君は素知らぬ顔で

著者 :
  • 祥伝社
3.62
  • (19)
  • (71)
  • (59)
  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 375
感想 : 70
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633349

作品紹介・あらすじ

不器用で繊細な恋愛模様を描いた、等身大の「あなた」の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ●『斜め四十五度』
      図書委員の荒川奈央。斜め四十五度に座る山根先輩が気になる…。

    ●『雨にも風にも』
      大学生の千葉洋介、人と接するのが怖くて引きこもりになってしまう…。

    ●『桜前線』
      30歳のサラリーマン平井。初めて浮気をしてしまった…。

    ●『水色の空』
      坂下純子34歳。美人で人目を引く、昔はモテてた女性…。

    ●『今日の占い』
      加藤由紀江。気分屋の彼に脅えている…。

    ●『どこかで誰かに』
      桜田祐一28歳のサラリーマン。妻の奈々子の方が高給取り…。


    ゆうちゃんと呼ばれる一人の女優の成長を軸に、
    高校生・大学生・社会人と様々な時代を生きる人々の
    さり気ない日常生活が繊細に綴られている。
    主人公達は、それぞれに問題を抱えています。
    そして、その問題が全てスッキリとするわけではないけれど、
    希望の光が射している。
    そして、その余韻がとっても良い。
    きっと、自分や知り合いに似た誰かを見付けるんじゃないかなぁ。

    各話は、少しずつ繋がっている6編の連作短編。
    あのお話で登場したあの人が、このお話ではこうなんだって、
    登場するのがとっても楽しかった。
    やっぱり、連作短編大好き。

    ラストの『どこかで誰かに』は、とっても驚いたし嬉しかった。
    ゆうちゃんの言葉や生き方感性が、とっても素敵です。

    『雨にも風にも』と『どこかで誰かに』が、好きでした。

    • ひとしさん
      しのさんこんにちは!
      フォローありがとうございます!
      しのさんのレビューを読ませていただき、こちらを『読みたい』リストに登録させていただ...
      しのさんこんにちは!
      フォローありがとうございます!
      しのさんのレビューを読ませていただき、こちらを『読みたい』リストに登録させていただきました。
      それから、しのさんのレビューが素敵なのと好みが似ていたのでフォローさせていただきます!
      2018/07/19
    • しのさん
      ひとしさんこんにちは(#^^#)
      こちらこそ、フォローありがとうございます。
      拙いレビューを読んで下さってありがとうございます。
      この...
      ひとしさんこんにちは(#^^#)
      こちらこそ、フォローありがとうございます。
      拙いレビューを読んで下さってありがとうございます。
      この作品は、飛鳥井さんを大・大・大好きになったきっかけの作品です。
      とても大好きな作品ですから、リストに登録して下ってとっても嬉しいです(*´▽`*)
      ひとしさんの本棚も拝見させて頂きました。
      本当に読んでる本が似てますね( *´艸`)
      これから、宜しくお願い致します。
      2018/07/19
  •  初めての作家さん。凄く良かった。清々しい気分で前向きになれる、そんな連作短編集。中にはバッドエンドもあるのだが、それでもなぜか読後感は悪くない。
    普通、連作短編集と言えば、章ごとに主人公が違っていて、違う章では前に主人公で登場していた人物が脇役となって登場したりして繋がっていたりするものだが、この物語の場合はちょっと変わっていて、その章ごとに、ゆうちゃんという女優が常にキーマンのような形で登場する。ゆうちゃんは直接物語には影響なさそうに思えるものの、その時のゆうちゃんのあり方が登場人物に影響を与えていると言うか。そして、ゆうちゃん自身の成長もしっかりと追うことができる。

    でも、やっぱり連作短編集。登場した人物がどこかで登場して、誰かと繋がっていたりします。その状態だけでサヨナラするのは勿体ないキャラが多いので、また違った側面を見ることができたりして、なんとなく嬉しくなります。

    ①斜め四十五度
    周りに流されない奈央ちゃんと、ちょっと風変わりな先輩のお話。
     【この時ゆうちゃんは中学生。両親が離婚をし、いじめにあいながらも、健気に前向きに頑張る役柄を演じている。】

    ②雨にも風にも
    あるきっかけが原因となり、大学に通えなくなった洋介。外出すらなかなか出来なくなった洋介は、一歩を踏み出すことができるのか。
     【この時ゆうちゃんは17歳。CMのキャラクターに抜擢される。写真集のトークショーの時、ファンに襲われるが3日後には立ち直り記者会見を行っている。】

    ③桜前線
    結婚四年の平井は、同僚の結婚式に参列していた新入社員の女の子と浮気をしてしまう。妻の明子がパートを始めてからなんとなく2人の間には溝ができてきて。
     【この時ゆうちゃんは20歳。ドラマで気の強いOL役を演じている。インタビューでは、もう二十歳じゃなく、まだ二十歳って言ってくださいと言う】

