ユーロ恐慌 欧州壊滅と日本 (Econo-Globalists 19)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396615802

感想・レビュー・書評

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  • この本の著者の副島氏には社会人になりたての平成元年ころからお世話になっています。経済評論家まで隠れてこの人の本を買っているくらいの人気があるようで、将来について断言した解説をしているのがポイントです。

    この本は昨年(2016)11月に発行された本で、一年間に何冊も書かれている副島氏においては最新本でない可能性もありますが、欧州の状況を解説しています。

    かつて日本国債が破たんするという本が多く出されましたが、結局それが実現されないまま今に至っていて、もうそれを煽る本も少なくなってきました。その中で、この本においてそれに至る可能性が示されているのは不気味でした。

    現在行われているマイナス金利が、あと7年しかもたないとマーケットが見ている(p130)という記述は衝撃でした。昨年7月に、最大手の銀行である三菱UFJが国債を購入する特権を返上したニュースを聞いた時の驚き以来でした。

    この本ではそれらに対する資産防衛手段として、将来性のある日本株とゴールドの購入を推奨しています。最近ゴールドの価格は低調のようですが、いずれは上昇するとのことですから、今が買い時なのかもしれませんね。

    以下は気になったポイントです。

    ・ドイツ銀行はアメリカのシティバンクの子分を長年(敗戦後からずっと)やってきたので、シティバンクの尻ぬぐいをさせられた。シティバンクの扱ったサブプライムローンの焦げ付きを処理させられた(p18)

    ・黒田日銀総裁は、任期の2018年5月まで、日銀のマネタリーベースを増やすつもり。2013年3末の356兆円から、2016年12月の436兆円と増えている。理由は、ヘッジファンドからの日本国債暴落(金利上昇)の仕掛け攻撃を撃退するため(p32、39)

    ・アメリカが毎年30兆円も持っていくから、日本は悲惨になった。大企業の経営幹部はこのことを薄々知っているが怖くて言えない(p69)

    ・日本政府が債務の一部を低金利の永久債と交換する、これにより、その部分の債務リスクを完全に切り離すことができる(p73)

    ・三菱UFJ銀行が2016.7.15に、国債市場特別参加者(プライマリーディーラー:2004年導入)の資格を返上した。22社(証券会社19)で作るディーラーの筆頭格であった。彼らは特権的待遇を受ける代わりに、1行で全体の4%以上を応札(消化)する必要がある。大手銀行は3年前から、短期しか購入しないとした動きを見せていた(p76、78、132)

    ・年金資金(GPIF)は140兆円のうち25%を日本株に投入して株価を一生懸命吊り上げている(p84)
    ・イタリアのモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ銀行が2016年1.20に取り付け騒ぎを起こしたが日本には全く報道されなかった。この銀行は世界最古の吟子いうで、イタリア4大銀行の一つである(p99)

    ・2012年2月に、IMFとアメリカ政府がギリシア国債について介入し、債権者に対して74%の棒引きを強引に飲ませた(p105)

    ・イギリスがEUから離脱したい本当の理由は、EU諸国が抱えている大借金を、イギリスが被らなければならず、今なら逃げれると考えていたから(p109)

    ・1960年のころ、1ポンド=1080の固定相場であった、一方1ドル=360円なので、3倍の実力。1916年の国際金本位制のころは、1ポンド=4.86ドルだったので、ポンドはドルの5倍の力があった。今や1ポンド=1.26ドル=128円であり、50年前の8分の1、イギリスの国家の信用がこの50年で8分の1に落ちたことになる(p112)

    ・ドイツ連銀は、6600億ユーロの債権残高がある。これは、欧州中銀であるECBからみれば大借金の債務残高である。この債権が健全であれば、強い国ということになる。しかし不良債権があれば別。いざとなればECBの出資比率(26.7%)の債務をかぶることになる(p121、122)

    ・2016.9には、最大手のドイツ銀行が、アメリカ司法省から140億ドルの制裁金を要求された。2007年までの住宅ローン担保証券(RMBS)の不正販売が理由(p122)

