- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396615758
感想・レビュー・書評
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【読書前メモ】
覇権の生まれ、衰退等を読み解く本書。歴史鉄則のようなものも記される。
・国庫が傾いたとき、その原因の問題解決を図ることなく、安易な増税に走る政府はほどなく亡びる
・歴史は「勝者」によって紡がれる。
・統一王朝が生まれ、戦乱は治まり社会は安定し農業生産力が向上する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
心に残った言葉
世の中の覇権パターン
・戦乱の時代で国土は荒廃、人口が激減する。
・統一王朝が生まれ、戦乱は治まり社会は安定し農業生産力が向上する。
・人口が増えて農地が足らなくなり対外膨張戦争、国庫を圧迫。
・増税による農民の反乱、滅亡。
この中で権力は必ず腐敗して、これを繰り返す。延々と
戦国時代の後は、考え方を改めた革新的な覇権政権が生まれる。
しかしながら革新的故に旧来からの保守層の反感を買い、短命に終わる。
しかしながら考え方については時代の流れに沿っているので、次の長期政権に受け継がれることになる。
戦乱の時代は才能のある人が正々堂々と戦おうとするが、平和な時代は無能な者が根回し、裏工作などをして優秀な人に勝つ事が多い。
この繰り返しで歴史の輪廻が回っている。
中国は民主的な統治が合わない国
帝政を無理して辞める必要はない
今の小毛沢東(習近平)もある意味安定
この辺りは真理はなく民族性の問題
名君によって作られた政権は短命
凡君によって作られた政権は長命
引き継ぎの問題
しかしながら前者も外圧(戦争)によって一致団結する形で生き残ることもある。
自国防衛を外部に委ねるようになった民族は必ず滅びる
その国の発展の礎となったものが、滅亡の原因にもなる
いつの時代もどこの国も社会の腐敗は平和の中で醸成される
平和こそ腐敗と混乱、戦乱の原因
なので平和もほどほどが良い
次の混迷が短くなるから
内乱は体内の癌を取り出す外科手術
成功すれば健康を取り戻し、失敗すれば死ぬ
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覇権がどのように生まれ、どのように移り、滅んでいくのか。ローマ帝国、中華帝国、イスラーム帝国、大英帝国、アメリカ合衆国の歴史を紐解き、歴史法則を掲げながらその本質を解説します。
内容としてはとても興味深く、歴史法則として著者が示しているように「歴史は繰り返す」ものだとしています。
現代のアメリカに関していえば、少しそれ以前の歴史とは違うのかなという気もしていますが、過去にしても社会背景が異なっても同じ理由で滅亡したことを考えれば、同じように崩壊が始まるということなのでしょうか。
ちょうど先日、トランプ氏がアメリカ大統領に当選したことが決まりました。作中、トランプ氏を批判しています。結果が出た今、著者は何を思っているのか、また、この法則を元に、今後の世界をどう予測しているのか、その後の見解などに興味があります。
その中で、自分はどのように行動すべきか、しっかりと考えていかなければなりません。
歴史学
=「過去の事象からその本質や法則性を探り出し、目の前で来ている出来事の本質と先の見えない未来を紐解いていくための高度な学問」
「政体というものは、その民族が何千年にわたる試行錯誤の経験の中から構築されてきたものであり、その環境・歴史・民族性・文化・経済などと複雑に絡みあいながら、もっとも適切な形となって成立したもの」
日本が同じ轍を踏まないようにするために、過去の失敗から読み取らなければないらない
↓
「亡びたくなければ、けっして頂点に立たないこと。」
「その時代に100%合わせるのではなく、80%だけ合わせて、20%の遊びを残しておく。その遊びがあればこそ、次の時代への変化に適応できる」
<目次>
序章 転換期こそ歴史から学べ
第1章 ローマ帝国――民主と独裁の絶妙なバランス
第2章 中華帝国――中華思想を支えてきたもの
第3章 イスラーム帝国――原理主義が生まれたのはなぜか
第4章 大英帝国――ヨーロッパの本来の姿とは
第5章 アメリカ合衆国――「覇権」はいつまで続くか -
一度目をさらっと読んでしまったので、ブクログでメモしながら再読しました。
最初はなんとなく読み飛ばしていましたが、メモを読み返してみると歴史の流れだけでなく、筆者が考える因果関係がとても良く分かりました。
本書は学生の世界史の勉強にも良いのではないでしょうか?
