刻まれない明日

著者 :
  • 祥伝社
3.63
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本棚登録 : 727
感想 : 148
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633226

作品紹介・あらすじ

「開発保留地区」-それは十年前、3095人の人間が消え去った場所。街は今でも彼らがいるかのように日々を営んでいる。あの感動から3年-"失われた時"が息づく街を舞台に描く待望の長編。

感想・レビュー・書評

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  • 非現実の世界であるが、とてもリアル。
    10年前に突然消えてしまった3,095人。
    そして大切な人を失い、残された人々。
    それぞれの思いを引きずりながら過ごしてきた。
    章ごとに主人公が変わるが、みんな新しい出会いがある。
    最後には、それまでの登場人物たちがキレイにつながっていくのが気持ち良い。
    静かで暖かい恋愛小説でもあるが、結末はちょっとSFっぽい。
    「失われた町」を読んでいないので、今度読んでみたい。

  • しあわせな気分になれるそれぞれの恋だがそれは『失われた町』と同じ世界ではあるもののここでは消失した3095人の住民がいるものとして街が運営されており実際どこかに存在している気配を感じる哀しい十年間を抱くゆえでもあり、その気配も薄れてきた今、恢復の絆でもある。

  • 「開発保留地区」は10年前に三千人以上の人が一瞬でいなくなってしまった場所。

    しかし、その人々が存在するように図書館では本の貸し出し記録があり、ラジオ局には葉書が届く。

    ファンタジックな内容。

  • この人の本は全般的に暗ーい印象。どんよりとずーっと曇り空のような、いつまでも心が晴れないそんな本ばかりです。

    鬱屈とした人だったらますます暗く落ち込むんじゃないかと思うわ。どうしてこんなに暗いのかはわからないけど、もう今にも霧の中に迷いこみそうなくらいに暗い。

    前途多難、因果応報、暗雲、そんな言葉がぴったりの小説家。笑笑

    内容は少しほっこり恋愛とか入ってるはずなんだけど、全体通して見て、やっぱ暗い。なんかわからんが何千人も一気に消えた街が主役なんだけど、とにかく印象が暗い。

    描き方なのかな?すごい不幸とかそういうのもない、淡々とその街でそれぞれの生活を描いてるだけなのに、常に濃い霧の中のような小説です。

    不思議。内容は割とハッピーエンド?っぽいんだけどな。

  • 147:三崎ワールドの集大成。過去作品に登場したキーワードが散りばめられていて、ずっと読んできた身としてはとても嬉しいです。失われること、つながること、新たな一歩を踏み出すこと、場所との関わり、思うことのエネルギー。三崎作品に共通するテーマが丁寧に描かれています。じんわり温かい読後感。

  • 2016 11/25

  • 全ての章でカップル成立してる。
    事件の原因がというか設定が意外とSF。

  • 10年前に3095人が突如消えた街
    その街では未だに消えたはずの人が図書館で本を借りたり、ラジオ局に手紙が届いたり、一部の人にしか聞こえない鐘の音が聞こえる

    前半の話は純粋に人の想いにひたれる
    解決編というか、種明かしの話はどうなんだろうね?
    一応は謎は謎のままの余地はのこしてあるけど・・・
    でも、種明かしの話なのにクオリティが高く、これもひとつのお話しとして楽しめる

    エピローグもこの後の展開を想像したくなるような終わり方でよい

  • だいぶ前にこの人の作品を読んだ。ファンタジー要素があり、おもしろいんだけど、結論がよくわからない。
    ちょっと惜しい気がする。

  • 何かもやもや

  • 『失われた町』の続編とも言える作品。

    三崎さんの作る独特な世界観。
    日本でもなく、どこの国でもない設定。
    好きです。

    三崎さんの本の世界の町に、いつか私も行ってみたい。


    『失われた町』の原因は結局はっきりとは分からなかった。
    もしかしたら…さらに続編も出るのかな。出てほしいな。

    でも、少しだけど原因というか、
    要因を少し垣間見ることができた。

    えぇ!人為的な要因だったの!?って思ったけど、
    結局その要因も今のところいまいちあやふやなまま終わったし。


    今回は恋愛要素もちょっと入ってて、
    ところどころ心がほっこりした。



    本の中で、気に入った一言。一文。
    『一瞬で忘れられることもあれば、
    何十年経っても忘れられないこともある。
    人の気持ちってのはそんな単純なものじゃないさ』

