佳代のキッチン

著者 :
  • 祥伝社
3.39
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本棚登録 : 507
感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633530

作品紹介・あらすじ

失踪した両親を捜すため、お客さんが持ってくる食材で料理を作る「移動調理屋」を始めた佳代。キッチンワゴンで両親ゆかりの地を巡るうちに、一風変わった注文や、ちょっとした事件も舞い込んで…。すべての答えは美味しい料理の中にある?そして謎だらけの両親の行方とは。風味絶佳なロードノベル。美味しいハートフル・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 思いの外、引き込まれた一冊だった。
    “調理屋“をしながらワゴン車で日本各地を巡りながら、中学生の時に姿を消した両親を探し続けている佳代。
    一話完結の連続ドラマを見ているような感覚でサクサク読み進めました。
    両親の足取りを追いながら、10年前に両親と関わった人たちの話を聞いて、両親のことがますます分からなくなっていく。
    そんな勝手な理由で自分と弟を置いて家を出て行ったのか?と。
    でも、両親と関わった人たちの中には両親を恩人という人もいる。
    道中で出会う人たちとの温かい触れ合いや、それぞれの親子のエピソードがいいアクセントになっていて、そして何よりも佳代の両親の失踪の謎の真相に近付いてくるともうドキドキしてページを捲るスピードが速くなってしまいました。
    読み終わって、いい時間だったなぁって思える一冊です。

  • こういうお話をロードノベルというのか・・
    前に踊れる天使を読んでしまったので、話が前後するが、元々は両親探しの旅に出たことから始まったのか。どんな信念があったにしろ、中学校卒業したての長女に家を任せて自分たちの夢?を追いかけるのはちょっと信じられない。
    コミューンが地域で問題になったのも、ちょっとわかるかも。自分の住まいにこんなコミューンがあったら、近寄りがたいかな。そんな社会問題もはらんだ物語だとは知らなかった。

  • 中学生のときに、突然両親がいなくなった。大人になった佳代は、弟の和馬と、両親を捜すことになった。
    弟は姉の働きで大学まで出て、新聞社に就職している。情報担当。佳代はキッチンカーで、両親の足跡をたどりながら、各地を巡る・・・。
    というだけじゃない、もちろんおいしい家庭料理が出てきます。でも、なかにはビックリするようなものも。
    「いかようにも料理します」というのもカッコイイ。佳代は原則、持ち込まれた材料で、一品につき500円で、リクエストされた料理を作るという、かわった商売をしているのです。しかも、家庭料理だけれど、できるだけ地元の湧き水で調理するというこだわり。行く先ざきで両親についての消息を聞くたびに、自分たちを置いて失踪したことへの怒りだけではない感情が、佳代のなかに芽生えていきます。
    続編を、早く読みたいです。

  • 私の出生地・新井薬師の湧水ではじまる・・・ということで、早速手に取りました。旅&料理をベースに両親探しがテーマ。調理屋の「佳代のキッチン」は全国を旅します。

    訪れる土地の湧水とお料理がホットな気分にさせてくれて、触れ合う人々がとても優しい。

    新井薬師のユウヤくん、文房具店のカミナガさん。横須賀ケンズダイナーのマスター、米兵のジェイク。京都・宇佐美の麻奈美さん、勝彦さん。松江・水名亭のスミばあちゃん、元仲居さんで調理屋になった家坂さん。押上の幼馴染の鉄男、元大家さんの里中さん。盛岡の美加ちゃん、食楽園の二代目。そして北海道のトラック運転手・釜谷さん、函館のタエさん、タクシードライバー・・・。

    1人の女性に手を差し伸べてくれる優しい人たちのステキなストーリーでした。

  • たったひとりで育て上げた弟の社会人デビューを機に
    佳代は幼い頃に失踪した両親の行方を探すことを決意する。
    そのための手段として、彼女が選んだ職業は
    移動キッチン調理人。
    客が持ち込んだ材料を使って
    いろいろな料理に仕上げて渡す…。
    忙しい共働きの主婦用
    調理場のまかない代わりの利用など
    もともと料理の腕が良い佳代にとっては
    日々なんとか食いつなげるほどの
    身入りはある仕事だった。
    そうやってさまざまな土地の人々と触れ合いながら
    少しずつ両親の足跡に迫っていくのだが…。

    失踪してすぐの頃から現在まで
    両親がどんな人生を過ごしたのか
    なぜ幼い子供を置いて
    消えてしまわなければならなかったのか
    その部分を解き明かすミステリのようでもありますが
    7話からなる各話は
    その土地の人との独立した物語でもある。
    どんなときも、その人のために心をこめて作る料理が
    先へとつながっていく展開が良かった…。
    中でも横浜の港町で出会ったアメリカ兵に
    親子丼を作る「ベア五郎」と
    島根で出会ったおばあちゃんの魚を使う
    「コシナガ」の2話が、私好みでグッときましたわ。

    おいしいものを食べること
    食べておいしいと感じること。
    心と体の「健康」は
    そんな単純なことではかれる気がする一作でした。

  • 両親を探すために「調理屋」をしながら全国をキッチンカーで旅する佳代と、行く先々で出逢う地元の人たちとの心温まる話。主人公の仕事が「調理屋」というのが原さんならではな感じ。弟が姉を見守る展開も素敵。でも実は弟は全てを知ってるのではと思ってしまう。続編が楽しみ。

  • 移動厨房車に食材を持ち込めば、希望するメニューを一品500円で作ってくれるという「佳代のキッチン」。
    設定はなかなか面白い。
    確かにそういうお店があれば、需要はありそう。
    いろんな場所に行くと、その土地によって喜ばれる看板メニューが異なる様子が面白いなと感じた。
    そして移動する場所場所で佳代のキッチンの存在が、お客さんの人生にほんの少しずつ影響を与えていくのが素敵だった。

    軸になっている「中学生の頃にふいに出て行ってしまった両親探し」という内容は、読み進めるほど両親の行動が理解不能!
    結局、それでいいんだろうかというモヤモヤ感が残ってしまった。

  • 行く先々での人との出会いと、作られる料理に引き込まれて、あっという間に読めました。
    続編も何作かあるみたいなので、ぜひ読みたいです。

  • 佳代さんのお料理どれも美味しそうです。
    両親探しの旅の中で出会う方々みな暖かく心が少しほっこりした気がします。
    終わりかたがちょっとびっくり。続編あるんですよね?
    一章できっかり場所が変わるので、寝る前に一章ずつ読み進めていきました。

  • 佳代さんの作る料理が美味しそうで食べてみたいと思った。両親の謎に引っ張られて読み進め、段々と真相に近づいていったけど・・・最後は、あれ?これで終わり??

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著者プロフィール

1954年、長野県生まれ。早稲田大学卒。97年に作家デビュー。2007年『床下仙人』が第1回啓文堂書店おすすめ文庫大賞に選ばれるなどベストセラーに。他の著書に「佳代のキッチン」シリーズ、『天下り酒場』『ダイナマイト・ツアーズ』『東京箱庭鉄道』『ねじれびと』(以上、祥伝社文庫)、「ヤッさん」シリーズなど多数。最新作は『間借り鮨まさよ』。

「2023年 『うたかた姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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