伝統的なローマ精神がキリスト教により破壊された。など、一部の表現がまだ理解できていない部分はありますが、それも含めて今後の勉強としたいです。
世界が多様化して、国家や個人のそれぞれの正義がぶつかる世の中になっていますが、この本は歴史から振り返ると言う事を学べますので、自分にとっての正義とは?と考えるヒントの一つになると思います。 -
歴史を大きな流れでとらえることができる。
遊牧生活では毎回次の行動を考え、決定しなければならず、ひとつの判断ミスが命取りになることもあるため、みんなで話し合って決めるという制度が定着する。
絶望感が蔓延すると、未来に希望を持てない民は宗教にすがるようになる。 -
歴史から、失敗の本質を学び、これからの未来をどうすべきか考えるための本です。
ローマ、中国、イスラーム、大英の各帝国は、大変な繁栄の後、必ず没落してしまいました。
大きくなりすぎた国は、ほぼ同じ原因でほころびが生じ、そのほころびを自己修復できず、ほころびが大きくなったところで滅びていきます。
現代での大国と言えばアメリカですが、ベトナム戦争、9.11などは過去に起こった大国のほころびに近く、その優位は実は長く続かないのかもしれません。
過去の失敗から学び、これからの混乱期にどう考え、行動していくかのヒントを得ることができる1冊ではないでしょうか。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「混乱期は、先が見えない。それまでの「常識」が通用しない出来事が次々起こる。先が見えないこそ、過去の事象からその本質や法則性を探り出し、目の前で起きている出来事の本質と、先の見えない未来を紐解いていく。」
→まさに今は、情報発信が爆発的に発達し、デジタル化が進む混乱期のようです。環境問題や感染症なども、その混乱を加速させている感があります。混乱期の中で、これまでの人類はどのように失敗し、どういった場合に成功の可能性があるのかを学ぶことは重要です。成功の方法とその根本にある考え方は時代によってパターンが分かれるのかもしれませんが、失敗の原因は、根本的に同じであることが多いようです。
「結果にはすべて理由がある。長期にわたってひとつの目標に努力しているのに、一向に成果が出ない時がある。そうした場合、その原因はその人の能力不足でも努力不足でもなく、努力の“方向性”が間違っていることがほとんど。」
→群雄割拠で混乱が続く時代では、皆が古い観念で古い方法を採っているため、どんなに頑張っても時代に合わず、誰もがもがきつづけてしまっているようです。これからのデジタル社会でも、古い観念を捨てきれず、同じようなことが起こらないか不安に思うことがあります。少なくとも、新しい考えを否定しないことは常に心がけておくほうがよいのかもしれません。
「旧時代から新時代へと移り変わる時、たいていその新時代の光は辺境から現れる。」
→イスラームの創始者などは辺境から現れました。辺境では異文化の交流が起き、多様性が生まれやすく、新たなものが生まれやすいという話を聞いたことがあります。日本でも、地方から新たな力が生まれ、世の中を変えていっているのではないかと思うことがあります。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・人は歴史的な観点から物事を判断することがなかなかできず、自分の狭い経験の中でしか判断できない。過去を学ぶことで、未来を知ることが可能になる。「絶頂」の後には、かならず「没落」が来る。覇権を握ったような国は、総じて短命。アメリカが力を失った後を推考してみる。
・歴史は一見どんどん様変わりしていくように見えるが、その本質的な部分は洋の東西を超え、古今を超え、民族を超えて普遍であるため、歴史を正しく学ぶなら、最も有益な学問となる。
・歴史を学ぶ、ではなく、歴史「に」学ぶ。過去と現在を比較対比し、現代社会を主観的ではなく客観的に捉えることができ、過去と現在の延長線から未来の動向を予測することすら可能となり、事が起きてから狼狽するのではなく、事が起きる前にあらかじめ対処もできる。
・現在は、20世紀いっぱいまでに「安定期」が終わりを迎え、21世紀以降、9.11を境として、時代は急速に「混乱期」へと向かっている過渡期と考えてよい。テロや中国など、挑戦してくる勢力が次々と現れ、覇権国家であるアメリカの権威が揺らぎ始めている。
・来たるべき新時代の覇者は、歴史から読むと、前時代の古い政治理念に凝り固まり、これを行使する国ではない。アメリカも中国も違う。軍事力や経済力とはまったく対極にあるものを武器とする、「誠実と信頼で信用を集める」国ではないか。
