木暮荘物語

著者 :
  • 祥伝社
3.58
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本棚登録 : 4029
感想 : 674
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633462

作品紹介・あらすじ

小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年。空き室あります!安譜請ですが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートです。うまい、深い、面白い。三拍子揃った会心作。

感想・レビュー・書評

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  • 舟を編む で本屋大賞をとった三浦しをん氏の作品ということで読みました。
    おんぼろアパートに住む人たちの短編連作集。
    ちょっとコミカルだけどそこには生き方、ドラマが詰まっています。
    面白いので、サクサク読めました。

  • アパートで恋人と過ごす幸せな時間。とそこに突然の来訪者が…なんと3年前に同棲していた元彼氏。突然放浪の旅に出て失踪したにも関わらず、まだ恋人のつもりであるらしい…。

    繭と晃生の困惑はよく分かるけど、並木がまた憎めないキャラクター。奇妙な3人の日々が始まる。

    木暮荘大家の木暮老人は瀕死の友から(----モニャモニャ)の欲求を呼び起こされ、俄然と、猛然と、燃えさかるようにたぎるように、それに男のロマンを賭け…

    トリマーの美禰はホームの柱に生えた不思議な突起物の観察を続ける。いつしかそれはアレそっくりに成長して…

    浮気に勘付いた妻は、それ以来夫の淹れたコーヒーを妙な味に感じ、浮気現場を突き止めようと躍起になるが…

    階下の女子大生をこっそり覗く楽しみに目覚めた冴えない男は、次第に彼女へ不思議な感情を募らせ…

    階下の女子大生は産めない身体を持て余して奔放な生活を続けているが、友人に託された赤ん坊に母性を感じ…

    新彼氏と幸せそうにしている元彼女を諦めきれず半ばストーカー化する並木は、見咎められたご縁から別の女性宅に居候するが…

    個性豊かな木暮荘の住人たちとそれを取り巻く人々。やっぱりしをんさんはいい。なんとも言えないこの味わい。

  • オンボロ木暮荘の壁は薄い。
    たまに見かけるだけの隣人とは
    言葉を交わすことも無いけれど、
    生活音は丸聞こえ!

    あの時のあんな声や、こんな行為、
    抱いているどんな思いも全て筒抜け。

    しをんさんはさらに
    そのうっすい壁まで蹴破り(←そんなイメージ)
    理性や品性やその他なにやらの向こう側にいた
    セックス、という行為を
    白日の下に引きずり出してきちゃった。

    見えないセックスは
    いやらしい感じしかしないが、
    見える(?!)セックスは
    おかしくて、哀しくて、愛おしくて、
    あたたかくて、優しくて、泣けた。

    最高に面白かった♪

  • ノーマークだった、しをんさんの作品。
    装幀はクラフト・エヴィング商會のお二人です。
    祥伝社なので「ん?」と思ったけど

    アットホームでほのぼのして、ほろっとして
    笑えて面白かったです。
    feel loveに掲載されていたから、若干お色気が
    入っていて、それもいやらしさはないので
    さらっと読めるのです。

    登場人物がみな木暮荘を軸にしてつながっているので
    (つながりが巧みです)
    人と人の絆や温かみを感じました。
    すぐに再読するとまた楽しめると思う。

    「シンプリーへブン」「心身」「柱の実り」「黒い飲み物」
    「穴」「ピース」「嘘の味」

    もうどれが好きとか、甲乙つけがたいけど
    「心身」「柱の実り」「穴」「ピース」が最高でした。

    大家さんがまたいい味出していて、木暮荘に住みたいな。
    「真綿荘」「てふてふ荘」「妖怪アパート」も良かったけど
    『木暮荘』も好物件ですよー!

  • いや、おもしろい。おもしろすぎてびっくりした。

    最初の、3年間音沙汰なしだった並木が突然放浪の旅から帰ってきて、
    繭と晃生の平和の日常にするりと入り込んでしまう奇妙な三角関係の話に
    なんかほのぼのしたのに。

    次の話で、小暮荘のオーナーであり管理人である小暮さんは
    この手の人情ドラマでは好々爺でなければならない役回りの人だってのに
    なーにを考えているんだ。
    でもそのユーモラスな悲哀さ加減が愛おしい。
    しかしだ、将来年老いた妻になるべき我が身に置き換えれば笑ってもいられない。
    そりゃあ他の人に求められたら癪だけど、受け入れられるか否かは、
    その時まで解くことのできない、ひとの不思議ですね。

    さらに、駅の柱に何か生えたり、コーヒーが泥の味だったり、覗き覗かれたりしながら
    直接的下ネタがオンパレードなのですが、
    切なかったりあたたかい気持ちになったりするんだよね。
    覗き魔神崎の心情は、なかなかに共感。
    物語を読むという行為は、他人の生活を俯瞰して覗き見することと似ている。
    光子とはるかの1週間の親子生活はいいはなしだなー。
    最後の並木とニジコの話は、謎のふたりの本音が痛くて儚い。

