郵貯崩壊: 国が「民営化」を急ぐ本当の理由

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396612290

作品紹介・あらすじ

2008年、政府債務1000兆円が郵貯を食いつぶす!「小泉vs抵抗勢力」という茶番の裏で進む「犯罪的な責任逃れ」の全貌を暴く。

感想・レビュー・書評

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  • 郵貯崩壊―国が「民営化」を急ぐ本当の理由
    仁科 剛平

    高橋洋一氏とか、長谷川幸洋氏の流れで。

    財投債とか財投機関債とか、勉強にはなったかな。
    でも、口が悪い感じがしてちょっといやな感じ。
    危機感をあおっておいて、結局2014年になってるところを見ると、しらけて見てしまうところも。

  • 今から6年ほど前の2004年に書かれた本で、当時のことはもう忘れつつありますが、小泉首相が郵政民営化を解散総選挙までやって決めた頃のものです。

    郵貯が民営化されて数年経過しますが、個人的には娘たちの小中学校関係の教材費を引き落とす口座程度にしか郵便局に関わっていないので、民営化になってどう変わったのか私としては実感がありません。

    かつては郵便局に預けられていた貯金を使って、財政投融資がされて多くの箱物がつくられて処分もされてきたと記憶しています。それが民営化になって他の仕組み(財投債・財投機関債、p59)になることがこの本には書かれています。

    サブプライム問題が発生するまでは多くの魅力ある?商品がありましたが、その後の顛末を見ると、何もせずに「貯金」していうたのが一番良い資産運用(保全)だったのかも知れません。個人的にもこの数年は良い勉強をさせてもらったと思っていますが、この本を読みながら、これを書いた仁科氏は最近どのような主張をされているのか、興味を持ちました。

    但し、当時の(現在も同じだと思います)郵便局のかかえる問題点を指摘している点は評価したいと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・全国2万4700の郵便局のうち、実際の集配業務を行っているのは5000局に過ぎない、無集配特定郵便局を作ったのは、郵貯・簡保の集金システムの構築のため(p21、116)

    ・郵貯なら民間銀行で代用可能、簡保については国内、外資含めて多くの保険商品がある、JRの新幹線、NTTの電話回線等、郵政には「独占的なドル箱」商品がない(p24)

    ・民営化・郵貯が1年に払う税金が2兆円、2003年5月に国有化された「りそなHD」に国がつぎ込んだ税金が1.96兆円、民営化により1年でその金を回収可能(p33)

    ・お金の値段とは、「金利」、お金が欲しいと皆が思えば金利は上昇する(p42)

    ・民営化の真の目的は、郵貯として簡保に付与された「国家保証」という特権を剥奪することに意味がある(p52)

    ・2003年に郵貯があげた資産運用収益は、4.5兆円、そのうち財政投融資への預託金利息で得た収入は、3.7兆円である(p55)

    ・りそなHDが合併後わずか9ヶ月で破綻したことから、大和銀行はいわば金融行政の失態を粉飾するために官僚が作ったゴミ箱(p72)

    ・2008年度から政府は消費税を17%にしなければ国債の暴落は防げない(p98)

    ・郵貯は民間銀行が払う預金保険料も払っていない、簡保は保険契約者保護機構に対する支払い負担がない、税制面での優遇は10年間で、郵貯:5.3、簡保:2.4兆円にのぼる(p112)

    ・低金利時代に、3%以上も金利を払って財投から金を借りていたのが、道路公団や住宅金融公庫等の財投機関(p128)

    ・ニュージーランドは民営化により、主要なインフラは外資が占領、対外債務はGDP以上、国際収支が赤字(p155)

    ・年金は25年間支払い続けないと、自分が払った掛金さえも一切戻ってこないシステム、終身保険ではありえないシステム(p175)

    ・敗戦時の軍需産業は完全なる無と化して、銀行に対する借金のみが残っていた、これをチャラにするために新円切り替えにより、旧勘定・新勘定にわけて、旧勘定部分を計画倒産=国民の預金カットとした(p190)

    ・2004年度から配偶者特別控除が廃止されて、課税所得最低額は325万円まで下がった(p203)

    ・外貨投資の場合は、外国の銀行に直接口座を開いての運用が望ましい、株式投資は巨大企業への投資(トヨタ、シティバンク、エクソンモービル、中国石油等)が良い(p210)

    2010/12/12作成

  • 郵貯の姿・リスクを丁寧に説明し、郵政民営化の政府の真の意図を説く一冊。郵政民営化に対して、比較的公平な立場から論評し、現状のままの危険と民営化後の(空恐ろしい)未来予想図を説明している。その姿は決して、先の衆院選で政府の言うバラ色の未来でない事がやけに印象的であった。その真の意図は、・・・・・・、本書を見てのお楽しみである。本書最後では、民営化に伴う日本破産のシナリオまで提示し、来るべき未来への不安を十二分に喚起し、資産防衛策にまで言及している。本書を読んで、日本人の虎の子の資産に関わる問題だけに、改めて国民一人ひとりがじっくりこの問題と向かい合い、考えなければと考えさせられた一冊だった(とは言え、もう手遅れであるが・・・)

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