ほかならぬ人へ

著者 :
  • 祥伝社
3.27
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本棚登録 : 1921
感想 : 354
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633288

感想・レビュー・書評

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  • 『ほかならぬ人へ』
    他に気になる人がいるのに別の人と結婚するとか失礼にもほどがある。そうであったとしてもせめて当人には話さないくらいの配慮がないとね。自分が話して楽になるからといって他人の気分を悪くさせていいわけではない!
    『かけがえのない人へ』
    どっちが自分のかけがえのない人なの?
    婚約者のほうではないよね。こんなに計算づくで結婚を決めて幸せになるのだろうか? 相手も同程度にしか考えていないのなら、問題ないけどね〜。

  • 御曹司なのに実家を捨ててホステス崩れのなずなと結婚する明生。
    幼馴染の真一をどうしても忘れられず道を踏み外していくなずな。
    真一は女にだらしなく、その別れた妻の小春もとても弱い人間で。
    決して勝てないじゃんけんのような片思いをつづける幼馴染の渚と次兄の靖生。

    もやもやしてイライラして、自分で自分に負けてしまうような
    ある意味とても正直な人たちの中、「生まれそこなった」という負の感情に支配されながらも、一生懸命みんなの生きる意味を見つけようとしている明生を、最後は抱きしめてあげたくなるようなお話でした。
    上司の「ブサイク」だけどとてもいい匂いがしてスタイル抜群の東海さんがやさしい。
    ネガティブでまどろっこしい話はあまり好みではないのだけど、これはなかなかよかった。
    タイトルが切ない。


    もう1篇の「かけがえのない人へ」も、どっかでリンクしている続編なのかと思いきや、そうではないのね。
    こちらは婚約者がいながら昔の男とずるずる関係を復活させてしまう女性のおはなし。
    こちらも経済的に満たされても心が空虚で、冷めたふりしてもがいている。
    もっと幸せに貪欲になっていいんだよ、って気付けたかな。

  • 「かけがえのない人へ」との二作が収められている。どちらも素晴らしい。
    以前に読んだ白石作品からのイメージとかなり違った。
    生活感のある、切ない大人のストーリー。

    表題作ではまさかの結婚と病気。幼なじみの・・・。
    どれもまったく予想ができなかった。

    「かけがえのない人へ」ではもうすぐ結婚するのに昔の恋人とヨリを戻し、
    身体の関係まで続けるところは理解できない。
    けれど結婚式の前日にその相手のところへ行こうと決心したあたり、
    もともとそういう強い気持ちがあったからそうしていたのかとも思う。
    善人的にいえば、それなら結婚も決めちゃいけないでしょう、というところだが。
    ここまで考えたのは読了後で、読み進めながらたどり着いたラストは
    とても切なかった。

  • 別に★1でも良い気がしたんだけど、駄作ってワケでもないし、ただ単に私には合わなかったってだけなんだろうな。

    『ほかならぬ人へ』『かけがえのない人へ』の中編が2本収録されてます。

    『ほかならぬ人へ』は明生やなずなに感情移入は出来ないし、特にキャラが立ってるわけでもない。
    だけど東海さんは生き方や考え方がカッコイイなと思った。むしろ彼女をもっと深く掘り下げて欲しかったくらい。

    『かけがえのない人へ』は……どのへんが“かけがえのない”なのかサッパリ理解出来なかった。
    私の理解力が足りなかったんだろうか……。
    みはるも黒木も聖司も何考えてるのかよくわからん。

    確かに恋愛って綺麗事ばかりじゃないけどさ……汚い部分をクローズアップするのもまた恋愛小説としては有りだけどさ……もう少し「恋愛小説読んだぞー!」くらいの読後の余韻が欲しい。

  • 初めてこの著者の本を読みました。男性視点の恋愛小説。今どき珍しいくらい真剣に恋愛に向き合ってる本だなぁ、と。読みやすかったです。
    でも、淡々と話が進み、これといったオチがないというか。読んで何かを感じて考える、というタイプの本ですね。

  • 「ほかならぬ人へ」直木賞受賞作
    「かけがえのない人へ」
    の2作

    なんでそっちを選んじゃう?
    ダメダメ
    苦労するに決まってる

    ずっとそんな気持ちで読んでいました


    人と人の縁は
    宿命なんでしょうかね
    どうにもならない断ち切れない縁は
    もう考えたって仕方ない!
    抗えないように既に仕上がってる


    ほかならぬ かけがえのない
    の意味を改めて調べてしまった


    「一億円のさようなら」
    で白石一文さんを知りました
    面白くて一気読みでした
    NHKでドラマ化されて 上川隆也さんが演じられましたね



    ずっと気になっていた本
    やっと読めました

    登録者数の多い
    「私という運命について」
    も読んでみたいです
    「翼」も。

  • どこか突き放しているようで底に熱いものが通っている人間関係。読んでいて心地よい。
    「生きてたらいろいろあるよ。でもね、何年か経ったらどんなことでも大したことじゃなかったって分かるから。人間はさ、そうやって毎回自分に裏切られながら生きていくしかないんだよ」

  • いつかの直木賞。
    「ほかならぬ人へ」と「かけかえのない人へ」の二篇。一時期この著者の作品にはまったことがあったな若い時。感動する訳ではなく何故だかわからないけどその溢れ出す生々しさが癖になった。
    久々に読んだ著者の作品。ずっと本棚にあったけどなかなか手に取れなかった。
    でも今読んで良かったと思う。何故かは分からない。いつ読んでも「今読んでよかった」というのかもしれない、笑。
    人と人ってこうで、単純じゃなくてドラマも感動もなくて、当人ですらよく分からなくってでも心のどこかでは気づいてて。みたいなもんだろう、と思ってる自分に刺さる二篇でした。
    運命なんてない。巡り合わせや配分。期待して裏切られながらも人は生きていく。
    なんだこのレビュー。
    後から読み返したら絶対そう思う、笑。

  • 「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠ががあるんだ」

     自分にとってベストではない人たちとの関係を経て、ベストな人が見つかっても、その人はいつか自分の前から消えてしまう。死んでしまったり、いなくなってしまったり。最後は誰でも一人ぼっち。それでも、ベストな相手を見つけることができたという経験自体がかけがえのないことなのだと思う。他人からすると理解できない相手かもしれないけれど、自分にとってベストならそれでいい。その出会いがあったからこそ別れのあとも人生を続けていけるし、生きていけるのだと思う。

  • 登場人物に共感できない人がいた。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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