- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396613945
作品紹介・あらすじ
日本がバブル景気に浮かれていた一九九〇年一月二九日、国民はある「事件」に仰天した。昭和天皇在位六〇年を記念した一〇万円金貨(通称『ヒロヒト金貨』)の"偽造品"がスイスから日本国内に大量に流入したと警視庁が発表、"被害総額"は一〇〇億円を突破した。それから二〇年、作家の「僕」は、この事件で渦中の人物となった日本人コイン商に出会い、警視庁での厳しい取り調べや、「ヒロヒト金貨」の発行・流通・真贋鑑定にまつわる一部始終を聞かされる。コイン商は「僕」に顛末の公表を願った。イラン・イラク戦争(一九八〇年)、ロン・ヤス会談(一九八三年)、プラザ合意(一九八五年)、イラン・コントラ事件(一九八六年)…。「事件」の背後に浮かび上がる、バブル期の日本を巻き込んだ国際的陰謀。二〇年の時を経て、事件の闇が暴かれる。
感想・レビュー・書評
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この金貨、公表されている発行枚数が(昭和61年銘)1000万枚で、よくもまぁこんなに金貨を発行できるもんだなぁと感心していたのを思い出す。この本に書かれていることはかなり説得力があって、「こういうことも充分あり得るよな」と思った。
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1日で読了。ノンフィクションのようなフィクションのような。こんな偽金事件があったことすら少しも知らなかったし、それがこんなに歴史の闇に紛れてるのも不思議。
ポチ、傀儡、売国奴国家。全ては主君のために。
結局僕はこういう陰謀論が大好き。この本を「都市伝説」にジャンル分けするのはやりすぎだろうか、笑 -
ノンフィクションっぽい小説。 説得力はあると思うけどどこまで信じて良いものやら。 そういった面も含めエンタメ小説としてとても楽しめた。
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昭和天皇在位60年記念金貨、ヒロヒト金貨の偽造にまつわる物語、本当だろうか? 100,000円金貨は並んで整理券を受け取り喜んで買ったのだが、今も家にあるはずだが、その後値上がりの声は聞かない?裏には何があるんだろうか?
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昭和天皇在位六十年記念金貨の偽造事件は日米国家の陰謀だったというテーマ。どこまでが事実でどこまでがフィクションなのか微妙だけど題材としては非常に興味深い内容。本当にこの本の結論通りなら大変なことだし、腹立たしいと思う。
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著者の卓見。歴史の一コマで終わらせてはいけない。笠が冤罪で取調べを受ける描写は怖い。後半、イスラム、南米の国際情勢は難しい。
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この本のメインテーマである「天皇在位60周年記念金貨」は記憶にはありますが、売り出された当時は大学生で、購入するお金もなく興味もありませんでした。
この本によれば、偽造金貨が100億円も出回ったにもかからず、最終的には闇に葬られてしまった事件のようです。特に、10万円金貨でありながら、4万円の金しか使わなったとか、記念通貨でありながら、1100万枚発行されたのは不思議ですね。
以下は気になったポイントです。
・ロスチャイルド家のはじまりは、ハプスブルク家の一コイン商であったが、貴重な掘り出し物を探し出すうちに、国債発行まで任されるようになった(p52)
・記念コインは、どこの国でもせいぜい1万枚程度であるが、ヒロヒト金貨は、1000万枚発行された、さらに翌年にも100万枚発行された、10万円金貨なのに20グラム(99.9%)の4万円しか使用されていなかった(p77)
・10万円金貨の陰に、223トンの金輸入=4400億円のアメリカの貿易赤字の解消、という事実があった(p106)
・マルタ騎士団は領土を持たないが、独立国家と同様の主権を有していて国連もオブザーバとして受け入れている、マルタ騎士団の総長は終身職でカソリックの枢機卿となる(p219)
・スイスは各国支配者階級の金庫である、隠し財産、不正蓄財の理想的な預け先、強固な軍備は世界のセレブたちにアピールするためのもの(p285)
・キプロス島の支配者の交代は、ペルシャ→ギリシア→ローマ→イングランド→テンプル騎士団→エルサレム王国→ベネツィア共和国→オスマン帝国→英国→キプロス、である(p299)
・国会答弁において、ヒロヒト金貨は全発行数の25%である、272万枚(2720億円)が返品されたと答弁した(p303)
・ヒロヒト金貨は、東京都内の大手デパートを対象に聞き取り調査をしたところ、10のうち7つはノーとされた(p304)
・ロシアと南アフリカで生産されたゴールドは、ほとんどがスイス(チューリヒ)に集まってくる、大量の現物が欲しい場合には、チューリヒの銀行の地下金庫を経由することになる(p315)
・ウナとは、ラテン語で「真理の女神」を意味する(p322)
・反消費税の勢いを止めたのが、「空前絶後のニセ金貨」であった、1990年1月24日に国会解散、2月18日の投票では、自民党(275)が社会党(136)に対して勝利した、このときの陣頭指揮は自民党幹事長の小沢一郎(p360)
・イランイラク戦争(1981年6月)では、イラク側には、米英仏ソ連中国が味方、イランは北朝鮮、リビア、シリア、イスラエルであった(p374)
2011/7/3作成