    ④水色の空
    誰もが振り向くような美貌の純子は34歳。そろそろ結婚をも考えていたが、密かに想いを募らせている幼馴染みの健一は、純子の想いなんて知らず、アッサリと紹介された女性と結婚しようとする。
     【この時ゆうちゃんは22歳。30歳の俳優と熱愛報道される。しかし、その俳優は他の女優とできちゃった婚をする】

    ⑤今日の占い
    ヤキモチ焼きの彼氏を持つ由紀江。彼氏の機嫌を損ねないように、なんでも我慢してきたが、とうとう我慢できないところまできてしまった。彼氏に勇気を出して自分の気持ちを伝えることができるか。
     【この時ゆうちゃんは26歳。電撃婚を報道される。相手は中学校からの付き合いだから電撃じゃないですと言う】

    ⑥どこかで誰かに
    煎餅の会社に勤務する祐一は帰国子女。結婚1年半になる妻、奈々子は毎日を忙しく働いていて、祐一よりも断然稼ぎが多い。そんな2人だからもちろん少しのわだかまりがあったりして。
     【この時ゆうちゃんは・・・。】

     全ての話が良くて、特に『斜め四十五度』が好きかな。思春期の少年少女の感じが上手に表現されていた。『今日の占い』の彼氏には頭に来たし、彼氏にはっきり言えない由紀江にもイライラしたが、最後はスッキリ。『水色の空』の純子の感じ、わかるなあ。
     長くなったが、本当に素敵な作品群。物語の構成も上手でこの作家の他の本も読んでみたいと思った。

  • ひとりの女優の経歴を絡めた恋愛短編集。
    Scene1、2はとても読後感が良くて、特に1が好き。
    2年くらい上の世代だけど、時代背景で懐かしく読めた。
    3、4、5もそれぞれ面白かったんだけど、やるせなさがハンパなかった。ちょうどそのくらいの年代だからかな(笑)
    最後はその女優のお話。流れよかったな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ちょうどそのくらいの年代だからかな(笑)」
      何かよく判らないけど、この一言で読んでみたくなった(飛鳥井千砂って全然読んだコトないけど)。。...
      「ちょうどそのくらいの年代だからかな(笑)」
      何かよく判らないけど、この一言で読んでみたくなった(飛鳥井千砂って全然読んだコトないけど)。。。
      2013/02/25
  • 著者さん初読みです

    ポケベルとか出てきて懐かしい時代でした。登場人物が重なっていて、でもずっと出てくるゆうちゃん。ゆうちゃんの成長も感じられます

    人と関われば、多かれ少なかれどこかで誰かに影響を与えるに決まってる

    うん、本当にそうだ
    私もこの歳になって改めて気づきました

    言わないと辛いことなのか、辛くないことなのか、相手には伝わらない

  • 天才子役から大人の女優へと歩んでいく“ゆうちゃん”の成長を裏軸に進む連作短編集。各話の登場人物が複雑に絡み合っている。最後のお話が一番良かった。全体を包み込む大きな仕掛けが最終話で明らかになってにんまり。くぅー…やられた!飛鳥井さんは最近お気に入りの作家さん。2012/164

  • ゆうちゃんと呼ばれる女優さんが全作品を通して出てくる連作小説。一番最後のおせんべい会社で働く人のおせんべいにまつわるエピソードがよかった。

  • すべての作品に『ゆうちゃん』が登場する恋愛短編小説。こういう繋がりがある短編は読んでいてすごく面白い。

  • ジャケ&タイトル惚れし、手に取ってみた。読み始めて気付いたが、どうやら連作短編集らしい。
    一作目の女子高校生の友情もの、二作目のひきこもり気味男子学生の話は、ちょっと地味な印象だったけど…三作目以降、連作の面白さがわかってきて、夢中で読んだ。
    全ての話に登場する、「ゆうちゃん」という子役出身女優。話を順に読み進めるたび、この「ゆうちゃん」も紆余曲折を経ながら成長していく。彼女の人生と、それぞれの話の登場人物の人生とのリンクのさせ方がうまい。どの登場人物も、話のラストに見つける真実…一歩前に踏み出すことで知ってしまうその真実により、彼らのこれからがどう変わるのか…どう転ぶにせよ、前に進んでいくしかないということ。そのきっかけが、「ゆうちゃん」の行動や発言だったりするのだ。
    そして、最終話…これは本当にお見事!鮮やかな展開にびっくりさせられつつ、何だか顔がほころぶラストです。

  • 素直に素敵だなと思える本。
    「ゆうちゃん」と呼ばれる一人の女優さんの成長を追いながら綴られる、切なくて不器用な幾つかの恋愛短編集。
    飛鳥井千砂さんは、文章がとても易しくて頭にスッと入ってくる感じ。
    感情の描写も無理がなく受け入れやすい。
    それぞれの背景や抱えてるものは全然違うけれど、何故かすべてに共感できてしまえるようなストーリーで、切ないんだけどどこかホッとしてしまう不思議な魅力に溢れた物語です。
    彼女の本は…もっと読んでみたいと思う。

  • 面白かった。出てくる人たちが、繋がっている。20代後半に響く。

全70件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

飛鳥井千砂の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×