トヨタはいかにして最強の社員をつくったか

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396611446

感想・レビュー・書評

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  • とりたてて珍しいことではないけど、裏を返せばそれは王道であり、王道を着実に時間をかけて実行していく。
    それは余力があるからこそできることであり、そうでない企業はどうしても性急な改革(本文中では創造的改革)をせざるを得ない。
    トヨタとソニー、トヨタと富士通の比較を通じて。

    ●印象に残った項目

    マネジャーの要素

    【課題創造力】
    物事の本質を見通したうえで、組織として斬新な企画を打ち出す力
    ①慣習にとらわれない革新的発想
    ー先例にとらわれず、独自性に富み、かつ革新的な結論を導いている
    ー未経験の事象についても、正しい判断を下している
    ②中長期的な展望を踏まえた企画立案と提示
    ー物事の本質を追求し、めざすべき将来方向を見極め、周囲の共感を得ている
    ー中長期の展望を踏まえたシナリオをまとめ、明確に提示している
    ー節目ごとにめざすべき将来方向に立ち戻り、適正な軌道修正をしている

    【課題遂行力】
    組織として成果を結実させるチカラ
    ①適切な状況判断
    ー適切な情報収集をすることで、状況を正確に分析・把握している
    ー不十分な情報の中でも、妥当な判断を下している
    ②決断
    ー適切なタイミングで決断を下している
    ー自らが明快に意思決定を下している
    ー決断に伴うリスクに対する適切な処置を行っている
    ③ねばり強さ
    ー困難な局面に際しても、自ら先頭に立ち、最後までやり抜く意思を示している
    ーねばり強く周囲を説得・調整し、障害を乗り越えている

    【人材活用力】
    組織メンバーの能力を引き上げ、最大限に発揮させるチカラ
    ①適正な評価とフィードバック
    ー個人個人の能力・適性を把握している
    ー適切なタイミングで本人にフィードバックし、つねに共通認識がとれている
    ②計画的な指導・育成
    ー部下の能力の伸ばすべき点、弱い点を明確に把握している

    【人望】
    信頼され、周囲に活力を与える力
    ①メンバーの信頼感・活力
    ーオープンでフェアな態度をとり、メンバーから信頼を得ている
    ー誠意と熱意を持って、率先垂範で業務に取り組み、メンバーに活力を与えている
    ー職場モラルの維持・向上につねにつとめている

    ●トヨタの考えるプロ社員像を知るもう一つのキーワードは「自立」
    ー高い「問題解決力」を持った人
    ー問題点をつねに見つけて、それを解決していくということ
    【条件】
    ①高度な専門能力
    ②自ら課題を創造し、解決できる力
    ③事業を推進するリーダーシップ
    ④世界を舞台に活躍する意思と実行力
    ⑤労働市場で年収1千万円以上の価値がつく実力を持つ人
    【スキル】
    ①ビジョンマネジメント
    ②影響力開発
    ③情報開発
    ④仮説構築
    ー情報を分析・加工し、個別の実行解を導き出すスキル
    ⑤プレゼンテーション
    ー関係者に対して、自分の意図やアイデアを簡潔かつ印象的に表明し、他者を説得していくスキル
    ⑥タイムマネジメント
    ⑦セルフモチベーション

    【営業のプロのキャリアの標準】
    ①経営計画
    ②商品販売
    ③需要
    ー営業のプロの人材の定義により、営業は従来、そのスキルが明確化されていない職域であったが、それを行ったことにより職種の底上げに成功。

    【プロになるための3つのステージ】
    ①業務職
    ー上司の指示や定められた手順に従って、基礎的・補助的・定型的な業務遂行
    ーマニュアルの整備、業務の標準化、効率化、改善、共有化
    ー後輩の指導も積極的に
    ー大卒については専門職以上として活躍が前提なので専門職も併行して
    ②専門職
    ー従来のことができる
    ー専門知識に基づいた判断を要する業務について、上司からの包括的な支持を受けつつ、独自で遂行できる
    ー後輩の指導のほか、組織運営にもタッチする
    ー転居・転勤を含めて活躍する意思
    ③上級専門職
    ー専門知識、企画力、創造性を要するものについて、組織や周囲を巻き込む
    ー下位資格者の指導育をし、組織としての成果向上させるための貢献が必要とする
    ー裁量労働制
    ープロ人材としての成果の生み出し方を、自己定義

    ●「さん付け運動」で権威を払いのける
    ●会社と従業員が理念を共有していくことが重要。そのために理念はクリアに。そうすれば異なる意見であっても、方向性は整う。トヨタウェイだったらどう答えが出るだろうか、とマニュアルをこえて判断できる」

  • プロ人材に求められる7つのスキル?ビジョンマネジメント ?影響力の開発 ?情報開発 ?仮設構築 ?プレゼンテーション ?タイムマネジメント ?セルフモチベーション プロ社員 ?高度な専門能力 ?自らの課題を創造し、解決できる能力 ?事業を推進するリーダーシップ ?世界を舞台に活躍する意思と実行力 ?労働市場で年収1千万以上の価値がつく実力を持つ人

  • 日本のトップ企業となったトヨタは、その経営力の基盤に「ヒト」をおいている。
    その「ヒト」について焦点を当てた本。

    トヨタの「カイゼン」、「なぜを5回繰り返す」などはその手法だけ取り入れても効果を発揮させるのは難しいと聞く。
    トヨタが続けられるのは、その手法の本質を理解しているからだ。
    その教育体系が優れているのが、今のトヨタを生んでいる。

    読んでみて気がついたのは、意外と泥臭い日本的な人材育成なんだなぁという印象。
    コミュニケーションに飲み会を開くとか、派閥での飲み会とか。
    欧米型の育成術も短期的な実利だけ見ると良いのかもしれないが、50年、100年後を目指す企業にとっては、企業人の育成というのが必要。
    手法だけ見ると、欧米式の成果主義ではあるが、それを短期思考にしないための手段が満載。

    世界最高の社員が生み出す世界最高の企業。
    トヨタで働く人の強みが見えた。

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著者プロフィール

片山 修(カタヤマ オサム)
ジャーナリスト
愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想力が持ち味。経営戦略、マネジメントにも造詣が深く、長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人事論、時代論には定評がある。2001年から2011年まで学習院女子大学客員教授を務める。
『時代は踊った――オンリー・イエスタディ‘80s』(文藝春秋)、『ソニーの法則』『トヨタの方式』(以上、小学館文庫)、『本田宗一郎と「昭和の男」たち』(文春新書)、『ふるさと革命――“消滅”に挑むリーダーたち』(潮出版社)、『社員を幸せにする会社』『技術屋の王国――ホンダの不思議力』『豊田章男』(以上、東洋経済新報社)など、著書は60冊を超える。

「2021年 『山崎正和の遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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