玩具の言い分

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 167
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633141

感想・レビュー・書評

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  •  読了。

  • 初期の朝倉かすみらしい印象の短編小説集。
    『Feel Love』に掲載されていたものがほとんどで、多くが既読のものばかりだったが、まとめて読んでみると、一貫して「朝倉かすみらしさ」が通っているなぁ、と改めてしみじみ思う。
    主人公は、もう若くはない女性が多い。そして、男性経験が尋常じゃなく少ない、恋愛や性についてコンプレックスを持っている人間が多い。
    (このあたり、初期の『コマドリさん』を思い起こさせる)
    女と性、というのは朝倉かすみの根源的なテーマな気がする。
    職場のつまらない飲み会でだらしなく酔ってアパートに帰り、煮え切らない関係の男の存在を感じながら、かつて高校生の頃につきあった少年を回想する『グラン・トゥーリズモ』、独身のまま老人になった叔母に自分を重ね合わせ、自分には「小包(縁)が来ない」と嘆く中年女の『小包どろぼう』、地方でエッセイストとしてそこそこの知名度は得ても「結局自分は何も得ていない」と焦る女の『孑孒踊』など、どの編も若さを失った女の不安や不満やゆらぎが丁寧に描かれている。皮肉がぴりっと効いて、粒が揃っている。

  • Feel love に連載されていた5編に新たに書き下ろし1編を加えて刊行された短編集。現在、アラサー&アラフォーを書かせたら天下一品 と言っていいんでないかい?この頃「イタい女性」が主人公の小説多いよな。つまりイタい女性の小説を読みたいヒトがわんさわんさといるってことだな。それはつまりリアルにイタい女性が多くなってきているってことか。それとも「イタい」ってことが市民権を得てきたってことか。けどそのイタい女性のイタさ加減ってのがカラリとしてるんだよね。朝倉的イタい女性って。それにとてもよく分かる。何に対してイタいのか。どこがイタいのか。んでもってアラサー&アラフォー世代に絶大なる人気を誇るのは、そのイタい自分をまるっと肯定してくれるからなんだよね。ここでは「玩具」としてその存在を確立してるんだけど。ヒトコロ流行った「負け犬」って言い方よりもずっとずっといいと思うよ、「玩具」の方がさ。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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