- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396632120
感想・レビュー・書評
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「馬鹿な……これが《神の墓》だと?」神学生アウレリウスは茫然と眼前の柩を見つめた。唯一無二の至高神を祀り、千年の間平和を保ち続けてきた《都》。その聖地である大聖堂に、万象の創造主であり姿形のあるはずのない《神》が眠っているというのだ。奇しくもアウレリウスは、かつて検邪聖省なる謎の組織によって行われた異端撲滅運動の歴史を調べ始めた矢先のことだった。検邪聖省が陰の支配者として信仰の統制を行ってきたのは人々に疑いを持たせないためか? 今まで信じてきたこの世界は偽りなのか……疑いを抱いた瞬間、ここへ彼を導いた謎の娼婦は不敵に微笑んだ。「《都》の真実が知りたいと願っていたんだろう?」
装画 / 建石 修志
装幀 / 柴田 淳デザイン室
初出 / 『幻想文学』1997年50号~2000年60号連載、加筆訂正。
帯・讃 / 東 雅夫 -
1/21 読了。
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古代から中世までのイタリアの歴史をごちゃ混ぜにしたような宗教観、世界観が、視覚的に浮かび上がる文体が好い。
パッと見て難解そう、というか文学少女向けに見えた文章が、読んでみると非常にポップに思えてくるのです。 -
幻想文学というものに出会った一冊。世界が崩れ落ちていくさまが秀逸だった。
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途中から無心になって字を追っていた。
広げた世界を、この人らしい結末で着地させたのは凄いと。
耽美好きなら、この人は買いだな。 -
タイトルにある「建築」はどこ行った?と思ったけど、肉体−建築−都市が延長線で結ばれ、ひとつを語ることで他も語っている・・・という解釈でいいのだろうか (舌の上を味わいが行列のように通る、といった描写から類推するに)。
テーマがあって、そのバリエーションが次々展開されているような、各バリエーションでテーマがどのように変形されているかを見分ける・・・というような楽しみ方ができる人にはできる、のかも知れない。
山尾悠子さんの『夢の棲む街』をちょっと思い出した。不在の神をめぐる閉鎖的な都市の物語。『夢の棲む街』のほうは、地形が漏斗状だけに、中心に向かって転がり落ちていくような勢いをより感じるけれど。 -
建築の評論書なのだろうなと思い手にした本だったのですが、いやはや篠田節の物語でした。
文体が飾られすぎて読みにくかったりしているのですが、読んでいるうちになぜか引き込まれていくのがこの方の書かれる物語の特徴ですね。
最後まで読んで理解できたとは言えないかもしれません。それでも納得して本を閉じました。
好みは大きく分かれるとは思います。
しかし、壮大な世界観というのを味わうことはできると思います。