仕事に効く教養としての「世界史」II 戦争と宗教と、そして21世紀はどこへ向かうのか?

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396615772

感想・レビュー・書評

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  • 歴史の本を多く読むようになったのも、古典を読むようになったのも、最初に出口さんにアリストテレスのニコマコス倫理学をすすめてもらったことによってだった。

    4年前の当時は半年かけて半分しか読めず断念したが、
    それからも絶えず岩波文庫にはチャレンジをし続け、今は日に2冊を読むようになった。

    歴史の本も最初は読み込みにくかったが、繰り返し様々な本を読むことで、理解が進むようになった。

    そうして今思うことは、世界にはまだまだ知らないことがたくさんあり、知れば知るほどもっと知りたいと益々ワクワクするということだ。

    未知の知。
    無知から未知へ。

    知らないことはなくなることはないが、
    何も学ばなければ未来永劫無知のままだ。

    学ぶことで無知は未知となり、
    世界は益々深く拡がり面白くなる。

    それが読書だ。

  • そのときの別の地域との関わりなどを勘案しながら、世界史を縦横に読んで行くことができます。本書は前著では触れられなかった地域の歴史を語ることにより、様々な視点からの歴史の見方があるということを学ぶことができます。なかなか語りにくい、アメリカやアフリカの歴史も、分かっている部分をつなげてできるだけ理解しようということは、グローバルな時代には必要なことだと思います。この視点を持つことのきっかけとなったと思います。広大な世界史はやはり1冊では語れませんし、1つの地域に偏っては理解が不足します。このような全体からの書をいくつも読んで行くことが必要だと、その広大さを感じています。

  • 著者の世界史本の良いところは、俯瞰された歴史観で語られる点。細部に突っ込み過ぎず、ポイントを押さえながら流れを重視した説明と、所々挟む興味深いエピソードなどは、歴史に詳しくない人の頭にも入りやすい。イスラム諸帝国の発展史や、近代ヨーロッパの覇権争いといった整理し辛い箇所などは特に腕の見せどころ。今回追加された南アメリカとアフリカの通史については、ユーラシアの記述に比べるとダイジェスト風で、質量的に脇役感は否めなかった。

  • 図書館で借りた。
    出口先生の世界史の本続編。分かりやすさは変わらない。
    前作の後からテーマを選び書いていったのが伝わる。インド・ラテンアメリカ・アフリカと、どうしても2の次になりがちなテーマが選ばれている。とは言え、それがまた面白い。
    また、結果として通史っぽい流れにもなっている。前作はポイントを話したいがために肉付きしていった流れだったが、アフリカなら「アフリカの歴史を語る」という感じで流れていく。

    前作同様、お薦めの1冊。

  • 見えない時代を生き抜くために
    ビジネス界の知の巨人によるベストセラー第2弾!
    現代の問題がわかる「世界史10の視点」とは?
    ビジネスの現場では、世界と日本を理解するための骨太の教養が求められる。
    今回は、イスラム世界、アフリカ、インド、ラテン・アメリカ……を取り上げる。
    第1章 激動の16世紀。世界史の流れはここから変わった―カール五世、新大陸への到達、宗教改革
    第2章 イスラム世界が歩んできた道―21世紀のテロ問題を冷静に見つめるために
    第3章 豊かな国インド―なぜ始皇帝もカエサルも登場しなかったのか
    第4章 エジプトはいつも誰かに狙われていた―「世界の穀倉」をめぐる支配の歴史
    第5章 日本文化に大きな影響を残した唐宋革命―平和はどのように築かれたか
    第6章 ルネサンスは神の手から人間を取り戻す運動だった―里帰りの3つのルートとメディチ家
    第7章 知られざるラテン・アメリカの歴史―スペインの支配、独立運動、キューバ危機
    第8章 母なる大地アフリカの数奇な運命―暗転していく歴史と奴隷貿易
    第9章 ドイツを統一したプロイセンと第一次世界大戦―フランク王国からヒトラー登場まで
    第10章 21世紀の世界はどこへ向かうのか―超大国アメリカと世界の国々

  • 800年、ローマ教皇は教皇領を武力で守ってもらうことを期待して、ドイツ王にローマ皇帝の名称を与えた。ドイツ王が決まらなかった大空位時代(1250~73年)の後、スイスの小領主だったハプスブルク家がドイツ王に選ばれた。ハプスブルク家6代目のマクシミリアン一世は、フランドルを支配していたブルゴーニュ公国の君主の娘と結婚し、後にフランドルを支配することになった。その子フィリップスは、レコンキスタを終了したスペインの王女と結婚し、カール五世が生まれた。そして、カール五世はフランドル、スペイン、オーストリアを領有する君主となった。

