石田健さんといえば、メルマガで有名なまぐまぐで「毎日1分!英字新聞」を発行され、単行本のシリーズを出されている。メルマガを元に書籍化(祥伝社黄金文庫からメルマガと同じタイトルで出版)してお金が入るなんて、「いいね」ボタンを何回押しても足らないくらいうらやましい。
その他、ネットビジネスを指導する「石田塾」が当たって、今では、「国産の高級車レクサスを毎年キャッシュで購入できるくらい稼いでいます」という成功物語を作り出した人だ。
そんな著者の生活をつづったものが今回の本だ。著者は、「今までとは違う考え方」と、「学校で教えてもらえないお金との付き合い方」をこの本で述べられている。精神的な「自立」と物質的な「自立」が必要で、この本から何かこれからに役立ってもらえるとうれしいと言われている。
面白いと思ったことをいくつか取り上げる。
1.「ことわざを疑え」
その理由は権力をもっている人間に都合が良いからで、「権力構造を補強、強化するために、言葉(=ことわざ)によって統制する」ところから距離を置いてふとこれでいいのかと考えることが必要だと著者は指摘している。特に今のように混乱している時にはクリティカル・シンキングが重要なので、既成概念に対して盲目的服従はやめようということか。
2.「首尾一貫性を放棄せよ」
スピードの変化が激しいのに、悠長に構えていられないのと、一度決めたからといってそれを金科玉条のごとく守り通す必要がないからと説いている。日曜日に放送されている「Mr.サンデー」を見ていたら、あのスティーブ・ジョブズの話をしていた。iPhonがもう少しで完成の段階で「これではダメだと思った」と言ってやり直しさせたエピソードを紹介していた。柔らか頭が必要なのだな。
3.「情報収集をあえて放棄する」
情報が氾濫している今の時代、雪だるま方式で入ってくる。それを使いこなせればいいが、単に情報に振り回されたり、溜め込んではい終わりとなってしまうことが多いから気をつける。よく書店で見られる今週読まれている本ランキングの本を読んでも、みんなと同じ情報しか入らないから、「差異」が生まれないとある。
4.「ソーシャルメディアが情報検索の中心となる日」
GoogleがGoogle+というFacebookをまねたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
を開始して話題になっている。Googleは検索で大きくなってきた企業なのに、あえてSNSを展開するのは、Facebookを利用している時間のほうが、Googleよりも多いという現状を目の当たりにして、焦りを感じたからだ。それにSNSの方が双方向コミュニケーションで相手の顔が見える点でお薦めの情報を利用したり、商品を購入しやすい。誰だかわからない人からあるいは、サイトから勧められても説得力に欠け、見たくもないサイトが画面上に現れるとうっとうしく感じる。
5.「いきなりその道のプロに変身しよう」
「その道のプロと言うものに資格試験はありません。言ったもん勝ちといった部分がたぶんに含まれています」と著者は述べている。もちろん中身が伴っていないとまずいとも指摘している。
この本を読んで思い出したのが、ポリグロット外国語研究所を主宰され「語学で身を立てる」(集英社新書)の著者、猪浦道夫先生だ。猪浦先生は語学の先生でもあるが企業家といっても言い方のおっしゃっていることは「21世紀で生きていくためには、自ら仕事をクリエイトできる能力を身につけ、コスト計算ができて(経営者マインドを持つともいえる)、切り札となる専門分野を持つこと。興味のあること(複数で構わないので)に対するオタク度を高める。第2外国語を武器に英語はついでやる」と言った示唆に富んだ内容だ。
Art is long,Life is short.「芸術は長く人生は短し」と言うことわざがある。何だことわざを疑えと言うのに納得していないのではないかと言われそうだが、人生は長いようで短いことを言い表しているので、あえて引用した。今年は、大震災と原発事故が起こって、ふと思った。モクモク羊も語学で身を立てるという目標を持っている以上何らかの形で、つなげていきたい。このままだと生ミイラになっても実現する日はやって来ないからなあ。従来型の終身雇用の正社員、公務員型のライフスタイル以外の人生を送りたい方には一読してみて欲しい。