大賞第2位だったのですね。
    『ひと』に始まる荒川青春物語だそうです。

  • 「ひと」「まち」ほどではなかったのは、タイトル「いえ」ってほど家の結びつきを感じなかったような。

    そして、もったいぶってさっさと読み終わらなかったことが減星の要因。

    相変わらず淡々と進む日常が心地良い。日々の中からのちょっとした気付きが、生きやすくする一歩になる。

    P326
    ものの感じ方は変えられない〜〜でも、感じたあとの行動を変えることはできる。

    そうそう。ちょっと踏み入って、相手に気持ちを伝えると、モヤモヤしてたことも、意外とスッと消化できたりするから。やっぱり人との繋がり、コミュニケーションて大事。そこに辿り着くと、やっぱ「いえ」ってタイトルがしっくりこないなぁ。

  • 小野寺先生の会話の空気感と言うか雰囲気が好き。

    前作までの店や人が登場するのもなんか良い

  • 友達の運転で自分の妹が交通事故に遭ってしまった男性の再生の話。

    単行本を既に読んでいましたが、文庫本も購入。
    やっぱり神作品は何度読んでも良いです。
    主人公の三上くんは、事故のことを引きずって、家族間の関係がギクシャクしたり、仕事に身が入らなくて、職場の人とも衝突したりします。
    ただ、三上くんは日常を過ごしながら自分の行動を見つめ直して、再生していきます。
    その様子が読んでてとても心地良いです。
    燻っている時、もやもやしてる時、この本を読んだら明るく前向きな気持ちになれる、そんな一冊です。


    以下、単行本のレビュー時とは異なる好きな箇所。

    p328道はどちらへも延びてる。左は上流側へ。右は下流側へ。そのどちらへ行くのが前向きなことなのか。考えてもないのに、結論が出る。行く方向ではない。行く時の気持ちだ。
    【感想】行く時の気持ち、たしかに。普段歩いてる道は変わらないけど、歩いてる時の気持ちはその時々で違うわけだし。
    ただ、いつでも凸でいなさいって言ってるわけじゃないのが、この小説の好きなところ。凸はいずれ目指していくのだから、凹の時が少し長くなったっていいんだって書かれてるシーンがあり、そこが本当に好きです。(それは、ここのシーンではないですが笑)

  • それぞれの立場で考え方が、思い方が変わる。小野寺ワールドは最後は爽やかに終わるからいいな
    彼氏の運転で怪我を追った妹
    その彼氏は兄の友達
    だからなおさらややこしい上に、ネガティブなこのお兄ちゃん(このネガティブさがすんごくよく解るだけに)は悩む。
    怪我を乗り越えた上で妹が家族会議で言った言葉が全てだ
    私が母なら許せなくて当たり前だし、
    私の父が許せる父親でよかったと。
    そして、お兄ちゃんはまあいいや。
    って言われながら主人公の兄はちゃんと1つ1つ考えながら決着をつけてゆく
    お兄ちゃんの彼女とこの妹のお兄ちゃんをけちょんけちょんに愛あるディスりをするところ想像した



  • 「ひと」「まち」に続く「いえ」

    小野寺先生曰く、
    『ひとはまちでいえに住みます 
    やっと三つがそろいました』
    とのことです。

    前二作と同様に、今回の主人公もごく普通の男性です。
    スーパーで正社員として働く三上傑さん。
    社会人三年目の彼は、まさに今どきの男性という感じでクールな印象に感じますが、
    実は周りの人のことを思いやることができる心の優しい男性です。

    怪我をした妹のことを気にかけたり、ギクシャクしてしまった親友との連絡方法に悩んだり、パートさんとシフトの入れ方で揉めたり。
    失敗して苛立つこともあるし、逆に意外とすんなりうまくいったなんて時もあるし。
    人とのコミュニケーションの取り方って、千差万別で本当に難しいですよね。。。
    でも、自分が悪かったことは素直に「ごめん」と言える彼は、まっすぐで素敵だなぁと思いました。

    荒川三部作、読み切ることができて良かったです。

  •  ひとシリーズ3作目。安定の面白さでした。

     最初から不穏な空気があり、主人公がどんどん悪い方へ向かっていき、少しハラハラさせられましたが、最後は気持ちもきちんと整理がつき、こちらもスッキリ出来ました。
     
     このシリーズ、次回作もあるのかな?