◯転換期こそ歴史に学ぶ
・人類の歴史は、「安定期」と「混乱期」を交互に繰り返している。
・安定期とは、その時代、社会に根付いた価値観が安定する時代。社会全体に共通の価値観が拡がり、それが「常識」となって、親の世代の常識が子の世代にも通用する。凡人が生きやすい時代。先例どおりに生きれば大過なく過ごせる。才あるものにとっては、それを発揮する場がなく、息苦しさを感じる。「すぐれた才」は動乱の世でなければ、発揮するチャンスに恵まれない。
・混乱期は、先が見えない。それまでの「常識」が通用しない出来事が次々起こる。先が見えないこそ、過去の事象からその本質や法則性を探り出し、目の前で起きている出来事の本質と、先の見えない未来を紐解いていく。
◯ローマ帝国
・民主政は平時にはうまく機能するが、非常時になるとたちまち機能停止する致命的欠陥がある。独裁時はその逆。2つでひとつ、お互いに欠点をうまく補って、はじめて政治はうまく機能する。会社経営でも、優れた経営者は、攻めと守り、慎重さと大胆さ、話し合いと独断、などを、メリットが最大限発揮される方を臨機応変に採用していく。
・人は一度権力を得ると、たちまち保守化・硬直化し、何があっても手放そうとしなくなる。特権階級が権力を独占する状態が続くと、「持てる者」と「持たざる者」による熾烈な闘争により、国全体が疲弊・荒廃し、亡ぶ。歴史から学べないと、同じ過ちを繰り返し、自滅する。権力は必ず腐敗する。これを防ぐ手立ては存在しない
・内なる問題を解決した組織は、外に向かって膨張を始めるものだが、それが急激すぎると、組織がその変化に耐えられず一気に崩壊を始める。ベンチャー企業にもありがち。物事全てに「適度」というものがある。
・富み栄えると、富の偏在が生まれ、決定的な貧富の差は秩序を破壊する。
・自己修正能力を失った組織は崩壊に向かうが、その前に新秩序の開拓者が現れ、「変質」というもう一段階を経ることがある。旧秩序が崩壊しつつあると、新秩序を構築しないといけないが、それは抵抗勢力との壮絶な戦いでもある。旧秩序の破壊者、新秩序の開拓者は葬られてしまうものだが、「新秩序そのもの」を葬り去ることは決してできず、別の者に継承されるのみである。大きな時代の転換期には「過渡期」が必要。
・人は絶望に追い込まれると妄想に救いを求めるため、国家が崩壊過程にあるときは新興宗教が跋扈することが多く、それが国を滅ぼす元凶となることも多い。
◯中華帝国
・結果にはすべて理由がある。長期にわたってひとつの目標に努力しているのに、一向に成果が出ない時がある。そうした場合、その原因はその人の能力不足でも努力不足でもなく、努力の“方向性”が間違っていることがほとんど。
・国庫が傾いた時、その原因の問題解決を図ることなく、安易な増税に走る政府はほどなく滅びる。
・法は万能ではないことを理解できず、万能なものとして国家運営を図れば混乱を招く。
・本物の悪党は、善人ヅラしている。
・その国の成立・発展の礎となったものが、その国の衰退・滅亡の原因となっていく。
・歴史は延々と繰り返す。戦乱で荒廃し人口激減→統一国家が生まれ社会が安定、農業生産力向上→人口増で農地不足、対外膨張戦争で国庫圧迫→増税で窮乏、反乱相次ぎ混乱のうちに滅亡、というサイクル。
・豊かになると周辺から羨望され、身を護るため「軍事大国」にならざるを得ないが、軍事費が財政を蝕む。一方、外交において、敵に弱腰を見せれば、たちまち骨までしゃぶられる。
・政体は、その民族が何千年にわたる試行錯誤の経験の中から構築されてきたものであり、その環境・歴史・民族性・文化・経済など複雑に絡み合いながら、もっとの適切な形となって成立したもの。万能な政体は存在しない。
◯イスラーム帝国
・旧時代から新時代へと移り変わる時、たいていその新時代の光は辺境から現れる。
・偉大な指導者によって打ち建てられた政権は、その指導者を失った時、崩壊の危機に陥る。名君によって打ち建てられた政権は短命だが、凡君によるものは長命となる。
・内なる崩壊は、外からの圧力によって止まるが、国内矛盾を対外膨張で押さえ込んだ国は、つねに膨張し続けることを余儀なくされる。自国防衛を外民族に委ねるようになった国は滅びる。
・カニが成長とともにその硬い殻を脱ぎ捨てて脱皮するように、国家も領土規模の拡張とともに、その規模に見合った新しい行政システムに“脱皮”しないといけない。脱皮(行政改革)に成功すればさらなる成長(発展・拡大)が望めるが、失敗すれば「死」(滅亡)が待つのみ。組織改革には、為政者が新しいものを受け入れる柔軟性が必要。