    とにかく個性的な人が個性を発揮して本音を語ってくれます。
    それぞれの目線で見ると平凡な毎日がこんなに多彩で複雑だとは。
    読み進むうちに登場人物がどんどん立体化してきて存在をくっきりと感じられました。

    待っている人がいる明かりの灯る窓のある部屋を見失わないように、
    年を重ねていきたい。

  • かなり、年期の入ったボロアパート「木暮荘」
    そこに住む人たちの「性愛」についてのお話。

    かなり、初めは衝撃的だったが、人それぞれの恋愛を垣間見てるようで、少し恥ずかしい気持ちが…(゜゜)~

    みんな、個性的過ぎて驚き、ひいてしまうところもあったが
    このような生き方もありなんだなあ・・・と感じられる所もあり
    笑いあり、面白さあり、深さありの三拍子です(●^o^●)

  • 隣どころか、何軒か隔てた部屋のTVの音さえ筒抜けで
    押入れの壁を蹴破れば、簡単に隣の部屋に入れてしまう
    古色蒼然としたアパート、木暮荘。

    そこに住んでいるのは
    彼と寛いでいたところに何年かぶりに元カレが帰国してくると
    なぜか3人で和気藹々と暮らし始める女性やら

    親友の無念が伝染したかのように、
    70過ぎてから猛烈に性を意識し始めた老人やら

    空き部屋の畳を剥がして発見した穴から、
    階下の女子大生を覗き見ることを生き甲斐にしている会社員やら

    覗き見られていることさえ楽しみながら
    友人に押し付けられた生後間もない赤ちゃんに愛情を注ぐ女子大生やら
    一風変わった人ばかりなのだけれど、

    初めはお互いを胡散臭いと思っていた彼らが
    木暮荘で繰り広げられる数々の小さな事件を通して
    それぞれの生き方をおおらかに受け入れていく様子が、とてもいい。

    木暮荘の庭を自由に走り回っているせいで薄汚れている犬のジョンを
    シャンプーしてきれいにしてあげたいと願う、トリマーの美禰と
    「長期出張」の前に彼女の願いを叶えようとする
    「その筋の人」前田との数週間を描いた「柱の実り」

    女子大生光子が、能天気な友人の妊娠騒動のおかげで
    絶対に叶わないと思っていた赤ちゃんの世話に奔走する「ピース」

    最初のお話で、三角関係から静かに退場した並木が
    元カノの繭を気に入っているという不思議な女性ニジコと出逢い
    自分を導く灯台だった木暮荘が、もう過去の風景となったのだと
    やわらかく自覚する「嘘の味」など

    それなりに必死に生きている人達の日々に漂う滑稽味を上手に押し出しながら
    最後には、切ないほどの温かさで包んでしまうしをんちゃんは、やっぱり凄い!

  • さすがに短編も上手いもんだなあ!
    木暮荘と言うくたびれかけたアパートに暮らす人々のそれぞれの人生が面白くて悲しいくだりに時にほろりとなる。これまで読んだ三浦しをん物とは毛色が一味違うので好き嫌いが別れるだろうけど、上手い具合に7編が繋がり合っていて読後感がとても良かった。一昔前の作品だけれどオススメです♪

  • 登場人物と、セックスがキーになっているというのが共通テーマの短編連作。読み始めは、三浦しをんさんでこういう展開?!っと少し意外に思いましたがそれは導入部分だけで、人の一生におけるセックスというもの、というのがテーマなんだということが分かってからはスイスイすいーっと違和感無く読めました。全てのエピソードが緩やかに繋がっているのですが、最初と最後のお話が序章と終章という対になっていて読後感もすっきり。テーマはセックスなのですがでてくる人たちも描かれ方も飄々としているというかサラサラしているので、とても読みやすかったです。

  • 久しぶりの再読。
    やっぱりしをんさん面白い。
    性と生をテーマにした連作短編集。
    ドラマあり社会派あり、恋愛あり、泥沼あり、変態あり、ハードボイルドあり。
    色んなタッチで楽しませてくれる。
    こうして読むと、性って生きていく上で避けて通れないテーマなんだろうななどとふと思ってしまう。
    茶化すのでもなく流すのでもなく、真っ向からぶつかっていきながらもドラマにしているところ楽しく読めるところが巧い。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○(まる)』でデビュー。以後、『月魚』『ロマンス小説の七日間』『秘密の花園』などの小説を発表。『悶絶スパイラル』『あやつられ文楽鑑賞』『本屋さんで待ちあわせ』など、エッセイ集も注目を集める。06年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を、12年『舟を編む』で本屋大賞を、15年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞を受賞。ほかの小説として『むかしのはなし』『風が強く吹いている』『仏果を得ず』『光』『神去なあなあ日常』『天国旅行』『木暮荘物語』『政と源』などがある。

「2021年 『ののはな通信』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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