  • 「ひと」「まち」に続く今作。
    小野寺ワールド全開。

    「いえ」
    「家」だけでない意味が込められたタイトルに、なるほど…と変なところで勝手に納得。

    なんてことないどこにでもありそうな情景ですが、読んでいてホッと安心感があるのは私だけでしょうか。

  • 荒川青春シリーズの3作目。だから、知っている人が主人公の周りにいた。「まち」で東京で淡々と働く江藤くんのその後がわかる。
     主人公は妹が一番の友人と付き合ってケガをしてしまってから、いろいろとモヤモヤ考えている。妹は淡々と自分の今を受け入れていく。家族が妹のことでギクシャクしていくのも傍観者的に見ている。そんな日和見的な性格が仕事にも影響してしまう。
     周囲の人と付き合いながら、少しずつ成長していく主人公。妹が就職活動して成長していく姿を見て、主人公の心も変化していく。
     そして次第に全てに感謝して、仕事にもやりがいを見出していった。その心の動きが爽やかだった。

  • 『ひと』からのシリーズ第三弾。
    現実にありそうな日常が淡々とつづられていて、本作は『いえ』という題名の通り、家族が題材となっていつものように周りの人との繋がりが素敵に描かれている作品でした。
    淡々としながらも色々思わせてくれて、少しずつ一緒に前向きになっていき、最後のほうの[道はどこにでも延びてる。左は上流側へ。右は下流側へ。そのどちらに行くのが前向きなことなのか。考えてもいないのに結論が出る。行く方向ではない。行くときの気持ちだ。]という文。傑じゃないけれどストンと落ちた感じ。
    傑の人としての成長も見え、自分の気持ちも。
    大きな心の揺れはなかったけれど、スッキリした気持ちは残りました。

  • 三上傑の大学生の妹、若緒は、傑の友人であり若緒の恋人城山大河が、ドライブデート中に事故を起こし、それによって後遺症で、若緒は左足を引きずるよう。大河は三上家とに家族ぐるみの付き合いだったが、事故を境に夫婦喧嘩(一方的に妻に怒られる父)、大河のとの別れ、傑はパートさんや友人とギクシャクしていく
    凄くよくある人間関係ほど辛く解決し辛い、そんな日々を思い悩む傑‥

    一つのきっかけが、巧妙を指す。そして傑、三上家は?
    前作「まち」で登場の江藤くんの消防士への夢の行方も伝えてくれます。
    ホッコリもしてくれるシリーズ、是非お読みの下さい

  • 小野寺作品はさらさらと読みやすいのに、なぜか自分のなかに印象が強く残るからか、新作が出ると手に取ってしまう。
    主人公が出会う人や交わすコミュニケーションのすべてに意味がある訳ではないため、この手の作品が苦手な人もいるかもしれない。私は一つ一つの出来事が主人公のなかにひらひらと降り積もっていくイメージを持った。近所の青年との何気ない会話、空を見上げたときに見えた月、散歩しながら考えたこと。ほんとに小さな、日記に書くほどでも、友人に話すほどでもないことたち。そんな無数の小さな出来事を積み重ねて私たちは生きているんだなぁ、と当たり前のことを感じた。

