ストリンガー革命 ソニーの何を変えたのか

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396613693

作品紹介・あらすじ

"ソニー・ユナイテッド"と"サイロの破壊"初の外国人トップが断行した「二大改革」の本質とは-ストリンガーは、ソニーの何を変えるのか。アップルを追撃できるのか。「ストリンガー革命」は、ソニーの改革であるとともに、日本そのものの改革にも通じる。

感想・レビュー・書評

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  • ソニーのハワード・ストリンガー時代の改革を中心に記した一冊である。ソニーの問題が事業で硬直した状態であることとして、水平展開やサイロをなくすということがストリンガー氏が行った改革である。ソニーにおける組織が極端な縦割りになってしまったことで、マーケットへの投入がうまくできずにいた。その結果、テレビ事業の長期間の赤字、iPodに携帯音楽プレーヤーのシェアを奪われるなど多くの点でマイナスな要素を生んでしまった。
    本書では、その問題を打破するために大きな改革をしたようにみえるし、今後期待できるかの内容を持っていたが、現実そうなったか?といえば「NO」である。
    現在は、ストリンガー氏から平井氏にトップが代わり、新たな改革を行っている最中であると思われるが、残念ながら、いまだ効果が出ていない。
    長期間にわたって、低迷しているソニー。今後どのように変わっていくのか、変革をすべき今だからこそ、本書を読んでおいて損がない一冊ではないだろうか。

  • テレビ事業・ウォークマンの苦戦に象徴されるソニーの危機に対する同社の変革にむけたアクションが記された本。改革は、これまでの部分最適(サイロと表現)を壊して全体最適をバリューチェーンの各局面で行っていくこと。これについてそれぞれの部署のエピソードが紹介されている。が、骨子がなかなか分かり難いので、★3つ。

  • ソニー寄りに書かれた本であるが、サムスン、アップルとの対比という点で示唆に富んでいる。
    ソニーは技術、販売網、コスト削減策は優れているが如何に販売するかが弱いと感じた。
    ネットワークに対応した製品群が消費者の生活にどのようなベネフィットをもたらすのか、その点をもっと訴求するべき。

  • 38 仕組み<危機に対する感応力
    48 ストリンガー19歳の貧乏旅行「金銭的に恵まれない人々が実は最も思いやりが有る」
    57 チームと仲間:「真珠が美しく輝くのは、一粒でなくネックレスとなって輝くときだ」
    65 サムソンは価格競争をしかけてくる。だからこそ、ソニーは優れた技術力や創造性を堅持しなければならない」ソニーはハードとソフト両方持っている。
    規格競争
    130 ソニーのテレビ事業:2005年3月期以降、6年間赤字
    ソニーのブラウン管テレビ(独自技術トリニトロンの高画質)
    シャープ・パナソニック 液晶テレビ
    ソニー2003サムスンと液晶製造パネル合弁会社
    ソニー2005ブラビア
    ソニー2007 有機EL発売
    2008.9.15リーマンショック世界同時不況
    135携帯電話の新モデルの寿命:3ヶ月で開発、3ヶ月で売る
    139テレビビジネスの変化 コンスーマー型→IT型
    141デルやHPが収益を上げているのはなぜか?
    ファブレス:工場をもたない製造業
    コア・コンピタンス以外はアウトソーシング、軽くて速いビジネスモデル
    143薄型テレビの市場価格 年間20-30%下落
    液晶テレビはパネル次第。
    自社で製造していないと価格のコントロールできない
    152 VMI(Vendor management Industry)納入業者に在庫管理を任せる
    運送費の節約 在庫コスト負担しない
    159ODM(Original Design Manufacturing相手先ブランドによる設計・生産)
    シャーシー:同じチップセットを使って同じソフトウェアで動くもの。シャーシーの数が減れば、設計のスピードが速くなり、コスト削減につながる
    162EMS(Electronics Manufacuturing Service電子機器受託製造サービス)生産コストを大幅に削減
    付加価値を取れないものは全部外に出す
    163デジタル製品がコモディティ化するスピードが速く高付加価値モデルに固執できなくなった
    169進化するテレビ:売ったあともネットワークを通じてユーザーと関係をつくりながら利益を出す
    175人は納得しなければ動かない
    177百億円のビジネスだろうが千億円のビジネスだろうがやらなければいけないことに変わりはない。大切なのは、当たり前のことを片っ端からやること。軸がぶれずにちゃんとやること。
    201EMSの活用法3つ
    OEM:自社で設計し、生産を外部委託する
    ODM:設計・製造を委託する
    JDM:設計を委託先と共同で行て、生産は委託する 中間モデル
    209 SCMのコスト削減の基本:在庫を減らし、金利の発生を抑える
    在庫の目的:即納に対応、欠品の防止
    キャッシュフローに結びつかず、資金を寝かせる
    在庫を持っていれば、在庫金利が発生する
    212:CPFR コラボレイティブ・プランニング・フォーキャスティング・リプレニッシュメント 製版協働による販売計画・需要予測・商品補充 サプライヤーとのコラボにより在庫の圧縮を図る
    231:組み込みソフトウェア
    デジタル製品の製品開発のうち、半分を組み込みソフトウェアが占める
    241:オープンソースを利用し、技術者たちがソニーの独自色を出す作業に専念するようにしたい
    差異性を確保するためのオープンソースの導入
    242:ソニーの研究開発①差異性②エンドユーザー志向
    246:独自技術へのこだわりは、商品寿命の短いデジタル時代にはリスク要因
    247 オープンイノベーション:新技術や新製品の開発に際して、企業の枠組みを超えて、広く知識や技術の結集を図り、R&Dのスピードを促進する革新的モデル
    248:オープンイノベーションにはアウトプットもある(社外で事業化し利益を得る)
    265:現地の販社にマーケティングの大部分を委ねる。ローカライズされたソニー
    276::エレクトロニクス製品のコモディティ化:部品を集めて組み立てれば、高度な技術を持たない企業でもテレビが作れる
    278:プロダクト・アウト 技術にもの言わせて製品を作る
    カスタマーインサイド:お客様に聞いたことを自分なりに解釈して求められている商品を作る 顧客視点
    281:デジタル商品 モノをサービスと組み合わせて売る(ソニーストアの役割)ソニーストアが近くにある量販店の方が売れる
    288:アップルとサムスン トップダウン経営・商品数が少ない
    292:ソニーは総合力があれば。商品間、地域間
    299:広告効率 CMB セントラルメディアバイイング 1社の広告媒体社から広告枠を買い、1社による広告宣伝を世界中で展開する
    311:2005年 ソニーが携帯音楽プレーヤー市場シェアトップの座を奪われる
    コネクトカンパニー:ソニーが米国で提供しているデジタル音楽配信サービス
    313:ウォークマンのコアバリュー 音質と使いやすさ
    355:ソフト畑出身の平井
    洋楽のプロモーション
    「原点はCBSソニー(現 ソニーミュージックエンターテイメント)でエンターテイメントビジネスをしたこと。エンターテイメントやコンテンツには無限の可能性がある。一回見たからもう見ない聞かないという人はいないし、無限に作られる。だめなものは絶対に売れないから結果がきれいに出る。楽しい、おもしろいということが収益の源泉であることに、仕事をしていく上での意味がある」