    ・ECBが抱える債務超過は、ドイツのユーロ圏での輸出超過、すなわちドイツの独り勝ちであった。こればイギリスがEUからの離脱を決める隠れた大きな要因であった(p125)

    ・償還期限が7年の国債から金利が急に高くなっている、これは「マイナス金利はあと7年(2023年)しかもたない」とマーケットが見ていることを示している。(p130)

    ・現在(2016)は、預金封鎖から70年、226事件(1936)から80年である。その事件で殺された高橋是清は、世界恐慌に対するデフレ対策としての積極財政であった、貿易促進のために円安を放置した。1ドル=2円だった為替相場を、5円まで放置した。同時に、国債の日銀引き受けもした。これは、現在の異次元緩和と同じ。異なることは、購入した国債の9割を市場で売っていたことが今と異なる(p135)

    ・アヘン戦争にイギリスにやられる前(1830年代)の、大清帝国は世界GDPの25%を持つ大帝国であった。中国人は今も、イギリスが最初のきっかけを作ったことを絶対に忘れてはいない(p145)

    ・英連邦である、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、シンガポール、香港、インドでは、野球をしないでクリケットをする。この英連邦が、非鉄金属(銅、鉛、亜鉛、アルミ、スズ)を押さえている(p146)

    ・金の価格が4600円(小売価格、卸売り価格は400円マイナス)であれば購入すること(p147)

    ・金をはじめとする鉱物資源の価格決定権を、イギリスと中国がアメリカから取り戻そうとしている、欧州のロスチャイルド系の資本が、アメリカのロックフェラー系の衰弱を見越して動いている(p152)

    ・金を売ると消費税分が戻ってくるのがミソ、金という特殊な金属について回る面白い現象である。この1グラム300円(8%の差益を狙って日本に金を持ち込む人たちがいる(p158)

    ・アメリカ国内の1元=15円あたりが、ふたたび人民元の買い場である(p163)

    ・IMFは、2016.10.1付けで中国人民元が特別引き出し権(SDR)構成通貨に採用されるに伴い、構成通貨の相対比率を発表した。それによれば、1SDR=0.58ドル、0.38ユーロ、1.01元、11.9円、0.08英ポンド、であり今後5年間有効である(p166)

    ・イスラエル沖の巨大油田「バイアサン」の開発に、外国企業の参加が呼びかけられた(p177)

    ・時代は石油(原油)から天然ガスに移っている、この問題はアメリカ本土のシェールガス開発は大失敗ということ(p188)

    ・日本国は、アメリカ国債をこれまでに40年間買った残高を、総額で1000兆円くらい抱えている。これを、日本政府の8つある政府系銀行の中に、外債保有残高として積まれているが、絶対に公開しない。これにjは輸出大企業がニューヨークで米国債で資金運用しているものも含む(p197)

    ・2016.9.28に、大統領の拒否権を覆して法案が成立(拒否権が覆されるのはオバマ政権で初)し、テロ遺族がサウジアラビア政府を提訴できるになった、これにより両国関係の悪化は必至となる(p199)

    ・在日米軍が撤退する動きは始まっている、沖縄にいる8000人(家族入れて2万人)の海兵隊はいなくなる、表面上は、グアムのアンダーセン基地であるが、実際には予備役にいれるか、沿岸警備隊に再編入する、国境警備隊の編入も(p204)

    2017年2月26日作成

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プロフィール

1953年、福岡市生まれ。早稲田大学法学部卒業。外資系銀行員、予備校講師、常葉学園大学教授などを歴任。副島国家戦略研究所(SNSI)を主宰し、日本人初の「民間国家戦略家」として、講演・執筆活動を続けている。日米の政界・シンクタンクに独自の情報源を持ち、金融経済からアメリカ政治思想、法制度論、英語学、歴史など幅広いジャンルで、鋭い洞察と緻密な分析に基づいた論評を展開している。主な著書に、『税金恐怖政治が資産家層を追い詰める』(幻冬舎)、『トランプ大統領とアメリカの真実』(日本文芸社)、『銀行消滅』(祥伝社)、『ドル覇権の崩壊』『連鎖する大暴落』『アメリカに食い潰される日本経済』(徳間書店)など多数がある。

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