日本人の「覚悟」

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396613310

作品紹介・あらすじ

「新しい戦争」を勝ち抜くために!-日本の「技術」と「精神」が、これからの世界を決める。

感想・レビュー・書評

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  • 今までの日下氏の著作は経済に関するものが多かったと記憶していますが、この本は久々に人生訓の部類に入ると思います。老人の割合は増えている現在の日本ですが、戦前の日本の様子を正確に伝えられる老人は確実に減ってきています。歴史が人々の記憶から完全に消えてしまって、本でしかその情報が得られなくなってしまう前に、日下氏のような本から実体験に基づく事実(と私は信じています)に触れていきたいと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・社会人は「知・情・意」のバランスが取れている必要がある、「知」とは読み書き、そろばん、「情」は感性を磨き人情の分かる人になる、「意」は意欲や意志のこと(p18)

    ・旧大名は地元の秀才に奨学金を出して、地方の地域開発の大きな手段となり、日本は短期間に世界の一流国になった(p24)

    ・死兵という伝統があるので神風特別特攻隊も誕生した、死兵の息子はその功に対して報償として主君に取り立てられた、特攻隊は日本人全体が永久に記憶するというメリットがあった(p42)

    ・体罰が横行した昔は、罪を受ける者の経歴に傷を残さないため、書面に残すと一生残ってしまう(p45)

    ・仏教徒は輪廻で生まれ変わりを考えるから、成仏して仏になるかどうか以外は区別をしない、キリスト教は動物と人間を厳しく別の生物として区別する(p61)

    ・高等宗教(世界宗教)の定義は、1)教義あり、2)信者団体あり、3)聖職者がいる、4)人間全体が対象、であるので、日本の神道はこれに含まれない(p66)

    ・キリスト教でもカトリックは大本山の権威が強くて、独立はさせないが、プロテスタントは独立させる、日本仏教も同様(p70)

    ・日本は年間8万点の書籍・雑誌が出版されているが、これほど種々多様な本が出ている国は世界にない(p76)

    ・日本精神(1:必要なところは細かく真似するが、根本まで真似しない、2:ものごと長期の視点で見る)が、世界で注目されている(p88)

    ・日本社会がすでに実現している、複雑さ・自由さ・活発さ・明るさ・情愛の深さ、は中国や韓国は簡単に真似が出来ないことがわかってきた(p98)

    ・日本人の底力のひとつは労働を美徳とすることで、これは旧約聖書と古事記の違いである(p101)

    ・イングランドをウェールズを正式併合したのが16世紀、スコットランドと連合したのは17世紀であり、イギリスの歴史は長く見積もって500年(p116)

    ・日本では領主、殿様といえども、徴税権を持っているだけで、領民の生命を恣意的に奪ったり出来なかった、農民は所有物であった欧州と考え方が異なる(p119)

    ・オーストリアやイタリア王家の子孫は、新政権が定めた法律によ
    り、今でも帰国を禁止されている(p126)

    ・信長は、比叡山や本願寺などの寺社勢力に徴税権を渡せという政教分離を迫ったので、武装解除を命じたが本願寺は応じず、信長を攻撃したので、報復した(p131)

    ・キリスト教、イスラム教、仏教、儒教は、「人間と動物は違う」と明言している、日本では動物どころか植物、生命体でない石でさえも成仏できる(p133)

    ・宮沢氏以後、麻生太郎氏までの10人の中に東大卒は誰一人としていない、私立大が多く、新聞記者の理想像と距離感があるので、新聞による「首相いじめ」が常態化している(p182)

    ・アメリカでは、真の意味で自分が何者かを証明するためには、最終的には年収しかないので、その数値で争っている(p194)

    ・アメリカが崩壊するといってもアメリカがなくなるわけでない、どうなるかは、今のままが続くだけが結論である(p199)

    ・ロシア側の大学による研究によれば、旧ソ連が負けたのはレーガン(アメリカ)ではなく、日本の省エネ技術及び省エネ生活に負けたと考えている(p221)

    ・アメリカは食糧を武器にした結果、大被害を被ったのはアメリカの農民と、補助金を出したアメリカ政府であった、儲けたのはアルゼンチンで戦ったソ連は困らなかった(p222)

    ・軽自動車は今や新しい自動車のグローバルスタンダードになっている、シルバー向け商品にも同じことが起きているが、それは日本が高齢化先進国だから(p226)

  • 著者の対話本に比べると、あまり面白くない。

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著者プロフィール

1930年、兵庫県生まれ。三谷産業株式会社監査役。日本ラッド株式会社監査役。東京大学経済学部卒。日本長期信用銀行取締役、(社)ソフト化経済センター理事長を経て東京財団会長を務める。ソフト化・サービス化の時代をいち早く予見し、日本経済の名ナビゲーターとして活躍。未来予測の正確なことには定評がある。『いよいよ、日本の時代がやってきた!』 『日本人への遺言』(渡部昇一氏共著)『日本人への遺言partⅡ 「和の国のかたち」』(渡部昇一氏共著)『反核愚問』他多数有り。

「2018年 『「発想」の極意 人生80年の総括』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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