・人は繁栄と平和の中にある時、それが永遠に続くことを希求し、実際そうなると思いがち。社会を腐敗させ混乱と戦乱を誘発させる最大の原因が「平和」と「繁栄」であることを理解している人は少ない。
・どんな素晴らしい教えも、かならず生まれた時代の社会規範に縛られている。時が経って、その基盤となっていた社会規範そのものが移り変わってしまえば、古い時代に生まれた教えとの間に価値観の大きな隔たりが必ず生じる。
◯大英帝国
・利点と欠点はつねに表裏一体。急激な変化は、組織を破壊する、社会が変化する時、多かれ少なかれその変化についていけない者が必ず現れ、変化が急激なほど、対応できない者の割合が増え、格差は深刻な社会問題となる。
・もともとヨーロッパは“地球の辺境”という地位が常態。18〜19世紀の発展が「異常」。20世紀の衰退期を経て、21世紀は“本来の姿”へ戻っていく世紀となるのでは。再び力を持つとすれば、“無制限に武力がモノを言う時代”が到来した時だが、当分なさそう。
◯アメリカ
・内乱や改革は、体内の癌を取り除く外科手術で、成功すれば健康を取り戻し、失敗すれば死ぬ。
・歴史は「勝者」によって紡がれる。勝者は自分の犯した悪逆非道のすべてを「敗者」に押し付ける。
・すべての時代は、その時代ごとの「前提条件」に支えられて成立しているため、条件が変われば時代も変わらざるを得ない。帝国主義時代において覇を唱えたアメリカも、帝国主義時代の中でしか生きられない。「国家の特性」が「その時代の性格」とピッタリ符合した国でなければ、その時代の覇者になることはできない。時代が移り変わり、性質が変化した時、旧時代の覇者は新時代の特徴と合わなくなるため、衰亡せざるを得ない。
・ベトナム戦争のような「無敗だった者が一敗地に塗れる」ことはたいへんな意味を持つ。不敗は「権威」を育み、権威は支配を容易にするが、一度でも傷ついた権威は二度と元に戻ることはない。
・古い時代の価値観で新しい時代を評価することに意味はない。兵器テクノロジーの発達で、「テロ」は21世紀から「戦争」のひとつの形態となった。今までの常識を覆すような事件が起きるときは、時代は新しい時代へと大きく移り変わっている。ひとたび「新時代」が生まれると、古い時代の常識では想像もできなかった出来事が次々と起こるようになる。
・どんなにすばらしい思想・教え・理念・制度も必ず古くなる。「一般民衆に政治・経済・外交の決定権を与える」民主主義もすでに「時代遅れ」になりつつある。「国境」という概念が希薄になってきている。近代から始まった「世界の一体化」は終わったわけではなく、現代でもますます加速している。ネットを中心に、膨大な情報が国境を超え世界を駆け巡る中、政治・外交・経済は複雑化し、一般大衆が理解できなくなってきた。
・その時代の中で生まれ、その時代で生きてきた者は、突然「生きてきた時代はもう時代遅れ」と言われても、簡単に受け入れられない。
・その時代の頂点に君臨するためには、どうしても「国家の特性」と「その時代の特性」をぴったりマッチさせないといけない。だが、時代の頂点に君臨すると、その維持に莫大な経費がかかり、財政が逼迫する。「時代」はかならず変遷するが、国家の体制・本質は簡単に変わらないため、それが足かせになって亡ぶ。滅びたくなければ、決して頂点に立たないこと。 -
歴史の"法則"を分かりやすく説明してくれる。
歴史が苦手な自分でも、スラスラ楽しく読めた。
イギリスとアメリカのパートは特に世界大戦前〜現代に繋がるように解説されており、本書踏まえて、より深く知りたいと感じた。
以下、印象的だった箇所。
●人は困難に当たって一度でも逃げの選択をしてしまうと、後はなし崩し的に逃げ続けることになり、衰滅していく
…宋の弱腰外交。一度でも弱腰を見せれば、骨までしゃぶられる。
●過去の成功体験が未来の足をすくう
…日本を降伏させたアメリカだが、ベトナム戦争では撤退を余儀なくされた。 -
面白かった
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頂上を極めるとあとは坂を下るだけという、ある意味当たり前の法則を歴史の実例に照らして解説した本。
人間のすることは時代や地域、民族に関わらず、同じなのだなと思わされる。
しかし、米国も中国も欧州もイスラムもみんな駄目だとすると、次の覇権はどこになるのか。
挑戦は辺境から来るとはいうが。