    『駿は、普通とか普通じゃないとか、
    そんなことで人の気持ちをはかるのかな』

    『それでも今、それぞれに自分の道を歩いている、
    向かっている方向は同じなんだって』

    『離れなければ見えないものもあれば、
    近づかなければ見えないものもある。
    大事なのはつながりを信じる強い想いなんだ』

    『たとえ自分が失われても、誰かの思い出に残るってのは、
    結構悪くないのかもしれないってね』


    三崎さんの本の中の言葉は、心を打つものが多いなぁ。

    20100119

  • 「失われた町」の世界を継ぐ、三崎ワールド。
    突如町から失われた3095人。その人たちとの”想い”を抱く人たち、そんな人たちとつながるひとたち。
    色んな人、色んな思いが交わりながら、決してその3095人は失われることなく、未来へ続いていくーー。
    今シーズン読んだベスト。とらえどころのないストーリーが、やがて1つへ収斂されていく。一気読み。
    読み終えて、あぁ恋愛小説だったなと気付く。がもはやそんなことはどうでもいい。
    新たな一歩。ありがとう。

  • 『失われた町』の姉妹編。
    『失われた町』では消失に抗う人々や、心の奥底に悲しみを湛えた人々の姿が描かれていたけれど、こちらでは消失から10年を経た人々の姿が描かれている。
    「隔ての鐘」が特に良かったです。
    鈴の古奏器が奏でる音が聴く者の心を望郷と追憶、そして希望へと導き、瞬の舞と結びついていくあの場面が印象的。
    歩行技師さんのお話も好きです。
    そして「紙ひこうき」で”7階撤去”という文字を見て思わずにやりとしてしまった。
    象徴的に描かれる青い蝶も心に残ります。
    前作よりも優しい希望にあふれ、良い読後感です。

  • 10年前に3095人が消失した地区。
    残された人々は消えていった彼らを忘れていない。

    消えていった人々には関われないが、向こうの世界に彼らがいるということはわかる。だが、彼らからの一方的な連絡は減り始め、人々は終わりを感じる。

    --------------------------------------------

    謎が多いまま進み、そのまま終わってしまう感じが個人的にはきつかった。もっと読解力があれば、喪失から立ち直る男女愛やシュールな世界観を楽しめたんだろうと思う。難しい。

  • 失われた街の中の3095人の何らかの痕跡。それを見守る人々の織りなす癒しの物語。その背後に静かにしのびよる国家の陰謀が透かし絵のように垣間見えるのが、この物語を少々複雑にしていると思う。
    そして、居留地や道守、青い蝶、軀縛の舞など鮮やかな言葉にイメージが広がる三崎ワールドは素晴らしかった。

  • 読んだはずなのに、きれいさっぱり忘れてる。「失われた町」の次。

  • 連作短編集。
    すごく良かった。
    前向けになれる作品。

  • 2013/01/10
    復路

  • 他の作品に比べて、設定が分かりやすかった。“突然3000人ぐらいの人が消えた”と。でも後半の黒田さんの章あたりで思念なんちゃらといか難しい言葉が出てくるともうちんぷんかんぷん。その前までが分かりやすいだけに、考える難しさが出てくると熱が急激に冷めてしまう。最初の沙弓さんの章は好き。

  • 消えた住人、残された人々。発想は三崎さんらしいんですが、キレイにまとまりすぎかなぁ。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞を受賞しビュー。同作は18万部のヒットとなり直木賞にもノミネートされた。著書に『廃墟建築士』『刻まれない明日』『コロヨシ!!』『決起! コロヨシ!!2』など。

「2021年 『博多さっぱそうらん記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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