- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633608
作品紹介・あらすじ
老舗おもちゃメーカーに届いた脅迫メール。2億円に相当する金貨を1週間以内に用意しろというのだ。お客様相談室の佐伯は警察の協力を仰ぐよう訴えるが、会社上層部は秘密裏に犯人への接触をはかるよう指示。風評被害を恐れ、消費者の安全を考えないのだ。会社のやり方に憤りながら調査を進める佐伯は、3年前に起こった自社製品のトラブルに注目した。あの事故のクレーマーが脅迫犯では?だが居場所を突き止めた佐伯を待っていたのは驚愕の事実だった…。企業のあるべき姿を問う衝撃作。
感想・レビュー・書評
-
平易でいて飽きさせない言い回し、読みやすい文章のおかげで小一時間で読了。何かを待っている時に読むと、うまい具合に時間を忘れられる。
装丁の重厚さと「組織の真実」「迫真の傑作サスペンス」という帯に惹かれて手に取ったのに、内容はイメージと全く違い、犯人像やトリックの妙に胸躍る感じは皆無。犯人が最初から分かっているという点では確かにサスペンスだが、感じるのはドキドキハラハラではなく疲れたため息が出そうなあるある感。
せせこましい保身を図る上司の狡さ、そこだけ抜き出されると戯画的に見えるが「いるいるこんな50代、自分の上司もこうだった」と膝を打ちながら読んだ。本当にいる。都合の悪いことが起こると第一線の人間を呼び立てて洗いざらい説明させた挙句お前が責任取れと袈裟斬りにした50代。初任の自分は怖いとしか思えなかったし、組織とはこういうものなのだと、考えることを最初から放棄していた。「自分さえ我慢すれば」で押し通してしまうと他人にもそれを強いることになると学習できたので、悪夢だったかつての職場も一つの教訓。
だから主人公の抱く宮仕えの悲しさと葛藤が、非常にリアルに感じられて切ない。困難に遭った時に、間違っていると思いながらもとっさに受け身で自分を折ったり曲げたりして、夜「何でこんなことになったんだ」とクダを巻いたり枕を濡らしたりした勤め人に薦めたい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
軽く読めるミステリ。コールセンターで働くのは大変そう。だが入り込めず。
-
殺人事件が起こるわけでもなくたった数日間の行動が書かれているだけなのにこの切迫感に最後のオチも影を潜めました。
-
クレーム処理室というかお客様相談室の実態は、こんなもんだろう。本音と建前の企業とスタッフ、よくわかる気がした。
内容は、登場人物から見れば、こんなんだろうね。 -
きれいにまとめすぎというか、うまくいきすぎというか、なんとも現実感に乏しく感じました。ラストも取って付けた感満載でいかにも不自然。ご都合主義臭をいかに消すかって所がフィクション作家の腕の見せ所やないかと思うわけです。
-
終わりがわかってしまった。
-
おもちゃメーカーのお客様相談室で働く佐伯孝明。毎日クレーマーなどの電話に追われていた。ある時、上司から呼ばれ聞かされたのは、会社を脅す脅迫状だった。そして会社を恨んで脅しそうな人物を探せというのだ。リストアップするものの、これといった人物もすでに亡くなっていた。犯人からは2000枚の金貨を要求される。上司の室長や部長との意見に納得がいかないながらも、独自に調査していくが、金貨の受け渡しの日が来てしまった・・・__半分もいかないうちに犯人が推測できてしまった。理不尽な上司に、自分の意見が通せない現実の会社員の様子はみてとれる。