百瀬、こっちを向いて。

著者 :
  • 祥伝社
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レビュー : 396
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396632977

感想・レビュー・書評

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  • 乙一氏の別名小説。
    彼は変わった作家だ。
    別名で違う作風の小説を発表している。
    この「百瀬、こっちを向いて」も、出版当初はその正体が明らかにされなかったらしい。
    彼の作品は「箱庭図書館」を読んだことがある。
    といっても、それは一般の人が書いた作品を彼が推敲し、小説として書き直したという一風変わったもの。
    いわゆる小説の作法、入門、基本的なことを修正しながら、作品を別物に仕立て、発刊したものだ。
    なので、彼自身のオリジナル作品を読むのはこれが初めて。
    ブクログのお友達のレビューから「爽やかな青春小説」という評判を目にし、図書館から借りた一冊。

    表題作のほかに「なみうちぎわ」「キャベツ畑に彼の声」「小梅が通る」の四篇を収録。
    四作品とも、読後、ほろ苦さと切なさが胸に染み入るような青春恋愛小説だ。
    タイトルの「百瀬、こっちを向いて」は高校一年生、15歳の男の子の心情がよく描かれている。
    自分もこんな時代があったなあ、と遥か昔を思い起こした。
    告白なんて簡単にできる時代じゃなかった。
    当時の私の街の高校はすべて男女別学。出会いのチャンスといえば、年に一度の文化祭がせいぜい。
    夏休み明けの九月。精一杯おめかしして女子高の文化祭に行ったっけ。
    でも、その場のひと時だけの楽しい時間を過ごすだけでいつも終わり。
    夕闇迫る中で行われる文化祭のフィナーレ、キャンプファイヤー。
    何ともいえない哀しさが胸を締めつけた。
    もう一度あの頃の時代、胸がキュンとするような気持ちに戻りたいものだ。
    一目ぼれした○○さん、今頃どこでどうしているだろうか……。

    個人的に好きなのは最後の「小梅が通る」だ。
    少女が、美しすぎるが故に、同性から嫌われ、友達もできず、
    「あなたのことをほんとうに好きになるひとなんていない。外見が好きになるだけだ」と言われ、傷つき、自分の外見を封じ込め、とにかく目立たない道端の石ころのように生きていこうと決意する。
    そこに現われたいまひとつ垢抜けない同級生。
    自分の外見を思わぬところで知られたものの、同一人物とは気づかれないところから、妹と名乗ることで話が展開していく。
    とてもいい感じの話です。
    ほろ苦くて、甘酸っぱくて、心がほのぼのしたい時に読むにはオススメ本です。是非。

    • まろんさん
      おお、koshoujiさんも読まれたんですね!
      高校生たちの不器用さがいじらしくて、
      ほんとうに「ほろ苦くて、甘酸っぱい」物語でした。
      おめ...
      おお、koshoujiさんも読まれたんですね!
      高校生たちの不器用さがいじらしくて、
      ほんとうに「ほろ苦くて、甘酸っぱい」物語でした。
      おめかしして女子高の文化祭に出かけ、
      ドキドキしながら一目ぼれしたマドンナを見つめるkoshoujiさんが目に浮かんで
      笑みがこぼれてしまうような素敵なレビューでした(*'-')フフ♪
      2012/09/28
  • ☆☆$$ジャケットが好みで、前から興味があった。$$内容は、べたべた過ぎない純愛。$$予想外で好みでない内容だが、たまには純愛も良かったので☆二つ。

  • 短編集。
    ちと変わった出会い方をした人たちの恋の話。
    「小梅が通る」が好き。

  • 平凡な日常が温かく美しく書かれていて、心にじーんときました。『百瀬、こっちを向いて。』の一遍が特にすきで、何べん読んでもきゅんとします。

  • 百瀬、こっちを向いて。
    冴えない人間レベル2の僕・相原と、我が儘美少女の彼女(仮)・百瀬、
    命の恩人で憧れの宮崎先輩、その彼女で美人でお金持ちの神林先輩。
    四人の秘密の関係。なんだかんだ、百瀬可愛いよね。
    ただ、私は知らないふりしてる強かな神林先輩が好きだけどもね!

    なみうちぎわ
    教え子の小太郎を助けようとして入り江で溺れた姫子。
    意識を失い、目覚めた時には5年が経っていた。
    ありえへんやろーという感じの設定。
    でもちょっとミステリ要素もあって、
    あっさりしてて嫌いじゃない。

    キャベツ畑に彼の声
    女子に人気の国語教師・本田先生と
    ミステリー小説家・北川誠二との関係を知ってしまった主人公・小林久里子。
    まんまと騙されたまま読み進めてた。
    何かでも割りとあっさりネタばらししたなぁ…というイメージ。

    小梅が通る
    美人な容姿にトラウマを持ち、わざと不細工を装って学校に通っている柚木。
    クラスメイトの山本寛太に素顔を見られてしまい、妹の小梅だと偽ることに…。
    少女漫画っぽい。すごく。しかし山本寛太鈍すぎやしないか!
    そこまで気付かれへんと逆にショックじゃないか!?

  • どの話もその後を想像したくなる。

    特にキャベツ畑に彼の声がツボでした。

  • 中田永一=乙一だと知ったのはつい最近のこと。
    乙一は大昔『ZOO』を読んだ記憶はあるものの、内容は殆ど覚えていない。
    たぶん怖かったんだと思う。ものすごく。
    なので同じ人が書いてるとはとても思えなくて吃驚した。

    最初に感じたのは仮名の使い方が独特だな、ということだった。
    内容的には割とベタ甘。にもかかわらずさっぱり爽やか。
    全体的に淡々とした語り口で、所々推理小説じみた表現があったりするのに
    さっぱり爽やかでちょっとほっこりな読後感なのは
    独特な仮名表記の使い方なのかなーと。

    編まれている短編4つに共通するのは、
    主人公がコンプレックスを背負って生きてること。
    その形は様々だけど、それぞれに違った形で共感できた気がする。
    乙一も改めて読んでみようかな、と思った次第。

  • ひらがなを多様した文体が、中高生の人間関係のもどかしさみたいなものを表している気がした。そういえば黒乙一、白乙一なんて言葉もあったなあ。これは白だな。

  • 恋愛小説が4話収録されている。
    やはり乙一らしくどのストーリーも一捻りが入っている。
    主にクラスで人気のない高校生が主人公。
    キスにも至らない、付き合うか付き合わないかの状態までの距離が描かれている。
    風景の描写もよいものが多かった。

  • 「百瀬、こっちを向いて」「なみうちぎわ」「キャベツ畑に彼の声」「小梅が通る」の、4つの短編集。

    それまで自分にとって普通の存在だった人が特別な存在になっていく、恋のプロローグの物語。
    それぞれ、いろんな「嘘」が素材になって、恋が芽生えていきます。

    「嘘」の種類によりますが・・・、
    嘘を許せるか許せないか・・って、受け取り手の思慮深さにもよるだろうなぁ・・・と思いました。
    登場人物には思慮深い人が多かった。
    読んでいて清々しい気持ちになります。

    恋の始まりとしては、「そんなのあり?」・・・という普通ではないエピソードばかりですが、「ありでしょ!」と最後には首を縦に振ってしまうような物語で楽しめました。

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ、2008年『百瀬、こっちを向いて。』でデビュー。他の著書に『吉祥寺の朝日奈くん』『くちびるに歌を』『私は存在が空気』。別名義での作品も多数。

「2017年 『僕は小説が書けない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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