    プラトンによってアテネに創設されたアカデメイアは、529年にユスティニアヌス1世によって閉鎖された。職を失ったインテリたちは、大量の文献とともにサーサーン朝のジュンディー・シャープールに迎えられた。8世紀に製紙法を入手したアッバース朝は、バグダードに知恵の館を建設して学者を集め、ギリシャ・ローマ古典をアラビア語に翻訳した。

    8世紀から9世紀の80年間にバグダードやサッマーラーの建設のために大量の建築資材が買い付けられたため、交易相手のカロリング朝が豊かになり、ケニアやタンザニアの大木も切り倒されて運ばれた。

    ムハンマドの甥であるアリーの次男フサインの妻はペルシャの王女で、この血筋がシーア派の指導者となった。

    バラモン教の教えは難しいので理解されなかった。教えをわかりやすくシンプルにしたヒンドゥー教は農村地帯にも広がった。それに合わせて仏教も、浄土三部経や法華経などの大乗経典を創作してわかりやすくした。

    ローマ帝国は293年に四分割したが、西の正帝コンスタンティヌス1世は軍団と官僚を率いて東に移った。ユリアヌスも、ガリア地方の軍団と官僚を連れてコンスタンティノープルに移った。2人の皇帝が西側の人材を東に連れて行ってしまったため、ゲルマン民族の侵入を防ぐことができなかった。

    サトウキビを原料とする砂糖の生産は、BC2000年頃のインドで始まった。7世紀のサーサーン朝時代にイランに入り、アッバース朝時代にバグダードやダマスカスで食された。ヨーロッパの人々は十字軍によって砂糖を知り、栽培・加工していたマムルーク朝が供給するようになった。

    北魏から唐、五代にかけて、三武一宗の法難があったことから、仏教は国家に頼らずに信者を増やそうとした。シンプルな教えの浄土教は庶民層に広まり、理屈の多い禅の教えは地主や知識人の士大夫層に広がった。木版印刷が布教に大きな役割を果たした。

    アメリカ先住民がスペイン人によって酷使されたり病原菌によって死んでいったため、焼畑が行われなくなって森林が再生し、地球は寒冷化に向かった。

    アメリカは、それが新大陸であることを確証して発表したアメリゴ・ヴスプッチの名に由来する。アフリカは、カルタゴの南に居住していた人々がアフリと呼ばれていたことに起因する。ヨーロッパはフェニキアの王女エウローペ、アジアはアッシリア語の日の出「アス」に由来する。

    ドイツは、ローマ時代にラテン語を話さなかった人々を「民衆本来の(言葉を話す)」という意味のtheudiskに由来する。1740年、神聖ローマ皇帝カール6世が死去して長女のマリア・テレジアが家督を継承すると、プロイセンのフリードリヒ2世はハプスブルク家の領土だったポーランド南西部のシュレージエンを占領した。マリア・テレジアはシュレージエンを取り戻すためにフランスのブルボン家と同盟を結び、マリー・アントワネットをルイ16世に嫁がせた。