  • 最近人気の「さよなら!僕らのソニー」を読み、ストリンガー社長が実質解任(退任?)という事実から、就任時の期待を振り返るために読了。

    就任時からすでにソニーが出井体制から、すでに大きな病にかかっており、それらを挽回するために、ストリンガーという間違った薬に手を出してしまったとように感じた。結局ソニーは、技術のエレキの会社であることの原点をわすれてはいけない企業だったと思う。

    過去を断ち切り、ブルーレイ、3D、サムソンとの勝負、テレビ事業、ブランドの立て直し、iPodへの対抗、ハードとソフトの融合、結局、どれも中途半端だった。

    その意味では過去を振り返り、期待の就任と結果を振り返る意味では貴重な書籍になると思う。

  • ストリンガー凄いってのもあるけど、改革前のソニーという大企業の硬直運営に驚いた。

  • ソニーの最近の事業内容、目指す方向をつかむには良いかも。ただ、今後の展開が楽観的にかかれているという印象を受けたので鵜呑みにはしない方が良い。
    家電業界といっても日本を始めとして多くの企業がある中でハードとソフトの両方を持っているソニーという会社がいかに特徴ある存在なのか、というのがわかりました。

  • 危機に対する感応力、これは大企業にいると薄れていくものだ。

    ストリンガーの信条である
    自己満足に陥らない
    常に将来を見据え目を将来に置くこと
    仕事の場の清廉潔白さが壊れないよう守る
    がいかに難しいか考えさせられる内容だった。

  • 日本を代表するエレクトロニクスメーカの海外経営者による経営改革の中身を見たくて読んでみました。身近な製品でもビジネスでも、ソニーは親近感のある存在であり、実際に拝見したことがある方も登場するのでとても興味深く読ませて頂きました。日本が元気になるためにも、ソニーにはこの改革で「世界のソニー」のポジションを再度獲得して欲しいと願っています。

  • ソニーおよびストリンガーの事績をなぞる箇所が多く、知識としては良いがこれからどうすれば良いかのヒントを得ることはあまりできなかった。

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著者プロフィール

片山 修(カタヤマ オサム)
ジャーナリスト
愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想力が持ち味。経営戦略、マネジメントにも造詣が深く、長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人事論、時代論には定評がある。2001年から2011年まで学習院女子大学客員教授を務める。
『時代は踊った――オンリー・イエスタディ‘80s』(文藝春秋)、『ソニーの法則』『トヨタの方式』(以上、小学館文庫)、『本田宗一郎と「昭和の男」たち』(文春新書)、『ふるさと革命――“消滅”に挑むリーダーたち』(潮出版社)、『社員を幸せにする会社』『技術屋の王国――ホンダの不思議力』『豊田章男』(以上、東洋経済新報社)など、著書は60冊を超える。

「2021年 『山崎正和の遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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