    その降り積もったものたちがいつの間にか山のようになり、ある閾値を越えたとき「もうだめだ」と思ったり「これじゃだめだ」と思ったりする。主人公がスーパーでの偶然の出来事に背中を押されて、ドミノ倒しのように周りの人たちとそれまでと少し違う向き合い方をしていく様は痛快だった。
    なんだか分かるような気もする。現実を一気に大きく変えることは難しいけれど、一つできてしまえば他のあれこれも少しずつ変えていくことができる。一度腰を上げてしまえばついでに、と他のことにも向き合いやすくなるように。
    傑や若葉が言うように、結局は気の持ちようなのだろう。川上に向かうほうが前向きなのか、川下に向かうほうが前向きなのか、決まっていないように。だけど実際は、納得できないことがあったり努力が空回りしたりで、物事を前向きに捉えられるようになるまでに時間を要することは多い。少なくとも私は。

    私が大河なら、きっと事故を起こした責任を感じて若葉とは別れられない。別れることでお互いが前向きになれるとしても、責任から逃れて若葉を見捨てているようで。若葉の親や傑に別れたことをどう捉えられるかも気になるし、何より自分が自分を見る目が変わってしまう気がする。自分は所詮こんな奴なんだ、と。
    だけど若葉は強かった。傑の彼女が言うように、まさに気合いが入ってる人だ。人の目を気にして付き合い続けても楽しくないし、そんな付き合いを望んでないと別れを切り出した。大学生とは思えないほど成熟している。いや、事故が彼女をより一層成熟させたのかもしれない。

    やはり今作も、私のなかに強い印象を残してくれる作品だった。

  • 気合の入った若緒ちゃん。この表現と、そう表現する美令の感じがともにいい。

  • まち、ほどの感動は無かったかな。

  • 「ひと」「まち」に続いてこちらも読みました。
    相変わらずの淡々とした文章。なのに、情景や心情が滲み出る。

    今回は家族にあった出来事を軸に、主人公の心情の変化が描かれています。
    何か決定的なことがあったわけではないですが、時の流れや、出会った人、身近な人の言葉や関わりが主人公の気持ちを少しずつほぐしていったのかな、と思います。

    そしてそれは、妹の若緒もそうだったのだと思います。
    当然、彼女の気持ちは兄である主人公も、読み手にもわかりません。どこかさっぱりと、泰然としているような。でもきっと、苦しんで折り合いをつけていったのかな、と。
    もしかしたら、彼女からは兄もそう見えていたのかな、と思わせられます。

    登場人物の色々な気持ちを考えて読むとまた違った味わいになりそう。

    時間とかかわり...
    起こったことは変えられないけど、感じ方は変えられるのかも、とそう思いました。

  • 今回は早々におかずの田野倉が登場。前回の「まち」では後半だっただけに、前半の50ページで登場につい微笑んでしまう。
    それに江藤くんも登場するからその後も分かる。
    いえの次はあるのかな?

  • ちょっと衝撃だった

    平凡な家庭に起きた悲しい事故
    リアルに想像できるので、たちまち感情移入し
    胸が痛んだ

    自分の家族に不幸をもたらした人がいたら
    その人を恨んだり憎んだり罵ったりして
    人は心の均衡を保つのかもしれない

    それができなかった時
    胸の内で膨らんだ負の感情がちょっとした隙間から
    漏れ出して周りに毒を撒き散らす
    そんな様子がよく表れている

    文中の
     よく、人は変われますよと言うけれど
     変われる部分もあるだけ
     ものの感じかたは変えられない
     でも感じた後の行動は変えることができる
    というところが良かった
    胸に刻もうと思う

    そして、ハンドルを握った時
    特に、右折する時には充分な注意を払おうと思った

  • 『ひと』『まち』と読んで、
    こちらもまた、するすると読み終えてしまいました。コミュニケーションは、改めて大事だなって感じました。モヤモヤしてる事も相手と話す事で自分の気が晴れる。避けたいところをあえて向き合う。そして、前進する。良い話でした。

  • 久々の小野寺ワールド。やっぱりこれだ。会話のテンポ良し、登場人物良しの安心ワールド。
    傑にいちゃんは、仕事に家庭に友人関係に悩みながらも、一つ一つ解決してスッキリする。
    なんてことない話だけど、ところどころで目頭が熱くなるのも、やっぱり小野寺ワールド。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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