  • おもしろい。世界史をエリアごとに解説している。特徴的な逸話などをさしはさみ、歴史に興味を持てるように工夫がされている。
    ■16世紀
    1492年、コロンブスが新大陸を発見した。実は新大陸を最初に発見したのは10世紀のヴァイキングだったが、忘れられていた。コロンブスの再発見により、「コロンブス交換」と呼ばれる広範囲の交易がおこなわれ、世界は均質化した。
    ・16世紀ヨーロッパ。カール五世。
    19歳で神聖ローマ皇帝になる。フランス王フランソワ一世との対立。
    1517年、カール五世がスペインに入国する。この年にマルティン・ルターが「95か条の論題」を発表。紆余曲折を経て、カール五世はトリエント公会議を開催。宗教改革の嵐が吹き荒れる中でローマ教会を守ろうとしたが状況は不利になるばかりだった。
    1556年にカール五世は引退。ハプスブルグ家の領土を弟のフェルディナントと、子どものフェリペ二世に譲った。
    ■イスラム世界
    ムハンマドはアラビア半島のマッカに生まれた。40歳前後、洞窟にこもって瞑想をしていた時に神託をうける。クルアーンはムハンマドの死後(632年)、18年後(650年)に完成する。
    ムハンマドの没後、この新しい共同体(ウンマ)を統率する人間はカリフと呼ばれた。預言者ムハンマドの代理という意味。
    サーサーン朝ペルシャとローマ帝国は600年頃から約30年にわたって戦争を続けていた。そこへイスラム軍が参入した。イスラム軍は639年にエジプトを奪取、ついで651年にサーサーン朝を滅ぼした。711年にはジブラルタルに上陸して、イベリア半島の西ゴート王国を滅ぼした。
    イスラム軍は「降伏して納税すれば今までの生活は保証する」という統治方針だったので、受け入れられた。
    十字軍が送られ第一回は十字軍が勝利をおさめた。200年間で7回、遠征があったが最終的にはイスラム勢力が勝利した。
    正統カリフ時代。
    初代アブー・バクル、二代ウマル、三代ウスマーン、四代アリー。
    アリーがカリフになったとき、ムアーウィヤが反旗を翻した。戦いは両者が和議を結ぶことで締結。しかし原理主義者によって二人に刺客が送られアリーが死亡。アリーの長男ハサンが後を継ぐが、数ヶ月で退任。ムアーウィヤがあらたなカリフとなり、ウマイヤ朝が開かれた。ムアーウィヤの死後、息子のヤズィードが後を継いだ。このとき、アリーの次男フサインが反乱を起こすが、待ち伏せをされて殺害される。これが680年「カルバラーの悲劇」。この後、アリーの派閥が「シーア派」となる。シーア派はその後多くの派閥に分かれる。現在最大の勢力を誇っているのが十二イマーム派。しかしシーア派は少数派で、大多数のイスラム教徒はスンナ派に属している。やがて、ムハンマドの叔父にあたるアッバース家がシーア派を扇動してウマイヤ朝を打倒する。その後アッバース朝が生まれる。その後オスマン朝が生まれる。
    ・インド
    インドの語源はペルシャ語のヒンドゥーからきている。
    インダス文明が滅んでからインダス川流域に、インド・アーリア人が侵入してきた。やがて十六大国と呼ばれる複数の国々のあらそいがおこる。やがて四つの国に収斂していく。そこにアレクサンドロス大王がインダス河岸に姿をみせた。外敵を目の当たりにしたインド人はマウリヤ朝を建国する。マウリヤ朝の衰退に応じてバクトリア王国を基点としたギリシャ人の侵入がはじまる。その後ギリシャ人にかわって中央ユーラシアの遊牧民が侵入。1世紀後半にクシャーナ朝を建国した。クシャーナ朝時代に仏像や大乗仏教が登場する。クシャーナ朝崩壊後に100年ほどしてグプタ朝が生まれた。この王朝の時代には文化が花開いた。カーリダーサ「シャンクタラー」が書かれ、ゼロの発見もこの頃と言われている。また、マヌ法典もまとまった。
    グプタ朝が滅んだ後に7世紀はじめになってヴァルダナ朝が生まれる。ヴァルダナ朝が滅びてから、ラージプートという集団が北インドに登場する。
    やがてムガール朝が生まれる。
    ・エジプト
    エジプトは長い歴史を持っている。
    いくつもの王国ができたが、新王国が滅亡すると異民族の支配下になる。
    アレクサンドロスはペルシアを滅ぼす前年にエジプトを支配下においている。
    ・唐宋
    ・ルネサンス
    ・ラテン・アメリカ
    ・アフリカ
    ・プロイセン
    ・21世紀

  • アフリカやラテンアメリカの歴史は、知らないことばかりなので、良い勉強になると思う。
    この本を読むに、国の安定は、中間層の育成と人口になるのかなと。
    これからの日本は、対策しないと、本当にダメになりそうだと感じる。

  • 著者は歴史家として素人と仰ってますが、これだけの内容を歴史順に並べて、自身の歴史的なストーリーも交えて書くことは、高い知性というかもうプロフェッショナルとしか言いようがないです。
    前作に続き読み応えありますが、何故か引き込まれるように全部読みたくなる作品です

  • 世界史や現代史から外れた国や地域を扱う。
    特にアフリカやラテンアメリカについて勉強し始めるきっかけにはいい書である。
    歴史を踏まえて、現代を論じ、将来を推測することの大切さがわかる。

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著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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